一次エネルギー消費量等級とは?6が最高基準?消費量を抑える方法も解説

目次
一建設の分譲戸建住宅
一建設の分譲戸建住宅は年間約9,000棟以上を供給、国内トップクラスの販売戸数を誇ります。また住宅性能表示制度5分野7項目の最高等級取得を標準化。
お客さまとご家族に安心して住んでいただける住まいをお届けします。
近年、省エネ住宅の需要が高まっています。一次エネルギー消費量等級は、そんな省エネ住宅の基準の一つです。一次エネルギー消費量等級を意識した住宅づくり、住宅選びをすることで、光熱費の節約や環境への負担軽減などさまざまなメリットを得られます。
この記事では一次エネルギー消費量等級の基準や、省エネ住宅のメリット、デメリット、一次エネルギー消費量を抑える方法などを解説します。
1. 省エネの基準

住宅の省エネ性能を測る指標は、「一次エネルギー消費量等級」と「断熱等性能等級」の2つがあります。
1.1. 一次エネルギー消費量等級とは
一次エネルギー消費量等級とは2013年に確立された基準で、住宅が一年あたりに消費するエネルギー量を数値化したものです。
一次エネルギー消費量等級は、設計段階で予想される住宅のエネルギー消費量「設計一次エネルギー消費量」を、標準的な仕様を採用した住宅のエネルギー消費量「基準一次エネルギー消費量」で割ることにより算出される「BEI(Building Energy Index)」を基準に分類されます。
設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量=BEI
等級 | BEI |
---|---|
等級6 | 0.8以下 |
等級5 | 0.9以下 |
等級4 | 1.0以下 |
等級3 | 1.1以下 |
BEIが小さいほど住宅のエネルギー消費量が少ないことを表しており、一次エネルギー消費量等級も高くなります。
なお、日本の省エネ住宅は国によって一次エネルギー消費量等級4以上であることが定められています。
1.1.1. 一次エネルギー消費等級6
一次エネルギー消費量等級の等級6は、2022年4月の法改正によって新設されました。 2024年7月現在の最高等級です。
再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減となり、BEIは0.8以下となります。
1.1.2. 一次エネルギー消費等級5
2022年の法改正までは、一次エネルギー消費等級5が最高等級でした。
CO2排出を抑制する対策がされた認定低炭素住宅に求められる等級であり、等級4よりも一次エネルギー消費量を10%以上減らすよう定められています。BEIは0.9以下です。
1.1.3. 一次エネルギー消費等級4
国が定める省エネ住宅の基準等級です。一次エネルギー消費量等級4以上であれば、エネルギー消費と環境への影響が少ない住宅といえます。
2025年度以降は建築物を建てるにあたり、一次エネルギー消費等級4を満たすことが義務化されます。BEIは1.0以下です。
1.1.4. 一次エネルギー消費等級3
国が定める省エネ住宅基準を下回る等級であり、基本的には既存の住宅のみが等級3程度の性能となっています。
2025年度以降は一次エネルギー消費等級4を満たすことが義務化され、等級3程度の建築物を建てることができなくなります。BEIは1.1以下です。
1.2. 断熱等性能等級とは
断熱等性能等級とは、住宅の断熱性を評価するための基準です。1から7までの等級があり、数値が大きいほど断熱性能に優れた省エネ性能が高い建築物であることを表します。
等級7 | 熱損失等のより著しい削減のための対策が講じられている |
等級6 | 熱損失等の著しい削減のための対策が講じられている |
等級5 | 熱損失等のより大きな削減のための対策が講じられている |
等級4 | 熱損失等の大きな削減のための対策(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令に定める 建築物エネルギー消費性能基準に相当する程度)が講じられている |
等級3 | 熱損失等の一定程度の削減のための対策が講じられている |
等級2 | 熱損失の小さな削減のための対策が講じられている |
等級1 | その他 |
なお、断熱性能とは外壁や窓からの熱の入り込みを防ぐ性能のことです。断熱性能を高めることはエネルギー効率を高めることにつながります。
下記では断熱性のポイントを解説しているので、家づくりの参考にしてください。
>>建売住宅は寒い?原因・寒さ対策や購入前の断熱性のチェックポイントをご紹介
