「子どもが巣立って大きな家はいらなくなった」「新しい家を買いたいから資金繰りをしたい」「相続した不動産を売りたい」など、不動産の売却を考えるきっかけはさまざま。
この記事では、不動産売却が初めてという方にもわかりやすいよう、全体の流れと各ステップの詳細をまとめました。
INDEX
【図解付き】不動産売却における一連の流れと期間
不動産を売却する際の一連の流れは以下のとおりです。
STEP1. 相場を調べる
不動産売却の第一歩として、まずは売却したい不動産がどの程度の価格で売れるのか、相場を調べるところからスタートします。
相場を調査する主な目的は「悪質な不動産会社から不当な価格を提示されるのを防ぐこと」「ある程度の価格を把握し、早めに資金計画を立てること」の2つです。
不動産の相場は、次のWebサイトで簡単に調査できます。
国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しており、成約価格を基にした情報を市区町村名から検索できます。売りたい不動産に似たタイプの物件から相場を調べることが可能です。
国土交通省が運営しており、土地と建物の成約価格や都道府県地価調査の価格を検索できます。地図上のエリアから価格を見られるので、同条件の不動産の大まかな相場がわかります。
STEP2. 査定を依頼する
相場をリサーチできたら、不動産会社に査定を依頼します。査定価格やサポート内容を比較するため、最低でも3社以上の不動産会社に査定を依頼しましょう。一社ずつに査定を依頼するのが手間だという方は、一括査定サービスも活用できます。
査定方法は次の2種類があります。
- 机上査定:築年数や面積などのデータから金額を算出
- 訪問査定:査定データにあわせて実際の物件を見て金額を算出
机上査定を依頼し、その内容に満足できれば訪問査定に進むという流れが一般的です。
机上査定は即日〜数日程度、訪問査定は1週間程度で結果がわかります。訪問査定の日程調整や不動産会社が査定の調査表を作成する期間を加味すると、査定が終わるまでの期間は長くて2週間程度でみておくといいでしょう。
また、査定費用は基本的に無料です。
STEP3. 媒介契約を結ぶ
依頼した複数の不動産会社から、条件や担当者との相性などを加味して1社に絞れたら、いよいよ媒介契約を結びます。
媒介契約では、売却がうまくいった際に仲介である不動産会社に支払う額や売却活動の方針を取り決めます。
媒介契約には。複数の会社に売却を依頼できる「一般媒介契約」、1社に売却を任せる「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」があり、この3つの中から自由に選ぶことができます。
それぞれの違いは次のとおりです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社との契約 | ○ | × | × |
自ら買い主を見つけての直接取引 | ○ | ○ | × |
売却活動の報告義務 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 任意 | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
契約期間 | 法令上の定めなし | 3か月以内 | 3か月以内 |
「一般媒介契約」は比較的縛りなく動けるのがメリットですが、不動産会社からの優先度が高いとはいえないのがデメリット。
「専任媒介契約」では自らがみつけた相手と契約する自己発見取引が可能ですが、広告など販売活動に使用した費用を不動産会社から請求されることがありますので注意しましょう。
「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」では、1社としか契約できないというデメリットの代わりに、定期的な報告やレインズへの登録などといった手厚いフォローがメリットです。
STEP4. 売却活動を開始する
媒介契約を結んだら、売却活動に移っていきます。
売却活動をする前に、要望をある程度整理しておくのがおすすめ。
- いつまでに売りたいか
- 販促内容の希望はあるか
- 時期と価格はどちらが優先か
- 売却活動でやってほしいこと・避けてほしいことはあるか
などを不動産会社にまとめて伝えましょう。
売却活動は
- 販売戦略
- 広告活動
- 内覧の準備
の3つのステップで、売り主と不動産会社が協力しながら進めていきます。
4-1. 販売戦略を立てる
不動産を売り出すため、「物件のアピールポイント」をメインに戦略を立てていきます。実際に住んでいて良かったことや物件の魅力、ターゲットになりそうな層などを絞っていきましょう。
また、ネガティブな印象にならない売却理由を考えるのも重要です。
4-2. 広告活動をする
