いざ家を売ると決めたとき、まず何をしたら良いでしょうか。マンションや一戸建てなどは個人売買も可能ですが、不動産取引によほど慣れていない限り不動産会社へ依頼するのが一般的です。その不動産会社の選び方や売却の流れをはじめとして、不動産の取引にはさまざまな知識が必要です。そして、税金を抑えてできるだけおトクに売却するために、事前に基礎知識を身に着けておきましょう。
今回は、家を売るときに知っておきたい基礎知識をご紹介します。さまざまな事情により家を売る場合、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。初めて家を売る予定の方や、家を売るときの流れを簡単に予習しておきたい方は、ぜひ参考にご一読ください。
INDEX
家を売る3つの方法
家の売却方法は大きく分けて「不動産仲介」と「不動産買取」の2種類が主流ですが、新しく「リースバック」という方法も登場しています。それぞれの特徴を知り、どの方法がご自分に合っているか検討しましょう。
不動産仲介
不動産会社と媒介契約を結び、家の買い手を探してもらう方法です。売主は仲介手数料を不動産会社へ支払います。不動産情報サイトや「REINS(レインズ)」と呼ばれるシステムで幅広い方へアピールできるため、購入希望者が見つかりやすいメリットがあります。また、不動産会社は契約に関するさまざまな手続きや、重要事項の説明、買主と売主との調整などを行います。不動産の専門家に任せることで、手間なく売買を成立させやすいのも魅力です。
不動産買取
不動産会社が物件を購入する方法です。不動産会社が買主となるため、買い手を探す必要がなく、売却期間の大幅な短縮が期待できます。早期売却で速やかに家が現金化できるため、すぐにお金が必要な方に向いています。ただし注意点としては、仲介と比べて売却額が低くなる傾向にあります。
リースバック
家を不動産会社へ売却した後、賃料を支払って引き続き住む方法です。まとまったお金が欲しいものの、家を手放したくない方におすすめします。家を売って現金化した後も、不動産会社へ家賃を払うことで同じ家に住み続けられます。お金がたまってから買い戻すことも可能なため、家を売るのに抵抗がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
不動産仲介 | 不動産買取 | リースバック |
---|---|---|
主な買主:個人 | 主な買主:不動産会社 | 主な買主:不動産会社 |
売主の対応:内覧などに対応する必要あり | 売主の対応:なし | 売主の対応:なし |
売却期間:長期にわたる可能性あり | 売却期間:短期 | 売却期間:短期 |
売却価格:相場より高い可能性あり | 売却価格:相場より低くなることが多い | 売却価格:相場より低くなることが多い |
仲介手数料:必要 | 仲介手数料:不要 | 仲介手数料:会社による |
リースバックは、自宅を売却した後も賃貸で住み続けることができるサービスです。自宅の売却で大きな資金を調達できるとともに、住宅ローンを完済することで支払いが不要になります。
「リースバックプラス+」は、一建設が提案するライフサポート型のリースバックサービスです。標準プランと定期プランの2つの選択肢があります。買い戻しの予定がない場合は、標準プランがおすすめです。一時的な資金調達や買い戻しを希望する場合には、定期プランが適しています。あなたのライフスタイルに合わせて適したリースバック商品を見つけたい場合は、ぜひ一建設にお気軽にお問い合わせください。
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家を売却する前によく考えよう!リースバックを選択するメリット
資金調達のために家を売却するなら、リースバックも選択肢として検討してはいかがでしょうか。
家を売る主なタイミング
他物件への買い替え時以外で、ご自宅の売却を検討する一般的なきっかけや理由を見てみましょう。
転勤が決まったとき
お仕事で別のエリアへ転勤が決まり、家族で新しい勤務地へ引っ越すため自宅を売却。単身赴任の場合は、残る家族のために自宅はそのままにするケースが多いです。
離婚するとき
