リースバックは、売却した家に住み続けられる制度です。愛着のある家に長く住み続けたいと思う人も多いでしょう。この記事では、リースバックの利用によって住み続けられる期間や契約の詳細、長期的に住むための手段、そしてリースバック契約時に留意すべき点について説明します。さらに、期限前に退去を余儀なくされるケースについても触れていますので、参考にしてください。
INDEX
リースバックで家に住める期間は契約で異なる
リースバックを利用する場合、不動産をリースバック会社に売買する際に必要な「売買契約」と、売却した家をそのまま賃貸物件として利用するために必要な「賃貸借契約」の2つの契約を締結する必要があります。
この2つのうち、家に住める期間に関わる契約は「賃貸借契約」になります。
賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類が存在し、どちらを選ぶかによって、住むことができる期間や契約の更新が違ってきます。
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
---|---|---|
契約期間 | 上限なし | 上限なし |
期間の定め | 期間の定めなしでOK 1年未満は期間の定めなし | 期間の定めが必要 |
期間満了時の更新 | 更新が前提 | 更新なし 再契約ができることもある |
貸主からの退去 | 正当な事由が必要 | 正当な事由は不要 |
リースバック後も長く住みたい場合は「普通賃貸借契約」がおすすめです。それぞれの契約形態での居住期間をさらに詳しく見ていきましょう。
普通借家契約なら長く住むことが可能
正当な事由とは
普通借家契約では、希望すれば居住を継続することができます。契約期間は定められていますが、期間が終了する際には、借主の希望により契約が更新されます。普通借家契約で契約の更新を断るためには正当な事由が必要です。では、正当な事由とは一体どのようなものなのでしょうか。
賃貸契約では借主が強く保護されるため、貸主の個人的な都合では正当な事由として認められません。
- 建物の老朽化により建て替えが必要
- 借主が物件に居住していない
- 貸主には他に利用できる物件がない
これらのような事情があれば、正当な事由として契約更新の拒否が認められる場合があります。ただし、正当な事由による契約の終了であっても、貸主から借主へ立退料を支払わなければならないこともあります。
定期借家契約なら2~3年
定期借家契約では、通常2〜3年間の居住が可能です。この契約形態は、更新が前提とされていないため、契約期間が終了すると退去しなければならない点はデメリットと言えます。リースバックでは多くの場合、定期借家契約が適用されますが、契約期間は話し合いによって調整できます。したがって、長期間住みたい場合は、契約期間を長めに設定するよう依頼すると良いでしょう。ただし、一般的には契約期間満了までは解約することはできませんので注意してください。
リースバックとは?
リースバックとは、自宅を売った後もそのまま住み続けられる取引方法です。病気や事故、子どもの進学、事業資金など、一定の金額が必要になった場合に、自宅を売却してまとまったお金を手に入れることができ、同時に愛着のある家に住み続けることが可能です。具体的には、自宅を不動産会社に売却し、その後賃貸契約を結び、毎月賃料を支払うことで居住が継続されます。生活環境を大きく変えずに資金が得られる方法として注目されています。なお、自宅を活用する資金調達方法にはリバースモーゲージもありますが、リバースモーゲージは自宅を担保にした融資です。リースバックは自宅を売却し賃貸にする方法であり、利用条件や特徴が異なります。
リースバックについて詳しく知りたい方はこちら
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リースバックで家に長く住むための3つの方法
リースバックの利点は、自宅を売却してまとまったお金を手に入れることができ、さらに賃料を支払うことで同じ家に住み続けられることです。
家に長く住むためには、売却先の選択が非常に重要です。以下で3つの方法をご紹介します。
- 普通借家契約対応の会社を選ぶ
- 定期借家契約でも再契約が可能な会社を選ぶ
- 物件を買い戻す
