ベタ基礎とは?布基礎との違いやメリット・デメリット、選び方を詳しく解説

目次
一建設の分譲戸建住宅
一建設の分譲戸建住宅は年間約9,000棟以上を供給、国内トップクラスの販売戸数を誇ります。また住宅性能表示制度5分野7項目の最高等級取得を標準化。
お客さまとご家族に安心して住んでいただける住まいをお届けします。
家づくりにはさまざまな工程がありますが、そのなかでも建物の土台部分にあたる基礎工事は、住宅の安全性や耐久性に直結する重要な要素です。
この記事では、主な基礎工法であるベタ基礎と布基礎のメリット・デメリットや、両者の違いなどを解説します。
基礎の役割や仕組み、それぞれの工法を正しく理解し、安心できる住まいづくりに役立てましょう。
1. 住宅の基礎の役割とは?

基礎とは、建物を支えるための土台部分です。鉄筋やコンクリートでできた構造物を地中に埋めることで、建物と地面をつなぎます。
基礎の役割は、建物の荷重や地震、風など外部から加わる力を地面に伝え、家を安定させることです。また、地面からの湿気や雨水などの侵入を防ぐ役割もあります。
1.1. 住宅の基礎構造には2種類がある
現代日本の木造住宅で採用される主な基礎構造としては「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があります。
家の安全性や耐久性に関わる重要な要素のため、それぞれの特徴や違いを知り、安心・安全な家づくりに役立てましょう。
なお、木造住宅の構造は下記のコラムに詳細が載っていますので、併せてご覧ください。
>>木造住宅の構造の種類や耐震性|構造計算の義務化などを詳しく解説
2. ベタ基礎の特徴
ベタ基礎とは、建物の底面全体に鉄筋コンクリートを埋め込む基礎工法です。
建物の荷重を均一に分散できる「面」で支える構造のため、耐震性や耐久性に優れている特徴があります。
ただし、布基礎よりも使用する鉄筋コンクリートの量が多いため、そのぶん施工費用がかかります。
2.1. ベタ基礎のメリット
ベタ基礎の主なメリットは以下のとおりです。
- 耐震性に優れている
- 不同沈下が起こりにくい
- 湿気・シロアリに強い
2.1.1. 耐震性に優れている
ベタ基礎は、建物の底面全体に鉄筋コンクリートが埋め込まれているため、耐久性や耐震性に優れています。
「5.ベタ基礎と布基礎どちらがいい?選ぶときのポイント」でも後述しますが、ベタ基礎が普及し始めたのは1995年(平成7年)の阪神淡路大震災以降です。それまでは伝統的な布基礎が主流でしたが、阪神淡路大震災で倒壊した住宅には、コンクリートに鉄筋が入っていない、布基礎が割れた、などの特徴があったことから、現代では耐震性に優れたベタ基礎が主流となっています。
2.1.2. 不同沈下が起こりにくい
不同沈下が発生しにくいのも、ベタ基礎のメリットの一つです。
不同沈下とは、建物の一部分が沈んで傾いてしまう現象で、建物の荷重や地震などが原因で発生します。
ベタ基礎は、建物の荷重が均等に分散して地面に伝わるため、不同沈下を起こしにくい構造となっています。
2.1.3. 湿気・シロアリに強い
湿気は、結露やカビの発生などで建物にダメージを与えるほか、シロアリを招く要因にもなります。
その点、建物の底面全体を分厚いコンクリートで覆うベタ基礎は、湿気が溜まりにくい構造です。その結果、シロアリの餌となるような水分を含んでやわらかくなった木材が発生しづらくなるため、湿気やシロアリの影響を受けにくくなります。
2.2. ベタ基礎のデメリット
一方、ベタ基礎には以下のようなデメリットも存在します。
- 施工費用がかかる
- 寒冷地には向かない
2.2.1. 施工費用がかかる
ベタ基礎の最大のデメリットは、施工コストがかかることです。
まず、住宅の底面全体をコンクリートで覆うため、使用するコンクリートの量が多くなります。具体的には、布基礎の約2倍のコンクリート量が必要です。
