住宅ローンの頭金はいくら必要?頭金なしでマイホームは購入可能か解説

目次
一建設の分譲戸建住宅
一建設の分譲戸建住宅は年間約9,000棟以上を供給、国内トップクラスの販売戸数を誇ります。また住宅性能表示制度5分野7項目の最高等級取得を標準化。
お客さまとご家族に安心して住んでいただける住まいをお届けします。
頭金は、マイホームを購入する際に必要といわれる自己資金の一つです。
しかし、頭金の定義やメリット・デメリット、用意する金額の目安をご存知ない方も多いのではないでしょうか。
今回は頭金について、以下の内容を解説します。
- 頭金とは?
- 頭金の金額の目安
- 頭金を支払うメリット・デメリット
- 頭金なしのフルローンでマイホームを購入するメリット・デメリット
- 頭金あり/なしの返済額シミュレーション
- 頭金の金額を決めるうえでの注意点
頭金について知りたい方や、頭金なしでマイホームの購入を検討している方は、ぜひご覧ください。
1. 頭金とは?

多くの方は、マイホーム購入時に住宅ローンを利用します。
頭金とは、ローンを利用して住宅を購入するときに、先払いの形で自己資金から支払うお金のことです。
例えば、4,000万円の住宅を購入する場合、先に自己資金から500万円を支払い、残りの3,500万円を住宅ローンで調達するとしましょう。このとき先に支払った500万円がいわゆる頭金です。
頭金は、多めに準備すればそのぶん住宅ローンの借入額を減らすことが可能です。また、住宅ローンの借入可能額は、契約者の属性や収入によって異なります。そのため頭金を多く用意できれば、借入可能額を上回る物件も手に入れられる可能性があるでしょう。
その他、住宅購入時に現金での支払いが必要な費用としては、仲介手数料や事務手数料、登記費用などの諸費用や、売買契約時に支払う手付金が挙げられます。これらは頭金と合わせて「自己資金」と呼ばれます。
なお手付金については、下記のコラムも併せてご覧ください。
>>不動産購入時の手付金とは?相場や種類、支払う前に知っておきたいことを解説
2. マイホームを購入する際に頭金はいくら必要か?

国土交通省の令和5(2023)年度調査による建物種別の自己資金額の平均と住宅価格に対する自己資金の割合は次の表のとおりです。
建物種別 (住宅のタイプ) | 住宅価格 (全国平均) | 自己資金額 | 自己資金比率 |
---|---|---|---|
注文住宅 | 4,319万円 | 1,261万円 | 29.2% |
分譲戸建て | 4,290万円 | 1,305万円 | 30.4% |
分譲マンション | 4,716万円 | 2,279万円 | 48.3% |
中古戸建て | 2,983万円 | 1,410万円 | 47.3% |
中古マンション | 2,793万円 | 1,338万円 | 47.9% |
住宅のタイプによって差はありますが、一般的に、自己資金の平均額は住宅価格の3割~4割程度であることがわかります。
ただし、ここでいう自己資金には頭金だけでなく、先述した仲介手数料や事務手数料、登記費用などの諸費用が含まれます。つまり、この表の自己資金額から諸費用を差し引いた金額が頭金となります。
住宅購入にかかる諸費用は、新築の場合住宅価格の約3〜7%、中古の場合住宅価格の約6〜10%が一般的です。上記を加味すると、住宅購入時の頭金の平均額は住宅価格の約20%と考えられます。
3. 住宅ローンで頭金を支払うメリット

