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住宅性能評価とは?評価項目、メリット、注意点まで徹底解説!

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目次

住宅には、安全で快適な暮らしを守る役割があります。
そのために必要な耐震性や耐久性、省エネ性などのさまざまな性能が、どのくらい住宅に備わっているかを専門家にチェックしてもらうのが住宅性能評価です。

この記事では、住宅性能評価の評価項目や評価基準、住宅性能評価を受けるメリットや注意点などを解説します。

これから家を建てようと考えている方や自宅の住宅性能を知りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

1. 住宅性能評価とは

住宅性能評価とは、耐震性や耐久性、省エネ性などの住宅性能を評価することです。2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて創設された「住宅表示制度」の住宅性能に関する基準に則って、第三者機関が客観的に評価します。

品確法は、質の良い住宅が供給されるよう、住宅の品質確保に関して一定のルールを定めた法律です。品確法は、住宅性能表示制度以外にも、新築住宅の保証期間10年間の義務化や、住宅に関するトラブルを迅速に解決するための指定住宅紛争処理機関の整備を定めています。

住宅性能評価について更に知りたい方は下記記事をご覧ください。
>>建設住宅性能評価書はいらない?紛失したら?取得すべき理由とトラブルの対処法を解説

1.1. 住宅性能評価書の種類

住宅性能評価書とは、第三者が公平な立場で住宅性能を評価した結果を表示した書面です。

住宅性能評価書は、図面などをもとに設計段階での評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と施工時・完成段階の立入検査などをもとに評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書」の2種類があります。

設計住宅性能評価書のみの取得もできますが、設計住宅性能評価書はあくまで設計図など書面に基づいた評価結果であり、実際に住宅を検査した評価結果ではありません。このため設計住宅性能評価を受けたあと、建設住宅性能評価書を取得することで、設計時に定めた内容が建物に反映されたことを確認できます。

1.2. 住宅性能表示制度の見直し

住宅性能表示制度では、住宅の品質を高めることを目的に、これまでに何度か住宅性能評価の基準が改正されています。

2022年4月には、建物の断熱性を表す断熱等性能等級に5級が、建物の省エネ性を表す一次エネルギー消費量等級に6級がそれぞれ新設されました。また、同年10月にはさらに断熱等性能等級6級、等級7級が新設されています。

つまり、2022年3月31日までは一次エネルギー消費量等級は5級、断熱等性能等級は4級が最高等級(もっとも住宅性能が高い等級)でしたが、2022年10月以降は、一次エネルギー消費量等級は6級、断熱等性能等級は7級が最高等級となりました。

2. 新築住宅の住宅性能評価基準

新築住宅の住宅性能の表示項目は、10分野33項目です。
住宅の性能のなかでも特に外観や間取り図からでは判断しにくい項目が優先的に採用されています。
住宅性能評価を受ける際の必須項目として、そのうち4分野10項目が定められており、他の項目は申請の際に評価を受けるか受けないか選択できます。

ここからは、以下の分野ごとに項目の評価対象や評価基準を解説します。

  • 構造の安定・強さ【必須項目】
  • 火災時の安全性
  • 劣化の軽減・耐久性【必須項目】
  • 維持管理・補修や更新のしやすさ【必須項目】
  • 省エネ対策(温熱環境・エネルギー消費量)【必須項目】
  • シックハウス対策・換気
  • 窓の面積による光・視環境
  • 遮音対策・音環境
  • 高齢者等への配慮
  • 防犯対策

2.1. 構造の安定・強さ【必須項目】

地震や風、積雪などの自然災害に対する建物の強さを表す分野です。
住宅表示性能制度では、「構造の安定に関すること」という分野名で、具体的な項目として以下の7つが定められています。

  項目名 概要 戸建て マンション
1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止) 地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさを等級で表示
※免震建築物以外
1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止) 地震に対する構造躯体の損傷の生じにくさを等級で表示
※免震建築物以外
1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 免震建築物であるか否かを表示
1-4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等及び損傷の生じにくさを等級で表示
1-5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 屋根の積雪に対する構造躯体の倒壊、崩壊等及び損傷の生じにくさを等級で表示
※多雪区域のみ