さらに、建物の形状に合わせて大きく地盤を掘削するため、その残土処理費用もかさみます。
2.2.2. 寒冷地には向かない
北海道や東北など寒さの厳しい地域では、ベタ基礎が適さないこともあります。地中が凍結する際に体積が膨張する凍上現象によって、ベタ基礎ごと家が押し上げられる恐れがあるためです。
3. 布基礎の特徴

布基礎とは、柱や壁の下に逆T字型の鉄筋コンクリートを埋め込む基礎工法です。住宅の底面全体を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎とは異なり、立ち上がり部分のみに鉄筋が入ることから、「面」で支えるベタ基礎に対して「点」で支える工法ともいわれます。
布基礎は、ベタ基礎よりもコンクリートの使用量が少ないため、コストを抑えられるのが特徴です。ただし、そのぶん耐震性が低い、湿気やシロアリの影響を受けやすいなどのデメリットがあります。
3.1. 布基礎のメリット
布基礎の主なメリットは以下のとおりです。
- 施工費用を抑えられる
- 部分的に強度が高い
- 寒冷地に向いている
3.1.1. 施工費用を抑えられる
建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎に対して、布基礎では特定の部分のみに鉄筋コンクリートを使用するため、材料費を抑えられます。
また、地盤の掘削も基礎の立ち上がり部分のみのため、残土処理費用もそれほどかかりません。
3.1.2. 部分的に強度が高い
布基礎は、逆T字型の鉄筋コンクリートで地中の深い位置から支えるため、部分的な強度を高められます。このため柱の鉄骨部分に荷重が集中する鉄骨住宅などには適した工法です。
また、基礎自体の重量が軽く、地盤への負荷が少ないことから、縦方向の力に強い特徴があります。
3.1.3. 寒冷地に向いている
上述したように、布基礎は地中の深い位置で建物を支える構造です。そのため、地盤の凍結が起こる凍結深度より深いところに基礎を打ち込むことで、ベタ基礎の施工が難しい寒冷地にも対応できます。
3.2. 布基礎のデメリット
一方、布基礎には、ベタ基礎と比べて以下のようなデメリットも存在します。
- 耐震性がやや低い
- 地盤の影響を受けやすい
- 湿気・シロアリの影響を受けやすい
3.2.1. 耐震性がやや低い
布基礎は「点」で支える構造のため、地震による揺れを効率よく地面に逃がせません。そのため一般的に、布基礎は、ベタ基礎よりも耐震性が低いとされています。
3.2.2. 地盤の影響を受けやすい
布基礎は、建物の荷重が柱や壁の下など特定の部分に集中します。そのため不均一な地盤や軟弱な地盤だと、沈下やひび割れのリスクがあります。
3.2.3. 湿気・シロアリの影響を受けやすい
ベタ基礎と比べると、湿気やシロアリの影響を受けやすいのも布基礎のデメリットです。ベタ基礎のように建物の底面全体がコンクリートで覆われているわけではないため、床下の土壌部分から地面の湿気が伝わって、建物がダメージを受けたり、シロアリの被害を受けたりするリスクがあります。
4. ベタ基礎と布基礎の違い
ベタ基礎と布基礎には、どのような違いがあるのでしょうか?以下の比較表にまとめました。
ベタ基礎 | 布基礎 | |
---|---|---|
構造 | 面で支える (底面全体を鉄筋コンクリートで覆った構造) | 点で支える (逆T字型の鉄筋コンクリートを打ち込む構造) |
耐震性 | 比較的高い | ベタ基礎と比べると低い |
不同沈下 | 起こりにくい | ベタ基礎と比べると起こしやすい |
使用する鉄筋コンクリートの量 | 比較的多い | ベタ基礎と比べると少ない |
コスト | コストがややかかる傾向 | コストが比較的抑えられる傾向 |
