長期優良住宅のメリットとは?後悔ポイントや認定基準・注意点・申請手順もご紹介!

目次
一建設の分譲戸建住宅
一建設の分譲戸建住宅は年間約9,000棟以上を供給、国内トップクラスの販売戸数を誇ります。また住宅性能表示制度5分野7項目の最高等級取得を標準化。
お客さまとご家族に安心して住んでいただける住まいをお届けします。
長期優良住宅は、高い耐久性や省エネ性能、税制面での優遇など、多くのメリットがある一方、初期費用が高い、認定取得に時間がかかるなどの注意点も挙げられます。
この記事では、長期優良住宅の認定基準やメリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどを解説します。長期優良住宅の特徴を事前に把握し、自分のライフスタイルに合った最適な選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。
1. 長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で居住できる措置が講じられた優良な住宅のことです。
ここからは、以下の項目に分けて長期優良住宅の特徴や認定基準を解説します。
- 長期優良住宅の基本情報
- 長期優良住宅の認定基準
1.1. 長期優良住宅の基本情報
国は、2009(平成21)年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を制定し、正式な認定制度や支援策を整備しました。具体的には、耐久性や省エネ性、メンテナンス性など、国が定めた一定の基準を満たしたものが、長期優良住宅として認定されます。
長期優良住宅の具体的な特徴は以下のとおりです。
- 長期に使用するための構造および設備を備えている
- 長期優良住宅の建築および維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を受けている
- 省エネルギー性能が高いため、認定を受けることで住宅ローン減税などの支援制度の対象となる
長期優良住宅は長く、快適に暮らせるだけでなく、高い省エネ性能を備えていることから環境にも優しいのが特徴です。そのため住宅ローン減税や税負担の軽減など、さまざまな支援制度の対象となります。
耐久性や省エネ性、メンテナンス性などに優れているぶん、一般的な住宅と比べて建築コストは高くなりやすい傾向にありますが、長期的な視点で考えるとコストパフォーマンスに優れた住まいといえます。
なお、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域、災害危険区域に建築される住宅は認定の対象外です。
参照:e-Gov 法令検索「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」、国土交通省「長期優良住宅のページ」
1.2. 長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅の認定基準は、一戸建て住宅は全8項目、マンションなどの共同住宅は全10項目があります。
それぞれの内容は以下のとおりです。
| 長期優良住宅の認定基準 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 番号 | 項目 | 内容 | 一戸建て 住宅 | 共同住宅 |
| 1 | 劣化対策 | ・劣化対策等級(構造躯体等)等級3 ・躯体(くたい:建築物を支える骨組み部分)の耐久性を高める措置が講じられていること | ○ | ○ |
| 2 | 耐震性 | 以下のいずれかに該当 ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級2 ・等級1で安全限界時の層間変形(建物の上下階に生じる変形)が1/100(木造の場合1/40)以下であること ・等級1で各階の張り間方向およびけた行方向について、鉄筋コンクリート造等の場合に限り所定の基準に適合するもの ・品確法に定める免震建築物 | ○ | ○ |
| 3 | 省エネルギー性 | ・断熱等性能等級5 ・一次エネルギー消費量等級6 | ○ | ○ |
| 4 | 維持管理・更新の容易性 | ・維持管理対策等級(専用配管)等級3 | ○ | ○ |
| 維持管理対策等級(共用配管) 更新対策(共用排水管) | - | ○ | ||
