リースバックは、「まとまった資金が必要だけど、今の家を離れたくない」という方に便利な資金調達方法です。
しかし、その仕組みや取引の性質をよく知らずに契約してしまうと、「リースバック業者に騙された」と感じてしまうこともあります。
そこで、この記事ではリースバックでよくあるトラブルとその対策方法を解説します。
リースバックの利用を検討している方や、リースバック業者との契約を控えている方はぜひ参考にしてください。
INDEX
リースバックはれっきとした不動産活用手法の一つ
結論から言うと、リースバックはれっきとした不動産活用手法の一つで、消費者を騙すような詐欺的な手法ではありません。
自宅を売却し、その後も賃貸として今の家に住み続けることができる手法で、「まとまった資金が必要だけど、自宅を離れたくない」という方に便利な資金調達方法です。
一方、一部の悪質な業者に当たってしまったり、取引についてよく知らないまま契約してしまったりすると、「騙された」と感じてしまうこともあります。
そこで、ここからはリースバックでよくある以下のトラブルとその対策を解説します。
- 強引な勧誘で契約させられた
- 思ったより売却価格が低かった
- 思ったより家賃が高かった
- 買い戻しの金額が思ったより高かった・買い戻しできなかった
- 賃貸中に退去を命じられた
- 修繕費の負担で揉めた
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リースバックで騙された?トラブル事例①強引な勧誘で契約させられた
リースバックのトラブル事例一つ目は、「強引な営業を受けた結果、十分に検討することができないままリースバックの契約を進めてしまった」というケースです。
リースバックは今後のライフプランにも関わる可能性のある大きな決断です。
契約にあたっては注意点やデメリットについてもしっかり理解し、他の不動産売却手段とも比較検討をしたうえで利用するべきです。
対策:
リースバックの利用について相談した際に、「リースバックの良い面しか伝えてくれない」「契約を急かしてくる」といった対応を取られた場合は、その業者の利用をやめることを強くおすすめします。
正当なリースバック業者であれば、契約を急かしたり、無理に勧誘することはありません。
強引な営業をする業者は、利用者が不利になるような契約を結ばせてくることも多く、後から解約を申し出ても対応してもらえない悪徳業者である可能性が高いです。
強引な営業で押し切られそうになっても、その場で契約はせず、一度家族で話し合ったり、複数業者を比較検討するようにしましょう。
一建設では、お客様のリースバックご利用目的やご要望をヒアリングしたうえで「本当にリースバックが適切なのか」を率直にお伝えさせていただきます。リースバック以外の不動産売却手段についても知見をもった担当者が、お客様一人ひとりに合った最適な不動産活用方法をご案内させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
リースバックで騙された?トラブル事例②売却価格が低い

リースバックでのトラブル事例二つ目は、「思ったより家の売却価格が低かった」です。
リースバックにおける売却価格は、不動産会社の仲介による市場売却価格の60%〜80%程度といわれています。
不動産投資という観点から買い主が利回りを重視するためですが、この事実を知らずに契約すると「リースバック業者に騙された!」と感じる可能性があります。
リースバックは、家の売却価格が市場価格よりもやや低くなる代わり、売却後も自宅に住み続けられるというメリットがあります。
ただし、売却後は賃貸としてさらに家賃を支払って住むことになるため、今の家に住み続けられるというメリットと、経済面の兼ね合いを考えて利用を判断することが重要です。
対策:自分でも売却相場を調べる
リースバックにおける売却価格は、市場売却価格の60%〜80%程度といわれていますが、なかには相場をはるかに下回る金額を提示してくる悪質な業者もいます。
こういった悪徳業者に騙されないためには、国土交通省が運営している不動産情報ライブラリや、国土交通省から指定された不動産流通機構(REINS)が運営しているレインズマーケットインフォメーションなどで、自分でも自宅の売却相場を調べておくことが重要です。
また、複数のリースバック業者に見積もりを依頼すれば、金額の妥当性が判断できるだけでなく、より良い条件で契約してくれる業者を見つけられるでしょう。
リースバックで騙された?トラブル事例③家賃が高い
「思ったより家賃が高かった」というのも、リースバックでよくあるトラブルの一つです。
リースバックを利用して自宅に住み続けるには、買い主と賃貸借契約を結んで、月々の家賃を支払う必要があります。
しかし、リースバックの家賃は売却価格と同様、買い主の利回りの観点から、周辺相場と比べてやや高めに設定されることが多いです。
毎月の支払い負担をよく考えて契約しないと「自宅に住み続けられるメリットに対して家賃が見合わない」と騙されたように感じたり、家賃の滞納が続いてオーナーから強制退去を命じられたりする可能性があります。
対策:家賃と売却価格のバランスで判断する
リースバックにおける家賃・売却価格は、どちらも買い主の利回りに直結する重要な要素です。このため片方の価格設定は、もう一方の価格設定に大きく影響します。
なぜなら買い主の利回り的な観点からすると、買い取りにコストがかかる(売却価格が高い)ほど家賃を高くする必要があり、反対に買い取りのコストを安く抑えられれば(売却価格が低い)、そのぶん家賃を安くしても問題ないためです。
つまり、リースバックでは売却価格が高いほど家賃も高くなり、反対に売却価格が低いほど家賃も低くなります。
このため「今の家に長く住み続けたい場合は、売却価格より家賃を重視する」など、調達したい資金額や賃貸借期間に応じて、両者の価格バランスを考えて契約を結ぶことが重要です。
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リースバックで騙された?トラブル事例④買い戻し金額が高かった・買い戻しができない

