急にまとまったお金が必要になったなど、経済的に困った時には、不動産を現金化するという方法も1つの手段になります。ここでは、不動産売却で現金化する具体的な方法とメリット・デメリットについてご紹介します。
「現金化」は不動産売却でもできる!
家計が苦しくなったり、急にまとまったお金が必要になったりしたとき、資産を現金化する方法はさまざまありますが、不動産の売却も選択肢の1つになります。不動産売却によって現金を得るにはいくつかの方法があり、選ぶ手段によっては時間を要したり入金額が変わったりするといった問題も出てきます。
不動産売却で現金化をしたい場合は、どのような選択肢があり、自分にとって何がベストなのかを見極めることが重要です。
不動産を現金化する方法とは?
1.不動産仲介で家を売却する
不動産を売却して現金を得る最も定番とも言える方法です。不動産会社に相談をして仲介を依頼し、買主を探してもらうことができます。現金化できるのは、買主との売買契約が終わり引き渡しのタイミングとなります。
メリット
不動産会社が時間をかけて買主を探し、広告宣伝も行ってくれるため、個人で購入希望者を探すよりも便利で確実です。相場に近い価格やそれ以上の高値での売却も見込めるため、手取り額が最大化しやすい点もメリットと言えるでしょう。
デメリット
物件の売却までには、おおむね3ヶ月~6ヶ月程度と、時間がかかる傾向にあります。物件によっては、もっと長期にわたることもあり、早急に現金化したい場合は注意が必要です。また、売買契約時にお金が入るのは手付金のみで、残りは引き渡し時となるため、現金化を急ぐ方には向いていない場合もあります。
2.家を担保にしてお金を借りる(リバースモーゲージ)
リバースモーゲージとは、家を担保にして金融機関からお金を借りることを指します。この場合、家に「抵当権」をつけて、担保価値分の融資という形でお金を借ります。
この方法では、まとまったお金を現金化することが可能ですが、それは借金という形になります。借金は、毎月返済する必要があるため、将来的なことも考えて決めていく必要があります。
近年は、シニア向けのリバースモーゲージもよく知られるようになりました。これも、ローンの一種ではありますが、一般的なローンとは異なります。融資枠の中で融資を受けて現金化し、月々の支払いは利息のみ。元金の返済は、契約者が亡くなった時に担保にしていた家を売却して一括返済に充てるという方法です。
メリット
年金だけでの生活費のやりくりが困難なシニアの方々を中心に、早い段階で現金化できる点がメリットです。また、契約期間中は住み慣れた家で暮らし続けることができるのも大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
リバースモーゲージで融資される限度額は、一般的に家の評価額の5割~6割程度とされています。そのため、家を売却するよりも多くの金額を得ることは難しい点がデメリットです。毎月、利息の返済が発生し、変動金利を採用している場合は金利の上昇によって返済額が多くなる可能性もあります。契約期間中に家の評価額が下がると、融資限度額も少なくなるため注意が必要です。
3.リースバック
リースバックは、家を売却してまとまったお金を現金化した後、その家に賃貸物件として住み続けられる手段のことを指します。家を売却すると、所有権は買主であるリースバック会社に移りますが、その後また買い戻しをして所有権を元に戻すことも可能です。
急にまとまったお金が必要になった時や、住宅ローンの支払いに困った時、住む人が亡くなった後の相続のトラブルをなくしたい時などに利用されることが多く、近年になって徐々に知られるようになりました。
メリット
早期に家を現金化でき、引っ越すことなく住み続けられることが大きなメリットです。多くの場合、買い戻しも可能となっており、資金繰りがうまくいけばまた所有者に戻ることも可能です。家の売却に伴う引っ越しや周囲に知られることを避けられる点もメリットでしょう。
デメリット
家の売却価格は、一般的な市場価格よりも下がる傾向にあり、6割~8割程度になると言われています。また、買い戻しを希望する場合、売却価格よりも高くなるケースも珍しくありません。
一建設の「リースバックプラス+」には、賃貸の期間を限定することで売却価格と同額で買い戻しができる「定期プラン買戻優遇タイプ」があります。
「リースバックプラス+」の詳しい説明はこちらをご覧ください。
4.不動産会社に買い取ってもらう
不動産会社に仲介してもらう方法は、現金化までの時間がかかる点がデメリットでもあります。しかし、不動産会社に直接買い取ってもらう方法なら、早い段階での現金化も可能です。手続きは比較的スムーズで、買い取り査定の結果に納得できたら売買契約を締結することができます。
メリット
不動産会社の直接の買い取りでは、早期に現金化しやすい点が大きなメリットです。仲介に比べて、買主が見つからないというリスクも避けることができます。仲介手数料はかからず、担保にして借り入れするよりは多くの金額を手にしやすい方法です。
デメリット
基本的に、買い取られた家はリフォーム等をして再販売されるため、買取価格は市場での売買金額よりも低くなる可能性が高いです。その相場は7割程度とされているため、仲介で売却する方法と迷った時は慎重な判断が必要と言えるでしょう。仲介での売却は現金化までの時間がかかる点がデメリットですが、買主が早期に決まれば仲介の方がメリットが大きくなります。
スムーズに不動産売却をするための注意点
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合は、不動産の売却価格が住宅ローンの残債を上回るか、そうでないかを知る必要があります。売却価格が住宅ローン残債よりも高いのであれば、問題はありません。しかし、売却価格が住宅ローン残債に足りない場合は、他の手段で完済させる必要があります。
住宅は住宅ローンを完済した後に売却するのが望ましいです。それは、住宅ローン返済中は、金融機関が抵当権を設定しているからです。抵当権を抹消してからでないと売却できないため、もしまだローン支払い中に売却する場合は、抹消の手続きが必要となります。
事前に売却価格の相場を知っておく
現金化を急いでいる時は、とにかく早く現金に変えたいと考えるかもしれません。しかし、スピード重視で不動産の売却を進めると、後悔につながる可能性もあります。
不動産の売却価格は、場所や建物の種類、築年数などによって変わってきます。事前に周辺の相場を調べておき、売却価格が妥当と思えるかどうか判断できる基準を持っておきましょう。
信頼できる不動産会社選び
不動産に関連する取引をおこなう上でパートナーとなる、不動産会社の選定が重要です。
不動産会社によって、扱う物件の得意エリアや分野が変わります。そのため、実績が豊富で信頼の厚い複数の不動産会社に査定を依頼して、査定価格が高いところから優先的に検討していきましょう。
また、不動産会社が提供するサービスの種類や、担当者の対応にも注意が必要です。できるだけトラブルが発生しないように、親身になってくれる会社がおすすめです。
まとめ
不動産を現金化する方法は、1つではありません。メリットとデメリットをよく確認して、自分にとってメリットの大きい方法を選びましょう。不動産会社のすべてが、ここでご紹介した現金化の方法に対応してくれるわけではありません。目的に合った手段で、親身になってくれるような信頼の厚い会社を選ぶことも重要です。