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建売住宅の寿命は?注文住宅より短いのは誤解?長持ちの方法も紹介

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建売住宅の寿命は30年前後と考えられていますが、実際には建売住宅の寿命は25年から90年程度と幅広く、高品質な建築基準に適合していれば50年以上も長持ちさせることが可能です。

さらに注文住宅と比べて建売住宅の寿命が短いわけではなく、建築基準を満たし、適切なメンテナンスを行えば長期的に住み続けられる住宅です。この記事では、建売住宅の寿命を延ばすためのポイントを紹介します。

1. 建売住宅の寿命はどれくらい?

建売住宅の寿命は、建物の構造や建築基準の適合度合いが大きな影響を与えます。ここでは建築基準法に基づいた建売住宅の寿命を紹介します。

1.1. 建売住宅の寿命は建築基準法に基づくと20年〜30年ほど

建売住宅の寿命は建築基準法に基づいて建設されている場合20〜30年ほどとされています。建築基準法では、建物の耐震性や構造強度などの最低限の基準を定めています。建売住宅の寿命は、以下のように建物の構造によって大きく異なるので、参考にしてください。

構造耐用年数 (住宅用)
木造・合成樹脂造のもの22年
木骨モルタル造のもの20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの47年
れんが造・石造・ブロック造のもの38年
参考:国税庁|耐用年数(建物/建物附属設備)
https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html

上記のように、建物には法定耐用年数が定められています。法定耐用年数とは、固定資産の価値が帳簿上から消滅するまでの期間を指します。

そのため、耐用年数が過ぎると住めなくなるのではなく、資産価値が徐々に減少するということです。

1.2. 高品質な建売住宅は50年ほど

寿命が50年ほどの建売住宅の場合は、劣化対策等級2の基準で設計されています。劣化対策等級とは、住宅性能表示制度によって定められた建物の劣化に対する対策の程度を3段階で評価する指標のことです。等級が高いほど、長期的な建物の耐久性が高いことを示します。

等級基準
劣化対策等級1・1世帯まで劣化対策が講じられている
・建築基準法に定める対策が施されている住宅
・耐用年数の目安は25~30年程度
劣化対策等級2・2世帯まで劣化対策が講じられている
・耐用年数の目安は50~60年程度
・改修工事が必要になるまでの期間を50~60年程度伸長できる
劣化対策等級3・3世帯まで最高水準の劣化対策が講じられている
・耐用年数の目安は75~90年程度
参考:国土交通省|新築住宅の住宅性能表示制度ガイド
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/070628pamphlet-new-guide.pdf

建築基準法で定める基準は、あくまで最低限の水準を定めたものです。高品質な建売住宅は、この基準を大幅に上回る品質で設計・施工されています。

劣化対策等級2は劣化対策等級3よりも資産価値は劣るものの、建築費が比較的安価なのが大きな利点といえます。

2. 建売住宅と注文住宅で寿命に差がない理由

同程度の仕様の場合、建売住宅と比べて注文住宅のほうが高価になることが多いですが、双方の寿命に大きな差はないことがわかっています。特に同じグレードの家であれば基本的に寿命の差はほとんどありません。

建売住宅と注文住宅の違いや価格差に関して詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。

>>建売と注文住宅の違いは?価格差や特徴の比較から選び方の目安までをご紹介

また、以下で建売住宅と注文住宅で寿命に差がない理由を解説します。

2.1. 建築基準法を遵守している

建築基準法では、建物の構造強度、防火性能、設備の基準などが定められています。建売住宅も注文住宅も、これらの基準を満たさなければ建築許可が下りません。

建売住宅と注文住宅は、同じ法的基準に基づいて建築されるため、寿命に大きな差が生じないのです。適切な維持管理さえ行えば、双方の寿命に大きな差はないといえるでしょう。