頭金を用意することでマイホームの購入にかかる負担が軽減される場合があるため、可能な範囲で用意するのがおすすめです。
頭金を用意した方が良い理由を3つ解説します。具体的には次のとおりです。
- 総支払額を減らし、返済負担を軽減出来る
- 住宅ローンの審査が通りやすくなる
- 金利が下がる可能性がある
3.1. 総返済額を減らし、返済負担を軽減できる
頭金を用意すると、その分だけ住宅ローンの借入金額も減り、総返済額が少なくなります。
「頭金+残額を住宅ローンで支払い」と「全額住宅ローンで支払い」では、一見すると負担する金額は変わらないように思えますが、住宅ローンで借りたお金には金利がつくのがポイントです。そのため借入額が少ないほど返済額が減り、実際に負担する金額(総支払金額)は減ります。
総支払額が減れば月々の負担が軽くなるほか、毎月の返済額を抑えたぶんの余剰資金を、繰上返済のために蓄えておくことも可能です。繰上返済すれば借入期間が短縮され、さらなる金利負担の軽減につながります。
例えば、4,000万円の住宅を購入する際に、500万円の頭金を用意した場合とそうではない場合を比較して、実際に負担する金額を見てみましょう。
条件:
・住宅価格 4,000万円(諸費用含む)
・金利 0.5%
・返済期間 35年
頭金あり(500万円) | 頭金なし | |
---|---|---|
月々の返済額 | 9万854円 | 10万3,834円 |
年間の返済額 | 109万248円 | 124万6,008円 |
総返済額 | 3,815万8,862円 | 4,361万126円 |
総支払金額 | 4,315万8,862円 | 4,361万0,126円 |
このように、上記の条件で頭金あり(500万円)の場合と頭金なしの場合を比較し、実際に負担する金額を調べてみたところ、頭金なしのほうが45万円ほど負担額が大きくなることがわかりました。
頭金なしでは月々の返済額が10万円を超えてしまうのも、心理的には負担が大きいと感じられることでしょう。
3.2. 住宅ローンの審査が通りやすくなる
頭金を用意することで、住宅ローンの審査に通りやすくなります。金融機関に「貯金できるくらいの余裕がある」「計画性がある」などと、好印象を与えられるためです。
例えば、収入が安定していないなどの理由で住宅ローンの審査に通過できるか不安な方は、頭金を用意しておくと審査に通りやすいでしょう。
3.3. 金利が下がる可能性がある
金融機関によっては、頭金の金額が大きいほど金利が優遇される場合があります。
金利が優遇される条件は金融機関によって異なりますが、そのうちの一つが融資率(住宅価格に対する借入金額の割合)を下げることです。
例えば、全期間固定型の住宅ローン「フラット35」であれば、融資率を抑えることで以下のように金利が優遇されます。
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(2025年9月現在)
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
---|---|---|
9割以下 | 年1.890%~年4.280% | 年1.890% |
9割超 | 年2.000%~年4.390% | 年2.000% |
融資率が9割以下(頭金が1割以上)の場合、融資率が9割超(頭金が1割未満)の場合と比べ、金利が約0.1%低くなっていることがわかります。
4. 住宅ローンで頭金を支払うデメリット

ただし、住宅ローンで頭金を支払うことには以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- 頭金を貯めるのに時間がかかる
- 思わぬ支出に対応できない
4.1. 頭金を貯めるのに時間がかかる
前述した国土交通省の調査によると住宅価格の平均額は、注文住宅の場合4,319万円、分譲戸建ての場合4,290万円です。2. マイホームを購入する際に頭金はいくら必要か?で説明したとおり、住宅価格の20%を頭金とする場合、およそ860万円を用意する計算になります。
必ずしもこの額である必要はありませんが、このように多くの頭金を準備する場合、契約してからの調達では間に合わない可能性が高いです。かといって、頭金が貯まるのを待っていると、購入にベストなタイミングを逃してしまいます。
また、ローンの返済開始が遅くなる=完済時期も後ろにずれるため、老後に負担に感じる可能性もあるでしょう。
上記の事情を考慮すると、頭金を多く準備することは安心につながる一方、固執しすぎとかえって良くないこともあるため注意が必要です。
現実的な範囲で目標額を決め、マイホームの購入を検討し始めたタイミングから、計画的に準備を進めましょう。
4.2. 思わぬ支出に対応できない
3. 住宅ローンで頭金を支払うメリットで説明したように、頭金を多めに用意すると住宅ローンの返済負担が減る、審査に通りやすくなるなどのメリットがあります。
しかし、貯金の大部分を頭金にあてると、急な出費や収入減少などに対応できなくなる可能性があるため注意が必要です。
病気や怪我、失業など不測の事態にも柔軟に対応できるよう、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
5. 頭金なしでもマイホームは購入できる