夫婦で話し合い離婚が決まった際、建物や土地は分割がしにくいため、売却して現金化します。どちらかが住み続けるという選択肢もあり、その場合は引き続き住む側が名義を引き継ぎ、住宅ローンの支払いを行うのが一般的です。
住宅ローンが払えなくなったとき
収入の減少等により住宅ローンの支払いが難しくなり、住宅ローン完済のため売却。不動産の評価額(売却額)が残債を下回る場合、不足分は現金で支払うことになるので、現金の用意ができない場合は任意売却などの方法をとることになります。
家を売る手順と売却までにかかる期間
家を売る際は、不動産会社の選定から物件の引き渡し、売却後の確定申告に至るまで、多くの手続きが必要です。実際に家を売る前に、不動産売却の流れやコツを簡単に把握しておきましょう。なお、家を売るまでには、一般的に3か月から半年程かかります。
STEP1:売却プランの検討
次の住まいや引っ越し時期などを考えず、行き当たりばったりに家を売ると、思いがけないトラブルや費用が発生することがあります。引っ越しのタイミングや住宅ローンの返済計画、税金面を考慮して売却のプランを考えベストタイミングを検討しましょう。
STEP2:不動産会社へ相談
売却を決めたら不動産会社へ査定依頼をします。どの不動産会社へ依頼していいか分からない場合は、複数の会社へ一括で依頼できる不動産査定サイトを利用しましょう。簡単な入力だけで無料で依頼できるサイトもありますので気軽に試せます。
価格査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。机上査定とは、不動産会社が直接に物件を見ることなく、依頼者から提供された情報をもとに、類似物件の市場価格や公示地価、固定資産税評価額など書類上の情報、自社の取引実績などを参考として簡易的に査定し、おおよその価格を算出する方法です。机上査定の次のステップとして、社数を絞って訪問査定を依頼します。
訪問査定とは、不動産会社の担当者が現地を訪れ、物件を直接見たうえで査定する方法です。プロの目で実際の立地条件や周辺環境の調査、間取りや部屋の状態を確認し、より詳細な査定結果が期待できるため、ご自宅の売却活動を本格的に始める際は訪問査定を依頼しましょう。その際、3~5社の不動産会社へ依頼することをおすすめします。査定額や営業担当者との相性などを検討して、最終的に取引する不動産会社を決めます。なお、査定結果は口頭で済ますのではなく、必ず査定書もらいましょう。
STEP3:不動産会社と契約
不動産会社が決まったら契約を結びましょう。買取やリースバックの場合は、この時点で家の現金化が可能です。仲介の場合は、不動産会社と媒介契約を結んで買主を探すことになります。不動産会社は売却に向けてさまざまな販売活動を行い、売買契約が成立すると仲介手数料が発生します。手数料は取引物件価格により上限が決められていますが、例えば売買価格が税抜きで400万円超の場合は「取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税」となります。
媒介契約には以下の3つがあります。それぞれメリット・デメリットがあるため、その違いをよく考慮してからお選びください。
専属専任媒介契約
不動産会社1社と契約して、売却活動の手厚いサポートを受ける方法です。もっとも拘束力が強く、自分で買主を見つけて取引する自己発見取引は禁止され、必ず契約した不動産会社を通して家を売る必要があります。
専任媒介契約
専属専任媒介契約と同じく1社のみと契約し、売却活動のサポートを受けながら買主を探します。ただし、自己発見取引については仲介会社を通さずに直接売却できます。
一般媒介契約
もっとも自由度の高い契約方法です。複数の不動産会社と取引可能で、自分で買主へ売却することもできます。一方で、売却活動のサポートは専属専任媒介契約や専任媒介契約よりも控えめになります。
STEP4:売却活動
不動産会社と仲介契約を結んだら、物件情報が広告や業者間取引サイト「REINS(レインズ)」に掲載されます。内覧希望者が現れたら家へ案内します。内覧の際は、不動産会社の担当者とともに売主も立ち会います。周辺エリアの情報や、物件のメリットやデメリットまで余すところなく伝えるのが大切です。印象を良くするため室内外の掃除や整理整頓をしておきましょう。
STEP5:買主と契約締結