※多雪区域のみ
1-6 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法 地盤又は杭の耐力及び地盤に見込んでいる耐力の根拠を表示
1-7 基礎の構造方法及び形式等 直接基礎の構造及び形式又は杭基礎の杭種、杭径及び杭長を表示
※赤は必須項目

耐震等級とは、地震に対する建物の強さを示す指標です。地震による構造躯体(建物の構造を支える骨組み部分)の損傷のしやすさ、地震による構造躯体(建物の構造を支える骨組み部分)倒壊・崩壊のしやすさをそれぞれ1〜7の等級で表示します。

耐風等級は風に対する建物の強さ、耐雪等級は屋根の積雪に対する建物の強さを示す指標です。耐風等級・耐雪等級ともに1〜2の等級で表示します。

住宅性能表示制度では、等級の数字が大きいほど住宅性能は高くなります。

2.2. 火災時の安全性

住宅内や近隣で火災が発生時に人命や住宅、財産を守るための安全対策を評価する指標です。
住宅表示性能制度では、「火災時の安全に関すること」という分野名で、具体的な項目として以下の7つが定められています。

 項目名概要戸建てマンション
2-1感知警報装置設置等級(自住戸火災時)評価対象住戸において発生した火災の早期の覚知のしやすさを等級で表示
2-2感知警報装置設置等級(他住戸等火災時)評価対象住戸の同一階又は直下の階にある他住戸等において発生した火災の早期の覚知のしやすさを等級で表示 
2-3避難安全対策(他住戸等火災時・共用廊下)評価対象住戸の同一階又は直下の階にある他住戸等の火災時における避難のための共用廊下の対策を3項目で表示 
2-4脱出対策(火災時)通常の歩行経路が使用できない場合の緊急的な脱出のための対策を表示
地上階数3以上
2-5耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部))延焼のおそれのある部分の開口部に係る火災による火炎を遮る時間の長さを等級で表示
2-6耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))延焼のおそれのある部分の外壁等(開口部以外)に係る火災による火熱を遮る時間の長さを等級で表示◯  
2-7耐火等級(界壁及び界床)住戸間の界壁及び界床に係る火災による火熱を遮る時間の長さを等級で表示 

感知警報装置設置等級は、火災が発生した場合の早期発見のしやすさを評価する項目です。
戸建ての場合は自宅内で起きた火災、共同住宅の場合は自宅内だけでなく、同じ階または下の階で火災が発生した場合の感知器と警報装置の設置状況を1〜2の等級で表示します。

耐火等級とは、火と熱を遮る時間の長さを評価する指標です。開口部(ドアや窓など)、開口部以外(外壁や軒裏など)、界壁及び界床(共同住宅の隣戸との間にある壁や上下の住戸の間にある床)の3つそれぞれの耐火性能を1〜4の等級で表示します。

2.3. 劣化の軽減・耐久性【必須項目】

住宅に使われている材料の劣化を遅らせるための対策がどのくらいおこなわれているかを評価する指標です。
住宅表示性能制度では、「劣化の軽減に関すること」という分野名で、具体的に以下のように定められています。

 項目名概要戸建てマンション
3-1劣化対策等級(構造躯体等)構造躯体等の大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策の程度を等級で表示
※赤は必須項目

劣化対策等級は、構造躯体(建物の構造を支える骨組み部分)に用いられる木材のシロアリ対策や鉄筋の錆び対策などの建物の耐久性を1〜3の等級で表示します。

2.4. 維持管理・補修や更新のしやすさ【必須項目】

給排水管やガス管の点検や清掃、修繕のしやすさを評価する指標です。
住宅表示性能制度では、「維持管理・更新への配慮に関すること」という分野名で、具体的な項目として以下の4つが定められています。