寒冷地仕様 | 布基礎と比べると向かない | 向いている |
湿気 | 比較的防ぎやすい | ベタ基礎と比べると湿気がこもりやすい |
シロアリの被害 | 被害を防ぎやすい | ベタ基礎と比べると弱い |
施工期間 | 大きな差はない |
建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎は、地震や湿気、シロアリに強いのが特徴です。ただし、そのぶん使用する鉄筋コンクリートの量が多いため施工コストがかかります。
それに対して布基礎は、部分的に鉄筋コンクリートを打ち込む構造です。鉄筋コンクリートの使用量が少ないためコストを抑えられますが、耐震性や湿気・シロアリ対策の面ではベタ基礎よりやや劣ります。
4.1. ベタ基礎と布基礎の見分け方
ベタ基礎と布基礎のどちらが採用されているかは、建築の初期段階に施工現場を訪れることで確認できます。地面が一部見えている場合は布基礎、コンクリートで地面全体が覆われている場合はベタ基礎です。
ただし、建築がある程度進んだ段階や、すでに建物が完成している場合は、見た目で判別できないため建築業者に確認しましょう。
その他施工写真や断面図などでも、基礎の種類を判別できます。鉄筋の格子が全面に組まれていたらベタ基礎、一部にのみ組まれていたら布基礎です。
5. ベタ基礎と布基礎どちらがいい?選ぶときのポイント
住宅金融支援機構によると、経年で比較した場合「布基礎」の割合は減少傾向にあります。割合を示したグラフは、以下のとおりです。

日本の木造住宅では、伝統的な工法である布基礎が長らく採用されてきました。しかし、上記のグラフからもわかるように、1995年(平成7年)の阪神淡路大震災以降は住宅の耐震性への関心が高まり、ベタ基礎の割合が増加。それにしたがって布基礎の割合は減少し、現代ではベタ基礎が主流となっています。
ただし、家づくりで重視するポイントや地盤、気候条件などによって、適した基礎は異なります。
そこで、ここからは以下のポイント別に適した基礎の選び方を解説します。
- 耐震性
- コスト
- 気候条件
- シロアリ対策
5.1. 耐震性による選び方
一般的には、建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎のほうが、「面」で支える構造のため、耐震性があるとされています。
しかし、土地の地盤や建物の構造によっては、布基礎のほうが耐震性を確保しやすい場合もあります。例えば、建物の荷重が鉄骨の一部分に集中しやすい鉄骨系の住宅では、布基礎が適しています。
耐震性を重視した家づくりには、基礎以外の構造や間取り、地盤なども関係してきます。地盤調査の結果も踏まえ、総合的に検討しましょう。
なお、耐震構造や耐震等級は下記のコラムに詳細が載っていますので、併せてご覧ください。
>>耐震構造とは?制震・免震構造の特徴や違い、地震が与える影響などを解説
>>建売住宅の耐震等級とは?耐震強度の調べ方や購入前の注意点も紹介
5.2. コストによる選び方
コスト面では、布基礎のほうが鉄筋コンクリートの使用量が少なく、材料費を抑えやすいとされています。ベタ基礎が一般的でなかった頃は、施工コストも布基礎のほうが安価とされていました。
しかし、近年ではベタ基礎の施工技術が主流となり、コスト差が小さくなっているため、現在では大きな価格差が見られないケースもあります。
実際にかかる費用は施工会社によっても異なるため、複数社から見積もりをとり、内容や比較・検討することが重要です。
5.3. 気候条件による選び方

上記のグラフからもわかるとおり、北海道や東北地方、北陸地方では、他の地域と比べて布基礎の割合が多いです。特に寒さが厳しい北海道では、全国の傾向と逆転して、ベタ基礎より布基礎の割合が高くなっています。