家の買い手が決まったら、不動産売買契約を結びます。契約時に、売主が買主から手付金を受け取るケースが多く見られます。手付金の相場は売却価格の10%~20%が目安です。また、売主側は不動産会社へ仲介手数料の半額を支払います。契約がスムーズに進むよう、忘れずに用意しておきましょう。
STEP6:決済
売買契約後、売主は残りの売買代金を受け取ります。不動産会社の担当者や司法書士などが立ち会い、銀行で決済されるパターンが多く見られます。書類の不備があると決済が後日に延期してしまう可能性があるため、充分に注意が必要です。必要書類の確認は入念に行いましょう。なお所有権の移転は、売買代金の全額支払いと同時に行うとすることが多いです。
STEP7:引き渡し
売主は不動産会社へ仲介手数料の残代金を支払い、買主へ鍵を渡します。既に新居に住んでいて家が空き家の場合は問題ありませんが、売る予定の家に居住中の場合は、早めに引っ越しを済ませましょう。引き渡しは決済と同時に行われることもあれば、後日に行われることもあります。引き渡しと決済が前後する場合は、両者の合意を書面化した覚書を作ります。以上で不動産取引は終了です。
STEP8:確定申告
家を売った次の年には、収入の申告のために確定申告をする必要があります。売却によって得た利益がある場合は、税金を納付しましょう。期日までに済ませられるよう、余裕をもってご準備ください。
費用の種類 | 金額(目安) |
---|---|
仲介手数料 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 ※売買価格が税抜きで400万円超の場合の上限額 |
司法書士報酬 | 8,000円~30,000円ほど |
引っ越し代 | 10万円 ※3人家族の平均(時期や移動距離、地域により差異あり) |
その他費用 (ハウスクリーニング、仮住まいの家賃など) | ハウスクリーニング:5万円ほど 仮住いの家賃:21万円(東京23区、3LDKの賃貸マンション相場価格平均) |
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中古マンション売却時の査定方法と査定額アップのコツ、よくある質問
家を売るときに必要な書類は?
家を売るには必要書類を整えなければなりません。シーンに応じて必要な書類が何かをまとめたので参考にしてください。
家の査定を依頼するとき
家の査定を依頼するときには一般的に以下の書類が必要になります。
- 登記権利証または登記識別情報
- 測量図または境界確認書
家を売るとき
家を売るときには以下の書類を用意することが必要です。
- 登記権利証または登記識別情報
- 測量図または境界確認書
- 固定資産税通知書
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
- 実印
家を売るときにかかる費用は?
家を売るときには税金や手数料など、さまざまな費用がかかります。まず仲介手数料ですが、家を売るときには不動産会社に仲介してもらうのが一般的です。不動産会社に買い手を見つけてもらったことに対する成果報酬として仲介手数料を払うことになります。仲介手数料は法律によって売買価格に応じた上限額が定められていて、通常は上限額での請求を受けます。
また、家を売る際には土地と建物の所有者が変わるため、所有権移転登記をすることが必要です。住宅ローンが残っている場合には返済して抵当権抹消登記をすることも求められます。このような登記の手続きには登録免許税がかかります。登記手続きを司法書士に依頼した場合には司法書士への報酬の支払いも必要です。住宅ローンを繰り上げ返済する場合には手数料もかかるので注意しましょう。
この他にも家を売ったときに引っ越しをする場合には引っ越し費用がかかります。購入希望者から求められたときには土地の測量費用などもかかる場合があります。ハウスクリーニング代や粗大ごみなど廃棄品の処理費用も必要になるかもしれません。
家を売るメリット・デメリット
家を売るとまとまったお金が入り、維持費もかからなくなります。ただし、場合によっては家を売っても赤字になることがあるため、資金計画を立てることが大切です。まずは家を売るメリット・デメリットをご説明します。
メリット | デメリット |
---|---|
・まとまった現金を取得 ・借金が無くなる ・住宅関連費用が減る | ・マイホームがなくなる ・資産が無くなる ・負債を抱える可能性がある |
