賃貸と持ち家で1,300万円の差は本当?費用をシミュレーションして比較・検証

目次
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「賃貸より持ち家のほうが1,300万円お得」という話を見かけて、マイホームを購入すべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
ただし、「1,300万円の差」は、すべてのケースで生じる固定的な金額ではありません。家賃や物件価格、住宅ローン金利、居住年数など、試算の条件によって結果は大きく変わります。
この記事では、持ち家と賃貸の条件をできるだけそろえた35年間の総コストと、65歳から80歳まで賃貸に住み続けた場合の家賃負担という2つのパターンで比較します。持ち家にかかる固定資産税や修繕費なども含め、1,300万円の差をどのようにとらえれば良いのかをわかりやすく解説します。
1. 持ち家のほうが賃貸より1,300万円お得?

「賃貸と持ち家では1,300万円の差が出る」といった情報を、SNSや住宅関連のサイトなどで見かけることがありますが、持ち家を選べば必ず1,300万円お得になるわけではありません。家賃や物件価格、住宅ローン金利、住み続ける期間などによって、賃貸と持ち家にかかる費用は変わるためです。
そのため、「1,300万円」という数字だけで判断するのではなく、どのような条件で比較した結果なのかを見ることが大切です。
「賃貸と持ち家で1,300万円の差」を考える際には、主に次の2つの考え方があります。
- 条件をできるだけそろえて、35年間にかかる住居費を比較する
- 住宅ローン完済後を想定し、65歳から80歳までの15年間に賃貸で支払う家賃(住居費)を比較する
35年間の比較では、住宅ローンの返済だけでなく、固定資産税や修繕費なども含めて考える必要があります。一方、定年後の比較では、住宅ローンを完済した持ち家と、家賃の支払いが続く賃貸との違いがポイントになります。
ここからは、この2つのパターンをもとに、賃貸と持ち家にどの程度の費用がかかるのかをシミュレーションしてみましょう。
2. パターン①:条件をそろえて35年間のコストを比較
まずは、同程度の立地や広さの物件に35年間住み続けると仮定し、持ち家と賃貸にかかる費用を比較してみましょう。
持ち家は、住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」における建売住宅の購入価額の全国平均4,214.8万円をもとに試算します。頭金は入れず、物件価格の全額を住宅ローンで借り入れる想定です。
主な条件は以下のとおりです。
- 住宅ローン借入額:4,214.8万円
- 返済期間:35年
- 金利:年1.0%
- 返済方法:元利均等返済
- 住宅ローン控除:試算に含めない
- 持ち家と賃貸は、同程度の立地・広さ・居住人数の物件を想定し、賃貸の家賃は月13万円と仮定
持ち家(建売住宅・35年間の総コスト試算)
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 住宅ローン返済 (35年、元利均等返済) | 約5,000万円(借入4,214.8万円(※)、 金利1.0%と仮定) |
| 固定資産税・都市計画税 | 約525万円(年15万円×35年) |
| 修繕費 | 約300万円(10〜15年ごとに100万円超) |
| 火災保険・地震保険 | 約175万円(年5万円×35年) |
| 購入時の諸費用 | 約150万円(物件価格の3〜7%程度が目安) |
| 合計目安 | 約6,150万円 |
※上記は一定の条件を仮定したシミュレーションです。実際の金額は、物件の所在地・価格・広さ、金利、保険の補償内容、修繕の時期や規模などによって大きく異なります。数値はあくまで比較のための目安としてご覧ください。
住宅ローンの返済総額は、4,214.8万円を金利年1.0%・35年の元利均等返済で借り入れた場合、約5,000万円です。
持ち家では住宅ローン以外にも、固定資産税・都市計画税や修繕費、火災保険・地震保険などがかかります。住宅を購入するときは、物件価格や毎月のローン返済額だけでなく、こうした費用も含めて資金計画を考えることが大切です。
一方、賃貸では家賃に加えて、管理費や更新料、入居時の初期費用などがかかります。月13万円の物件に35年間住み続ける場合を例にすると、次のとおりです。(※家賃は首都圏/地方で大きく異なるため、あくまで仮の設定です。)
賃貸(持ち家と同程度の立地・広さ・居住人数を想定・35年間の総コスト試算)
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 家賃 | 約5,460万円(13万円×35年) |
