オール電化はやめとけといわれる理由は?メリットやガス併用との比較を解説

目次
一建設の分譲戸建住宅
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近年、新築住宅の設備を決める際、オール電化は環境に優しく便利な選択肢として注目を集めています。しかし、その評価は賛否両論あり、「やめておいたほうが良い」というアドバイスを受けることも少なくありません。
その背景には、電気料金の高騰リスクや停電時の生活への影響、そして導入時の高額な初期費用などの懸念材料が存在します。
一方で、火を使用しないことによる安全性の高さや、深夜電力を活用することで実現できるランニングコストの削減など経済的な利点もあります。
しかし、実際の使用経験がない方にとっては、具体的にイメージすることが難しいでしょう。そこでこの記事では、オール電化のメリット・デメリットやガス併用との比較を解説します。
1. そもそもオール電化とは

オール電化は、家庭で使用するエネルギーをすべて電気でまかなうシステムです。ガスコンロ・ガス給湯器の代わりに、IHクッキングヒーターや電気温水器を使用することで、化石燃料を使用せず電気だけで生活できるようになります。
特に給湯設備として人気なのが、大気中の熱を利用して効率的にお湯を沸かすヒートポンプ式給湯器「エコキュート」です。夜間電力を活用することで、電気料金の節約にもつながります。
2. オール電化はやめておけといわれる理由
インターネットで「オール電化」と検索すると「オール電化 やめとけ」というキーワードが目立ちます。なぜそのようにいわれているのか、ここではオール電化住宅における懸念点を8つまとめました。
- 昼間の電気代が高い
- 導入費用が高額
- 停電時に多くの機能が使えない
- エコキュートに不満を感じる
- 定期的にメンテナンスが必要
- 暖かさを感じにくい
- 使える調理器具が限定される
- 電磁波による影響がいくらか生じる
2.1. 昼間の電気代が高い
オール電化を導入する際の電気料金は、時間帯によって単価が割高になることがほとんどです。東京電力エナジーパートナーを例にまとめました。
時間帯 | 電気料金(円/kWh) |
---|---|
午前6時〜翌午前1時(昼間時間帯) | 35.76円 |
午前1時〜午前6時(深夜時間帯) | 27.86円 |
このような料金体系は、電力需要の分散を図る目的があります。効率よく電気代を抑えるためには、エコキュートのお湯沸かしのような大きな電力を使う作業を、割安な深夜時間帯にできるだけ集中させることが大切です。
2.2. 導入費用が高額
オール電化を導入する際、エコキュートとIHクッキングヒーターを同時に設置しようとすると、初期費用が高くなる点に注意が必要です。
エコキュートの本体価格は一般的に15万円〜35万円前後、IHクッキングヒーターは5万円〜10万円前後が相場となります。さらにここから設置工事費も加わるため、トータルで50万円以上の費用がかかることもあります。
特に、ガス給湯器と比べるとエコキュートは導入する際のコストが高くなりやすく、負担が大きくなるかもしれません。
2.3. 停電時に多くの機能が使えない
オール電化を導入する際の注意点として、停電すると生活に必要な機能が使えなくなることが挙げられます。電気のみで調理・給湯・暖房をまかなうため、停電が発生するとIHクッキングヒーターでの調理ができず、エアコンも作動しなくなります。
特に災害時は、電気の復旧が遅れることもあり、長時間の停電に備えた対策が必要です。
このような理由から、オール電化は災害時のリスク管理の面で課題があると指摘されています。対策としては、非常用発電機やポータブル電源の準備、カセットコンロの併用などが挙げられます。
2.4. エコキュートに不満を感じる
エコキュートに対して失敗したと感じる要素を下記にまとめました。
- 初期費用が高い
- タンク内の湯切れが起こる
- エコキュートの設置スペースが必要
- 電気代が高い時間に電気を使うことが多かった
- 室外機の音が気になる
- エコキュートの水は飲めない
- 使用できない入浴剤がある
- ガス給湯器と比べて水圧の弱さを感じる
エコキュートを選んで後悔しやすいポイントは、タンクの容量とお湯を利用するタイミングです。
家族の人数や生活スタイルに対して小さすぎるタンクを選んでしまうと、お湯が不足する事態が発生します。特に冬場はお風呂の追い焚きで想定以上にお湯を使用するため、不足しがちです。
