マンションの売却について、大変そうなイメージはあるものの、実際にするとなったら何から始めればいいのか、やるべきことがわからない方も多いでしょう。
具体的な検討へと進むには、まずマンション売却の全体像を把握することが大切です。
そこで今回は、マンションの売却を7つのステップに分けて解説します。
また、売却にかかる時間や費用、入金のタイミングなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
INDEX
マンション売却の流れ7ステップを紹介
マンションを売却するには、査定や不動産会社との媒介契約、売却活動などいくつかのステップを踏む必要があります。
そこで、ここからは事前準備から決済・物件の引渡し、確定申告まで、マンション売却の流れ7ステップを解説します。
マンションの売却に必要な書類については「【STEP1】事前準備」をご覧ください。
また、マンション売却活動のポイントについては、「【STEP4】マンションの売却活動を開始する」で解説しています。
【STEP1】事前準備
まずは、売却の目的やスケジュールを家族で話し合いましょう。住宅ローンがある場合はその残債、新居を購入する場合はその資金計画なども確認しておきます。
さらに、おおよその売却相場やスケジュール感など売却活動に関する基礎知識を身につけておくと、マンション売却をスムーズに進められます。
また、次のステップとなる不動産会社への査定依頼では以下の書類が必要です。事前に準備しておきましょう。
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 公図や土地の測量図、建物の図面など物件の情報がわかるもの
- 登記済権利証または登記識別情報
【STEP2】不動産会社にマンション査定を依頼する
マンション売却に関する資金計画やスケジュールの大まかなイメージがつかめたら、不動産会社に査定依頼をします。
査定とは、マンションがいくらで売れそうか、売却見込み価格を算出する作業です。
不動産会社の査定には簡易査定と机上査定、訪問査定の3つの方法があります。
まずは、おおよその相場観を把握するために簡易査定を利用。
その後、複数の不動産会社に机上依頼を依頼し、候補となる数社に訪問査定を依頼するのが一般的な流れとなっています。
簡易査定
簡易査定とは、不動産会社のホームページなどに物件の所在地や床面積、メールアドレスなどを入力するだけで、おおよその売却見込み価格が確認できる査定方法です。
条件が類似した物件の過去取引から数値を算出するため、精度はあまり高くありませんが個人情報の入力が不要で、入力後すぐに査定結果がわかるというメリットがあります。
机上査定
机上査定とは、立地条件や周辺物件の取引事例などの物件の情報を参考に、不動産会社の担当者が査定価格を算出する方法です。
人による作業のため査定結果がわかるまで即日〜3日の時間を要しますが、より詳細な物件情報をもとに算出するため、簡易査定より精度の高い方法です。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が現地を訪れ、物件の内外をチェックして査定価格を算出する方法です。
現地調査をおこなうため、担当者との日程調整が必要なほか、査定結果がわかるまで数日〜1週間程度を要しますが、物件の状況や周辺環境を実際に確認して査定額を算出するため、もっとも精度の高い査定方法です。
【STEP3】媒介契約を結ぶ
不動産売却の実績や査定、担当者の対応などから仲介を依頼する不動産会社を選んだら、媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産会社に買い主を探してもらい、取引が成立するように間に入って活動してもらうための契約です。
媒介契約では、売却活動の内容や手数料の条件などを定め、その種類としては一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。
それぞれの主な特徴は以下のとおりです。
一般媒介契約
複数の不動産会社へ仲介を依頼できる契約タイプです。
契約期間の定めはなく、国土交通大臣の指定流通機構(レインズ)に登録し、積極的に取引相手を探す義務であるレインズの登録義務や、売り主に対する業務状況の報告義務がないなど、3つの契約形態のなかでもっとも自由度が高いのが特徴です。
売り主が自分で買い主を見つけてきて、不動産会社を挟まず直接取引する「自己発見取引」も認められています。
専任媒介契約
1社の不動産会社のみに仲介を依頼する契約タイプです。
