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ZEH(ゼッチ)住宅とは?義務化?種類やメリット・デメリットを紹介

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目次

2025年4月に予定される、新築住宅・小規模住宅を対象とした「省エネ基準適合」の義務化。その流れを受け、「ZEH(ゼッチ)」に注目が集まっています。しかし、「ZEH=省エネ性能が高い家」といった大まかなイメージはあっても、具体的にどのような住宅なのか理解している方は少ないかもしれません。

この記事では、ZEHの意味や定義、ZEHの種類、求められる要素、ZEHのメリット・デメリットや注意点などをご紹介します。

1. ZEH(ゼッチ)とは

省エネ住宅の文脈でよく登場するZEHですが、具体的にはどのような住宅を指すのでしょうか。その意味と、ZEHをめぐる今後の動きを見ていきましょう。

1.1. ZEH(ゼッチ)の意味・定義

ZEHは「net Zero Energy House (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、直訳すると「エネルギー収支がゼロの家」となります。読み方は「ゼッチ」です。

ZEHとは、断熱性能(断熱性・気密性)の向上、最新設備を用いた省エネ、太陽光発電などによる創エネを取り入れることにより、家で消費するエネルギー以上のエネルギーを生み出せる家のこと。「エネルギー生産量>エネルギー消費量」とすることで、トータルのエネルギー収支がゼロ以下になる家を指します。従来の省エネ住宅から環境面でさらに一歩進んだ住宅であり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ますます注目を集めています。

1.2. ZEH(ゼッチ)基準への引き上げ・義務化

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の省エネ化が喫緊の課題となっています。これを受けて建築物省エネ法が改正され、2025年4月以降すべての新築住宅で省エネ基準適合を義務付けることが決まりました。

法改正の施行に先がけ、2024年1月以降に建築確認を受ける住宅で住宅ローン減税を受ける場合は省エネ基準適合が必須要件とされるなど、住宅の省エネ化に関する施策は強化されています。

加えて、2021年10月の第6次エネルギー基本計画において政府は、「2030年度以降の新築住宅でZEH水準の省エネ性能の確保を目指す」ことを目標としています。今後はZEH基準が新築住宅のスタンダードになっていくと考えて良いでしょう。

参照:経済産業省資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

2. ZEH(ゼッチ)の種類

ZEHは、一次エネルギーの消費量の削減率などによっていくつかの種類に分けられます。その種類とそれぞれの削減率をまとめると次のとおりです。

ZEHの種類一次エネルギーの消費量の削減率
断熱+省エネ断熱+省エネ+創エネ
ZEH20%以上100%以上
ZEH Oriented20%以上創エネは含まず
Nearly ZEH20%以上75%以上
Nearly ZEH+25%以上75%以上
ZEH+25%以上100%以上
次世代ZEH+25%以上100%以上

以下、種類ごとの定義を解説します。

2.1. ZEH

ZEHには、次の4つの要件を満たすことが求められます。

① 強化外皮基準(地域ごとに設定)
② 一次エネルギー消費量を20%以上削減
③ 太陽光発電などの再生可能エネルギー導入
④ ①〜③による一次エネルギー消費量が100%以上

①は外壁や断熱材など建物外側の断熱性能を示す基準のことで、地域ごとに設定された基準値をクリアしなければなりません。

②は、断熱性能や省エネによって家で消費するエネルギーを20%カットする旨を表します。③④に関しては、創エネを含めて年間エネルギー収支がゼロになることを示しています。

2.2. ZEH Oriented

ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンティッド)は「ZEH指向型住宅」とも呼ばれ、ZEHの要件のうち①と②を満たす住宅をいいます。再生可能エネルギーの導入を問わない点が特徴で、敷地面積85平方メートル未満の都市部狭小地に立つ住宅に限って認められる基準です。

2.3. Nearly ZEH

Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)は、ZEHの要件のうち①と②を満たし、かつ③を導入している住宅です。一方、創エネも含む一次エネルギー消費量の削減率は75%に抑えられています。寒冷地や雨・雪が多い地域など、創エネ効率が低くなりやすい地域で認められる基準です。