2. 省エネ性能が高い住宅のメリット

省エネ性能が高い住宅には以下のメリットがあります。
2.1. 環境に優しい
省エネ性能が高い住宅は、以下の3つの点から環境への負担を減らすことにつながります。
- 温室効果ガスの排出を削減できる
- 汚染物質の放出を削減できる
- 天然資源の使用を節約できる
省エネ性能が高いということは、少ないエネルギーで快適な住環境を維持できるということです。エネルギーの使用やそれにともなう環境への悪影響を減らすことができ、日本の環境問題解決に大きく貢献します。
2.2. 高気密高断熱で光熱費を抑えられる
気密性・断熱性が高い高気密高断熱の住宅は、壁や窓から入り込む熱エネルギーの量を抑えることができ、冷暖房の効率が良くなります。過ごしやすい環境をキープできたり、場合によっては冷暖房を使用しなくても快適に過ごせたりするので、冷暖房にかかる光熱費の削減につながります。
エネルギー効率の高い家電や設備を導入したり、再生可能エネルギーによる自家発電・自家消費をおこなったりすれば、さらに光熱費を抑えられるでしょう。
下記では高気密高断熱住宅のポイントを解説しているので、家づくりの参考にしてください。
>>高気密高断熱住宅とは?メリット・デメリットや住宅を建てるときのポイントを紹介
2.3. 快適で健康的に過ごせる
省エネ住宅は前述のとおり気密性・断熱性の高さによって外気の影響を受けにくく、室内の温度差を最小限に抑えられることもメリットの一つです。このため、温度差が原因で発生するヒートショックや結露によるカビなどのトラブルを防ぐことができます。
ヒートショックもカビも、健康に害を及ぼす深刻な問題です。特にヒートショック対策はご高齢の家族がいるご家庭に欠かせないため、より省エネ住宅の重要性が高まります。
2.4. 住宅が劣化しにくい
前述した室内の温度差による結露の発生は、柱や土台が腐食するリスクを高める側面もあります。柱や土台の腐食は住宅の耐久性に影響するため進むことでリフォームを強いられ、最悪の場合は住めなくなり家自体を手放すことになりかねません。
その点、温度差が少ない省エネ住宅は結露が発生しにくく柱や土台が腐食するリスクも抑えられるため、住宅が劣化しにくく長寿命化につながります。
2.5. 補助制度を活用できる
省エネ住宅は環境への負担を減らせることから、国はさまざまな補助制度を用意しています。一般の住宅であっても基準を満たせば活用することができるので、経済的にも負担を軽減できます。
なお、国の補助制度(補助金制度)は「省エネ住宅の補助金制度」で詳しく説明します。
3. 省エネ性能が高い住宅のデメリット
省エネ性能が高い住宅にはメリットだけではなくデメリットもあります。
デメリットもしっかり理解しておきましょう。
3.1. 業者選びが難しい
省エネ住宅を建てるためには、それに特化した高い技術・知識が必要です。すべての業者が省エネ住宅を建てられる技術と知識を備えているわけではないため、省エネ住宅を建てたい場合はニーズに合った業者を探して選び、建築を依頼しなければなりません。
3.2. 初期費用が高くなる
前述のとおり省エネ住宅を建てるには、それに特化した技術や知識が必要であるため、職人もそれだけ優れた人材が携わります。また、高い気密性や断熱性を実現するために断熱材なども工夫しなければならず、一般的な住宅に比べて初期費用が高くなる傾向にあります。
4. 一次エネルギー消費量を抑える方法

本章では一次エネルギー消費量を抑える方法をご紹介します。
ご家庭で可能な範囲で実施してみてください。
4.1. 断熱性能を高める
新しく家を建てたり、今の家をリフォームしたりする際に断熱性能を高めることで一次エネルギー消費量を抑えられます。
例えば窓ガラスならば、何枚ものガラスが重なった複層ガラスなどにすることで窓から熱が逃げにくくなり、暖房効率が高くなります。
また、床に硬質系ウレタンなどの高性能な断熱材を使用することで熱の出入りが減り、冷暖房の使用頻度が下がり、一次エネルギー消費量を抑制。光熱費の削減や環境への負担軽減につながります。
下記では断熱性のチェックポイントを解説しているので、あわせて家づくりの参考にしてください。
>>建売住宅は寒い?原因・寒さ対策や購入前の断熱性のチェックポイントをご紹介
4.2. 照明にLEDを利用する
電気代の節約にLED照明の使用が効果的ということは、ご存知の方が多いかもしれません。
照明は一年を通して、一次エネルギー消費量が多い設備の一つといわれています。LEDは白熱電球や蛍光灯よりもエネルギー効率が良く、交換することで20%以上も一次エネルギー消費量を削減できるといわれています。
