不動産の所有者は、毎年固定資産税を支払います。住宅ローンの返済と併せて税金を納めるのは、生活への負担が大きいもの。なかには、自分の意思で土地や建物を購入したわけではなく、遺産相続によって所有者となった方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、そんな固定資産税を払えないお悩みを抱えている方へ向けて、税負担を抑える方法をご紹介します。納税者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
固定資産税が払えなくなるケース
持ち家の場合には毎年固定資産税を納める必要があります。しかし、固定資産税が払えない状況になってしまう場合もあるので、どのようなケースがあり得るかを知っておきましょう。
老後の収入が少ない
固定資産税が老後に払えなくなるのはよくあるケースです。定年退職をして収入が少なくなり、生活費すら足りなくなることもあります。年金生活になると収入が減ることを想定して老後資金を用意しておかなかった場合には、定年退職後にすぐに払えなくなることもあります。老後の収入が少ないのが原因で預貯金が減っていき、払えなくなったという事例も多いので注意が必要です。
不動産の相続が発生した
親や祖父祖母などの親族が亡くなって不動産を相続したものの、固定資産税が払えないトラブルがしばしば発生します。不動産を所有すると固定資産税評価額に応じて毎年税金を納めなければなりません。相続は予期せず発生することがあり、準備が出来ていない場合も多いです。親族が残した貴重な遺産だと考えて相続したものの、固定資産税についての認識がなくて払えないというケースがあるので気を付けましょう。
固定資産税を払わなくていい場合
固定資産税には「免税点」というものが設けられています。
土地の課税評価額が30万円未満、建物の課税評価額が20万円未満の場合は固定資産税が課されません。
ただし、同一市区町村に複数の不動産を所有している場合は、それらを合算した評価額に対して固定資産税がかかるため注意が必要です。
固定資産税が払えないとどうなる?
固定資産税の納付期限を超えた場合は、督促・催告や延納金の発生、財産の差し押さえなどが行われます。
ここでは、固定資産税の納付期限を過ぎた場合に起こることを解説します。
督促・催告があり、延納金が発生する
期日までに固定資産税の支払いができないと「督促状」が送付されます。督促状は、支払い期限から20日以内に発行される書類です。督促状が届いた後も滞納を続けると、「催告書」が届きます。なお、固定資産税を滞納すると延滞金が発生します。延滞金の割合は、納期期日から1カ月以内で2.5%、1カ月超で8.8%です(令和3年1月1日~12月31日まで)。
財産が差し押さえられる
催告書が届いても固定資産税を払えなければ、財産の差し押さえ準備が始まります。滞納者の承諾なしに、役所の徴収職員によって財産調査や身辺調査が行われます。調査が終了すると、「差押予告書」が送付される流れです。万が一、差押予告書の期日までに払わなければ、財産の差し押さえが実施されます。まずは給与や預貯金から差し押さえられ、支払い切れなかった場合には、動産や不動産まで差し押さえられてしまいます。
公売にかけられる
差し押さえられた財産は公売にかけられて、売り手が見つかれば売却され、金銭に換えられます。こうして売却で得た資金から固定資産税を支払うことになるのです。もしも自宅を売却されたら、物件は第三者のものとなるため、速やかに退去しなければなりません。
固定資産税が払えないときのNGな対処法
納付書が届いても「払えないから仕方ない」と、固定資産税を支払わずにいるのはよくありません。特に、支払えないことを相談せず、何もしないと「納税する意志がない」と判断されてしまいます。郵送物だけでなく電話も無視したいと思うかもしれませんが、固定資産税を払えないときには放置することが最もよくない対処法です。
「固定資産税を払いたいけれど経済的な事情があって払えない」ということをまず伝えることが大切です。督促状が来ても無視してしまうと強制差し押さえになる可能性もあります。少しでも納税しようとする意志があることを示すと、必ずではありませんが猶予を確保できることもあります。
固定資産税が払えないときの対処法7つ
もしお金に余裕がなくて固定資産税を支払えないなら、どのような方法で対処すべきでしょうか。固定資産税が払えない場合の対処方法は以下の7つです。
- 自治体の担当窓口に相談
- 分納
- 減免
- 徴収猶予
- 換価の猶予
- 滞納処分の停止
- 土地・建物の売却
自治体の担当窓口に相談
まずは自治体の窓口に相談しましょう。固定資産税の納付書や督促状には電話連絡先が書いてあります。また、役所の総合窓口で固定資産税の相談をしたいと伝えれば、適切な窓口を案内してもらえます。以下で紹介する分納や減免、徴収猶予などを利用できるかどうかを判断できるので、自治体の窓口に連絡して対処法を提案してもらいましょう。
分納
固定資産税を期日までに払えない場合、事前に相談すれば分納できる可能性があります。分割払いの手続きは、役所の窓口や電話などで対応してもらえます。ただし、分納を依頼した後に滞納すると、差し押さえとなるおそれがあるためご注意ください。
減免
市区町村によっては、固定資産税や都市計画税の減免制度が設けられています。減免を受けるには、収入など一定の条件を満たしている必要があります。該当する方は、税負担が減ったり免除となったりする可能性があるため、申請を検討しましょう。