昔の住宅ローンは、融資限度額が住宅価格の80%までだったため、住宅購入に頭金の用意は不可欠でした。しかし、低金利時代に突入した2000年代以降は、「ここまで金利が低いなら頭金を出すより借りたほうが得だ」という風潮が生まれ、住宅価格の100%を借り入れるフルローンが選択肢の一つとなりました。
実際に、現代でも頭金なしのフルローンで住宅ローンを組むことが可能です。
5.1. 頭金なしにするメリット
頭金なしのフルローンで住宅を購入するメリットは以下のとおりです。
- 頭金が貯まるのを待たずにマイホームを購入できる
- 手元資金を残せるため、急な出費にも対応しやすい
- 住宅ローン控除の恩恵をより大きく受けられる場合がある
本来であれば、頭金を貯めるのに数年かかる場合でも、フルローンならすぐにマイホームを購入可能です。早めに返済を始めれば、収入が減る老後までに住宅ローンを完済できる可能性が高まります。
また、貯金を頭金に回さなくて良いため、急な出費や将来の予備費として手元資金を残せておけるのも大きなメリットです。
住宅ローン控除とは、一定の要件を満たしている場合、住宅ローン契約者の税負担が軽減される制度です。原則として、借入残高が大きいほど控除額も増えるため、住宅ローン控除の恩恵をより大きく受けられる可能性があります。
ただし、住宅ローン控除は住宅区分や世帯構成に応じて、借入限度額や最大控除額が定められているため注意が必要です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
>>住宅ローン控除(減税)はいつまで?条件や税制改正の内容|2026年以降の情報も解説
5.2. 頭金なしにする注意点
経済状況や家庭環境によっては、頭金を用意するのが難しく、フルローンでの住宅購入を検討されている方もいるでしょう。
ただし、頭金なしのフルローンでマイホームを購入する場合は以下の点に注意が必要です。
- 諸費用は現金で支払う場合がある
- ローン審査に影響するケースがある
- 金利が高く設定されるケースがある
- 借入総額が増えて返済負担が大きくなる
- 返済期間が長くなるケースがある
まず、住宅購入にかかる仲介手数料や事務手数料、登記費用などは現金で支払う必要があります。頭金なしの場合でも、これらの諸費用は自己資金から捻出しなければならないため注意しましょう。
また、自己資金ゼロだと借入先の銀行に返済リスクが高いと判断される可能性があります。その結果、住宅ローンの審査が厳しくなったり、金利が高めに設定されたりする恐れもあります。
特に注意すべきなのは、借入総額が増える=返済負担が重くなる点です。月々の返済負担を抑えるために、返済期間を長めに設定せざるを得ない場合もあるでしょう。
このように頭金なしのフルローンは手元資金を残せる一方、返済負担増のリスクがあります。メリット・デメリットを十分理解し、どちらを重視するかよく比較検討したうえで判断することが重要です。
6. 頭金あり/なしで比較する返済額シミュレーション

ここでは、以下の条件でマイホームを購入する場合の返済額を、頭金あり(頭金1割、頭金2割)の場合となしの場合でシミュレーションしました。ぜひご参考にしてください。
条件:
・35年返済(ボーナス払いなし)
・固定金利1.89%
・物件価格3,500万円(諸費用含む)
頭金なし | 頭金1割 (350万円) | 頭金2割 (700万円) | |
---|---|---|---|
借り入れ金額 | 3,500万円 | 3,150万円 | 2,300万円 |
月々の返済額 | 11万3,976円 | 10万2,578円 | 9万1,181円 |
総支払金額 ※頭金を含む | 4,786万9,762円 | 4,658万2667円 | 3,845万7,139円 |
今回の条件では、頭金を2割(700万円)用意した場合に限り、総支払金額が4,000万円を切っています。頭金なしと比べると941万2,623円、頭金1割と比べても839万5,528円の差があり、頭金の有無や金額でどれほど総支払額が違ってくるか、よくわかる結果となりました。
もちろん、700万円を貯めるには相応の期間がかかりますが、これらの余剰資金を繰上返済に回せば、月々の返済額を減らす、返済期間を短くするなどし、さらにローン負担を減らすことが可能です。
貯金が難しい場合は、頭金なしでのマイホームを購入するのも一つの手段ですが、その場合は返済負担が重くなるため、月々の返済額や総支払金額をシミュレーションのうえ、余裕を持った資金計画を立てましょう。
一建設では、月々の支払額から購入可能額の算出、希望物件の金額から毎月の支払額を算出できる、ローンシミュレーションもご用意しております。ぜひ資金計画の策定にお役立てください。
7. 頭金を決めるうえでの注意点