| 5 | 可変性 | 躯体天井高さ 2,650mm 以上 | - | ○ |
| 6 | バリアフリー性 | 高齢者等配慮対策等級3 | - | ○ |
| 7 | 居住環境 | 所管行政の条例や景観、協定などに配慮していること | ○ | ○ |
| 8 | 住戸面積 | ・一戸建て住宅は75㎡以上、共同住宅等は40㎡以上 ・1階の床面積が階段部分を除いて40㎡以上かつ、総床面積75㎡以上であること | ○ | ○ |
| 9 | 維持保全計画 | 指定箇所について長期にわたる維持保全の計画が作成されていること | ○ | ○ |
| 10 | 災害配慮 | 地震や台風などの災害に対して、所管行政が定める措置が講じられていること | ○ | ○ |
マンションなどの共同住宅の場合、一戸建て住宅の項目に加えて可変性、高齢者等対策の2つの基準も満たす必要があります。
2. 長期優良住宅の魅力

長期優良住宅には、経済面や暮らしの面でさまざまな利点があります。
| 住まいのメリット | お金のメリット |
|---|---|
| ・安心・快適な住まいで長く暮らせる ・家の資産価値が上がる | ・さまざまな税制上の優遇措置が受けられる ・補助給付金が受けられる ・住宅ローン金利が優遇される ・地震保険料が割引される |
2.1. 住まいのメリット①安心・快適な住まいで長く暮らせる
長期優良住宅は、文字通り長期間の使用を前提としているため、安心して長く暮らせます。国土交通省によると、長期優良住宅の認定を受けた住宅は100年程度の耐用年数が想定されており、それに見合った耐震性・耐久性を兼ね備えています。
また、安全性だけでなく快適性に優れているのも、長期優良住宅の特徴です。高い断熱性・省エネ性を実現しているため、エネルギーを効率よく使用して、夏は涼しく、冬は温かく過ごせます。
長期優良住宅なら、こういった高品質な住宅を、必要に応じてリノベーションしながら孫の代まで引き継ぐことが可能です。
2.2. 住まいのメリット②家の資産価値が上がる
基本的に、建物は経年劣化によって価値が下がります。時間の経過とともに外壁や屋根、設備などが少しずつ傷み、性能も低下するためです。
その点、長期優良住宅は認定基準の一つとして「劣化対策等級(構造躯体等)」で等級3を満たすことが義務付けられています。これは劣化対策等級の最高等級であり、建物が長期にわたって良好な状態で使用できる設計になっている証明です。
そのため長期優良住宅は、一般の住宅より経年劣化による資産価値の下落を抑えられるメリットがあります。
2.3. お金のメリット①さまざまな税制上の優遇措置が受けられる
国は、高品質な住宅の普及を促進するため、長期優良住宅を対象に以下の税制優遇措置を実施しています。
- 住宅ローン控除(減税)
- 不動産取得税の減税
- 投資型減税
- 登録免許税の税率軽減
- 固定資産税の減税期間延長
- 住宅取得資金の贈与税非課税措置
2.3.1. 住宅ローン控除(減税)
「住宅ローン控除(減税)」とは、マイホームの取得に住宅ローンを利用した方の税負担を軽減するための制度です。一定の条件を満たすことで、最長で13年間、年末時点の住宅ローン残高の0.7%分が所得税・住民税から控除されます。
令和6年度(2024年度)の税制改正では、住宅ローン控除(減税)の対象が長期優良住宅、ZEH(Net Zero Energy House)、省エネ性の高い低炭素住宅、省エネ基準適合住宅に限定されました。これらの省エネ基準に適合しない「その他の住宅」は住宅ローン控除(減税)の対象外です。
住宅区分による借入限度額や年間最大控除額は以下のとおりです。
| 借入限度額 | 年間最大控除額 | 控除期間 | |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 一般世帯:4,500万円 | 31.5万円 | 13年間 |
| 子育て世帯・若夫婦世帯:5,000万円 | 35万円 | ||
| ZEH水準省エネ住宅 | 一般世帯:3,500万円 | 24.5万円 | |
| 子育て世帯・若夫婦世帯:4,500万円 | 31.5万円 | ||
| 省エネ基準適合住宅 | 一般世帯:3,000万円 | 21万円 | |
| 子育て世帯・若夫婦世帯:4,000万円 | 28万円 |
19歳未満の子がいる、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯である「子育て世帯・若者夫婦世帯」に対しては、少子化対策の一環として借入限度額が上乗せされています。