2.2. 住宅品確法で10年保証がある

建売住宅と注文住宅の寿命に大きな差がないのは、双方に共通する「住宅品質確保法」による10年保証制度が関係しています。

住宅品質確保法では新築住宅の引渡し後10年間、住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について、瑕疵(かし)担保責任が課されています。つまり建売住宅も注文住宅も、10年間は住宅メーカーや施工業者が瑕疵修繕の責任を負うのです。

この10年の保証期間は、手抜き工事のリスクを抑止し、低コスト住宅でも施工の品質を高めるために重要です。施工業者は長期的な品質を確保するために責任を負うことになります。このことから、住宅の寿命に影響する施工の品質が向上し、建売住宅と注文住宅の寿命に大きな差が生じないといえます。

2.3. 寿命に差があると誤解されている原因

建築基準法が大きく改正される前の建売住宅は、不動産会社が短期間で建設したため、工期を急ぐあまりビスの間隔が広すぎるなどの手抜き工事が行われていたことがあります。そのため、建売住宅の品質や耐久性に対する不安が生まれ、寿命が短いという誤解が広まってしまったようです。

一方、注文住宅はオーナーの要望に合わせて丁寧に建設されるため、そのような手抜き工事の問題は少ないと考えられています。このような過去の経緯が、建売住宅と注文住宅の寿命の違いに関する誤解の背景にあるといえるでしょう。

3. 寿命が長い建売住宅の選び方は?

これから建売住宅の購入を考えている方は、材料や工法、地盤の安全性などを考慮する必要があります。

3.1. 材料や工法を確認する

建売住宅の仕様書を確認し、高品質な建材が使用されているかチェックします。木材や断熱材、設備機器などの品質が高いと、建物の耐久性が高まります。また、建売住宅の施工方法も確認することが大切です。現在、国内の木造住宅の主な建築工法には木造軸組工法(在来工法)と2×4(ツーバイフォー)工法が挙げられます。

工法の種類概要
木造軸組工法・柱と梁の組み合わせによって建物全体を支える伝統的な工法
・柱や梁の材料や寸法を自由に選択できるため、柔軟な間取りが可能
・伝統的な木造建築の技術を活かし高い耐震性を実現できる
2×4工法・北米で発展した木造住宅の建築方式で、日本でも普及している
・2インチ×4インチの木材を使用して建物の枠組みをつくる工法
・柔軟な間取りには向かないものの、高い耐震性を備えている

それぞれ異なる特徴があるため、ニーズに合わせて適切な工法を選択することが重要です。

3.2. 土地や地盤の安全性を確認する

建売住宅を選ぶ際は、地盤の強度が十分であることを確認しましょう。弱い地盤では、建物の耐震性や耐久性に影響を及ぼす可能性があります。さらに万が一地震が起こった際、液状化リスクが高い地域は避けるのが賢明です。液状化すると建物の基礎が不安定になり、耐震性が低下します。

また、国土交通省が提示しているハザードマップを使えば、自宅や職場の周辺がどのような災害リスクにさらされているかを把握できます。建売住宅を購入予定の場所を事前に調べておくと安心です。

参考:国土交通省|重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/maps/index.html?ll=29.363027,136.999512&z=6&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0

3.3. 保証やメンテナンス制度が充実しているか確認する

建売住宅を長く使うためには、定期的なメンテナンスが重要です。メーカーの保証やアフターサービスの内容を事前に確認しておくことをおすすめします。例えば、定期点検サービスは、数年ごとにメーカーのスタッフによる無料の定期点検が行われ、建物や設備の状態を確認できます。

また、住宅の柱、梁、屋根など構造部分に対する保証制度、構造体保証があります。構造体の欠陥や不具合が発生した場合、無償で修理・補修をおこなうというものです。

その他にも以下のように、いくつかの保証やメンテナンス制度があります。

  • 防水保証(屋外部分の防水処置)
  • シロアリ保証
  • 設備の保証(水回りの保証)
  • 地盤保証

建売住宅を長く使うには、こうした保証やメンテナンスサービスを活用することが大切です。適切なメンテナンスをおこなうことで、建物の寿命を延ばせます。

3.4. 「住宅性能表示制度」を確認する

住宅性能表示制度とは、国に登録している第三者機関が、同一の基準によって、住宅の性能を10の分野で評価するものです。断熱性能、耐震性、バリアフリーなど、さまざまな性能を確認できるため、住宅選びの参考になります。購入前に物件がこの制度に基づいて評価されているかを確認することで、より安心して住宅を選べるでしょう。

