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不動産購入時の手付金とは?相場や種類、支払う前に知っておきたいことを解説

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目次

手付金とは、売買契約のタイミングで、買い主が売り主に支払う金銭のことです。

不動産取引ではさまざまな名目でお金のやり取りがおこなわれるため、「手付金って何?」「頭金と何が違うの?」「相場はどのくらい?」などさまざまな疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、手付金の相場や種類、支払い時の注意点などを解説します。

1. 手付金とは

不動産売買における手付金とは、売買契約の成立を保証するために支払われる金銭のことです。契約金と同等の意味があり、売買契約締結のタイミングで買い主から売り主に対して支払われます。

手付金の支払い後、買い主から契約を解除した場合、手付金は返還されません。また、取引が成立した場合はそのまま売買代金の一部として充当されるのが一般的です。

1.1. 手付金が必要な理由

不動産売買では、契約成立から残代金の支払い、引渡しまで時間がかかるため、その期間中、買い主と売り主は不安定な状態となります。手付金の授受は、このような状況下で、お互いに契約の意思があることを証明する役割があります。

また、不動産売買は取引金額が大きいため、契約後にトラブルが発生することも珍しくありません。手付金は、そのような問題が起きた際に和解するための手段としての役割も担っています。

上記の理由から、手付金は法的な効力があるものとして、民法でもその取り扱いに関する規定が定められています。
参照:手付(民法第557条) -「民法(債権関係)の改正に関する検討事項(10) 詳細版|法務省

2. 手付金と頭金の違い

手付金と混同されがちな言葉としては頭金が挙げられます。

頭金とは、売買代金の一部を現金で先払いすることです。取引の初期段階で、買い主が売り主に対して支払う点は共通していますが、手付金とはその意味合いが異なります。手付金は契約成立を担保するために支払われますが、それに対して頭金は、売買代金の一部を自己資金で先払いすることで、住宅ローンの借入金額を抑えることを目的としています。

手付金も取引成立後は売買代金の一部として充当されますが、それはあくまでも返還の手間を省略した結果であり、本来の目的ではありません。このため初めから売買代金の一部を先払いすることを目的としている頭金とは性質が異なります。

住宅購入時の頭金の目安を知りたい方は下記のコラムも併せてご覧ください。

>>一軒家(一戸建て)の値段相場はいくら?購入にかかる諸費用や頭金の目安まで解説

また、頭金以外にも手付金と混同されがちな言葉としては、申込証拠金、内金が挙げられます。

申込証拠金とは、物件の購入意思を示すために、売買代金の一部を売り主または不動産仲介会社に預けることです。新築マンションなどで設定されることが多く、買い主が契約をキャンセルした場合は原則として全額返還されます。

内金とは、契約締結から引渡しまでの間に売買代金の一部を先払いすることです。中間金とも呼ばれ、例えば売り主が個人の場合、新居購入や引っ越し費用にあてるために、中間金の支払いを求めることがあります。

手付金は契約解除に関する取り決めがあることも、頭金や申込証拠金、内金との大きな違いです。前述したように、手付金には契約後のトラブルを解決する役割もあるため、手付金を利用した契約解除に関するルールも明確に定められています。

3. 手付金の相場はどれくらい?

手付金の金額は、買い主と売り主の合意に基づいて決定しますが、売買代金の5〜10%が相場です。例えば、3,000万円の住宅を購入する場合は、150万円~300万円となるのが一般的です。

3.1. 手付金には上限がある

売り主が不動産会社の場合、宅地建物取引業法によって手付金の上限は、売買代金の20%以内と定められています。

宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
参照:(手付の額の制限等):宅地建物取引業法第三十九条

万が一20%を超える金額を支払った場合、超過分の金額は無効となるため買い主は返還請求が可能です。

3.2. 売り主が不動産会社の場合、保全措置が必要

手付金や中間金が一定の金額を超える場合、売り主の不動産会社は保全措置を取る必要があります。保全措置とは、万が一売り主の不動産会社が契約中に倒産した場合、手付金が買い主に返還されるよう銀行や保証会社と保証契約を結ぶことです。

未完成物件の場合は、手付金が売買代金の5%または1,000万円を超える場合、完成物件の場合は売買代金の10%または1,000万円を超える場合に保全措置が義務付けられます。

ただし、売り主が不動産会社でないなど個人間の売買の場合は、手付金の保全措置を取る義務はありません。

4. 手付金の種類

手付金は、その用途に応じて「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3つに分類されます。

4.1. 証約手付

売買契約が締結されたことを証明するために支払う手付金です。契約が成立した証拠として支払われます。

4.2. 解約手付

授受によって、買い主と売り主の双方に解約の権利が生じる手付金です。契約成立後でも、取り決めにしたがって手付金の授受をすることで、相手の同意なしに契約の解除が可能となります。

4.3. 違約手付

売買代金を支払わない、物件を引渡さないなど、買い主と売り主のどちらかに契約違反があった場合の罰としての性質を持つ手付金です。買い主が契約違反をした場合は支払った手付金が没収され、売り主が契約違反をした場合は受け取った手付金の倍額を買い主に支払う必要があります。

5. 解約手付の仕組み

手付金は、特段の合意がなければ、原則として解約手付として扱われます。
参照:手付(民法第557条) -「民法(債権関係)の改正に関する検討事項(10) 詳細版|法務省

宅地建物取引業法では、売り主が不動産会社などの宅地建物取引業者の場合、手付金は解約手付として扱うと定められています。
参照:(手付の額の制限等):宅地建物取引業法第三十九条

具体的には、売り主と買い主はそれぞれ以下の方法をとることで契約の解除が可能です。

5.1. 【手付倍返し】売り主が手付解除をする場合

売り主は受領した手付金を返還し、さらにそれと同等の金額を買い主に支払うことで契約解除が可能です。受領した手付金の倍額を買い主に支払うことになることから、手付倍返しと呼ばれます。

具体的には、買い主に契約の解除の意思を伝えるとともに、銀行口座に振り込むなどしてお金を支払うことで契約を解除できます。

5.2. 【手付放棄】買い主が手付解除をする場合

買い主は、支払った手付金を放棄することで契約を解除できます。契約解除の意思は口頭で伝えても構いませんが、トラブルを防ぐために配達証明付き内容証明郵便が利用されることもあります。

6. 解約手付はいつまでできるの?

