不動産を売却する時、その理由を必ず聞かれます。人によっては、理由を詳しく話したくないと思われるかもしれませんが、内容によっては告知義務があり、注意が必要です。ここでは、よくある不動産の売却理由やネガティブな売却理由の伝え方のコツをご紹介します。
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よくある不動産売却の理由とは?
家を売却するにあたって、必ず聞かれるのが売却理由です。まずは、実際に家を売却した人たちのよくある理由をご紹介します。
住み替えのため
戸建ての場合に多い売却理由が「住み替え」だと言われています。もっと掘り下げると、色々な理由がありますが、例えば「子どもが生まれて広い家に住み替える必要ができた」や「年老いた家族と同居することになった」など、家族構成の変化を機に住み替えを検討される方が多いようです。他にも、ペットと一緒に住みやすい物件への住み替えや、両親の住まいに近い場所、会社に近い場所への住み替えなども理由として考えられるでしょう。
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不要になったため
相続した空き家がそのままになっていて、その後も住む予定がない場合や、一人暮らしの高齢者が施設に移って空き家になったなどの理由で、家が不要になったため売却を決める方も多いです。空き家の維持や管理、それに伴う出費を減らしたいという目的もあるでしょう。
離婚をしたため
離婚が原因での売却もあります。財産分与のためや、新生活に踏み出すため売却をするケースが多いですが、離婚時の話し合いで家は自分が保有することとなったものの、再婚が決まり手放すケースもあります。
転勤が決まったため
転勤が決まった場合は、すぐに売却すべきか迷う方もいますが、実際には売却に至るケースが多いです。転勤の期間が決まっている場合や、いずれ戻ってくる気持ちがある場合は売却されないこともあります。しかし、転勤後、状況が変わり戻れないことが明らかになったり、いつ戻るのか見当がつかなくなったりすると、気持ちも変わり売却に踏みきるケースもあります。
相続時に話し合ったため
相続関連では、身内が亡くなった後、財産として残された家を、遺産分割のために売却をするケースも珍しくありません。遺産分割の必要がなくても、住む予定がなかったり、遠すぎて維持管理が難しかったり、防犯上の心配があったりして、手放すことを考える方もいらっしゃいます。
売却理由や伝え方によって売却価格が変わる!?
家を売却する理由は、必ずと言っていいほど聞かれ、買主には伝えなければならないことの1つですが、理由や伝え方によっては売却価格を下げてしまう可能性があります。
特に、誰が住んでも同じことで悩むような、住環境にまつわるネガティブな理由があった場合、売却価格が下がりやすいです。例えば、以下のような理由は、多くの方が同じ理由で売却を考えるきっかけになるでしょう。
- 日当たりが良くなくなった
- 住宅や土地に欠陥があった
- 実生活に不便さを感じた
- 隣人との関係性に問題があった など
これらが理由になると、購入を検討している人がいたとしても、同じ理由で購入を避けるようになり、売却されにくくなります。ネガティブな理由があるからと、売れやすいようにと値下げする結果、売却価格は下がっていきます。
売主としては、売却価格の低下はできるだけ避けたいため、こうしたネガティブな情報はあまり知られたくないと思われるでしょう。しかし、告知義務のある「瑕疵」に当てはまる事情の場合は、必ず伝える義務があります。
離婚や金銭面が理由でも価格が下がることがある
家や環境に問題がなく、売却理由が売主の事情にある場合、直接的な値下がりにはつながりにくいです。しかし、離婚を機に売却する、住宅ローンの支払いが滞ったなどの理由で、売却を急ぎたい場合は価格を下げて売り出すこともあります。
離婚の場合は財産分与や早期の関係の解消といった事情があるでしょう。住宅ローンの返済が滞っている場合は、返済期限(=売却期限)が迫っているといった事情が考えられます。
基本的に、不動産の売却では時間に余裕をもって売却活動をすることが、高値で売るための1つのポイントになります。しかし、離婚や金銭面の問題で急を要する場合は、相場よりも安い価格で決めてしまうことも多いようです。
必ず伝えるべき理由と正直に話さなくてもよい理由
まず、不動産の売却では、必ず伝えなければならない売却理由と、そうでない売却理由があります。必ず伝えなければならないことに関しては、「告知義務のある瑕疵」として宅建業法第47条に定められています。