家を売るメリット
家を売る最大のメリットは費用面にあります。家を売って現金化することでまとまったお金が手に入るため、資産運用でお困りの方は検討すると良いでしょう。また、家を売ると住宅ローンや固定資産税などの支払いがなくなります。マンションであれば管理費や修繕積立金などの維持に必要な経費を削減できるため、家計への負担の軽減が期待できます。
家を売るデメリット
家を売ってしまえば、もう自宅に住むことはできません。思い出の詰まったマイホームであれば、本当は手元に残しておきたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。また、家を売ったとしても希望の値段がつくとは限らず、場合によっては負債を抱えてしまうこともあり得ます。家の査定金額や売却時にかかる諸費用、税金などをよく考慮し、家を売るべきかどうか判断しましょう。
家を売るときの税金と利用できる控除・軽減措置
家を売ると、譲渡所得税や印紙税などの税金がかかることがあります。ただし、状況によっては非課税になるケースも少なくありません。控除を受けるためにも確定申告は正確に行いましょう。
家を売るとかかる税金の種類
家を売って生じた利益のことを譲渡所得、もしくは売却益と呼びます。譲渡所得には譲渡所得税と住民税がかかります。どちらも所有期間が5年以上になると税率が低くなるのが特徴です。また、基準所得税額に応じ、東日本大震災の復興のために使われる復興特別所得税も課税されます。こちらの税率は一律2.1%です。
譲渡所得にかかわらず必要となるのが印紙税と登録免許税です。登録免許税は一般的に買主が負担しますが、抵当権の抹消が必要な場合など、売主が負担することもあります。印紙税は売買契約書の作成時に必要で、契約金額によって税率が変わります。登録免許税は、不動産登記の内容を変更する際に法務局へ支払いましょう。
税金の種類 | 金額・税率 | |
---|---|---|
譲渡所得税 | 所得税 | 長期:15.315% 短期:30.63% |
住民税 | 長期:5% 短期:9% | |
復興特別所得税 | 2.1% | |
印紙税 | 200円~48万円(契約書記載金額により異なる) | |
登録免許税 | 不動産1件につき1,000円 |
※譲渡所得税は譲渡益が出た場合のみ発生
※不動産の所有期間が5年超=長期、5年以下=短期(譲渡年の1月1日時点での経過年数)
代表的な控除や軽減措置
家を売ると各種税金が発生します。条件が合えば大幅に課税金額を減らせる控除もあるため、ぜひ活用しましょう。
3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売ったときの譲渡所得から、最高で3,000万円が控除される制度です。譲渡所得が3,000万円に届かない場合は課税されないため、譲渡所得にかかる税金を支払う必要がなくなります。
軽減税率の特例
譲渡所得が3,000万円を超えた場合も、課税金額6,000万円までは税率が低くなる軽減措置があります。この特例が受けられるのは10年以上所有した住宅です。所有期間の短い家には適用されないため注意しましょう。
参考:
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
取得加算の特例
相続した家を売るときに使える特例です。譲渡所得は家の売却代金から取得費や譲渡費用などの経費を差し引いて算出します。取得加算の特例が適用されたら相続税額を取得費に含められるため、譲渡所得を減らせます。結果的に納税金額が少なくなるはずです。ただし、相続から3年10カ月以内に家を売却できなければ特例は適用されません。
参考:
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
令和3年12月31日までに、住宅ローンが残っているマイホームを住宅ローン残高(残債)を下回る金額で売り、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)となった場合に使える制度です。確定申告をすることで譲渡損失をその年の給与所得などほかの所得から控除(損益通算)できます。損益通算の限度額は残債から売却価格を引いた金額となり、控除しきれなかった損失は翌年以後3年間にわたり繰り越して控除できます。