ご家庭のため、地球のために、照明のLED化を進めてみてはいかがでしょうか。
4.3. 高効率な冷暖房機器を利用する
冷暖房機器をはじめとした住宅の設備は、種類や商品によってエネルギー効率に大きな差があります。
最新の技術でエネルギー効率が高い省エネルギータイプのエアコンや給湯設備を採用することで、一次エネルギー消費量を減らすことができます。
4.4. 再生可能エネルギーを導入する
再生可能エネルギーとは太陽光や風力などの自然エネルギーのことです。これらのエネルギーは限りなく使用できるので、有限な資源の石油や石炭、天然ガスなどよりも環境への負担を減らすことができます。
再生可能エネルギーの活用方法としては、近年、太陽光発電パネルの導入が注目されています。設備さえ用意すれば余った電気を電力会社に買い取ってもらう「売電」も可能なので、ぜひ検討してみてください。
5. 省エネ住宅の種類
省エネ住宅は、設けられている基準によっていくつかの種類に分類されます。
本章ではそんな省エネ住宅の種類をご紹介します。
5.1. ZEH
「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、消費エネルギーよりも創り出すエネルギーが同等以上の省エネ住宅を指します。
断熱性能等級5、一次エネルギー消費量等級6が基準となっており、2030年度以降の新築住宅はこのZEH基準を満たすことが義務づけられる予定です。
ZEHについて詳しくは下記に記載しているので、あわせて家づくりの参考にしてください。
>>ZEH(ゼッチ)住宅とは?義務化?種類やメリット・デメリットを紹介
5.2. LCCM住宅
「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅」の略称で、建築から居住、修繕、解体まで含めたトータルサイクルでCO₂(二酸化炭素)の収支をマイナスにする省エネ住宅を指します。
断熱性能等級、一次エネルギー消費量等級の基準はありませんが、「LCCM適合判定ルート」「CASBEE認証ルート」の2つの方法で認定基準を満たさなければ、LCCM住宅とは認められません。
5.3. HEAT20
一般社団法人「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が定める
基準をクリアした省エネ住宅を指します。
室内の温度環境を重視しており、日本全国を8つの地域に区分したうえで、冬の時期に室内での体感温度が10度〜15度以上をキープするために必要な断熱性能を基準として設けています。
G1・G2・G3の三段階のグレードがあり、それぞれの基準は以下のとおりです。
G1 | 冬の時期の最低気温が1.2地域でおおむね13度を下回らない、かつ3〜8地域でおおむね10度を下回らない |
G2 | 冬の時期の最低気温が1.2地域でおおむね15度を下回らない、かつ3〜8地域でおおむね13度を下回らない |
G3 | 冬の時期の最低気温が1.2.7地域でおおむね16度を下回らない、かつ3~6地域でおおむね15度を下回らない |
上記に加えて住宅全体で、暖房使用時の室温が15度未満となる時間・面積もグレードを決める指標の一つになっています。
他の省エネ住宅やZEH住宅の基準、国の基準を上回るので、住宅性能にこだわりたい方におすすめです。
5.4. 低炭素住宅
二酸化炭素の排出量を抑える対策が施された省エネ住宅を指します。
断熱性能等級、一次エネルギー消費量等級の基準はありませんが、一次エネルギー消費量は以下の条件を満たす必要があります。
- 国の省エネ基準と比較して消費量を20%以上削減
- 再生可能エネルギー利用設備を設けたうえで消費量を50%以上削減(一戸建ての住宅の場合)
- その他、低炭素化を目的とした対策が施されていること
5.5. 長期優良住宅
文字のとおり長期にわたって良好な状態で使用できる住宅を指し、省エネ性能に加えて耐久性や耐震性の基準も設けられています。
断熱性能等級は5、一次エネルギー消費量等級は6が基準となっています。省エネ性能だけではなく、耐久性や耐震性にもこだわりたい方におすすめの住宅です。
6. 省エネ住宅の補助金制度
前述した省エネ住宅の補助金制度について、本章で詳しく解説します。
なお、新築住宅を購入した際に利用できる補助金・助成金・減税制度を紹介する以下の記事でも省エネ住宅の補助金制度を解説しています。あわせて参考にしてください。
>>新築住宅を購入した際に利用できる補助金・助成金・減税制度をご紹介!