最後に、頭金の金額を決めるうえでの注意点を解説します。
注意点を知らずに頭金の金額を決めてしまうと、予想外の出費が発生したり、必要以上の負担がかかったり、さまざまな不都合が生じます。
頭金ありでのマイホーム購入を検討している方は、以下の内容もご確認ください。
7.1. 頭金以外にも諸費用ががかかる
マイホームを購入するときは、頭金以外にも以下の諸費用が必要になります。
- 不動産会社への仲介手数料
- 住宅ローン手数料
- 印紙税
- 登記費用
- 手付金
- 各種保険料
さらに、新居への引っ越し代や家具・家電代もかかるため注意が必要です。自己資金をすべて頭金に充ててしまうと、こういった費用の支払いができなくなってしまいます。
他に必要な費用がどれくらいかかるか、事前に考慮したうえで頭金の金額を決定しましょう。
諸費用や手数料などの詳細は以下の記事をご覧ください。
>>建売住宅購入時に必要な諸費用の目安と内訳
>>住宅ローンの手数料ってなに?相場や保証料を解説
7.2. 毎月の収支と将来の出費も考慮する
頭金にすべての貯金を充ててしまうと、事故や病気などで急な出費が生じた際、住宅ローンの返済が困難になるため注意が必要です。同様に、子どもの教育費や車の買い替えなど、ライフプラン上の支出も忘れず、長期的な視点で金額を決定しましょう。
住宅ローンの返済は長期にわたるため、毎月安定した支払いを続けるには、月々の収支を把握しておく必要があります。
収入に不安がある場合は頭金を多く用意し、毎月の支払いの負担を減らすのが安心です。一方、この先も安定した収入を望める場合は、頭金を少なくするのも手段の一つでしょう。
毎月の収支を把握したうえで、無理なく住宅ローンが支払える範囲に収まるよう、必要な頭金の金額を計算しましょう。
一戸建てで毎月かかるお金の種類や金額の詳細は以下の記事をご覧ください。
>>一戸建てで毎月かかるお金はどれくらい?維持費を抑えるコツも併せて紹介
7.3. 頭金を支払うタイミングを把握する
頭金は、契約から引渡しまでの間に支払うのが一般的です。その期間中にいつ支払うかは契約で定めることができますが、契約から引渡しまでは通常3ヵ月程度のため、事前に資金を用意しておくことが重要です。
特に、頭金の金額が大きい場合、契約をしてから調達するのでは間に合わない可能性が高いです。マイホームの購入を検討し始めたら、なるべく早い段階で計画的に資金を貯めましょう。
8. 住宅ローンの頭金を理解して、マイホーム購入へ
頭金とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入する際に、住宅価格の一部を先払いする自己資金のことです。頭金を用意すると、住宅ローンの返済負担を軽減できる、住宅ローンの審査が通りやすくなる、金利が優遇されるなどのメリットがあります。
しかし、頭金の平均額は住宅価格の約20%であり、仮に平均的な金額の分譲戸建て住宅(4,290万円)を購入する場合、およそ860万円を用意する計算になります。必ずしもこの額である必要はありませんが、このように多くの頭金を準備する場合、貯めるのに時間がかかる、急な出費や収入減少などに対応できなくなるなどの可能性があるため注意が必要です。
一昔前までは頭金を用意しないと住宅ローンを借りられませんでしたが、今は頭金なしのフルローンも可能です。メリット・デメリットを十分理解したうえで、頭金の有無や金額を判断しましょう。
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