なお、不動産の買い替えを伴う場合は「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が利用できます。
参考:
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)| 国税庁
マンション売却で発生する税金や対策については、こちらの記事も参考にしてください。
[関連リンク]
マンション売却で発生する税金はいくらかかる?簡単な計算方法や節税方法をご紹介
知っておきたい 家を売るときの3つの注意点
家を売るときには注意点があります。あらかじめ知っておきたいポイントをまとめました。
①住宅ローンは原則として完済しなければならない
住宅ローンがある場合は、残債を確認しましょう。家を売るときには住宅ローンが完済されているか、売却金により完済できることが原則です。住宅ローンの残債がある場合には抵当権が設定されていて自由に売ることはできません。抵当権を抹消してから売るという流れになります。
住宅ローン支払い中でも、ローン残債を上回る金額で売却できるときには、住宅売却の仲介をする不動産会社が金融機関と交渉して、売却金による住宅ローンの繰り上げ返済と売買契約を同時に行うことが多いです。家の売却によって受け取れる金額は減ってしまうので注意しましょう。
②古い家は再建築により価値が下がる場合がある
古い家の場合には再建築によって建築条件が変わる場合があるので注意しましょう。一般的に家は建築された当初の法律に従って建てられています。古い法律に従って建てられた家は、現在の法律に違反していても違法ではありません。しかし、解体して再建築する場合には昔の法律ではなく今の法律が適用されます。
現在では周辺環境も考慮して都市計画を立てていることがよくあります。立地によって法律による制限には違いがありますが、建物を建てられる面積が狭くなったり、建物の高さが制限されたりすることがあるので注意が必要です。家を解体して建て替えると評価が下がる場合があります。
家が古い場合、家を取り壊してから売り出すこともありますが、現在の法律により家の建て直しができない場合があるため注意が必要です。再建築不可なのかどうかを調べ、もし再建築不可だということが分かった場合には家の取り壊しはしないようにしましょう。
③リフォームしてから売るのは費用対効果が低い場合が多い
家を売る前にリフォームした方が良いのではないかと考える人もいます。しかし、リフォームしてすぐに家を売るのは費用対効果が低いことが多いため注意しましょう。傷んでいるところを直した方が買い手が見つかりやすくなるのは確かです。古くなった住宅設備は新しくして見た目を良くした方が、魅力的だと感じてくれる人は多いでしょう。
ただし、リフォームには費用がかかります。リフォームにかかった費用を販売価格に上乗せしても買い手が見つかるかどうかは慎重に考えた方が良い点です。リフォームの内容によっては数百万円の費用負担がかかり、上乗せしてしまうと価格が原因で売れなくなることもあります。
家をなるべく高く、早く売るコツは?
相場を考慮して少し高めの価格で販売開始する
家を高く売るにはまず相場を調査しましょう。立地や間取り、築年数などを考慮して類似物件の販売価格を参考にしたり、国土交通省が後悔している不動産取引の過去のデータから概算したりすることができます。そして、相場よりもやや高い価格で売り始めるのが良い方法です。
一般的に家を売るときには値引き交渉が発生します。販売価格のまま売れることは少ないので、最終的に相場価格に落とし込むのが良い方法です。
買主も相場を理解している場合がほとんどです。相場より高かったら買わないというケースが多いので、当初の値付けを高くしすぎないように注意しましょう。
不動産会社を比較して決める
高く早く売るには不動産会社の協力が欠かせません。信頼できる不動産会社を見つけ、1社に販売を任せる専任媒介契約や専属専任媒介契約を結べば、精力的に販売活動をしてくれるでしょう。どの不動産会社に任せるかによって、販売できる範囲にも違いがあります。大手は全国で販売活動を促進してくれますが、中小の場合にはローカルなニーズを狙った販促をしてくれる可能性があります。