契約の有効期間は3ヵ月以内でレインズへの登録義務があるほか、2週間に1回以上、売り主に対する業務状況の報告が義務付けられています。
定期的に売却活動の進捗を確認でき、なおかつ自己発見取引も認められていることから、拘束力と自由度のバランスが取れた契約形態です。
専属専任媒介契約
専任媒介契約と同様、1社の不動産会社にのみ仲介を依頼する契約タイプです。
自己発見取引は認められていないため、たとえ売り主が自分で買い主を見つけたとしても、不動産会社を通じて契約を結ぶ必要があります。
しかし、不動産会社には5日以内のレインズへの登録、1週間に1回以上の業務状況報告が義務付けられているため、積極的に営業活動をおこなってくれる可能性が高いのが特徴です。
3つの契約形態のなかでもっとも拘束力の強い契約形態です。
【STEP4】マンションの売却活動を開始する
不動産会社と媒介契約を締結したら、買い手を見つけるための売却活動を開始します。
購入希望者を募る方法は、自社ホームページや不動産サイト、住宅情報誌への掲載、新聞の折り込みチラシやポスティングなどさまざまですが、基本的にこれらの活動は不動産会社がおこないます。
売り主がすべきことは、内覧の準備と当日の対応です。
購入希望者に魅力的な物件だと思ってもらえるよう、室内の掃除を徹底するほか、可能な範囲で修繕をおこないましょう。
不具合や欠陥、目立つ傷などがある場合は、信頼関係の構築やトラブル予防の観点から、正直に伝えることが大切です。
その他にもどのような質問がくるか予想し、物件のアピールポイントや伝えておくべき内容をあらかじめ整理しておきましょう。
【STEP5】マンションの売買契約を結ぶ
マンションの買い主が決まったら、売買契約を締結します。
売買契約では、売り主、不動産会社の担当者、買い主が集まり、契約書の読み合わせや重要事項の説明をおこないます。
契約書に署名と捺印をすれば、売買契約は完了です。
一度契約書に署名・捺印をすると、内容を変更することは難しく、場合によっては違約金を支払わなければならないケースもあります。
あとから「思っていた内容と違った」ということがないよう、よく契約書の内容を確認しましょう。
【STEP6】決済・物件の引渡し
決済および物件の引渡しは、売り主、不動産会社の担当者、買い主、金融機関の担当者が集まって、売買契約を締結した約1ヵ月以内の同じ日におこなわれるのが一般的です。
住宅ローンが残っている場合は、ここで住宅ローンの一括返済と、売却に必要な抵当権抹消登記もおこないます。
決済が終わったら、鍵や重要事項説明書などの書類を合わせてマンションを引渡し、取引は完了です。
【STEP7】確定申告をする
マンションの売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、売却した翌年2月16日〜3月15日の間に確定申告をする義務があります。
確定申告をしなかった場合、延滞税や無申告税、重加算税などが課税される恐れがあるため注意が必要です。
また、売却益が出ていない場合でも、要件を満たしていれば所得税や住民税の控除や特例が利用可能です。
こういった税負担の軽減制度を利用するためにも確定申告が必要になりますので、基本的にマンションの売却後は確定申告することをおすすめします。
マンション売却にかかる費用

マンションを売却しても、売却金額がすべて手に入るわけではありません。
マンションの売却には、仲介手数料や税金などさまざまな費用が発生するためです。
マンション売却にかかる費用は、主に手数料などの諸費用と印紙税などの税金の2つに分けられます。
諸費用
マンション売却にかかる主な諸費用としては、不動産会社に対する成功報酬である仲介手数料が挙げられます。
また、住宅ローンが残っているマンションを売却する場合は、抵当権抹消のためにかかる登記費用や、住宅ローンの一括返済にかかる住宅ローン返済手数料なども発生します。
税金
マンション売却にかかる主な税金としては、契約書や証書などの文書作成に対して課税される印紙税が挙げられます。
不動産に関する契約書にかかる印紙税は、契約書に記載されている金額が1,000万円超〜5,000万円以下の場合は2万円、5,000万円超〜1億円以下の場合は6万円です。
また、マンション売却の際に利益(譲渡所得)が発生した場合は、その金額に応じて所得税や住民税が課税されます。
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マンション売却で発生する税金はいくらかかる?簡単な計算方法や節税方法、シミュレーションをご紹介
マンション売却のお金の流れ
マンション売却にかかる諸費用の支払いや、売却代金の受け取りのタイミングはいつなのでしょうか?