なお、住宅ローン控除(現在)の適用期限は2025年12月31日までです。確実に住宅ローン控除を受けたい場合は、2025年内の入居を目指しましょう。
住宅ローン控除(減税)について詳細を知りたい方は、下記のコラムも合わせてご覧ください。
>>住宅ローン控除(減税)はいつまで?条件や税制改正の内容|2026年以降の情報も解説
2.3.2. 不動産取得税の減税
土地や家屋などの不動産を取得すると、不動産取得税がかかります。
通常、家屋にかかる不動産取得税は、固定資産税評価額×3%です。
しかし、新築住宅の家屋では軽減措置が適用され、一般住宅の場合1,200万円、長期優良住宅の場合は1,300万円が課税基準額から控除されます。(※2026年3月31日までに新築された住宅が対象)
例えば、家屋の固定資産税評価額が2,0000万円の場合の計算例は以下のとおりです。
| 一般住宅の場合:(2,000万円ー1,200万円)×3%=24万円 長期優良住宅の場合:(2,000万円-1,300万円)×3%=21万円 |
このように、長期優良住宅では、課税基準からの控除額が一般住宅よりも増額されます。
ただし、適用を受けるには以下の条件を満たす必要があります。
- 都道府県の条例で定めるところにより申告をすること
- 床面積が50㎡以上(一戸建て以外の貸家は40㎡以上)、240㎡以下であること
2.3.3. 投資型減税
新築または建築後未使用の長期優良住宅を取得した場合、住宅ローン減税ではなく、投資型減税を選択することも可能です。
投資型減税では、長期優良住宅の基準を満たすためにかかった費用(45,300円に家屋の床面積を乗じた金額)の10%相当額が、所得税から控除されます。※上限は650万円
長期優良住宅の取得にあたって、投資型減税の適用を受けるための主な条件は以下のとおりです。
- 2024年(令和6年)1月1日〜2025年(令和7年)12月31日までに入居した者
- 所有者が主に居住の用に供する家屋であること
- 引渡しまたは工事完了から6ヵ月以内に居住を開始すること
- 床面積50㎡以上
- 店舗兼住宅の場合は床面積の1/2以上が居住用であること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
投資型減税は住宅ローン減税と違って、自己資金で住宅を取得した方も対象となります。
2.3.4. 登録免許税の税率軽減
土地や建物を取得した場合は、第三者に対して自身が正当な所有者であることを証明できるよう、所有権保存登記や所有権移転登記が必要です。
こういった登記手続きにかかる登録免許税に関しても、新築・未入居の住宅用家屋を取得した場合、一般住宅よりも長期優良住宅のほうが低い税率が適用されます。(※2027年(令和9年)3月31日までに取得した者が対象)
| 本則 | 一般住宅 | 長期優良住宅 | |
|---|---|---|---|
| 所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 0.1% |
| 所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% | 戸建て:0.2% マンション:0.1% |
主に、注文住宅を建てた場合は所有権保存登記、建売住宅を購入した場合は所有権移転登記が必要となります。
登録免許税の税率軽減を受けるための要件は以下のとおりです。
- 所有者が主に居住の用に供する家屋であること
- 住宅の新築または取得から1年以内に登記をすること
- 床面積が50㎡以上であること
2.3.5. 固定資産税の減税期間延長
土地や家屋などの不動産を所有している場合、毎年固定資産税を支払う必要があります。
新築住宅の場合、一定期間税額が1/2に減額されますが、長期優良住宅の場合、減税期間がさらに延長されます。(※2026年3月31日までに新築された住宅が対象)
| 一般住宅 | 長期優良住宅 | |
|---|---|---|
| 2階以下の戸建て | 3年間 | 5年間 |
| マンションなど (3階以上の中高層耐火住宅) | 5年間 | 7年間 |
固定資産税の減額措置を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 床面積が50㎡以上、280㎡以下であること