項目名 概要 戸建て マンション
4-1 維持管理対策等級(専用配管) 専用の給排水管・給湯管及びガス管の清掃、点検及び補修を容易とするため必要な対策の程度を等級で表示
4-2 維持管理対策等級(共用配管) 共用の給排水管・給湯管及びガス管の清掃、点検及び補修を容易とするため必要な対策の程度を等級で表示
4-3 更新対策(共用排水管) 共用排水管の更新を容易とするための必要な対策を2項目で表示
4-4 更新対策(住戸専用部) 住戸専用部の間取りの変更を容易とするため必要な対策を2項目で表示
※赤は必須項目

維持管理対策等級は、給排水管・給湯管・ガス管の清掃や点検、補修のしやすさを評価する項目です。
戸建ての場合は専用配管、マンションなどの共同住宅の場合は共用配管をそれぞれ1〜3の等級で表示します。

2.5. 省エネ対策(温熱環境・エネルギー消費量)【必須項目】

住宅の断熱性やエネルギー消費性能を評価する指標です。
住宅表示性能制度では、「温熱環境・エネルギー消費量に関すること」という分野名で、具体的に以下の2項目が定められています。

項目名 概要 戸建て マンション
5-1 断熱等性能等級 外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度を等級で表示
5-2 一次エネルギー消費量等級 一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度を等級で表示
※赤は必須項目

断熱性能等級は、住宅の外気の影響の受けやすさや室内の熱の逃げやすさを1〜7の
等級で表示します。

一次エネルギー消費量等級は、住宅の省エネ性を示す指標です。冷暖房や給湯、照明など住宅内のエネルギー消費量の少なさを1〜5の等級で表示します。

2.6. シックハウス対策・換気

室内の汚染された空気によって引き起こされるシックハウス症候群の予防対策や住宅の換気性能を評価する項目です。
住宅表示性能制度では、「空気環境に関すること」という分野名で、具体的な評価項目として以下の3つが定められています。

 項目名概要戸建てマンション
6-1ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)居室の内装の仕上げ及び天井裏等の下地材等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策を等級で表示
6-2換気対策室内空気中の汚染物質及び湿気を屋外に除去するための必要な換気対策を2項目で表示
6-3室内空気中の化学物質の濃度等評価対象住戸の空気中の化学物質の濃度及び測定方法を表示

ホルムアルデヒドとは、シックハウス症候群の原因となる代表的な化学物資です。ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)では、建材から発散されるホムデアルデヒドの量を1〜3の等級で表示します。

2.7. 窓の面積による光・視環境

生活に必要な明るさを確保できるよう、住宅における窓の面積比率を評価する項目です。
住宅表示性能制度では、「光・視環境に関すること」という分野名で、具体的には以下の2項目が定められています。

 項目名概要戸建てマンション
7-1単純開口率居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の床面積に対する割合の大きさを表示
7-2方位別開口比居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の各方位毎の比率の大きさを表示

単純開口率では、床面積に対する窓や天井面の開口部の割合を、方位別開口比では、窓や天井面の開口部の方位ごとの比率(北、東、南、西、真上)の比率をそれぞれ%以上で表示します。

2.8. 遮音対策・音環境

主にマンションなどの共同住宅に関して、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸などへの音の伝わりにくさを評価する指標です。
住宅性能表示制度では、「音環境に関すること」という分野名で、具体的な評価項目として以下の4つが定められています。

 項目名概要戸建てマンション
8-1重量床衝撃音対策居室に係る上下階との界床の重量床衝撃音を遮断する対策について、等級または相当スラブ厚を表示 
8-2軽量床衝撃音対策居室に係る上下階との界床の軽量床衝撃音を遮断する対策について、等級または軽量床衝撃音レベル低減量を表示 
8-3透過損失等級(界壁)居室の界壁の構造による空気伝搬音の遮断の程度を等級で表示 
8-4透過損失等級(外壁開口部)居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度を等級で表示

透過損失等級では、界壁(共同住宅における隣戸との間にある壁)と外壁開口部(リビングの外壁にあるサッシなど)それぞれの遮音性を1〜4の等級で表示します。

2.9. 高齢者等への配慮

高齢者や障がい者の暮らしやすさの配慮に関する評価項目です。
住宅表示性能制度では、「高齢者等への配慮に関すること」という分野名で、具体的に以下の2項目が定められています。