不動産会社によって個性があるので、売りたい家の特徴に合わせて依頼先を選びましょう。家を売るには販売価格の地域相場に詳しいことも重要なので、地域事情をよく知っている不動産会社は魅力的な候補です。
不動産買取も考慮する
家を売るときには不動産買取も考慮しましょう。早く売りたいときには不動産買取が効率的で、すぐに家を売ることができます。不動産買取は仲介と違って、不動産会社が直接家を買ってくれるのが特徴です。不動産買取では買い手を探す必要がないので売るまでにかかる時間がわずかで済みます。早ければ即日で見積もりを出してくれて、契約手続きをすることが可能です。
不動産買取は仲介に比べると高く売ることはできない場合がほとんどです。しかし、買い手がなかなか見つからないような家でも買い取ってもらえるメリットがあります。
家が高く売れる時期に向けて準備する
不動産売却市場の繁忙期は、2〜3月です。2〜3月は、転勤や子どもの進学先が変わる時期の直前のため住み替え需要が高まり、好条件で売却しやすい時期といえます。家を高く売りたいのであれば、この需要が高まる時期に合わせて準備しましょう。また、2〜3月の次の売りどきは、7月、9月、10月です。
では、売却の準備はいつ頃から始めたらよいでしょう。以下に売りたい時期と準備を始める時期の目安をまとめました。
売りたい時期 | 準備を始める時期 |
---|---|
2~3月 | 10~12月まで |
6~7月 | 2~4月まで |
9~10月 | 5~7月まで |
価格にとことんこだわって、高く売りたいのであれば、売主が見つかるまで時間がかかる場合もあるため、早めに準備を始めましょう。
家のアピールポイントを把握しておく
売却しようとしても、なかなか売れない場合もあれば、比較的スムーズに売れる場合もあります。そこで、できるだけ早く売るために、家にどんな魅力があるかアピールポイントをつかんでおくことが大切です。
たとえば、お手頃な価格に加え、利便性の良さや日当たりの良さは、良いアピールポイントになります。結局は、自分でも購入したくなるような家が売れやすい家といえるでしょう。ただし、購入時にどの点を重視するかは人それぞれですので、不動産会社に専門家の立場から客観的に家の利点を見つけてもらうこともおすすめします。
掃除やホームクリーニングをして綺麗にする
家の売却では、買主候補に家の中を実際に見せ、検討してもらう内見を行います。中古住宅の売却は、この内見での印象が大きく影響します。そのため、整理整頓、掃除はもちろん、必要であればプロのホームクリーニングを依頼して室内を綺麗にすることで内見者に良い印象を与えましょう。照明を上手く取り入れて、部屋全体を明るく見せることもポイントです。
どうしたらいい?家を売る時の進め方や注意点【ケース別】
家の売却では、特有の事情がある家を売るケースもあります。ここでは、4つのケース別に売却活動の進め方と注意しておきたい点をお伝えします。
ケース①相続した家を売却する場合
相続した不動産を売る場合は、被相続人から売主(相続人)に名義変更している必要があるため、登記人が変わったことを記載した「相続登記」が土地と建物それぞれに必要です。その他、売却に必要な書類は、本人確認書類、実印・印鑑証明書、登記識別情報通知、固定資産税納税通知書など多数あり、不動産の物件種類により異なります。
また、不動産売却時にかかる税金は、所得税、住民税、登録免許税、印紙税の4種類です。所得税と住民税は、不動産売却で譲渡所得が出た場合のみ課されますが、高額になりやすい税金です。しかし「3,000万円特別控除の特例」が利用できます。この特例は、簡単に言うと、不動産売却時に得られる譲渡所得に対して、3,000万円まで課税対象から除外できる制度です。戸建て、マンション、戸建てを取り壊した土地のどれにも適用でき、所有期間の長さにかかわらず申請可能です。
ケース②残債がある家を売却する場合
住宅ローン支払い中の家を売却する場合は、住宅ローンの残債を完済し、抵当権の抹消手続きを行う必要があります。住宅ローンは家を担保にして融資を受けているため、ローンを完済していないと家が担保になったままで、抵当権を抹消できないからです。
そのため、売却金でローンを完済するか、売却金だけでは足りない場合は新たにローンを組むこともできます。ただし、ローンを新たに組む場合は、返済計画を細かく立てていかないと、破産してしまうリスクがあるため注意が必要です。また、住宅ローンの返済が難しい場合は、先述したように、任意売却によって売却できる可能性もあります。