2.4. Nearly ZEH+

Nearly ZEH+(ニアリー・ゼッチ・プラス)は、Nearly ZEHの基準を満たすとともに、次の3項目のうち2項目以上をクリアする住宅が該当します。

⑤ 外皮性能のさらなる強化(断熱+省エネによる一次エネルギー消費量削減率25%以上)
⑥ HEMS(後ほど詳しく解説)による発電量の把握、冷暖房・給湯設備のコントロール
⑦ 電気自動車の充電設備設置、電気自動車の活用によるさらなる省エネ化

Nearly ZEH+も創エネ効率が低くなりやすい地域を対象にした基準です。

2.5. ZEH+

ZEH+(ゼッチ・プラス)は、ZEHの4つの基準に加え、Nealy ZEH+の⑤〜⑦のうち2項目以上をクリアする場合に認められる基準です。

2.6. 次世代ZEH+

6種類のZEHのなかで上位にあたります。上記のZEH+の基準を満たしたうえで、以下の設備のうちいずれか一つ以上を導入する必要があります。

  • V2H設備(電気自動車に蓄えた電気を自宅へ供給する設備)
  • 蓄電設備
  • 燃料電池
  • 太陽熱利用温水システム

3. ZEH(ゼッチ)住宅に必要な要素

ZEHとして認められるには、以下のような要件を満たす必要があります。具体的に解説します。

3.1. 省エネ

ZEH住宅に求められる一つ目の要素が「省エネ」です。

年間エネルギー収支をゼロ以上にするためには、エネルギー消費量の低減とエネルギー生産量の確保が必要ですが、前者の中核を担うのが省エネとなります。省エネタイプのエアコンやLED照明を導入したり、こまめに照明をオンオフしたりするなど、設備や暮らしの面から消費エネルギーを削減することが重要です。

また、どれくらいのエネルギーを消費しどれくらいのエネルギーを創り出しているのかが把握できなければ、ZEHとしての基準を満たしているかどうかわかりません。エネルギー消費量と太陽光発電などによる発電量をチェックするためには、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)と呼ばれる専用システムも必須です。HEMSによってエネルギー収支を可視化し家電の使用をコントロールできれば、年間エネルギー収支ゼロ達成に近づけるでしょう。

3.2. 創エネ

ZEH住宅の二つ目の要素は「創エネ」です。ZEH住宅としての基準を満たすには、再生可能エネルギーの生産設備を設置する必要があります。代表的な設備としては太陽光発電システムが挙げられます。

3.3. 断熱

三つ目の要素は「断熱」です。家でのエネルギー消費量を抑えるには、省エネに加え、余計なエネルギーを使わずに済む家にする方法もあります。高性能な断熱材を入れる、断熱性の高い窓にするなどの取り組みをおこなえば、夏は涼しく冬は暖かい、年中快適な家を実現できます。冷暖房にかけるエネルギーを削減できれば、エネルギー消費量をいっそう抑えられます。

4. ZEH(ゼッチ)住宅のメリット

高い環境性能を誇るZEH住宅は、環境面以外にも多くのメリットがあります。ここでは代表的なメリットを6つご紹介します。

4.1. 光熱費の削減につながる

ZEHは省エネ基準以上にエネルギー消費を抑えられるため、光熱費の削減につながります。省エネ基準を満たす住宅とZEH住宅とで年間光熱費目安を比較してみましょう。

省エネ基準の住宅ZEH住宅
東京23万9,000円19万3,000円
(▲4万6,000円)
北海道34万6,000円25万円
(▲9万6,000円)
参照:国土交通省「年間の光熱費も節約できる!|経済的にオトクに!|家選びの基準変わります

ZEHでは太陽光発電などによる自家発電をおこなうため、電気代の節約が可能。自家消費分を上回って発電した場合、余った電力を電力会社に売ることで利益を得られる場合もあります。

4.2. 高値で売却できる可能性がある

住宅の省エネに対する取り組みを明示する指標の一つとして、一般社団法人住宅性能評価・表示協会が定める認証制度「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」があります。

BELSでは、国の省エネ基準を上回る省エネ性能を持つ住宅に対して性能評価に応じた数の星が付与されますが、そもそも国の基準よりも厳しい基準を満たしているZEH住宅は、BELSで高評価が得られます。