マンション売却では、主に売買契約の締結日と決済・引渡し日に大きくお金が動きます。
売買契約の締結日
売却代金10~20%(手付金)の受領
売買契約書に署名・捺印したら、売り主は手付金として売買代金の10%~20%を買い主から受領します。
仲介手数料50%の支払い
売り主は、仲介手数料の50%を不動産会社に支払います。また、このとき契約書に貼付する印紙代も必要になります。
金融機関に一括返済の連絡を入れる
住宅ローンが残っているマンションを売却する場合は、売買契約締結後、決済・引渡し日が決まったら借入先の金融機関に連絡を入れます。
一括返済が必要な住宅ローンの残債を確定させるためです。
決済・引渡し日
残りの売却代金80~90%を受領
売り主は、残りの売却代金80〜90%を買い主から受領し、それと同時にマンションの鍵を引渡します、
仲介手数料の残り50%を支払い
売り主は、残りの仲介手数料50%を不動産会社に支払います。
金融機関に一括返済・登記費用の支払い
住宅ローンが残っているマンションを売却する場合は、金融機関に住宅ローンの残債を一括返済し、司法書士などに抵当権抹消のための登記費用を支払います。
これらの支払いには、買い主から受領した売却代金を支払いに充当するケースが多いです。
マンション売却にはどれくらいの時間がかかる?
マンションの売却活動開始から売買契約締結までにかかる期間は、平均で3〜4ヵ月といわれています。順調にいけば3ヵ月未満で売却できますが、場合によっては半年以上かかることも珍しくありません。
このためマンション売却にかかる時間は、準備期間を含めて半年〜1年程度みておくと安心です。
マンションの売却に必要な書類

マンションの売却には、不動産会社への申し込み時や売却活動中、契約・引渡し時に必要となる書類がたくさんあります。
売り主が用意しなければならない主な必要書類は、以下のとおりです。
申し込み時
- 身分証明書
- 登記済権利証・登記識別情報
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書・間取り図
- ローン残高証明書・返済償還表・抵当権抹消書類
売却活動時
- リフォーム履歴があればその確認書類
- マンション管理規約
- 固定資産税納付書・固定資産税評価証明書
契約・引渡し日
- 身分証明書
- 登記済権利証・登記識別情報
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 印鑑証明書・実印
- 住民票または戸籍附表
- 固定資産税納付書・固定資産税評価証明書
- ローン残高証明書・返済償還表・抵当権抹消書類
- 銀行通帳の控え
主に、権利関係は市役所、ローン関係は金融機関、マンション関係は管理組合で取得できます。
取り寄せるのに時間がかかる場合もあるため、早めに準備しておきましょう。
マンションを高く売却するためのポイント
マンションの売却を検討している場合、「少しでも高く売りたい」と思うのが、売り主の本音でしょう。
そこでここからは、マンションを高く売却するためのポイントを紹介します。
複数社に査定を依頼する
家を少しでも高く売りたい場合、複数の不動産会社に査定依頼するのがおすすめです。
査定価格は不動産会社によって異なるほか、複数社の見積もりを比べることでおおよその相場観を把握できます。
また、担当者の対応や会社ごとの特徴を比較できるため、信頼できる不動産会社を選ぶのにも役立ちます。
適切な売り出し価格を設定する
マンションの売り出し価格は、査定価格をもとに売り主が自由に設定できます。
とはいえ、相場価格からあまりにも乖離しているとなかなか買い手がつきません。売却のタイミングを逃した結果、大幅に値下げせざるを得ない状況に追い込まれることもあります。
売れ残りを防ぐには適切な価格で売り出すことが重要です。
国土交通省が運営している不動産情報ライブラリを利用する、複数の不動産会社に査定を依頼するなどして適正な相場を把握し、それに基づいた売り出し価格を設定しましょう。
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中古マンション売却時の査定方法と査定額アップのコツ、よくある質問
売りどきを見極める
マンションの売却時期としては、新生活に向けて物件を探す方が多くなる2〜3月がおすすめです。
一般的に、マンションでは12~15年に一度おこなわれる大規模修繕の直後も、建物の見た目がよくなるため売れやすくなります。
また、売りどきを見極めるには築年数も重要です。
一般的に、中古物件で人気なのは築10年未満といわれており、築10年を超えると物件の価格が急激に下がっていきます。