戦略が決まったら、不動産会社が広告活動をスタートします。ターゲット層に合わせて適切な広告を打つのが効果的です。広告の出し方には以下のような例があります。
●店頭への情報掲示
●不動産サイトへの掲載
●自社サイトへの掲載
●顧客への連絡
●チラシのポスティング など
4-3. 内覧の準備をする
広告を出したら、いつ見学者が来てもいいように内覧の準備をしましょう。クリーニングをしていない状態でも、清潔で片付いている方が購買意欲が高まります。
また、来客用のスリッパを人数分準備しておいたり、当日は照明を全室つけておいたりといった気配りも、売却を成功させるためのポイントになるので覚えておきましょう。
STEP5. 売買契約を結ぶ
内覧を経て、物件を購入したいと申し出があった場合、まずは条件交渉からスタートします。仲介役である不動産を通して、次のような内容を両者ですり合わせます。
●売買価格
●手付金の額
●引渡し時期
●建物や設備の補修について
●土地の実測について など
交渉をスムーズに進めるポイントは、最も多い値下げ交渉において”最低ライン”をあらかじめ決めておくこと。その他、絶対に譲れないポイントは不動産会社に伝えておくといいでしょう。
お互い条件に納得できれば、売り主・買い主・不動産会社が集まり、以下の流れで売買契約を結びます。
1.顔合わせ
2.重要事項説明
3.売買契約書への署名・捺印
4.手付金の受領
5.仲介手数料の支払い(半金)
不動産会社への仲介手数料は、売買契約が成立したときに50%、物件の引渡し時に50%を払うケースが一般的となっています。
売買契約の内容は、念入りなチェックが必要になります。公益財団法人不動産流通推進センターのチェックリストが役立つのでご参考ください。
STEP6. 決済・引渡し
買い主とのやりとりの最後のステップは、決済と引渡しです。引渡し日には、売り主・買い主・不動産会社(担当者)・金融機関の担当者が集まります。
買い主が売り主に代金を支払います。同時に、売り主は買い主へ所有権の移転登記申請と抵当権の抹消手続きをおこないますが、実際には司法書士に委託することが多いです。
これらが済めば、物件を引渡して買い主との取引は完了です。
その後、残っているローン・不動産会社への残りの仲介手数料・司法書士への登記費用を支払います。
これで不動産売却の手順は終わりです。
STEP7. 確定申告をする
不動産を売却して利益が出た場合、その分の税金を納めなければならないため確定申告が必要になります。
確定申告は、物件を売却した翌年の2月14日〜3月15日におこないます。(例:2024年4月1日に売却が成立した場合、2025年2月14日〜3月15日に確定申告)
以下の計算方法で算出された金額が、課税の対象となります。
上記を計算し、譲渡所得が0円またはマイナスになる場合は、確定申告の必要はありません。
自宅の売却の場合は「3,000万円特別控除」の制度により非課税になるなど、控除制度や特例が適用され節税できるケースもあるため、事前に調べておくことをおすすめします。
資金調達をするなら自宅から引っ越さない「リースバック」も
資金調達を目的として不動産売却を考えている方には、「リースバック」もおすすめ。
リースバックとは、今持っている家を売却すると同時に賃貸借契約を結び、そのまま住み続ける方法です。
売却した代金で資金が調達できるうえ、賃貸契約によってそのまま住み続けられるので住み慣れた家から引っ越さなくて良いことが大きなメリット。また、家賃は発生しますが、固定資産税を払う必要もなくなります。
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では、次の2つのプランをご用意。
- 標準プラン:賃貸契約を更新していくことが可能、長く住み続けたい方向け
- 定期プラン:比較的早期の買い戻しを計画している方や一時的な資金調達をしたい方向け
「本当は今の家を手放したくないけど資金は必要だから仕方ない……」と、泣く泣く不動産を売却する方は少なくありません。そんな方への新たな選択肢として、一建設の「リースバックプラス+」をご提案させていただきます。ぜひ一度、ご検討ください。
まとめ
不動産売却は、次のステップで進めていきます。
- 相場を調べる
- 査定を依頼する
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動を開始する
- 売買契約を結ぶ
- 決済・引渡し
- 確定申告をする
不動産会社がサポートしてくれますが、自分自身でもしっかりと全体の流れを把握しておくことでトラブルやミス、知らないうちに自分が損していたなどという事態を防ぐことができます。
相場の調査や査定依頼は比較的気軽にできるため、売却に迷っている方は、売りたい物件がいくらで売れるのかをみてみることから始めるのはいかがでしょうか。