BELSで高評価を受けた家は、高い省エネ性能を誇る家として政府のお墨つきを得た家と見なされるため、不動産市場で高く評価される可能性があります。

4.3. ヒートショックの軽減につながる

ZEH住宅は断熱性が高く、冬場でも室内が均等に暖かくなります。室内でも温度の下がりやすい浴室やトイレなども暖かくなることで、部屋ごとの温度差が小さくなり、急激な温度差が引き起こすヒートショックの予防効果も期待できます。特にお年寄りがいる家庭にとっては大きなメリットです。

4.4. 災害時に備えて電力を蓄えておける

地震などの災害時、電気などのインフラ復旧には相当な時間を要します。しかし、ZEHに蓄電池を設置しておけば、自家発電した電力を蓄えておけるため、いざというときに非常電力として活用できます。

4.5. 遮音性が高く騒音を低減できる

ZEHで用いられる高性能な断熱材のなかには、高い吸音効果を併せ持つものがあります。さらに、ZEHは住宅性能を向上するために一般的な住宅より壁の厚みが増していたり、窓の断熱性を高める目的で複層ガラスを採用していたりします。こうしたことから室内の遮音性が高まり、騒音を低減する効果も期待できます。

反対に、室内で発生した音も外に漏れにくいので、小さな子どもやペットがいる家庭、楽器を演奏する機会がある家庭などにもおすすめです。

4.6. 補助金の利用ができる

国もZEHの普及を急いでいることから、ZEH住宅を建築するにあたって使用できる補助金制度を設けています。補助金の申請をおこない、交付が無事決定すれば、初期費用の一部を補助金でまかなえるのもZEH住宅のメリットです。高性能なZEH住宅は一般住宅に比べて建築費が高くなりますが、補助金の活用で負担を抑えられます。

5. ZEH(ゼッチ)住宅のデメリット

多くのメリットが期待できるZEH住宅ですが、建築するにあたっては次のようなデメリットも認識しておく必要があります。

5.1. 天候によって発電量が左右される

ZEH住宅では、多くの場合で太陽光発電システムを導入します。太陽光発電は日照時間によって発電量が変わるため、雨の日が続けば当然発電量は下がってしまいます。夏場は十分な発電量を確保できますが、日照時間が短くなる冬場は自家発電だけでまかなうのが難しいケースも多いでしょう。そもそも年間を通して日照時間が短いエリアや、降雪量が多く冬の間はほとんど発電できないエリアなどでは、発電量が少なくなる点にも注意が必要です。

5.2. 設備の導入やメンテナンスに費用がかかる

前述のとおり、ZEH住宅では太陽光発電や省エネ設備といった高性能かつ最新鋭のシステムを導入するため、一般の住宅に比べて初期費用が高くなります。これらのシステムは定期的な点検・補修が欠かせないため、メンテナンス費用も上乗せして見込む必要があります。

ただし、システムや設備の導入によって光熱費を削減できるうえ、住宅の資産価値が向上する点も踏まえれば、初期投資やメンテナンスコストは将来的には回収できるでしょう。

5.3. デザインや間取りに制限が出る可能性がある

ZEHでは、一般住宅よりも多くの設備を設置しなければなりません。機器置き場を確保する都合上、間取りやデザインが制限される可能性もあります。どうしても叶えたい間取りや内外装デザインがある場合、設計時点で希望を伝えておくようにしましょう。

特に屋根の角度やデザインは、太陽光パネルを設置する関係で制限される可能性が高くなります。希望が叶わないケースも出てくることは認識しておきたいところです。

6. ZEH(ゼッチ)住宅を建てるときに注意すること

デメリット以外にも、ZEH住宅を建てるにあたっては注意しておきたいポイントがあります。次に挙げるポイントを意識し、後悔のない家づくりを進めましょう。

6.1. 絶対に快適な家とは限らないことを理解しておく

「ZEH=年中快適な家」と単純に考えてしまいがちですが、必ずしも快適な家になるとは限りません。なぜなら、高い省エネ性能や断熱性能を実現すると、どうしてもトレードオフになる要素が出てくるからです。