将来、金銭的な余裕ができた場合は自宅を買い戻せる点も、リースバックの大きな魅力です。
しかし、業者や契約の内容によっては、買い戻し金額が思ったより高い、そもそも買い戻しができないなどの事態が発生し、「騙された!」と後々トラブルに発展することがあります。
対策:契約前に買い戻しの条件を確認する
リースバックで将来家を買い戻すためには、契約時に買い戻し特約や売買予約を結ぶ必要があります。
買い戻し特約とは、売却金額と同等の金額を支払うことで、売買契約を解除できる制度です。
法的拘束力が強い反面、契約後は定められた期間内(最長10年)に必ず買い戻さなければならないという条件があります。
一方、売買予約とは、売り主と買い主の間で再売買の予約をする手段です。
買い戻し特約より法的拘束力が弱い反面、買い戻し期間などの要件を自由に設定できるという特徴があります。
将来自宅の買い戻しを検討している場合は、両者のうち自分に合った方法を選択し、買い戻し期間や必要な金額については契約書に明記するようにしましょう。
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リースバックで騙された?トラブル事例⑤賃貸中に退去を命じられた
住み慣れた今の家を離れたくないという思いから、リースバックを選択する方も多いでしょう。
しかし、なかには賃貸中、契約更新やオーナーチェンジのタイミングで退去を命じられ、トラブルになることがあります。
対策:賃貸借契約の種類を確認する
賃貸借契約には、借主が希望すれば何度も契約を更新できる普通借家契約と、契約期間が満了したら退去となり、再契約には貸主と借主の合意が必要となる定期借家契約があります。
自宅に長く住み続けたい場合は、借主の意思だけで契約を更新できる普通借家契約を結びましょう。
ただし、リースバック業者によっては定期借家契約しか取り扱いがない会社もあるため、業者選びの段階で確認するようにしましょう。
また、リースバックでは、リースバック業者が倒産したり、物件を第三者に売却したりすることで、物件の所有者が変わる場合があります。
このようにオーナーチェンジが起きた場合も、基本的には契約時の内容がそのまま引き継がれます。
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リースバックで騙された?トラブル事例⑥修繕費の負担で揉めた

通常の賃貸借契約では、借主の故意・過失でない限り、物件の設備故障の修理費用は、貸主負担となります。
しかし、リースバックでは同じ所有者が住み続けることから、不具合の発見や特定が難しいです。
このため修繕費は借主負担となっているケースが多く、それを借主が知らなかった場合や貸主の説明が不十分だった場合、「騙された!」とトラブルになることがあります。
対策:契約内容を確認する
修繕費に関する取り決めは、リースバック業者や契約内容ごとに異なります。
のちのちのトラブルを避けるためには、修繕費だけでなく、管理範疇や退去時の原状回復などについても契約前に確認し、負担区分を明確にしておくことが重要です。
リースバックで後悔しないために。契約前に確認すべきこと
リースバックの利用で後悔しないためには、契約前に以下のことを確認する必要があります。
- リースバックのメリット・デメリットを理解する
- 信頼できる業者を選ぶ
- 損得をトータルで判断する
- 家族と相談する
リースバックのメリット・デメリットを理解する
リースバックには、家の売却でまとまった資金が手に入り、その後も自宅に住み続けられるというメリットがある反面、市場価格より売却価格が安くなる、家賃支払いが発生するなどのデメリットもあります。
このためまずはリースバックについてよく知り、そのメリット・デメリットを十分に理解することが、後悔しない判断につながるといえるでしょう。
信頼できる業者を選ぶ
リースバックを成功させるためには、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
同じ契約内容であっても、業者の説明が不十分だったり、交渉に対する姿勢や対応に問題があったりすると、「リースバックで騙された!」と感じる原因になります。
複数社に見積もりを依頼し、査定額だけでなく担当者の対応などもみて、信頼できるリースバック業者を選びましょう。
また、リースバックの利用は今後の生活に大きな影響を与える決断です。
それにも関わらず、契約を急かすような強引な勧誘・営業をする業者は信用できないため、避けるのが賢明だといえるでしょう。
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損得をトータルで判断する
どのような契約内容や特約がお得か、そもそもリースバックの利用が適しているかどうかは、本人の価値観や資金調達したい金額、自宅に住み続けたい期間などによって異なります。
例えば、賃貸借期間によっては、家賃の支払い総額が売却額を上回ってしまうケースもあります。
このためリースバックの利用を検討している場合は、家賃と売却価格とのバランスや将来的な住み替えなど、長い目で損得を判断するのがおすすめです。
家族と相談する
リースバックは不動産会社と直接取引するため、第三者に知られずに自宅を売却できます。
このためご近所や知り合いに気付かれずに、経済的な危機を乗り越えられるというメリットがありますが、それゆえ自宅を相続するつもりだった子どもや親戚とトラブルになることもあります。
リースバックの利用自体に推定相続人の同意は必要ありませんが、のちのちのトラブルを避けるためにも、相続関係者には自宅を売却することを話しておくのがおすすめです。
リースバック以外の選択肢は何がある?