ケース③古い家を売却する場合
古い家の場合、昔の法律を基準として建てられている可能性があります。現状では違法建築ではありませんが、家を取り壊して次に家を建てるときには新しい法律が適用されるため、建築ができなかったり、使用できる土地の面積が減ったりすることがあります。
そのため、家を売却する前には、再建築不可かどうかを調べておきましょう。再建築不可であれば、現在の家が古くても取り壊しせずに、古家付きの土地として売る、更地にして土地を売る、リフォームして売る、不動産会社に買い取りしてもらうなど、状況に応じた売り方を検討します。
ケース④空き家を売却する場合
空き家を売却する場合は、売却まで家をしっかり管理しましょう。人が住んでいない家は、室内に湿気が溜まるため早く劣化してしまいます。また、庭の草木が伸び放題の状態は害虫が発生する原因になるため、定期的に手入れをすることが大切です。家の状態が悪くなると、当然売却価格は下がりますし、内見時の印象も悪くなります。家が遠方にあり自分で管理するのが困難な場合は、専門業者に依頼することもできます。
家の売却を依頼する不動産会社を選ぶ4つのポイント
家を売るためには、パートナーとして信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。良い不動産会社を選ぶことが売却成功のカギとなります。会社の規模や成約実績、担当者との相性などを考慮して、ご自身に合った不動産会社を選びましょう。ここでは、選び方のポイントをご紹介します。
①不動産会社の規模をチェック
不動産会社には、全国展開している大手企業もあれば、地元密着の中小企業もあります。大手の不動産会社は店舗数や社員が多く、抱えている物件も膨大です。家の購入希望者に対する訴求力も高いため、ブランドのネームバリューから大手を選ぶという方も少なくありません。
一方で、地元密着の中小の不動産会社は、全国チェーンの大手ではカバーできない範囲の顧客を見つけられる可能性があります。また、大手の不動産会社が取り扱わない地域の売却を担当してもらえる場合があるため、売りたい家の条件によっては中小企業を選んだほうが良いでしょう。
また、宅地建物取引業免許番号のカッコの中の数字は免許の更新回数を表し、一般的には数字が大きいほど営業年数が長いということになります。不動産会社を選ぶ目安の一つとなります。
②不動産会社の得意分野を調査
不動産会社によって得意とする分野が異なります。家を売るのが目的なら、売却を中心に行っている会社を選びましょう。賃貸や不動産管理が中心の不動産会社は、物件売却のノウハウが少なく、依頼先として適していないことがあります。売却経験の少なさが影響し、売却に時間がかかったり希望通りの条件で売れなかったりといった可能性も考えられます。そのため、不動産売却を得意とする企業を選んだほうが安心です。
③複数の不動産会社へ相談
家の査定価格やサービス内容などは、不動産会社により異なります。最初から1社に絞らず、一括査定サイトなどで複数社へ査定依頼したうえで、それぞれを比較検討しましょう。
査定時は、不動産会社の担当者との相性を見極めることも大切です。優良な企業を選んでも、担当者次第では家の売却が上手くいかないことがあります。担当者が親身になって相談に乗ってくれるか、不動産売却の知識が豊富かをチェックしましょう。
④不動産会社の対応をチェック
不動産会社選びでは、担当者の対応の良さを見極めることも重要なポイントです。そのため、複数の不動産会社を比較検討する際には、問い合わせしたときの対応は早いか、メールの返信はスムーズか、言葉遣いは丁寧か、親身に相談にのってくれるかなど、さまざまな点をチェックしましょう。
不動産を売るときは、できるだけ早く済ませたいものです。そのため、不動産会社の対応がスムーズで的確であるかが大切なポイントとなります。対応が良い、機動力のある不動産会社は売り手の希望をしっかり把握してくれるため、早い時期に売却できる可能性があります。
家を売る際のよくある疑問
家を売却する際に行った方が良いことは何でしょう。ここではよくある疑問について解説します。
売却前にハウスクリーニングやリフォームをすべき?