また、深夜電力の時間帯で沸かしたお湯を日中に使い切ってしまい、昼間の高額な電気料金時間帯で追加の沸き上げが必要になるケースもあります。
これらの失敗を防ぐには、導入前に容量を計算することと、使用開始後の細かな設定調整が重要です。
2.5. 定期的にメンテナンスが必要
エコキュートのように貯湯式の給湯器内には、水に含まれる不純物や配管からの錆などが徐々に沈殿し、タンク内に溜まります。
そのため、年2〜3回の定期的なメンテナンスが必要不可欠です。メンテナンス作業は慣れてくれば効率的におこなえるようになりますが、最初のうちは時間と手間がかかることを念頭におく必要があります。
また、エコキュートは一般的に10年を経過すると、機器の経年劣化により故障のリスクが高まります。長期的な使用を考えた場合、機器の交換を視野に入れた計画を立てるのがおすすめです。
特に、故障時の修理費用には注意が必要です。延長保証に加入していれば高額な修理費用を削減できますが、未加入の場合や保証期間が切れている場合は、予想以上の費用が発生する可能性があります。
そうした事態に直面した家庭では、「コストパフォーマンスが悪い」「導入を後悔した」などの声もあるようです。
2.6. 暖かさを感じにくい
ガスファンヒーターはスイッチを入れるとすぐに温風が出るため、寒い部屋でも短時間で暖まります。
一方、オール電化で主に使われるエアコンや床暖房、蓄熱暖房機は、暖まるまでに時間がかかります。特に寒冷地のような即暖性を重視する場合は、補助暖房の導入が必要になるかもしれません。
2.7. 使える調理器具が限定される
オール電化のキッチンでは、IHクッキングヒーターを使用するため、IH対応の専用調理器具が必要です。IH利用時は底面が鉄やステンレス製で磁力に反応するものでなければ加熱できず、従来のガスコンロ用の鍋やフライパンは使用できないことがほとんどです。
特に、アルミや銅製の鍋、底が丸い中華鍋などは使えないため、新しい調理器具を揃える必要が出てきます。
2.8. 電磁波による影響がいくらか生じる
電磁界情報センターによると、IHクッキングヒーターを使う際に発生する電磁波は、一般的な家庭用電気製品と同等レベルで、通常の使用では健康に有害な影響を与えることはないとされています。
ただし、IHクッキングヒーターの電磁波がペースメーカーの誤作動を引き起こす可能性があるため、心臓用ペースメーカーを装着している方は注意が必要です。
IHクッキングヒーターを導入する際は、事前にかかりつけの専門医に相談し、安全に使用できるか確認することが推奨されています。メーカーの注意事項も必ずチェックし、適切に使うことが大切です。
参照:日本心臓ペースメーカー友の会「ペースメーカー関連Q&A」
3. オール電化のメリット

もちろんオール電化にはメリットもたくさんあります。以下では5つの良い点を解説します。
- 光熱費を抑えられる可能性がある
- 災害時の対策になる
- 火災のリスクが低い
- ガスの工事が不要
- 補助金がでるケースがある
3.1. 光熱費を抑えられる可能性がある
オール電化と電気・ガス併用を料金面で比較すると、オール電化は基本料金を一本化できるため、光熱費を抑えられる可能性が高いとされています。
特に給湯にかかるランニングコストでは、エコキュートが最も経済的であり、電気温水器の光熱費はエコキュートの約4倍にもなるというデータもあります。
パナソニックが公開している比較データによると、各給湯機の年間にかかるコストは以下のとおりです。
給湯方式 | 年間ランニングコスト | エコキュートを1とした場合の比率 |
---|---|---|
家庭用ヒートポンプ給湯機(エコキュート) | 約37,200円 /月々約3,100円 | 1 |
電気温水器 | 約157,200円 /月々約13,100円 | 約4倍 |
ガス給湯器(都市ガス) | 約76,800円 /月々約6,400円 | 約2倍 |
石油給湯機 | 約88,800円 /月々約7,400円 | 約2倍 |
このように、エコキュートは他の給湯機と比べてランニングコストが安いため、長期的に光熱費を抑えたい家庭にとって魅力的な選択肢となります。
3.2. 災害時の対策になる
災害時のライフライン復旧における電気の優位性は、オール電化住宅の重要なメリットの一つとなっています。内閣府防災情報が想定する東京湾北部地震(M7.3)のケースでは、電気の復旧は他のライフラインと比較して著しく早いと予測されています。