解約手付の授受があれば、いつでも契約を解除できるわけではありません。

買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
参照:手付(民法第557条) |e-Gov 法令検索
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
参照:(手付の額の制限等):宅地建物取引業法第三十九条

上記のように、民法でも宅地建物取引業法でも、その期限は相手方が契約の履行に着手するまでと定められています。例えば、買い主視点だと「売り主が引渡しに向けて建物の修繕を始めたとき」、売り主視点だと「買い主が残代金を支払ったとき」などが、相手方が契約の履行に着手したタイミングに該当します。

ただし、具体的にいつが該当するかは明確に定められていないため、実際には契約書にその期限が明記されるケースが多いです。

7. 手付金が戻ってくるケース

手付金は、放棄することで契約を解除できるほか、取引が成立した場合には売買代金の一部として充当されるため、基本的には返還されません。

しかし、例外として以下の場合は手付金が戻ってきます。

7.1. 買い主のローン特約が適用される場合

住宅ローン特約とは、契約に「万が一住宅ローンの審査に通らなかった場合、買い主には手付金が返金され、なおかつ違約金なしで契約を解除できる」という追加条件をつけることです。

不動産購入の際、多くの方は銀行など金融機関による融資を利用します。しかし、住宅ローンの本審査を受けるには売買契約書が必要なため、契約の流れとしては事前審査→不動産の売買契約→本審査となるのが一般的です。

このように売買契約の締結後に、住宅ローンの本審査がおこなわれるため、万が一何らかの事情で審査に通らなかった場合、買い主は手付金も没収されるリスクがあります。

こうした事態に備えて、多くの売買契約では住宅ローン特約が組み込まれまるのが一般的です。

7.2. 売り主の都合により契約解除・違反をした場合

売り主の都合で契約が解除になった場合や、違約手付で売り主が契約違反をした場合、支払った手付金の倍額が返還されます。

ただし、売り主が倒産するなど、売り主の都合で物件の引渡しが不可能になった場合、手付金が返還されないリスクもあります。こうした事態を防ぐためには、手付金を支払う前に保全措置が取られているか確認することが重要です。

8. 手付金を準備できない時の対処法

住宅ローンの融資が実行されるのは、物件の引渡し日が一般的です。手付金はそれより前のタイミングで支払う必要があるため、住宅ローンは利用できません。

手付金を用意するのが難しい場合は、売り主に減額を相談してみましょう。手付金の金額は双方の合意に基づいて決まるため、交渉次第で相場より低い金額に設定してもらえる可能性があります。

それでも難しい場合は、親族に頼る、フリーローンを組むなどの方法があります。ただし、借入金があると住宅ローンの審査で不利になる場合があるため、極力金融機関や貸金業者を通さない調達方法がおすすめです。

9. 手付金を支払う前に知っておきたいこと

没収リスクや返還リスク、住宅ローンの審査への影響など、手付金の支払いに関するリスクを回避するには以下の点に注意が必要です。

  • 契約内容をきちんと確認する
  • 手付金はローンへ組み込めず、原則現金で支払う
  • 不動産会社が一般保証会社に加入しているか確認する

9.1. 契約内容をきちんと確認する

手付金の返還に関する条件は、不動産業者からの説明だけでなく、契約書の内容を自分でもしっかり確認しておくことが重要です。住宅ローン特約が付いているかどうかも必ず確認しましょう。

また、手付金がその役割を果たすには、金額設定も重要です。手付金の額が小さすぎると気軽に解約される恐れがあり、逆に大きすぎると手付倍返しが現実的でなくなるなど、本来の役割を果たせなくなってしまいます。手付金の相場である売買代金の5〜10%を目安に、売り主と買い主で話し合って適切な金額を設定しましょう。

9.2. 手付金はローンへ組み込めず、原則現金で支払う

手付金は、現金での支払いが一般的です。住宅ローンに含めることはできないほか、手付金のために別途借り入れをおこなうと住宅ローンの審査に悪影響を与える恐れがあるため、自己資金での支払いを心がけましょう。

手付金を支払えるだけの貯金をしておくのが理想ですが、難しい場合は親族や友人から借りるのも一つの手段です。

9.3. 不動産会社が一般保証制度に加入しているか確認する

手付金の支払い時には、不動産保証協会が提供する一般保証制度の利用がおすすめです。少額の手付金でも、売り主の倒産などの予期せぬ事態に対する返還保証が受けられます。

一般保証制度を利用するには、売り主の不動産会社が不動産保証協会に加入していることを確認したうえで、不動産会社の担当者に一般保証制度の利用希望を伝えましょう。後日、保証証書が不動産会社を通じて交付されます。

10. 手付金を理解して、マイホームを購入しよう

不動産売買において手付金の授受は、売り主、買い主の契約意思を証明するとともに、契約後のトラブルを解決に導く手段としても機能します。一般的には解約手付として扱われるため、契約解除に関するルールや役割を理解したうえで、適切な金額を設定しましょう。

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