 項目名概要戸建てマンション
9-1高齢者等配慮対策等級(専用部分)住戸内における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を等級で表示
9-2高齢者等配慮対策等級(共用部分)共同住宅等の主に建物出入口から住戸の玄関における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を等級で表示 ◯  

高齢者等配慮対策等級では、段差をなくす、階段を緩やかにするなどの配慮の程度を1〜5の等級で表示します。戸建ての場合は住宅内、マンションなどの共同住宅の場合は住宅内に加えて建物出入り口から玄関までが評価対象です。

2.10. 防犯対策

防犯上有効とされる部品の使用や設備の設置、侵入防止対策など住宅の防犯性を評価する指標です。
具体的な評価項目としては以下のように定められています。

 項目名概要戸建てマンション
10-1開口部の侵入防止対策通常想定される侵入行為による外部からの侵入を防止するための対策を講じているか否かを表示

中古住宅の住宅性能評価

すでに建築されている中古住宅でも、住宅性能評価を受けることが可能です。
ただし、中古住宅の性能評価は、壁や柱、基礎、屋根など各部分の劣化や不具合を目視で確認する現況検査によっておこなわれます。
検査結果は、以下の2分野に分けて、劣化などの状況を総合的にA(問題なし)とB(特定の劣化が認められる)で評価する「総合判定」の形で表示されます。

このように、一般的な既存住宅の性能評価は、新築住宅の性能評価と異なる仕組みでおこなわれます。
しかし、上記の現況検査にオプションとして追加すれば、既存住宅の性能を新築住宅の評価基準でチェックできます。

ただし、中古住宅の評価項目は、新築住宅を対象とした10分野33項目のうち、評価が可能な9分野28項目となります。具体的には、「音環境に関すること」の以下4項目が、確認が難しいという理由で評価対象として除外されています。

  • 重量床衝撃音対策
  • 軽量床衝撃音対策
  • 透過損失等級(界壁)
  • 透過損失等級(外壁開口部)

3. 住宅性能評価書の取得による住宅のメリット

住宅性能評価書の取得は義務ではありません。
あくまでも住宅性能表示制度は任意で利用するもので、住宅性能評価書の取得には費用がかかることから不要だと考える方もいるでしょう。

しかし、住宅性能評価書の取得には以下のメリットがあります。

  • 住宅の性能評価が比較しやすい
  • 専門家からチェックを受けることできる
  • 地震保険・住宅ローンで有利になる
  • 長期優良住宅でさらに優遇を受けられる
  • 資産価値が高く売却時に優位性ができる
  • トラブルの際の費用を抑えられる

3.1. 住宅の性能評価が比較しやすい

住宅性能評価書では、住宅の耐震性や断熱性など、住宅の外観や間取り図からは判断しにくい住宅性能が等級(数字)でわかりやすく表示されます。このため専門知識がない方でも、住宅の各性能がどの程度か判断でき、建物の比較や購入の検討がしやすくなります。

3.2. 専門家からチェックを受けることできる

住宅性能評価は、国土交通省に登録された住宅性能評価機関によっておこなわれます。希望の性能で設計されているか、設計通りに施工されたかどうかをその道の専門家にチェックしてもらえます。

住宅性能のなかには耐震性や耐風性など安全性に関わる項目もあるため、こういった性能を公平な立場の第三者に確認してもらえる安心感があります。

3.3. 地震保険・住宅ローンで有利になる

住宅性能評価書を取得すると、地震保険料の割引が受けられます。耐震等級の評価に応じて以下の割引率が適用されます。

保険始期
2014年6月30日以前
保険始期
2014年7月1日以降
免震建築物割引 30% 50%
耐震等級割引 (構造躯体の倒壊等防止) 耐震等級3 30% 50%
耐震等級2 30% 30%
耐震等級1 10%
引用:制度のメリット | 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

また、住宅性能評価書を取得すると、住宅ローンの金利が優遇される場合もあります。例えば、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンであるフラット35では借り入れ当初の5年間、省エネ性や耐震性能の高い住宅の金利を一定割合引き下げるメニューを用意しています。