- 電気が復旧するまでの期間:6日
- 水道が復旧するまでの期間:30日
- ガスが復旧するまでの期間:55日
※上記は各事業者からの聞き取りによる復旧目標日数
この予測は東日本大震災の実績からも裏付けられており、9割程度の復旧に要した日数を比較すると、水道が24日、ガスが34日かかったのに対し、電気は6日で復旧していました。
なお、エコキュートを導入したオール電化住宅では、災害による断水時にも貯湯タンク内の水を活用できる利点があります。
エコキュートには停電時でもタンク内のお湯を取り出せる専用の取水栓が設置されており、断水した状況でもタンク内に残っているお湯を生活用水として利用可能です。
参照:内閣府防災情報|被害想定結果について 内閣府(防災担当) 作成資料
3.3. 火災のリスクが低い
IHクッキングヒーターは火を使わずに加熱できるため、火災のリスクが低く、安全性が高いことがメリットです。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭でも、ガスコンロの消し忘れや失火の心配がなく、安心して使用できます。
また、CO(一酸化炭素)が発生しないため、一酸化炭素中毒のリスクもありません。さらに、IHはフラットなガラストップなので、吹きこぼれや油汚れがついてもサッと拭くだけで掃除が簡単です。
3.4. ガスの工事が不要
オール電化はガスを一切使用しないため、新築やリフォーム時にガス工事が不要です。
通常、ガスを使用する住宅では、ガス管の引き込み工事や配管工事が必要になり、その分の施工費が発生します。
しかし、オール電化ならガス設備を設置する際の初期費用が不要なため、その分安く抑えられます。
3.5. 補助金がでるケースがある
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)またはZEH+の戸建て住宅は、太陽電池モジュールやソーラーパネルなどの太陽光発電で再生可能エネルギーを活用し、エネルギー消費を抑える住宅として国が推進しています。
ZEH住宅では、高性能な断熱材や省エネ設備、太陽光発電と蓄電池の導入が求められますが、設備費用の一部を補助金で賄えるため、導入コストを抑えながらエコな暮らしが実現できます。
例えば、高額な初期費用の負担を軽減できる選択肢として、経済産業省資源エネルギー庁の「給湯省エネ2025事業」による補助金制度が挙げられます。(2025年2月末時点)
エコキュートの新規導入や既存機器からの買い替え・交換に対して、最大13万円の補助金が交付される制度です。
また、自治体独自の補助金制度を設けているケースもあります。地域によって支給額や条件が異なるため、事前に各自治体へ問い合わせましょう。
なお、ZEHの詳細やZEH補助金を知りたい方は下記のコラムも併せてご覧ください。
>>ZEH(ゼッチ)住宅とは?義務化?種類やメリット・デメリットを紹介
>>【2025年】ZEH補助金とは?条件や併用可能な減税や控除、申請時の注意点を解説
4. オール電化と電気・ガス併用の比較
オール電化と電気・ガス併用どちらにするか悩んでいる方は下記の表を参考にしてください。
オール電化 | 電気・ガス併用 | |
---|---|---|
導入費用 | 高額な傾向 | 低額な傾向 |
光熱費 | 電気に一元化できる。夜間割引があり、比較的安価。 | 電気・ガス双方の基本料金が必要 |
災害時のライフライン | 電気は復旧が早い。断水してもタンクの水が使える。 | 停電時にコンロなどガス機器が使用できる。 |
暖房機器の快適性 | 電気の暖房機器は、部屋を暖めるのに時間がかかる。 | ガスの暖房機器は、部屋を素早く暖められる。 |
調理の機能性 | IHの掃除がしやすい。調理器具が限られる。 | 強火で調理できる。従来の調理器具が使える。 |
水圧 | 低め | 高め |
湯切れ | 場合によってはあり | なし |
設置スペース | スペースが必要 | スペースは少なめ |
安全性 | 電磁波による影響がある | 火災に注意が必要 |
オール電化は深夜電力の活用で光熱費の削減が期待できる一方、初期費用が高額になる特徴があります。また、電気・ガス併用は災害時のリスク分散にもなりますが、二重の基本料金が必要です。
どちらを選ぶかは、家族構成やライフスタイル、住まいの環境、予算などを十分に考える必要があります。特に、調理時の使い勝手や給湯設備の違いは、日常生活に大きく影響するため、慎重に選びましょう。