参考:国土交通省|新築住宅の住宅性能表示制度ガイド
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/081001pamphlet-new-guide.pdf

3.5. 「劣化対策等級」を確認する

劣化対策等級は、住宅の構造や部材の劣化に対する対策の程度を評価した日本住宅性能評価基準です。等級が高いほど長期的な耐久性が高いことを示しています。

物件の劣化対策等級を確認することで、住宅の品質や耐久性を把握でき、より適切な住宅選択が可能になります。

3.6. 「フラット35S基準」の適用基準を満たすか確認する

フラット35Sは、長期優良住宅の普及を促進する法律に基づいて設けられた制度です。物件がフラット35Sの基準を満たすには、住宅性能表示制度の評価基準1~3を満たす必要があります。

主な基準として耐震性、省エネ性、劣化対策などです。物件がこれらの基準を満たしているかを確認することで、長期的な住宅の品質や耐久性を把握できます。購入前に必ず物件の性能等級がフラット35Sの基準を満たしているかを確認しましょう。

3.7. 内覧時のチェックを入念におこなう

内覧時は、壁や床、天井などの材質や仕上げ状況を確認しましょう。また、水回りの設備も確認が必要です。蛇口の開閉や排水の状態、浴室・洗面所の清潔さなども見ておきます。さらに電気設備についても、コンセントの数や位置、照明の状態などをチェックするのを忘れないようにします。

外観や周辺環境も見落とすことなく確認することが大切です。建物の外壁の状態、騒音の有無など、生活に関わる要素を漏らさずチェックしましょう。こうした入念な確認をおこなうことで、物件購入後の後悔を最小限に抑えられます。

4. 建売住宅の寿命を延ばす方法

建売住宅の寿命を延ばす方法としては、以下のような項目が挙げられます。

  • こまめに掃除やメンテナンスをおこなう
  • リフォームやリノベーションを検討する
  • メンテナンス費用を計画的に準備しておく
  • 寿命が近いときのサインを把握しておく

それぞれの内容を詳しく解説します。

4.1. こまめに掃除やメンテナンスをおこなう

建売住宅の寿命を延ばすには、こまめな掃除とメンテナンスが重要です。適切な日々の手入れによって、住宅の長期使用が可能になります。

また、定期的な清掃と点検により、劣化や故障の早期発見につながります。排水管や換気扇の清掃、結露予防など、メンテナンスを怠らないことが大切です。

4.2. リフォームやリノベーションを検討する

建売住宅で劣化や不具合が生じた場合、可能であればリフォームやリノベーションを検討するのが良いでしょう。リフォームにより間取りの変更や内装のカスタマイズが可能になり、住宅の価値を高められます。

リフォームにはさまざまなメリットがあり、例えば自分好みの空間づくりや、老朽化した設備の更新、断熱性能の向上などが期待できます。ただし、費用や手間がかかるというデメリットもあるため、十分に検討しましょう。

4.3. メンテナンス費用を計画的に準備しておく

建売住宅の所有者は、建設後も定期的なメンテナンス計画を立て、必要な費用を準備する必要があります。メンテナンスをおこなうことで、住宅の耐久性と価値を維持できます。

劣化が進んだ際にすぐメンテナンスができるよう、計画的な準備が必要です。必要となる補修費用は概算で800万円~1,000万円程度とされているため、年間10万円~50万円程度の修繕・更新費用を積み立てておくことをおすすめします。