| 更新料 (家賃1ヵ月分、2年ごとに支払うと仮定) | 約221万円(2年ごとに13万円) |
| 管理費 | 約420万円(月1万円×35年) |
| 初期費用(敷金・礼金など) | 約50万円 |
| 合計目安 | 約6,151万円 |
今回の条件では、35年間の総コストは持ち家が約6,150万円、賃貸が約6,151万円となり、ほぼ同程度です。つまり、この試算の条件では、賃貸と持ち家では1,300万円の差が出るとは限りません。35年間という同じ期間で条件をそろえ、住宅ローン以外の費用まで含めると、この試算では大きな差は生じない結果となりました。
ただし、物件価格や家賃、住宅ローン金利が変われば、結果も変わります。例えば金利が高くなれば住宅ローンの総返済額は増え、家賃が高い物件であれば賃貸の総コストが増える可能性があります。
詳しくは「家賃・物件価格や金利が変われば結果も変わる」で解説します。
3. パターン②:定年後15年間の家賃負担で比較

次に、住宅ローンの返済を終えたあとの住居費に注目してみましょう。
ここでは、65歳で退職し、80歳までの15年間同じ住まいで暮らすケースを想定します。賃貸の家賃には、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による全国の借家(専用住宅)の平均59,656円/月を使用します。
| 比較項目 | 賃貸を続けた場合 | 持ち家の場合 |
|---|---|---|
| 15年間(65〜80歳)の住居費 | 約1,074万円 | ローン完済後は、住宅ローンの返済はなくなるが、維持費は別途かかる |
| 内訳・根拠 | 家賃59,656円(※)/月×180ヵ月 | 固定資産税・修繕費などの維持費は別途かかる |
賃貸の場合、59,656円×180ヵ月で、15年間に支払う家賃は約1,074万円となります。
一方、持ち家は住宅ローンを完済していれば、毎月のローン返済はありません。ただし、住居費がまったくかからなくなるわけではなく、固定資産税・都市計画税や修繕費、火災保険などは引き続き必要です。
ここで注目したいのが、家賃の設定によって金額が大きく変わる点です。例えば月7万円の家賃なら15年間で1,260万円、月8万円なら1,440万円となります。そのため、「定年後も賃貸に住み続けると約1,300万円かかる」という試算も、想定する家賃によっては十分にあり得ます。
つまり、「1,300万円」という金額そのものが基準なのではなく、どの程度の家賃を何年間支払う想定なのかを確認することが大切です。
パターン①では住宅ローン返済中の35年間、パターン②ではその後の15年間を見てきました。このように期間を分けて考えると、現役時代だけでなく、老後も含めた長期的な住居費をイメージしやすくなります。
なお、今回ご紹介したシミュレーションはあくまで一例です。物件価格や家賃の水準、金利状況、居住年数、引っ越し回数などの条件によって結果は異なるため、参考程度にご覧ください。
4. 持ち家の生涯コストに含まれる費用
持ち家では、住宅ローンの返済以外にもさまざまな費用がかかります。代表的なものを整理すると、以下のとおりです。
| 費用項目 | 目安・タイミング |
|---|---|
| 登記費用・仲介手数料など | 購入時に一括 |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年 |
| 修繕費 | 10〜15年ごとに100万円超が目安 |
| 火災保険・地震保険 | 契約時にまとめて、または毎年・一定期間ごと |
| 住宅ローン関連費用 | 契約時(保証料・団信など) |
こうした費用は、物件の価格や購入方法、住宅ローンの内容、建物の状態などによって異なります。例えば、仲介手数料は不動産会社の仲介で購入する場合にかかりますが、売り主から直接購入する場合は発生しません。
また、修繕費は毎年一定額が必要になるわけではなく、外壁や屋根、設備などの状態に応じてまとまった費用が必要になることがあります。
持ち家の資金計画を考える際は、住宅ローンの毎月の返済額だけを見るのではなく、購入時の諸費用や入居後の維持費まで含めて確認しておくことが大切です。
実際にかかる金額や支払うタイミングは物件によって異なるため、購入を検討している物件ごとに事前に確認しましょう。下記の記事も参考にしてください。
>>不動産購入にかかる諸費用を安く抑えるポイントを解説
5. 「1,300万円の差」を読み解くときの注意点

ここまでのシミュレーションからもわかるように、賃貸と持ち家の差額は、比較する条件によって大きく変わります。
そのため、「1,300万円」の数字だけを見て、持ち家と賃貸のどちらがお得かを判断するのは難しいでしょう。比較する際は、物件の条件や金利、維持費など、試算の前提まで確認することが大切です。