もし、売却する理由が「告知義務のある瑕疵」自体ではなく他に理由にあったとしても、下記に記載の事実は伝えなければなりません。告知義務のある瑕疵について、簡単に見てみましょう。
物理的瑕疵 | シロアリ被害、雨漏り、設備の故障、ヒビ、床上浸水被害、地中埋設物、地盤沈下などの家屋や土地の問題がある事実 |
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心理的瑕疵 | 過去に起こった自殺や殺人、事故の事実。また嫌悪施設(風俗点や火葬場、墓地、刑務所、暴力団事務所、公害を引き起こすような施設など)の跡地である事実。 |
環境的瑕疵 | 嫌悪施設の周辺や隣人トラブルなど、日常に支障をきたすような問題がある事実。 |
法律的瑕疵 | 建築基準法や消防法など家屋が現行の法律に違反している事実。 |
こうした「告知義務のある瑕疵」に該当しない、売主の個人的な事情の売却理由については、詳しく説明する義務はありません。基本的に、「住み替えのためです」と言えば、ほとんどの場合嘘にはならず、問題にもなりません。しかし、不動産会社の担当者には、きちんと伝えておく必要はあります。
【気になる】売却理由について、買主に伝える際のコツ
本当ならあまり伝えたくないような、ネガティブな理由での売却時には、ちょっとしたコツを押さえておくと便利です。
離婚・別居
離婚や別居による売却は、買主に対して詳細にその理由を伝える必要はありません。「住み替えのため」や「家族の都合」といったぼんやりとした伝え方で大丈夫です。しかし、こうしたぼんやりとした理由が、むしろ買主に不安を与えることもあります。離婚が理由であることをはっきりと伝えた方が、家屋そのものに問題がないことが分かり安心する方もいます。
ローンの返済が困難
売主の財政的な問題も、詳細に理由を伝える必要はなく、「住み替えのため」や「経済的な理由で」と伝えて問題ありません。ただ、経済的な理由が問題であることが相手に知られると、価格交渉において主導権を握られてしまい、売却価格の値引きが始まってしまう可能性もあるため、あまり詳細に伝えない方が無難です。
家の老朽化
家の老朽化が理由の場合は、「物理的瑕疵」に該当するため、きちんと告知する義務があります。劣化の状況を報告書で説明し、過去の修繕歴もすべて伝えるようにしましょう。この時、老朽化によって問題がある部分については、状況の説明に加えて改善策を伝えるのも良いでしょう。築年数のたった家は、リフォームを前提に購入を考えている方も多いため、こうした丁寧な説明は好印象にもつながります。
ご近所トラブル
近隣住民との関係性によって売却を考える場合、これが「環境的瑕疵」に当てはまるかどうかの判断が難しいかもしれません。状況により、告知義務のある理由になる場合と、そうでない場合があります。しかし、環境的瑕疵に当てはまるのにも関わらず、説明をしなかったとなれば、後のトラブルにもつながるため注意が必要です。自己判断はせずに、不動産会社の担当者に相談しましょう。
立地や環境が悪い
立地や環境の良し悪しは、人によって判断基準が分かれます。周辺に「嫌悪施設」がある場合は告知義務がありますが、例えば近隣にスーパーがない、保育園がない、駅が遠いといった個人的に不便と感じる内容ついては、詳細な説明は不要です。これは、スーパーや保育園などが近くにあることを良いと考える人と、さほど問題に考えない人がいるからです。一見、デメリットに思えるこれらの理由でも、人によっては周辺が静かで心地よいとメリットに思えることもあります。
事故物件
自殺や事故死のあった事故物件の場合は「心理的瑕疵」に該当するため、必ず伝えなければなりません。老衰などで自然死の場合は事故物件には当てはまらず、告知義務はありませんが、遺体の発見が遅れて床や壁の破損や臭い移りがある場合は「心理的瑕疵」や「物理的瑕疵」に当てはまり、告知が必要なため注意が必要です。
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まとめ
家を売却する理由は、人それぞれさまざまです。ポジティブな理由もあれば、あまり人には伝えたくないようなネガティブな理由もあるでしょう。売却時に、必ず聞かれるその理由は、法律で必ず伝えなければならないものと、そうでないものとがあります。ネガティブな理由であったとしても、伝え方のコツを押さえておけば、さほど問題にならないケースもあるため、今回ご紹介した内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。