4.4. 寿命が近いときのサインを把握しておく

建売住宅の寿命が近づいているサインを見逃さないようにしましょう。

構造場所サイン・修繕方法
外壁・壁の劣化が進行し、ひび割れが発生する可能性
・塗装、シーリングの打ち替え、張り替えが必要
屋根・屋根材の劣化により、防水性が低下する可能性
・塗装、ふき替えが必要
配管・経年劣化により、配管が詰まりやすくなる
・高圧洗浄、交換が必要
フローリング・畳・フローリングに凹みがある
・畳に傷みやダニが発生
・一部または全部張り替えが必要
窓枠・扉・開閉がしにくく雨漏りが発生
・交換が必要
床下・シロアリの発生
・業者による処理
ベランダ・雨漏りや色あせ、ひび割れが発生
・防水予防や補強が必要

これらの症状が見られたら、早めの修繕・更新が必要です。計画的なメンテナンスをおこなうことで、建売住宅の長期的な価値を維持できます。

5. 建売住宅の寿命に関するQ&A

建売住宅を購入するか悩んでいる方のために、よくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。

5.1. 建売住宅の寿命と耐用年数の違いは?

建売住宅の法定耐用年数は構造によって異なりますが、木造は22年と定められています。耐用年数は建物の資産価値が半減するまでの期間を示しています。つまり、耐用年数を過ぎると建物の資産価値が下がるということです。

しかし、建売住宅の実際の寿命は、適切なメンテナンスを行えば30年以上続くことがあります。法定耐用年数は建物の資産価値の目安で、定期的な補修と管理を行えば、建物自体の寿命は耐用年数を大きく上回ることが可能です。

下記で実際の寿命の違いなどを解説しているので、併せてご覧ください。

>>木造住宅の耐用年数は何年?実際の寿命との違いや長く住むためのコツも解説

5.2. 売れ残った建売住宅はどうなる?

国土交通省の新築の定義には以下の内容があります。

「新築住宅」とは、新たに建設された「住宅」であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものを言います。
引用:国土交通省|Q&A [2.新築住宅]
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/rikouhou/qanda2.html

そのため建売住宅を新築一戸建てとして販売しても、完成から1年以内に売却されないと、中古扱いとなってしまいます。不動産は他の製品と違い、廃棄することができません。売れ残った建売住宅は、中古物件として販売します。中古物件としての価格は新築時より低くなるため、売り主にとっては大きな損失となりますが、買い手側は安く入手できます。

ただし、新築物件では瑕疵担保期間10年保証の対象になりますが、中古物件は対象外となるため、購入する際は上記の問題に考慮しましょう。

また、中古物件を購入するメリットやデメリットを下記で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

>>建売住宅が売れ残る理由は?購入するメリットやチェックポイントを紹介

5.3. 建売住宅のメンテナンス費用は?

建売住宅のメンテナンス費用は、年間30万円~60万円程度とみられています。

内訳は以下のとおりです。

  • 固定資産税:10万円~20万円
  • 修繕費:10万円~20万円
  • 保険料:1万円~10万円

また、5年周期のメンテナンス費も念頭におくことが大切です。5年に1度が目安のシロアリ対策費用は10万円以上かかります。さらに10年後の外壁や屋根の大規模修繕には約100万円、保険料は10年で200万円かかるとみておきましょう。設備の点検や清掃、定期的な修繕をおこなうことで、長期的な性能の維持と居住の快適性が保たれます。

6. 建売住宅の寿命を把握して安心の暮らしを

建売住宅の寿命は注文住宅よりも短いと誤解されがちですが、実際は大差なく注文住宅と同じ20〜30年が寿命といわれており、適切なメンテナンスと高品質な建材と設計であれば、50年以上も可能です。

建売住宅は不動産会社が設計・施工するため、購入者の希望を反映しにくいという欠点があります。しかしその反面、土地と建物がセットになっていてリーズナブルな価格が魅力です。定期的な清掃や修繕を行えば、建売住宅も長く快適に住めます。建売住宅の寿命を把握することで、安心できる暮らしが手に入るでしょう。

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