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
方法①普通借家契約対応の会社に売却する
リースバックを利用して、長期間住みたい場合、普通借家契約に対応している業者に売却することをおすすめします。普通借家契約はリースバック会社にとってリスクが高いため、定期賃貸借契約のみで普通借家契約に対応していないリースバック会社が多いです。定期賃貸借契約では、契約期間(リース期間)終了後は更新ができないため退去しなければなりませんが、普通借家契約では、借主の保護があり、特別な理由がない限り契約更新が拒否されることはありません。
ただし、普通借家契約を選べる会社で、例えば売却価格が低くなったり、賃料が高く設定されたりなど、不利な条件での契約を要求されることがありますので気を付けましょう。
方法②定期借家契約でも再契約できる会社を選ぶ
定期賃貸借契約では、賃貸借期間が終了すると契約は終わりますので、更新することはできません。ただし、当事者同士の協議によって再契約が可能な場合もあります。契約する前に、再契約交渉の可能性があるか、確認しましょう。
もし定期賃貸借契約の期間が終了しても住み続けたい場合は、再契約の可能性を探るためにリースバック業者に相談してみることも一つの方法です。定期借家契約を導入していても、借主が家賃滞納などのトラブルを抱えていない場合には、再契約が可能なリースバック会社も存在します。ただし、対応は会社によって異なるため、具体的な方針はわかりづらいのが現状です。リースバックに詳しい不動産会社に相談し、自身の希望に適うリースバック会社を紹介してもらうのも良いでしょう。
方法③売却した物件を買い戻す
買い戻しの際は期間に注意
住み続ける方法の一つとして、売却した自宅を買い戻すという手段があります。物件の買い戻しは、期間が定められているケースがあります。この期間はリースバック会社によって異なるため、将来買い戻しの可能性がある場合は、買い戻し期間や金額などの条件も比較検討しておきましょう。
また、買い戻しを希望する場合は、普通賃貸借契約での契約がおすすめ。期間が定められている定期借家契約では、買い戻しが実現しなかった場合に退去するほか選択肢がなくなってしまうためです。
普通借家契約で契約を更新しながら、買い戻しのタイミングと金額をうまく定めるといいでしょう。
リースバックの期限前に退去させられる3つのケース
リースバックの期限前に急に退去を申し渡されるケースもあります。2つのケースを見ていきましょう
ケース①家賃を滞納した
賃貸借契約において、どの形態であっても家賃の滞納は深刻な問題です。滞納が改善されない場合、賃借人は契約違反となり、強制的に退去を命じられる可能性があります。この問題を未然に防ぐためには、家賃の支払いを遅らせないことが極めて重要です。滞納が3ヵ月以上続くような状況は避けるようにしましょう。
なお、将来買い戻しを考えている場合は、1回でも家賃滞納があると買い戻しの権利を失うケースもあるため、特に注意しましょう。
ケース②再契約時に貸主から新たな条件が提示され納得がいかない
再契約時に貸主との間で意見の食い違いが生じる場合、貸主は強制的に退去を要求することがあります。具体的な例としては、貸主が大幅な賃料の値上げを求めたり、新たな契約条件を提示したりする場合です。これらの条件に借主が納得できないと、退去せざるを得なくなります。このような状況を避けるためには、契約更新に関して事前に貸主としっかり交渉を行い、自分の要望や条件を明確に伝えておくことが重要です。また、交渉の結果を文書化することも忘れずに行いましょう。交渉内容や合意事項を契約書に明記することで、トラブルを防ぐことができます。
ケース③リースバック事業者の経営悪化
貸主や借主の問題だけではなく、リースバック会社の経営悪化によっても退去させられるケースがあります。
このケースは定期借家契約を結んでいた場合に考えられるもので、リースバック会社の経営悪化や倒産によって第三者に所有権が渡った際、契約の満了にともなって退去を求められます。
このような状況を避けるためには、所有権が移ろうと貸借人としての権利を主張できる契約内容になっているかを確認することが重要です。経営悪化のリスクが少ない大手のリースバック会社を選ぶことも大切ですが、最も効力が高い契約内容を事前に詰めておくのが安全でしょう。
賃貸期間を延長することはできる?