6.1. ZEH補助金
ZEHの新築または購入の際に利用できる補助金制度です。
一般の個人住宅向けには「ZEH支援事業(ZEH、ZEH+)」「次世代ZEH+(注文・建売・TPO住宅)実証事業」「次世代HEMS実証事業」の3つの補助事業が用意されており、それぞれ申請対象者や対象の住宅、補助額が個別に定められています。
例えば新築住宅を購入する個人の場合、ZEHであれば55万円/戸、次世代を含むZEH+であれば100万円/戸が補助されます。
6.2. 地域型住宅グリーン化事業
地域内で資材供給、設計、施工などが連携し、さらに地域材を使って省エネ性能に優れた木造住宅の整備をする際に利用できる補助金制度です。
本事業は地域の木造住宅の生産体制を強化し、環境への負荷を減らすことを目的としています。
支援対象は「地域の中小工務店のグループの下でおこなわれる省エネ性能に優れた木造住宅の新築」で、最大140万円/戸が補助されます。
6.3. 子育てエコホーム支援事業
子育て世帯、または若者夫婦世帯が省エネ性能の高い住宅を建設する際や、既存住宅の省エネ改修の際に利用できる補助金制度です。
補助対象は上記世帯のうち注文住宅の新築建築主、新築分譲住宅の購入者、リフォームの工事発注者のいずれかを満たす方で、補助額の上限は長期優良住宅の新築分譲住宅購入が100万円/戸です。
7. 一次エネルギー消費量等級の調べ方・計算方法は?
「一次エネルギー消費量等級とは」で触れたように、一次エネルギー消費量等級は設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割ることにより算出される「BEI(Building Energy Index)」を基準に分類されます。
等級を調べるための一次エネルギー消費量の計算方法は2つあり、一つは電気の消費量から自分で計算する方法です。電気の消費量に一次エネルギー消費量への換算係数をかけて算出します。
もう一つはWebサイトで公開されている計算プログラムを使用する方法です。こちらは必要事項を入力したり、該当の欄をチェックしたりするだけで、自分で計算するよりも詳細な一次エネルギー消費量を知ることができます。
8. 一建設は最高等級の一次エネルギー消費量等級6を取得
一次エネルギー消費量を抑えることは、光熱費の節約や環境への負担軽減、さらには快適な住環境の維持や住宅の劣化リスクの低減など、さまざまなメリットがあります。
一次エネルギー消費量を抑える方法はいくつかありますが、これから新しく家を建てる場合、あるいは購入する場合、もっともおすすめなのは一次エネルギー消費量等級の基準を満たした省エネ住宅を建築・購入することです。
2024年7月現在、一次エネルギー消費量等級6が最高等級となっています。最高等級の住宅を建設できる建設業者は多くありませんが、ご家族の快適な生活のため、そして地球の未来のために意識してみてください。
なお、一建設の分譲戸建て住宅は最高等級の一次エネルギー消費量等級6を標準化しています。お客さまとご家族に安心して住んでいただける住まいの提供を心がけておりますので、快適に過ごせる住宅をお探しの場合はぜひご利用ください。