築30年になると建物の価値はほぼなくなり、底値でしか売れなくなるため、マンション売却を検討している場合は、できるだけ早く動き始めましょう。
余裕を持って売却期間を設定する
売却活動期間に余裕がないと、なかなか買い手が見つからず売れなかったとき値下げせざるを得なくなります。
一般的なマンション売却であれば半年〜1年ほど見ておけばじゅうぶんですが、築年数が古い物件や利便性の悪いエリアの場合、売却まで1、2年ほどかかってしまうこともあります。
焦って値下げすることなく、じっくり買い主を選ぶためにも、マンション売却のスケジュールは余裕を持って組むのがおすすめです。
【ケース別】マンションを売却するときの注意点

マンションを売却する理由は、住み替えや離婚、相続など人によってさまざまでしょう。
そこで、ここからは住み替え時、離婚時、相続時の3つのケース別に、マンションを売却するときの注意点を解説します。
住み替え時
住み替えや買い替えが目的で、まだ住宅ローンが残っているマンションを売却しようとしている場合は、売り先行が安心です。
売り先行とは、家を売ってから新居を探す方法です。
新居を買ってから家を売る買い先行では、新居の購入に合わせて家の売却を進めるため時間制限が生じます。
なかなか売却できないと、焦ってしまい相場よりも安い価格で売るはめになるかもしれません。
それに対して売り先行では、売却活動に時間をかけることができるため、好条件での売却が期待できます。
家の売却価格が決まってから新居探しを始めるため資金計画が立てやすいのも大きなメリットです。
また、「まとまった資金調達のため売却する必要があるが、本当は今の家を離れたくない……。」という方には、リースバックという選択肢もあります。
リースバックとは、自宅を売却したあと、賃貸としてそのまま住み続ける方法です。
住み慣れた環境を変えたくない方だけでなく、仮住まいが必要ない、引っ越しの手間が省けるなどの観点から、ゆっくり新居探しをしたい方にもおすすめの方法です。
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離婚時
結婚してから購入した不動産は、ローンを含めて離婚時の財産分与の対象です。
財産分与の割合は、原則として夫婦2分の1ずつとされています。
家の売却額がローンの残債を上回っていれば、売却代金を山分けすれば済みますが、家の売却代金でローンを完済できない場合は、残りの返済をどちらがどの程度負担するかを決める必要があるでしょう。
また、不動産が夫婦共有名義である場合、売却には相手の同意が必要です。
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相続時
土地や建物などの不動産の売却は、基本的に名義人でないとできません。
このため相続したマンションを売却するには、まず相続登記をして名義を変更する必要があります。
また、相続税の納税期限は相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内となります。
このため相続税の支払いにマンションの売却代金をあてようと考えている場合は、早めに動く必要があります。
まとめ
マンションの売却には大きく分けて、事前準備、不動産会社への査定依頼、不動産会社との媒介契約、売却活動、買い主との売買契約、決済・物件の引渡し、確定申告という7つのステップがあります。
売却活動には平均3、4ヵ月かかるため、全体のスケジュールとしては半年から1年程度みておくと安心です。
また、「経済的な事情により家を売却する必要があるものの、本当は今の家を離れたくない」方には、リースバックという方法もあります。
リースバックとは、売却した自宅に賃貸として住み続ける方法です。
住み慣れた環境を変えたくない方はもちろん、仮住まいが必要ない、引っ越しの手間が省けるなどの点から、ゆっくり新居を探したい方にもおすすめの方法ですので、ぜひ選択肢の一つとしてご検討ください。
一建設株式会社の「リースバックプラス+」では、お客様の状況やご希望に合わせたリースバックのプランを用意しております。
「標準プラン」では、賃貸として住んだ長さに応じて再購入時の価格が下がる業界初の試みを採用。さらに賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能です。
一方、早期の買い戻しを計画している方向けの「定期プラン」では、最大1年間賃料が0円になる「賃料優遇タイプ」と、契約期間を2年~5年と限定することで、買戻価格が売却価格と同額となる「買戻優遇タイプ」の2つから選べます。
無料のお試し査定もありますので、選択肢の一つとしてぜひ一度ご検討ください。