リースバックの際、契約期間を延長することができるかどうかは、契約の内容によって異なります。
普通借家契約の場合は無条件で延長できる
普通借家契約では契約期間に上限がなく、借主の希望どおりに居住期間を無条件で延長できます。
契約期間は2年単位で設定されることが多く、2年ごとに更新を繰り返して住み続けるのが一般的です。貸主からは正当な事由がない限り契約更新を断られることはないため、長く住みたい場合は普通借家契約がおすすめです。
定期借家契約は再契約が必要
定期借家契約には契約更新のシステムがありません。そのため、続けて住みたい場合は、貸主の同意のもと再契約を交わす必要があります。再契約を前提として定期借家契約をおこなうリースバック会社も少なくありません。
メリットとしては、賃貸期間が決まっている代わりに普通借家契約に比べて好条件で住めることが挙げられます。また、今後住み続けるかどうか迷っている場合、再契約を前提として定期借家契約をすることで検討期間を設けることができるでしょう。
ただし、再契約はあくまでも新しく契約を結び直すことになるため、さまざまな契約条件の変更がある可能性も。収入と支出のバランスを見ながら慎重に検討しましょう。
リースバックの賃貸契約における3つの注意点
リースバックで賃貸契約を結ぶ際には、後々に後悔しないよう以下の3点に注意しましょう。
注意点①契約内容に注意する
リースバック契約は、売買契約と賃貸借契約を組み合わせた契約です。売却時には、契約書の内容をよく確認した上で契約を結びましょう。
売買契約書では、売買価格、決済(引渡し)の日程、買い戻しに関する取り決めについて確認してください。
賃貸借契約書では、まず普通借家契約または定期借家契約のどちらかを確認することが重要です。その他にも、期間、賃料、敷金の金額、賃料支払い方法と期限、修繕費、途中解約の方法、退去時の原状回復などの項目をチェックしましょう。
再契約や契約更新時の条件、賃料値上げの可能性についても、事前に話し合って契約書に明記してもらうことが必要です。希望を明確に伝え、希望に合致する契約を結ぶようにしましょう。
注意点②長期間住みたい場合はリースバック会社に相談する
長く住み続けたい場合は、まずリースバック会社に相談してみることをおすすめします。そのためには、自分の希望を尊重してくれる信頼できる業者を選ぶことが大切です。
契約を結ぶ前に、長く住みたいという意向を伝え、契約期間をできるだけ長く設定してもらうと安心です。ただし、契約期間を長くしてもらえたとしても、再契約が保証されるわけではないことに留意してください。
また、リースバックでは家賃が通常の賃貸よりも高くなる傾向がありますので、長期間住むことで家賃負担が増えてしまい、リースバック本来のメリットが失われる可能性があります。この点にも注意を払ってください。
注意点③定期借家契約が基本
リースバック利用時に取り交わされる賃貸借契約は、一般的に定期借家契約が用いられています。定期借家契約は、契約で定めた期間に限りその物件に住むことができるという契約形態です。普通借家契約は契約期間終了後も希望があれば更新が認められますが、定期借家契約では基本的に双方の合意なしで再契約することができません。
期限を定めず長く住み続けたいのであれば、再契約ができないケースの方が多い定期借家契約は避けた方がよいでしょう。普通借家契約でのプランを提供するリースバック会社もあるため、ご自身の希望に合わせて選ぶことをおすすめします。
リースバックは会社選びも大切
リースバックでは契約内容がとても重要なので、自身が求める条件に合ったリースバック会社選びが大切になります。
「定期借家契約の2年契約しかできない」などといったようなリースバック会社を選んでしまうと、それ以上家に住めなくなってしまいます。検討しているリースバック会社のサービス内容や融通が効くかどうかを事前に確認しておきましょう。
また、ライフプランはタイミング次第で変わる可能性があります。「やっぱり今の家に長く住みたい」「そろそろ更新をストップしたい」などの要望にも柔軟に対応してくれるリースバック会社を選ぶといいでしょう。
充実のプランが用意された一建設のリースバックプラス+
最近、注目を浴びているリースバックは、自宅を売却し資金を調達したあとも自宅に住み続けることができるサービスです。リースバック業者の数も年々増加しており、各業者のサービス内容はさまざま異なります。中には問題を引き起こす場合もありますので、リースバック会社を選ぶ際には比較検討がおすすめです。
一建設株式会社では、「リースバックプラス+」という、他社にはない独自の仕組みを導入し、さまざまなニーズに対応できる2つのプランを提供しています。
まず、「標準プラン」は普通賃貸借契約で長く住み続けたい方向けのプランです。業界初の取り組みとして、再購入時の価格が賃貸期間の長さに応じて下がる仕組みを導入しており、最短でも10年間は再購入価格が減額されます。さらに、賃貸契約の3年目以降であれば、新築物件への引っ越しも可能です。
2つ目は「定期プラン」です。このプランは、早期に買い戻しを予定している方や一時的に資金が必要な方に適しています。定期プランには、最大1年間の賃料が0円になる「賃料優遇タイプ」と、買い戻し価格が売却価格と同額になる「買戻優遇タイプ」の2つが用意されています。
一建設株式会社の「リースバックプラス+」は、将来の計画に合わせた充実したプランを提供しています。もしリースバックを検討されているのであれば、「リースバックプラス+」をぜひご検討ください。
まとめ
リースバックは資金を調達でき、かつ自宅に住み続けられる制度として注目されています。リースバックを利用するには、売却するための売買契約と、売却した家を賃貸物件として利用するための賃貸借契約の両方の契約を結ぶことが必要です。リースバックを利用する場合、賃貸借契約は一般的に定期借家契約が多く、通常2~3年間住むことができますが、原則更新はできません。そのためリースバックを利用して家に長く住むためには、普通借家契約に対応する会社を選ぶか、買い戻しという方法をとることになります。リースバックの契約時には契約書の内容をよく確認し、長く住みたい場合はリースバック会社に相談してみましょう。