ここでは、「1,300万円の差」を読み解くうえで押さえておきたい7つのポイントをご紹介します。
- 比較する物件の条件がそろっていないケースがある
- 家賃・物件価格や金利が変われば結果も変わる
- 光熱費が試算に含まれていないケースがある
- 維持費・修繕費を含めると差が縮まることがある
- 更新料の有無で差が変わる
- 住宅ローン控除がある期間は差が縮まる
- 賃貸を住み替える場合は引っ越し費用もかかる
5.1. 比較する物件の条件がそろっていないケースがある
賃貸と持ち家のコストを比較するときは、物件の条件がそろっているかを確認することが大切です。
例えば、地方にある家賃7万円の賃貸アパートと、都市部にある3,000万円を超える持ち家を比べても、立地や広さ、築年数などが異なるため、単純な比較はできません。
できるだけ公平に比較するなら、同じエリアにあり、延べ床面積や築年数、設備なども近い物件を「借りた場合」と「購入した場合」で試算する必要があります。
インターネットなどで賃貸と持ち家の費用を比較した情報を見る際も、金額だけではなく、どのような物件を前提としているのかまで確認しましょう。
5.2. 家賃・物件価格や金利が変われば結果も変わる
家賃が高いエリアでは賃貸側の総コストが増えやすく、物件価格が高いエリアでは持ち家側の負担が大きくなるため、同じ期間で比較しても差額は変わります。
住宅ローン金利も重要なポイントです。今回のシミュレーションでは年1.0%として計算していますが、これはあくまで試算上の条件です。実際に適用される金利は、住宅ローンを借り入れるタイミングや金融機関、商品などによって異なります。
金利が上がれば住宅ローンの総返済額も増えるため、持ち家側のコスト面での優位性が小さくなる可能性があります。そのため、家を購入する方にとっては、借り入れる時点の金利水準そのものが試算結果を左右する要素の一つです。
一方、賃貸の家賃も将来にわたって同じ金額が続くとは限りません。近年は募集家賃が上昇している地域もあり、契約更新などのタイミングで家賃が見直される可能性があります。家賃が上がれば、賃貸に住み続けた場合の総コストも当初の試算より増えるでしょう。
つまり、持ち家と賃貸のどちらがお得になるかは、現在の家賃や金利だけでは判断できません。住宅ローンを組むタイミングの金利水準や、将来の家賃の動向も考慮することが大切です。
5.3. 光熱費が試算に含まれていないケースがある
前述したパターン①・②のシミュレーションには、電気代やガス代などの光熱費を含めていません。あくまで住宅ローンや家賃を中心とした住居費と、関連する諸費用を比較したものです。
実際に長く暮らすことを考えると、毎月かかる光熱費も住居にかかるコストの一つです。光熱費は住宅の断熱性能や設備などによっても変わるため、賃貸と持ち家を比較する際には併せて確認しておきましょう。
一般的に、高気密・高断熱の住宅は外気の影響を受けにくく、冷暖房効率を高めやすいため、光熱費を抑えやすい傾向があります。一方、断熱性能が低い住宅では冷暖房効率が下がり、光熱費がかさみやすくなる点に注意が必要です。
なお、実際の光熱費は住宅性能だけでなく、家族の人数や生活スタイル、使用する設備などによっても変わります。家を選ぶ際は、購入価格や家賃だけでなく、入居後にかかる光熱費も含めて考えることが大切です。
5.4. 維持費・修繕費を含めると差が縮まることがある
持ち家には、住宅ローン以外にも固定資産税(年間10〜30万円程度)に加え、都市計画税や修繕費、火災保険・地震保険などの維持費がかかります。
税額は物件の評価額や軽減措置などによって異なり、保険料も建物の所在地や構造、補償内容などによって変わる点に留意してください。
また、一戸建てはマンションのように毎月修繕積立金を支払うケースが一般的ではないため、将来必要になる修繕費を自分で準備しておかなければなりません。外壁や屋根などの大規模な修繕では、10年程度を一つの目安として100万円を超える費用が必要になる場合もあります。
こうした費用を含めずに住宅ローンの返済額と家賃だけを比較すると、持ち家のコストが実際より少なく見えることがあります。維持費や修繕費まで含めて計算すると、「1,300万円」とされていた差が縮まることもあるでしょう。
5.5. 更新料の有無で差が変わる
賃貸物件では、契約を更新するときに更新料がかかる場合があります。2年ごとの更新で、家賃1ヵ月分程度を支払う契約も見られます。
例えば月13万円の物件で、2年ごとに家賃1ヵ月分の更新料がかかる場合、長く住み続けるほど支払う更新料の総額も増えていきます。
一方、更新料が設定されていない物件もあるため、賃貸の生涯コストを比較する際は、更新料の有無や金額まで確認することが大切です。