5. 太陽光発電とオール電化の相乗効果について
オール電化住宅では、太陽光発電や家庭用蓄電池を併用することで、さらに大きなメリットを得られます。特に、エコキュートと太陽光発電を組み合わせることで、省エネ・節約・環境保護の3つの効果が最大限に発揮されます。
エコキュートは、夜間の割安な電力を利用してお湯を沸かす仕組みですが、太陽光発電を併用することで、昼間に自家発電した電気を使ってお湯を沸かすことも可能です。
これにより、電力会社からの購入電力量を減らし、光熱費をさらに抑えられます。また、余った電力を家庭用蓄電池に貯めることで、夜間や停電時にも電気を有効活用でき、より安定したエネルギー供給ができるでしょう。
再生可能エネルギーの活用はCO₂排出量の削減につながるため、地球環境に配慮した優しい選択肢となります。
6. オール電化を選ぶときに理解しておくべきポイント

オール電化にする際は、事前に把握しておきたい内容が3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 今後も電気料金が高い状態が続く可能性がある
- 初期費用とメンテナンスを理解する
- IHやエコキュートの特性を理解する
6.1. 今後も電気料金が高い状態が続く可能性がある
経済産業省 資源エネルギー庁の発表により、2025年1月使用分から電気料金補助が再開されています。これにより、2025年3月使用分までの電気料金は、一時的に値下がりする見通しです。(2025年2月末時点)
しかし、電気料金の根本的な値上がりの原因となっている天然ガスの価格上昇は、2025年以降も続くと予測されています。さらに、石炭の価格も2050年まで上昇が続く見込みで、日本の電力の多くを支えている火力発電のコスト増加が避けられない状況です。
特にウクライナ情勢の影響で、ロシア産以外の天然ガスの需要が世界的に増加しています。一方で、脱炭素の流れが強まり、ガス田の開発や投資が少なくなっており、供給量を増やすことが難しく、価格高騰が続いています。
このような状況から、日本の電気料金は政府の補助があっても上昇する可能性が高いです。
6.2. 初期費用とメンテナンスを理解する
前述したように、エコキュートはガス給湯器に比べて導入費用が高額になることを事前に理解しておくことが大切です。
また、毎日快適に使用するためには、定期的なメンテナンスも欠かせません。例えば、貯湯タンク内の清掃やフィルターの点検を怠ると、性能が低下し故障の原因になることがあります。
導入費用だけでなく、ランニングコストやメンテナンスの手間も考慮し、自分や家族にとって最適な給湯設備を選ぶようにしてください。
6.3. IHやエコキュートの特性を理解する
オール電化は1990年頃から普及しはじめた比較的新しい住宅設備システムです。そのため、従来のガスコンロやガス給湯器と比べて、使用方法や特性に戸惑う方も多く見られます。
例えば、IHクッキングヒーターでは、調理の際に鍋を振る調理法が使えず、またIH専用の調理器具が必要となるため、使い慣れた調理器具が使用できないこともあるでしょう。
給湯面では、「エコキュートでシャワーの水圧が従来のガス給湯器より弱く感じた」「想定以上にお湯を使用して深夜に不足した」などの懸念点が挙げられます。また、エコキュートの室外機から発生する騒音が気になり、隣家とトラブルになったケースも報告されています。
このように、オール電化には従来の設備とは異なる特徴や制約があるため、導入を検討する際には、自身の生活スタイルや入浴の時間帯などの生活パターンと照らし合わせ、実際の暮らしに適しているかを十分に検討することが大切です。
7. オール電化について事前に理解をしておこう
オール電化は、省エネと利便性を両立した住宅設備システムとして注目されています。しかし、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの設備の使い勝手や初期導入コスト、定期的なメンテナンスの必要性など、生活に直接影響する要素を十分に理解しておく必要があります。
オール電化の導入には、自身のライフスタイルとの相性を見極めることが重要ですが、実際に体験した方の声や専門家のアドバイスを参考にするのもおすすめです。
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