これは、気温が氷点下になるような寒冷地でベタ基礎を採用すると、基礎ごと家が押し上げられる凍上現象が発生する恐れがあるためです。
それに対して、布基礎は地盤の凍結が起こる凍結深度より深いところに基礎を打ち込めるため、寒冷地で多く採用されています。
5.4. シロアリ対策による選び方
湿気・シロアリ対策では、建物の底面全体がコンクリートで覆われているベタ基礎のほうが有利です。布基礎は、床下の土がむき出しになっている部分から地面の湿気が伝わるため、湿気・シロアリの被害リスクが高くなります。
ただし、どちらを選んだ場合でも、床下の通気性を確保する、木材に防アリ処理をするなど一定の湿気・シロアリ対策は必要です。定期的に点検やメンテナンスをおこなうことで、住宅を長持ちさせられます。
6. 基礎工事の流れ

ベタ基礎と布基礎は、それぞれ特徴は異なるものの、基礎工事の工程や工期に大きな違いはありません。
基礎工事の主な流れは以下のとおりです。
1. 地盤調査
2. 地縄張り・遣り方工事
3. 掘削工事(根切り)
4. 砕石敷き
5. 捨てコンクリートを流す
6. 配筋・型枠を組む
7. コンクリートを流し、型枠を外す
6.1. 地盤調査
まず始めに地盤調査をおこない、適した基礎の種類を判断します。耐震性を確保し、地盤沈下を予防するために、必要に応じて地盤改良をおこないます。
6.2. 地縄張り・遣り方工事
地縄張りとは、建物を建てる位置に、目印として縄やロープ、ビニール紐などを張る作業です。
その後、図面に記載されている建物の情報を、実際の敷地に反映させる遣り方工事をおこないます。具体的には、杭などを打って仮設物をつくり、建物の位置や基礎の高さを決定します。
6.3. 掘削工事(根切り)
基礎をつくるために、パワーショベルや手作業で地面を掘り起こします。
ベタ基礎の場合は、建物の下全体の土を、布基礎の場合は基礎の立ち上がり部分のみの土を掘削します。
6.4. 砕石敷き
岩石を細かく砕いた「砕石」を敷き詰め、ランマーと呼ばれる機械で地盤を締め固めます。
ベタ基礎の場合は建物の下全体に、布基礎の場合は立ち上がり部分のみに砕石を敷き詰めます。
6.5. 捨てコンクリートを流す
砕石敷きのあと、建物の位置などの目印をつけやすくするために、コンクリートを流すことがあります。
あくまでも作業をスムーズに進めるための工程であり、建物の強度とは直接関係がないことから、このときに流すコンクリートを捨てコンクリートと呼びます。
6.6. 配筋・型枠を組む
鉄筋を図面通りに組み立て(配筋)、コンクリートで流し固めるために、木製や鉄の枠で囲みます。(型枠)
ベタ基礎では、建物の底面全体に鉄筋が入るのに対し、布基礎では基礎の立ち上がり部分のみに鉄筋が入ります。
6.7. コンクリートを流し、型枠を外す
コンクリートで流し固め、一定期間置いたあとに型枠を外します。
型枠を外したら、ひび割れなどの初期不良がないか確認。不要なコンクリートの除去などの仕上げをおこなったら、基礎の完成です。
7. 住宅の基礎を理解して住宅購入を検討しましょう
建物の土台部分にあたる基礎は、住宅の安全性や耐久性に直結する重要な要素です。
現代日本の木造住宅で採用される主な基礎構造としては、ベタ基礎と布基礎の2種類があります。建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎は、耐震性が高く、湿気・シロアリに強いのが特徴です。それに対して柱や壁の下に逆T字型の鉄筋コンクリートを埋め込む布基礎は、施工コストが抑えられる、寒冷地にも対応できるなどの特徴があります。
それぞれの基礎の特徴をよく理解したうえで、希望の住宅がどちらの基礎で建てられているか確認しましょう。
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