2.3.6. 住宅取得資金の贈与税非課税措置
住宅の新築や購入、増改築に際して、両親や祖父母などの直系尊属から資金援助を受ける場合、一定の金額まで贈与税が免除されます。(住宅取得等資金贈与の非課税特例)
この特例に関しても、一般住宅の非課税枠が500万円なのに対し、長期優良住宅の場合は1,000万円まで非課税枠が拡大します。(※2026年12月31日まで)
その他特例を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 贈与を受けた年の受贈者の合計所得金額が2,000万円以下
- 床面積が50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下の受贈者に限り、40㎡以上50㎡未満の住宅にも適用)
2.4. お金のメリット②補助給付金が受けられる
長期優良住宅を建てる際は、子育てグリーン住宅支援事業という補助金制度を活用できます。
子育てグリーン住宅支援事業は、2050年カーボンニュートラル実現を目指し、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯などを対象に、ZEH基準を上回る高性能な省エネ住宅の新築や、省エネ改修を支援する事業です。
長期優良住宅として認定を受けた子育て世帯や若者夫婦が新築する場合、床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅について最大80万円の補助が受けられ、さらに、既存住宅を解体して建て替える場合には20万円が追加されます。
また、リフォームの際には、長期優良住宅化リフォーム推進事業という補助金制度を活用できます。
長く、安心して暮らせるよう既存住宅のリフォームを応援する制度で、一定の基準を満たすことで、工事費用の補助が受けられます。補助金の上限は1戸あたり160万円ですが、以下いずれかの条件に該当する場合、最大50万円が加算されます。
- 三世代同居対応改修工事を実施する場合
- 若者・子育て世帯が改修工事を実施する場合
- 既存住宅を購入し改修工事を実施する場合
ただし、工事の合計金額が30万円以下など、申請あたりの補助金額が10万円以下となる場合は補助対象外となるため注意が必要です。
上記以外にも、自治体で独自の補助金制度を実施している場合もあるため、利用可能な制度がないか確認しましょう。
補助金の受け取りには一定の条件を満たす必要がありますが、うまく活用することで長期優良住宅の建築やリフォームにかかるコストを抑えられます。
2.5. お金のメリット③住宅ローン金利が優遇される
長期優良住宅をはじめとする高性能な住宅では、住宅ローンが優遇される場合があります。住宅ローン金利の優遇措置としては「フラット35」が代表的です。
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローンです。長期優良住宅などを対象とする「フラット35 S」のプランでは、省エネ性や耐震性、耐久性やバリアフリー性の高い住宅を取得する場合、金利が当初5年間最大0.75%引き下げられるなど、住宅性能に応じた金利優遇措置が設けられています。
フラット35についてさらに詳しく知りたい方は下記もご覧ください。
>>フラット35はやめたほうがいい?デメリットと注意点とは
>>フラット35の本審査に落ちる確率は?通過できない理由と対処法を解説
2.6. お金のメリット④地震保険料が割引される
長期優良住宅は、国が定める耐震性の基準を満たしています。そのため地震保険料に関しても、耐震性に応じて一定の割引が受けられます。
| 耐震性能 | 割引率 |
|---|---|
| 耐震等級2 | 30% |
| 耐震等級3 | 50% |
| 免震建築物 |
詳しくは、地震保険の取り扱いがある損害保険代理店または損害保険会社に問い合わせると良いでしょう。
3. 長期優良住宅で後悔するといわれる点は?

長期優良住宅は、長期的に見れば経済面・生活面の両方でメリットがありますが、なかには「思っていたのと違った」と感じ、選択を後悔する方もいます。
長期優良住宅を選んで後悔する主な理由は以下のとおりです。
- 建設スケジュールが長くなりやすい
- 申請費用がかかる
- 建築コストが上がるケースがある
- 家づくりの設計に制限がかかるケースがある
- 定期的な点検やメンテナンスが必要
- リフォームや増改築で許可が必要