3.4. 長期優良住宅でさらに優遇を受けられる

長期優良住宅制度とは、長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅を「長期優良住宅」として認定する制度です。長期優良住宅として認定されると、住宅性能表示制度と同様、耐震性に応じた地震保険料の割引、住宅ローンの金利優遇のほか、国からの補助金や固定資産税や贈与税の軽減措置が受けられます。

住宅性能表示制度とはあくまでも別の制度ですが、長期優良住宅制度の評価基準は、耐震性や劣化対策、温熱環境など住宅性能評価と重なる部分も多いです。このため住宅性能評価に加えて長期優良住宅の認定を受けることで、住宅ローンの金利や税金面でさらなる優遇が期待できます。

>>長期優良住宅で注意することは?メリットや申請手順を紹介

3.5. 資産価値が高く売却時に優位性ができる

住宅性能評価書の取得は、資産価値の向上にもつながります。

なぜなら住宅性能評価書は、その建物が国の定めた一定以上の性能水準を満たしていることの証明になるためです。また、住宅性能が可視化されることから、将来売却する際に買い手がつきやすい、高く売却できる可能性が高いなどのメリットがあります。

3.6. トラブルの際の費用を抑えられる

建設住宅性能評価書を取得した住宅では、建築や売買のトラブルが発生した場合に指定住宅紛争処理機関を利用できます。指定住宅紛争処理機関とは、裁判に頼らずに住宅のトラブルを迅速かつ円滑に解決することを目的として国土交通大臣が指定した機関のことです。

指定住宅紛争処理機関の申請手数料は一律1万円のため、万が一トラブルが起きた際も安価な費用で紛争処理を依頼できます。

4. 住宅性能評価の流れ

住宅性能評価を受けるまでの主な流れは以下のとおりです。

  1. 事前の相談・見積り申請
  2. 設計住宅性能評価の実施、交付
  3. 建設住宅性能評価書の申請
  4. 建設住宅性能評価の実施

ここからは、各ステップの詳細を解説します。

4.1. 事前の相談・見積り申請

住宅性能評価書の取得を希望する場合は、その前提で住宅の構造や間取りの打ち合わせをする必要があります。このためまずは、住宅性能評価書の取得を希望する旨と、どの項目でどの等級を目指したいかなどの具体的な要望を施工会社の担当者に伝えておきましょう。

施工会社の担当者や設計士との打ち合わせを重ね、設計図書が完成したら、住宅性能評価機関に確認してもらいます。修正点がなければ必要書類を提出し、設計住宅性能評価の申請をします。

4.2. 設計住宅性能評価の実施、交付

設計図やその他の書類をもとに、評価機関によって設計時点での住宅性能の評価がおこなわれます。評価機関から質疑があった場合は、施工会社の担当者や設計士と相談し、新たに図面や回答書を作成して提出します。

評価が完了したら、設計時点での住宅性能評価の結果をまとめた設計住宅性能評価書が交付されます。

4.3. 建設住宅性能評価書の申請

設計住宅性能評価書の内容が実際の建物にきちんと反映されているかどうかは、建設住宅性能評価書の取得で確認できます。

建設住宅性能評価を受けるには、設計住宅性能評価書などの必要書類を揃え、基礎工事の完了前までに評価機関に申請する必要があります。

4.4. 建設住宅性能評価の実施

建設住宅性能評価では、原則として以下のタイミングで4回以上の現場検査がおこなわれます。

  • 基礎配筋工事の完了時
  • 躯体工事の完了時
  • 下地張りの直前の工事の完了時
  • 竣工時

評価員が目視や計測などで施工状況を確認し、結果をまとめた建設住宅性能評価書が交付されたら住宅性能評価に関する一連の作業は完了です。工事着工から竣工までは、一般的に6〜7ヵ月程度かかります。