自宅を活用した資金調達方法には、リースバック以外にも以下の方法があります。
- 市場での売却
- 買い取り
- リバースモーゲージ
それぞれの特徴やメリット、デメリットを知って、自分に合った方法を選択しましょう。
市場での売却
不動産仲介会社に買い主を探してもらう、または自ら買い主を探して家を売却する方法です。
リースバックや後述する買い取りなどと比べて高額で売却できる可能性が高いため、多額の資金を調達したいという方におすすめの方法だといえるでしょう。
しかし、こういった市場での売却には約3〜6ヵ月と時間がかかるほか、物件によっては買い手がつかず、結局売却できないこともあります。
買い取り
不動産会社に直接家を買い取ってもらう方法です。
不動産会社が買い主となるため家をただちに現金化できますが、リースバックと違って基本的に買い戻しはできません。
また、不動産買い取りにおける売却金額は、市場価格の60%〜80%程度となるのが一般的です。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、持ち家を担保として金融機関から融資を受ける方法です。
契約者は毎月借り入れによって発生する利息のみを支払い、死亡後持ち家を売却することで残債を一括返済します。
リースバックとの大きな違いは、自宅の所有権とお金の受け取り方法です。
リースバックは売買契約を結ぶため、自宅の所有権は買い主に移転します。
それに対して、リバースモーゲージは自宅を担保として融資を受けるため、生存期間中の所有権は自分のままで、死亡後に所有権が移転する仕組みです。
また、リースバックでは家の売却代金を一括で受け取ることができます。
それに対してリバースモーゲージは、主に高齢者の老後資金調達を目的としたローンであるため、年金のような形で毎年少しずつ融資を受けるケースが多くなっています。
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リースバック契約後にクーリングオフはできる?
悪質商法などから身を守るための制度としては、契約を結んだあと、一定の期間内であれば無条件に契約を取り消せるクーリングオフという制度があります。
しかし、残念ながらリースバックでクーリングオフは利用することができません。
なぜなら、クーリングオフは訪問販売や通信販売などの特定の取引において、「うっかり契約してしまった」「騙された」と感じた消費者が、契約を一方的に解除できる制度のためです。
リースバックの利用者はあくまでも売り主側となるため、クーリングオフは利用できません。
リースバックで騙されたと感じたときの相談先は?

もし悪質なリースバック業者に遭遇し、騙されそう、あるいは騙されたという場合の相談先としては、主に以下の2つが挙げられます。
- 消費生活センター
- 国民生活センター
消費生活センターとは、地方公共団体によって全国に約850ヵ所設置されている行政機関です。
消費生活に関するさまざまな相談や苦情を窓口や電話で受け付けています。
一方、国民生活センターとは、国が運営している相談窓口です。
消費者センターとサービス内容はほとんど同じですが、消費者センターの対応は平日のみ。それに対して国民生活センターは、土・日・祝日も相談できます。
平日は仕事などでなかなか休みがとれないという方は、国民生活センターを利用すると良いでしょう。
まとめ
リースバックは、売買契約と同時に賃貸借契約を結ぶことで、自宅を売却しながら今の家に住み続けられる方法です。
通常の不動産売買や賃貸借契約とは異なるため、その違いやメリット・デメリットをよく知らないと「騙された」と感じてしまうことがあります。
リースバックの利用が適切かどうかは、今の自宅に住み続けたいという想いの強さや、売却価格や家賃設定、ライフプランによって異なります。
自宅を活用した資金調達方法には、リースバック以外にも市場での売却や買い取り、リバースモーゲージなどさまざまな選択肢がありますので、それぞれの特徴を知って、自分に適した方法を選択しましょう。
「リースバックプラス+」は、東証プライム上場の飯田グループホールディングスの傘下にある一建設が提供するリースバックサービスです。
ライフスタイルに合わせて「標準プラン」「定期プラン」の2つのプランを用意しています。
「標準プラン」では、普通借家契約を結ぶことで安心して自宅に住み続けることが可能。さらに賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能で、長く住めば住むほど買い戻し価格(再購入価格)が下がるという業界初の試みを導入しています。
一方、「定期プラン」では、最大1年間賃料無料の「賃料優遇タイプ」と売却価格と同額で買い戻しができる「買戻優遇タイプ」の2つを用意しています。
「賃料優遇タイプ」は、一時的な資金調達に力を入れたい、とにかく賃料を抑えたいという方に、そして「買戻優遇タイプ」は、早期の買い戻しを想定している方にそれぞれぴったりのプランです。
リースバックをご検討の際はぜひ、「リースバックプラス+」にご相談ください。