3.1. 建設スケジュールが長くなりやすい
長期優良住宅を建てるには、着工前に所管行政庁に申請し、認定を受ける必要があります。
必要書類の準備や審査に時間がかかるため、着工まで一般住宅より数週間~1ヵ月程度遅れるのが一般的です。
その影響で建築スケジュール全体が遅延すると、「入居希望時期に間に合わなかった」などの理由で後悔する方もいるようです。
3.2. 申請費用がかかる
長期優良住宅の申請には、認定申請書や設計図など必要書類の作成費用や審査および認定を受けるための手数料などがかかります。費用の目安は、自分で申請する場合と代行申請を依頼する場合で異なりますが、20〜30万円前後となるのが一般的です。
長期優良住宅は、税制上のメリットやローン優遇が受けられる、維持費が安く済むなどの観点から、長期的には経済的なメリットの大きい選択肢です。しかし、「思ったより初期費用がかかった」「手持ち資金に余裕がなくなった」などの理由で後悔する方もいるようです。
なお一建設の長期優良住宅認定物件につきましては、認定申請に関わるお手続きや追加費用のご負担はございません。
3.3. 建築コストが上がるケースがある
長期優良住宅は、一般的な住宅と比べて1.2~1.3倍程度の建築コストがかかるといわれています。耐震性や耐久性、省エネ性などに優れた家を建てるには、グレードの高い構造部材や住宅設備を選ぶ必要があるためです。
また、一定の基準を満たすために丁寧な施工や補強工事が求められることから、工期が長くなるぶん人件費も上がる傾向があります。
3.4. 家づくりの設計に制限がかかるケースがある
長期優良住宅の認定基準を満たすために、建物の設計に制限が生じる場合があります。
特に、耐震等級の最高等級である等級3を取得するには、建物を支える耐力壁を一般住宅より多く、かつバランス良く配置することが求められます。その結果、間取りやデザインに一定の制約が生じることが多く、「吹き抜けを取り入れたい」「デザイン性を重視したい」など、設計へのこだわりを反映できない場合があります。
3.5. 定期的な点検やメンテナンスが必要
長期優良住宅は、申請時に提出した維持保全計画に沿って、定期的にメンテナンスをおこなう必要があります。点検や修繕を施工会社や専門業者に依頼することになるため、人によってはメンテナンスにかかる出費や手間が負担となり、後悔する場合もあります。
適切な維持保全がおこなわれていないと判断された場合、長期優良住宅の認定を取り消されてしまう場合もあるため注意が必要です。
3.6. リフォームや増改築で許可が必要
基本的に、長期優良住宅を増改築、リフォームする場合は所管行政庁の許可が必要になります。大幅に家の構造を変更すると、長期優良住宅の基準を満たさなくなる可能性があるためです。
そのため家族構成やライフスタイルが変化したタイミングで「住宅の規模や間取りを変えたい」と思っても、希望通りの変更が難しい場合もあります。
のちのち後悔しないためには、将来のライフスタイルの変化をある程度想定したうえで、家づくりの計画を立てることが重要です。
4. 長期優良住宅で後悔しないためのポイント

長期優良住宅は、一般住宅に比べて初期費用や設計、維持管理などさまざまな点で違いがあります。そのためどちらを選ぶべきか迷っている方も多いでしょう。
長期優良住宅を選ぶうえで後悔しないためのポイントは以下のとおりです。
- 長期優良住宅の建築実績がある業者へ依頼する
- 着工前までに申請をおこなう
- 維持管理の負担を考える
- 確定申告で必ず税金の控除申請をする
- 認定基準項目をすべて満たした設計・施工をおこなう
- 補助金などの優遇制度を活用する
- 資金計画を立てる
4.1. 長期優良住宅の建築実績がある業者へ依頼する
長期優良住宅の認定を受けるには、設計段階から認定基準を十分に理解し、要件を満たすよう設計しなくてはなりません。
そのため、長期優良住宅の認定実績が豊富な業者に依頼することが重要です。実績のある業者であれば、認定基準を熟知しており、設計段階から適切に対応してくれます。
のちのちの手戻りや認定取得の失敗を避けられ、長期優良住宅としての性能を十分に発揮できる住宅を建築できるでしょう。また、気になる業者の口コミ評判もチェックしておくと良いでしょう。
一建設のリーブルガーデンは、長期優良住宅の認定を取得した分譲住宅を取り扱っています。(一部対象外の物件もあります)
>>リーブルガーデンで分譲住宅を探してみる
4.2. 着工前までに申請をおこなう