徴収猶予
徴収猶予とは、一定期間にわたり固定資産税の支払いを先送りにできる制度です。2020年以降は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、収入が減少した方に徴収猶予が認められるケースもあります。お住まいの自治体で確認してみましょう。
換価の猶予
換価の猶予とは、一定期間にわたり財産の売却や差し押さえが猶予される制度です。制度を利用するには、収入など一定の条件を満たすほか、税金を納付する誠実な意思が見られることが必須となっています。滞納がない場合のみ、猶予が認められる可能性があります。
滞納処分の停止
固定資産税をはじめとした税金を滞納し、さらに督促に応じない場合は、差し押さえた財産が公売にかけられ、強制的に徴収されます。これが滞納処分です。生活を維持できないほど窮迫するおそれがあるケースでは、滞納処分が停止される可能性があります。
滞納処分の停止が認められると滞納していた固定資産税を納税せずに済むようになります。滞納処分の停止は納税緩和制度の一つとして定められていますが、要件が厳しいことから老後になっても適用されるかどうかはケースバイケースです。
土地・建物の売却
土地・建物を売却することで固定資産税の対策ができます。土地・建物の所有者だから固定資産税の納税義務がありますが、不動産を手放してしまえば今後は納める必要がありません。現在納付しなければならない固定資産税も、売却代金から支払うことができるでしょう。差し押さえを受けて競売にかけられるよりも、売却した方が高く売れるのが一般的です。売却した後にどこに住むかは考えなければなりませんが、賃貸生活をしていけばもう固定資産税に悩まされることはなくなります。
固定資産税が払えないときはリースバックで住み続けながら資金確保
一般的な不動産売却ではマイホームからの引っ越しが必要ですが、「リースバック」なら慣れ親しんだ住まいで暮らし続けられます。リースバックでの資金確保をご検討ください。
リースバックとは?
リースバックとは、持ち家の売買と賃貸を組み合わせたサービスです。物件を売却して資金を得ながら、家賃を払って賃貸として同じ家に住み続けられます。調達した資金は使い道の制限がないため、固定資産税の支払いにも使用可能です。
リースバックのメリット・デメリット
メリット
リースバックは短期間で売却が成立しやすい方法です。仲介による売却とは異なり、不動産会社が直接に物件を買い取るので、速やかな売却が期待できます。固定資産税の支払いのために、急ぎで資金が必要なシーンにも対応しやすいのがメリットです。
また、リースバックでは家の所有・維持にかかる費用が不要となります。不動産の所有権は買主に移るため、売却後は固定資産税を支払う必要がありません。
リースバック商品のなかには、契約内容に「買い戻し特約」を盛り込めるものもあります。将来的に住宅を買い戻せる点が一般的な売却との大きな違いです。資金の用意ができたタイミングで自宅を取り戻したい方にもおすすめできます。
デメリット
リースバックでの売却価格は、仲介と比べて安くなる傾向にあります。相場よりも売却価格が下がるため、物件をできる限り高く売りたい方は、別の方法も検討してみましょう。
また、リースバックで売却した物件の家賃は、周辺の相場よりも高くなる可能性があります。リースバック後の家賃は、相場ではなく売却価格をベースに算出されるためです。売却額が高くなれば、家賃も上がることに留意しましょう。
[関連リンク]
リースバックの仕組みとは?メリット・デメリットや流れ、注意点をわかりやすく解説
固定資産税の支払いについての気になる疑問
固定資産税の支払いに関して、よくある疑問とそれに対する回答をご紹介します。気になるポイントを確認して、固定資産税にまつわる不安を解消しておきましょう。
遺産分割中の相続財産にも固定資産税はかかる?
遺産相続では、相続人全員で遺産分割協議を行い、手続きを完了させる必要があります。場合によっては、数カ月~数年の時間がかかることも珍しくありません。こうした遺産分割中であっても、固定資産税が発生する点に注意しましょう。まだ不動産の相続人が決まっていないときは、代表者が一時的に立て替えることが多いようです。立て替えた分の固定資産税は、正式に相続人が決まってから精算が行われます。
固定資産税は物納で払える?
物納とは、税金を金銭で納めるのが難しい場合に、不動産などの財産によって納めることです。固定資産税は現金での支払いが必須となっています。相続税で認められているような物納は、固定資産税では認められていません。
「固定資産税の対策にリースバックという選択肢」
今回は、固定資産税を払えないときに起こることや、税負担を抑える対処法をご紹介しました。固定資産税などの税金の支払いが難しいときは、条件を満たせば自治体で分納や減免などの対応が認められる場合があります。
あるいは、自宅を売却しながら住み続けるリースバックという選択肢もあります。一建設がご提案する「リースバックプラス」は、「標準プラン」と「定期プラン」があります。「標準プラン」は長く住むほど再購入価格が下がり、賃貸3年目以降に一建設の新築戸建てに住み替えが可能です。「定期プラン」は、最大1年間の賃料が0円になる「賃料優遇タイプ」と、買戻価格が売却価格と同一という「買戻優遇タイプ」があります。資金調達は「リースバックプラス」へご相談ください。
[関連リンク]