例えば、断熱性能を高めるには、熱が出入りする窓をできるだけ少なくする必要があります。窓の面積を小さくすれば断熱性能を確保できるうえ、建築コストの削減にもつながりますが、室内の採光や風通しには影響が出るかもしれません。窓が少なくなれば、当然室内の開放感も失われるでしょう。

「ZEH=年中快適な家」と単純思考に陥るのではなく、自分たちにとって本当に快適な家とはどのようなものなのか、しっかり考えることも大切です。

6.2. 条件を整理して情報収集をおこなう

ZEHは一般住宅に比べて建築費が高くなる傾向にあります。ZEH住宅を前提として考えるなら、予算によって希望条件を諦めなければならない場面も出てくるかもしれません。

ZEH住宅を建てるにあたっては、予算や将来のライフスタイルの変化などを考慮し、希望する条件と優先度を整理することが重要です。しっかりと情報収集をおこない、複数のハウスメーカーを比較検討するなど、時間をかけてじっくりプランを検討しましょう。

7. ZEH(ゼッチ)住宅に関するQ&A

最後に、ZEH住宅に関してよくある質問に回答します。

7.1. ZEH(ゼッチ)住宅が注目されている背景は?

ZEH住宅が注目されている背景には、政府がZEH普及に注力していることと、温暖化対策の重要性がますます高まっていることの2点が挙げられます。

政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2030年度以降に新築される住宅に関してZEHを標準とすべく動いています。住宅での消費エネルギーを抑えることで温暖化対策をいっそう進めようという考えです。こうした背景から、ZEH住宅への注目度が高まっています。

7.2. ZEH(ゼッチ)住宅に補助金制度はある?

政府はZEHの推進に注力しており、各種補助金制度を設けています。そのうち「ZEH 支援事業」に関しては、ZEHとZEH+で補助内容が異なります。加えて、次世代ZEH+を対象とした「次世代ZEH+実証事業」も実施中です。いずれも補助額が最大100万円を超える制度ですので、ZEH住宅を建築する際はぜひ活用しましょう。

7.3. ZEH補助金制度を受ける際に注意することは?

ZEHの補助金制度を活用するにあたっては、次の3点に注意しましょう。

  • ZEHビルダーまたはZEHプランナーの登録がある建築会社を利用する
  • 制度の申請スケジュールをあらかじめ確認しておく
  • 補助金申請後は設計変更ができない

ZEHビルダーとは、ZEH住宅の建築者として認められた施工会社のこと。ZEHプランナーは、ZEH住宅の設計者として認められた設計事務所などです。いずれも施工会社や設計事務所が自ら申請する必要があるため、登録事業者かどうかを事前に確認しておきましょう。

ZEH補助金は制度によってスケジュールが異なるほか、いずれも年度ごとに決められた予算を超える申請があった場合、期間内でも募集を終了するケースがあります。常に最新のスケジュールをチェックしておくのも重要です。

また、ZEH補助金の申請にあたっては、エネルギー消費量や断熱性能に関するシミュレーションを細かく計算する必要があり、補助金申請後は設計変更ができない点も注意しましょう。

8. ZEH(ゼッチ)住宅で快適な毎日を

ZEH住宅は国の省エネ基準を上回る省エネ性能を誇る住宅であり、今後新築住宅のスタンダードになっていくと想定されます。消費エネルギーを抑えて光熱費を削減できること、高い断熱性によって年中快適な室内を実現できることなどから、環境だけでなく人にも財布にも優しいのが魅力です。

ただし、ZEH住宅にしたからといって必ずしも快適な住まいになるとは限りません。予算や将来のライフスタイルを考慮して条件を整理したうえで、自分たちの希望をなるべく採り入れたZEHを実現しましょう。

一建設が贈る一戸建て分譲住宅の総合ブランド「リーブルガーデン」は、住宅性能評価の5分野7項目で最高等級を標準化。一次エネルギー消費量等級は最高等級6、断熱等性能等級は7段階中の等級5を標準としており、いずれもZEH相当基準を満たしています。

これからのスタンダードになるZEH住宅を検討する際は、一建設にぜひご相談ください。

>>リーブルガーデン|一建設が贈る一戸建て分譲住宅の総合ブランド

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