長期優良住宅の認定を受けるためには、工事着工前までに申請をおこなう必要があります。万が一申請を忘れてしまっても着工後は受け付けてもらえず、認定を受けることもできません。
長期優良住宅の認定申請は、建築主または建築会社がおこないます。ただし、申請に必要な書類作成や手続きには専門的な知識が必要なため、実際には建築会社が代行するのが一般的です。
また、認定申請をするまでには計画作成、審査依頼などの工程があり、審査待ちの時間も発生します。長期優良住宅の建築を検討したタイミングなど、早い時期にハウスメーカーに相談することが大切です。
4.3. 維持管理の負担を考える
長期的な住宅の性能と価値を保つためには、メンテナンスを確実におこなうことが不可欠ということを認識しておきましょう。
長期優良住宅では、建築後も長く快適に暮らせるよう、約30年にわたって10年ごとに定期点検や必要な補修を行うことが義務付けられています。このメンテナンスは、認定を受けた計画に基づいておこなわなくてはなりません。
長期優良住宅の定期的な点検・補修には、住宅の構造や設備に関する専門知識が必要となります。ハウスメーカーや住宅メンテナンス業者などの専門家に依頼するのが一般的です。
なお一建設では維持保全計画に基づき、適切な点検・修繕のご案内を行うとともに、関連記録の作成および保管を適正に実施いたします。長期優良住宅の性能を長く保つために欠かせない点検・修繕に関しても、サポートいたします。
4.4. 確定申告で必ず税金の控除申請をする
長期優良住宅の税制優遇措置を受けるためには、確定申告の際に必ず控除を申請しましょう。確定申告をおこなわないと、長期優良住宅のメリットである減税措置が受けられません。
確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
- 住宅の登記事項証明書【原本】
- 住宅の工事請負契約書または売買契約書【写し】
- 認定住宅等であることを証する書類
- 都道府県・市区町村等の長期優良住宅建築等計画等の認定通知書【写し】
- 市区町村の住宅用家屋証明書【原本または写し】(または建築士等の認定長期優良住宅建築証明書【原本】)
- 本人確認書類
これらの書類を準備のうえ、確定申告書に添付し、所轄の税務署に申告する必要があります。国税庁のホームページでダウンロードする書類や不動産会社から受け取る書類など、準備することは多岐にわたるため、余裕を持って行動しましょう。
参考:税務署「令和5年分 認定住宅等新築等特別税額控除を受けられる方へ」
4.5. 認定基準項目をすべて満たした設計・施工をおこなう
長期優良住宅として認定を受けるためには、認定基準項目である以下の項目をすべて満たす必要があります。
- 劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー対策
- 維持管理・更新の容易性
- 居住環境への配慮
- 住戸面積
- 維持保全計画
- 災害配慮
- 高齢者等対策(共同住宅等のみ)
- 可変性(共同住宅等のみ)
基本的にはハウスメーカーが基準を満たした設計・施工をおこなってくれるためそれほど心配はいりませんが、不安な方は詳細な基準をチェックしておくことをおすすめします。
4.6. 補助金などの優遇制度を活用する
長期優良住宅の建築にあたっては、補助金をはじめとしたさまざまな優遇制度を活用できる可能性があります。
この記事の 2.3 お金のメリット①さまざまな税制上の優遇措置が受けられる で紹介している制度をはじめ、利用できる制度がないか、ハウスメーカーや役所の窓口に相談しましょう。
4.7. 資金計画を立てる
長期優良住宅は通常よりも高性能な設備を持つ住宅であることから、建築費用も高額になる傾向にあります。そのため頭金を多く入れて借入額を減らすなど、無理なく返済できる範囲で住宅ローンを組むことが重要です。
また、住宅ローンの金利優遇や減税・補助金制度など、長期優良住宅ならではの優遇措置が受けられる場合もあるため、そうしたメリットも考慮して資金計画を立てると良いでしょう。
資金計画を立てる際にはWeb上で公開されているローンシミュレーションなどのツールをご活用いただくことをおすすめします。
5. 長期優良住宅の申請手順

長期優良住宅は注文住宅と建売住宅ではそれぞれ申請手順が異なります。
5.1. 注文住宅
個人で注文住宅を新築する場合の長期優良住宅の申請手順は以下のとおりです。