家を売却する前のハウスクリーニングやリフォームは、必ず行う必要があるわけではありません。ただしハウスクリーニングやリフォームをすることで内見時の印象を良くする効果は期待できます。発生する費用を売却金で回収できるかが判断のポイントです。水回りだけでも清潔にすると臭い対策にもなりますし印象が違ってきます。
売却後の年末調整で必要な手続きはある?
家を売却した際の譲渡所得は、給与所得ではないため年末調整での手続きは不要です。ただし、確定申告は必要です。例年2月15日頃~3月15日頃までが確定申告の期間となります。
価格交渉には対応したほうが良い?
自宅を売却する際に、購入希望者から価格交渉を打診されるケースがありますが、値下げへの対応は慎重に判断する必要があります。現在の売り出し価格で売却できる見込みはどのくらいあるのか、いつまでに売却する必要があるのかなどを確認し、事前にいくらまでなら下げられるかを検討しておくと価格交渉を打診された際にスピーディーに意思決定をしやすくなります。値引きを想定して、当初の売出価格を希望する売却価格より少し高めに設定するのもよいでしょう。
家を売るなら不動産会社にご相談ください
家を売る際は、不動産会社と契約してサポートを受ける方法が主流です。手続きや税金に関する知識など、わからないことや不安な点は遠慮せずに不動産会社へ相談や質問をしましょう。まずは複数の不動産会社へ査定を依頼し、そこから信頼できる不動産会社を選定していきます。
また、家を手離すのはどうしても抵抗があるという方は、リースバックを利用するのもひとつの選択肢です。それぞれのご家庭に合った売却方法を見つけ、満足いく不動産売買を目指しましょう。
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では他社にはない仕組みを取り入れ、
様々なニーズに応えることができる2つのプランを用意しています。
売却後に賃貸契約を更新していくことが可能な「標準プラン」は、賃貸として住んだ長さに応じて再購入時の価格が下がる仕組みを、業界で初めて導入しています。最短でも10年間、再購入価格が下がっていきます。また賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能という、こちらも業界初の試みです。
一方、比較的早期の買い戻しを計画している方や一時的な資金調達の方には「定期プラン」が向いています。こちらのプランでは、最大1年間の賃料が0円(以降は定期期間に応じて賃料設定)になる「賃料優遇タイプ」と、定期借家契約の期間を2年~5年と限定することで買戻価格が売却価格と同額(諸経費が別途かかります)となる「買戻優遇タイプ」があります。
また両プラン共通して、より快適で安心な生活のためのサポートサービスなども利用可能です。
このように、一建設株式会社の「リースバックプラス+」には、将来設計に合わせた充実のプランが用意されています。
リースバックをご利用になるなら、選べるプランと充実の特典が魅力の「リースバックプラス+」をご検討ください。
まとめ
家の売却方法は、不動産仲介や不動産買取が一般的ですが、新たな手法として「リースバック」があります。リースバックは、家を売却した後でも引き続き住みたい方に向けた方法で、家に住み続けたい人におすすめです。
家を高く早く売るためには、相場価格を調べて、少し高めの価格で売り出すことがポイントです。また、迅速な売却を望む場合は、不動産買取が効果的です。準備は、不動産売却市場の繁忙期である2〜3月に向けて始めると良いでしょう。
家の売却においては、信頼できる不動産会社を選ぶことが非常に重要です。不動産会社の規模や専門分野を考慮し、複数社を比較して検討してみましょう。