今回の35年間のシミュレーションでは更新料も賃貸側の費用に含めていますが、試算によっては家賃だけで計算されているケースもあります。比較条件を見る際は、更新料が含まれているかもチェックしましょう。
5.6. 住宅ローン控除がある期間は差が縮まる
住宅ローンを利用して住宅を購入し、一定の要件を満たした場合は、住宅ローン控除を受けられます。
住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高などに応じて、一定期間、所得税や住民税の負担を軽減できる制度のことです。控除を受けられれば、持ち家側の実質的な負担を抑える要素になります。
今回のパターン①では住宅ローン控除を含めずに試算しているため、控除を受けられるケースでは、持ち家と賃貸の差額も変わる可能性があります。
住宅ローン控除の適用条件や控除期間などは制度改正によって変わることがあるため、住宅を購入する際は最新の情報を確認してください。
条件や税制改正の内容を詳しく知りたい方は下記のコラムも参考になります。
>>住宅ローン控除(減税)はいつまで?条件や税制改正の内容|2026年以降の情報も解説
5.7. 賃貸を住み替える場合は引っ越し費用もかかる
賃貸は、転勤や家族構成の変化などに合わせて住み替えやすいのがメリットですが、引っ越すたびに費用がかかります。
新しい物件を契約するときには、敷金・礼金や仲介手数料などの初期費用が必要になる場合があります。さらに、引っ越し業者への料金や家具・家電の買い替え費用などが加わることもあるでしょう。
1回あたりの負担だけを見ると大きく感じなくても、生涯で何度か住み替えれば、物件や引っ越し回数によっては合計で数百万円規模になる可能性があります。
「35年間賃貸物件に住み続ける」という試算では、こうした住み替え費用が含まれていない場合もあります。持ち家に長く住み続けるケースと比較するときは、見落としやすい費用として考慮しておきましょう。
6. 賃貸と持ち家に関するよくある質問
最後に、賃貸と持ち家の費用を比較する際によくある疑問にお答えします。
6.1. 「1,300万円の差」はどのような条件でも同じ?
1,300万円の差は、どのような条件でも生じるわけではありません。
賃貸と持ち家の差額は、物件の立地や広さ、購入価格、家賃、住宅ローン金利、居住年数などによって変わります。比較する際は「1,300万円」という金額だけを見るのではなく、どのような条件で試算されているのかを確認することが大切です。
6.2. 賃貸と持ち家、それぞれのメリット・デメリットは?
持ち家は、住宅ローンを完済すれば住まいが資産として残る点がメリットです。一方で、購入後は固定資産税や修繕費などを負担する必要があります。
賃貸は、転勤や家族構成の変化に合わせて住み替えやすいのが魅力です。ただし、住み続ける限り家賃の支払いが続き、支払った家賃が自分の資産になるわけではありません。
それぞれのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>持ち家と賃貸どっちがお得?メリット・デメリットや生涯コスト、向いている方の特徴を比較
6.3. 賃貸と持ち家、それぞれどのような方が向いている?
一つの場所に長く住む予定があり、将来住まいを資産として残したい方には、持ち家が選択肢の一つになります。住宅ローンを完済したあとは、毎月のローン返済や家賃といった大きな住居費の負担がなくなる点も特徴です。
一方、転勤が多い方や、結婚・出産などのライフスタイルの変化に合わせて住む場所を柔軟に選びたい方には、賃貸が向いているでしょう。
どちらが適しているかは、費用だけでなく、今後の暮らし方や家族の予定も踏まえて考えることが大切です。
7. 納得できる住まい選びは、リーブルガーデンにご相談ください
「賃貸と持ち家では1,300万円の差が出る」といわれることがありますが、実際の差額は家賃や物件価格、住宅ローン金利、居住年数などの条件によって変わります。
今回のシミュレーションでも、35年間の総コストを比較した場合は持ち家と賃貸で大きな差はありませんでした。一方、定年後も賃貸に住み続ければ家賃の支払いが続くため、長い目で住居費を考えることも大切です。
住まいを選ぶ際は、「どちらがお得か」だけで決めるのではなく、今後どこでどのように暮らしたいのか、無理なく支払える住居費はいくらなのかを考えてみてください。将来の家族構成やライフスタイルまで見据えて比較すると、自分に合った選択肢が見つけやすくなるでしょう。
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※記事の内容は2026年8月現在の情報に基づいています。制度や法律は今後変更・廃止される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。