5. 住宅性能評価の際に注意する点

住宅性能評価を受ける際は、以下の点に注意が必要です。

  • 住宅性能評価書の取得には費用がかかる
  • 何かの等級を上げようとすると何かの等級が下がる場合がある
  • トラブルが一切ないとは限らない

5.1. 住宅性能評価書の取得には費用がかかる

住宅性能評価書の取得には費用がかかります。
地域や依頼する機関、評価を依頼する項目数によって価格は異なりますが、設計住宅性能評価書のみの場合は10〜20万円程度、設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書の両方を取得する場合は15〜30万円前後が目安です。例えば、新築住宅の戸建てだと必須項目(構造の安定性、劣化軽減、維持管理・更新、温熱・エネルギー)のみの評価で16万円前後が相場となります。

決して安い金額ではないため、住まいで重視するポイントを家族でよく話し合ったうえで利用を検討すると良いでしょう。

5.2. 何かの等級を上げようとすると何かの等級が下がる場合がある

住宅性能評価を受けるなら、すべての項目で最高評価を目指したいと考える方もいるかもしれませんが、現実的ではありません。なぜなら住宅性能評価項目のなかには相反する関係のものも多いためです。

例えば、「光・視環境に関すること」の分野では、住居に対する窓の割合を評価しますが、この数値を高めようと窓を増やしたり、窓を大きくしたりすると耐震性が損なわれる場合があります。

住宅性能評価はあくまでも住宅の性能を評価・表示するためのものであり、すべての項目で最高等級を目指す必要はありません。何かの等級を上げようとすると何かの等級が下がったり、間取りやデザインに制限が生じたりすることも少なくないため、住まいで重視するポイントや予算とのバランスなどを考慮して希望する性能を決めると良いでしょう。

5.3. トラブルが一切ないとは限らない

住宅性能評価書は、その建物が国の定めた一定以上の性能水準を満たしていることの証明となるものですが、だからといってトラブルが発生しないわけではありません。
例えば、必須項目以外の項目に関しては追加で申請しない限り審査や評価はおこなわれません。また、地震の規模によっては耐震等級2を取得している建物でも崩壊、倒壊の恐れがあります。(最高等級3の建物は2016年の熊本地震でも倒壊・崩壊はゼロでした。)

もちろん高い住宅性能で設計を依頼し、その設計が現実の建物に反映されていると評価してもらった項目に関しては、一般的な住宅に比べてトラブルが起きる可能性は低いです。また、万が一トラブルが起きた場合も一律1万円で指定住宅紛争処理機関に紛争処理を依頼できるのは安心です。しかし、住宅性能評価を受けたからといって過信せず、トラブルが起きた際は状況に応じて柔軟な対応を心がけましょう。

6. 住宅性能評価の取得を検討しよう

住宅性能評価とは、耐震性や耐久性、省エネ性などの住宅性能を第三者機関が客観的に評価することです。評価項目や評価基準は、2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて創設された「住宅表示制度」の住宅性能に関する基準に則って定められています。

住宅性能評価書の取得は義務ではなく任意ですが、地震保険料の割引や住宅ローンの金利優遇、資産価値の向上などのメリットがあるため、住まいで重視するポイントを家族でよく話し合ったうえで利用を検討すると良いでしょう。

一建設が贈る戸建て分譲住宅の総合ブランド「リーブルガーデン」の住宅は、住宅性能評価の以下5分野7項目で最高等級を標準化しています。

分野名 項目名 等級(最高等級)
構造の安定に関すること 耐震等級級(構造躯体の倒壊等防止) 3級
耐震等級(構造躯体の損傷防止) 3級
耐風等級 2級
劣化の軽減に関すること 劣化対策等級(構造躯体等) 3級
維持管理・更新への配慮に関すること 維持管理対策等級(専用配管) 3級
温熱環境・エネルギー消費量に関すること 断熱等性能等級 5級
一次エネルギー消費量等級 6級
空気環境に関すること ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等) 3級
※赤は必須項目

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※1 分譲戸建住宅市場におけるシェア(2023年4月1日~2024年3月31日住宅産業研究所調べ)

>>リーブルガーデン|一建設の新築一戸建て(分譲住宅・建売)
>>​​リーブルガーデンの特徴 安らぎが続く家を

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