- ハウスメーカーと請負契約を結ぶ
- 建築計画の立案・申請用の書類を作成する
- 登録住宅性能評価機関に技術的審査を依頼する
- 登録住宅性能評価機関から「確認書等」が交付される
- 所管行政庁へ認定申請をおこなう
- 所管行政庁から認定通知書が交付される
工事着工前に所管行政庁へ認定申請する必要があります。そのあとは所管行政庁から認定通知書の交付を待たずに建築を開始できます。
5.2. 建売住宅
建売住宅の購入者は、所管行政庁に対して「認定計画実施者の地位の承継の承認申請」をおこなう必要があります。承認申請の手順は以下のとおりです。
- ハウスメーカーと請負契約を結ぶ
- 長期優良住宅建築計画等の作成、技術的審査と認定通知書の交付、建築工事までが完了していることを確認する
- 必要書類(購入契約書、認定通知書の写しなど)を準備して所管行政庁に申請する
- 所管行政庁から承認通知が送られてくる
- 新所有者は承認通知を受け取り、長期優良住宅の維持管理等の義務を引き継ぐ
認定された維持保全計画の内容や具体的な維持管理の方法や費用、頻度など、情報を事前に確認する必要があります。「購入後に思わぬ費用がかかった」「計画通りに維持管理ができない」などの事態を避けるためにも、慎重に確認することが重要です。
6. 長期優良住宅に関するQ&A
長期優良住宅でよくある質問をチェックしておきましょう。
6.1. 長期優良住宅をメンテナンスしないのはNG?
認定時の計画に沿って定期的なメンテナンスをおこなってください。メンテナンスをしない場合、認定した所管行政庁から改善を求められることがあり、その指示に従わなければ認定が取り消される可能性があります。
所管行政庁は、長期優良住宅の認定基準に適合していることを確認する責任があり、認定後も継続的に維持管理状況を監視しています。
認定取り消しとなれば、長期優良住宅としての各種支援措置を受けられなくなるため、所管行政庁の改善指示にはきちんと対応しメンテナンスすることが大切です。
6.2. 長期優良住宅を取り消しできる?
長期優良住宅の取り消しは可能です。認定取り消しの申請は、都道府県や市区町村に直接おこなうことで完了します。
ただし、認定取り消しにともない、これまで受け取っていた補助金の返金や固定資産税の増額などの不利益が生じる可能性があるため、十分に検討することが大切です。認定取り消しの手続きや影響を所管行政庁へ事前に確認することをおすすめします。
6.3. ZEH住宅との違いは?
ZEHとは、「Net Zero Energy House (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、エネルギー収支がゼロ以下になる家のことです。具体的には、断熱性能の向上や最新設備を用いた省エネ、太陽光発電などの創エネ設備を取り入れることで、家でのエネルギー生産量が消費エネルギーを上回る住宅を指します。
長期優良住宅とZEH住宅は、目的や認定の基準が異なるため、家づくりで重視するポイントに応じて選ぶことが重要です。長く安心して住み続けたい場合は長期優良住宅を、光熱費削減や環境負荷の軽減を重視する場合はZEH住宅を選ぶと良いでしょう。
ZEH住宅について詳細を知りたい方は、下記のコラムも合わせてご覧ください。
>>ZEH(ゼッチ)住宅とは?義務化?種類やメリット・デメリット、補助金制度をわかりやすく紹介
7. 長期優良住宅を考えるなら、リーブルガーデンもチェック
長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で住み続けられるよう設計された優良な住宅のことで、住宅ローンの金利優遇や減税・補助金など、さまざまな支援制度の対象となります。
長期的な視点で考えるとお得な物件といえますが、初期費用が高い、家の設計や間取りに制限が生じる場合がある、定期的なメンテナンスが必要などのデメリットもあるため、十分に特徴を理解したうえで、検討を重ねることが重要です。
リーブルガーデンは、長期優良住宅の認定を取得した分譲住宅を取り扱っています。(一部対象外の物件もあります)
リーブルガーデンの長期優良住宅物件は認定基準を満たしつつ、快適な住環境と魅力的なデザインを兼ね備えています。また、長期優良住宅の認定を受けるための申請費用は不要です。ご興味のある方は、ぜひリーブルガーデンにお問い合わせください。専門スタッフが長期優良住宅の特徴や、ご希望に合った物件をご紹介します。













