2026年度の税制改正により、中古マンション購入時に利用できる住宅ローン控除が大きく拡充されました。
借入限度額の引き上げ、控除期間の「10年」から「13年」への延長、床面積要件の「40平方メートル以上」への緩和など、変更点は多岐にわたります。
とはいえ、「自分の物件は対象になるのか」「控除額はいくらになるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中古マンションで住宅ローン控除を受けるための要件から、2026年の改正内容、性能別の借入限度額・年間最大控除額の目安、申請方法までをわかりやすく解説します。
併せて、購入後にローン返済が厳しくなった場合に検討できる選択肢もご紹介します。
これから中古マンションの購入を検討している方は、ぜひご覧ください。
INDEX
中古マンションで住宅ローン控除を受けるための主な要件
中古マンションを購入して住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用するには、いくつかの要件を満たす必要があります。
ここでは主に、築年数・床面積・所得制限・借入期間をそれぞれ解説します。
なお、要件は都度変更される可能性があるため、詳細は必ず国税庁のホームページをご覧ください。
No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
築年数
中古マンションで住宅ローン控除を受けるには、原則、登記簿上の建築日付が1982年(昭和57年)1月1日以降である必要があります。
この日付は、建築基準法の耐震基準が大きく見直された「新耐震基準」が適用されるようになった時期にあたり、地震に対する構造の安全性を測る一つの目安とされています。
ただし、それより前に建築された中古マンションが、すべて控除の対象から外れるわけではありません。
この場合でも、耐震基準適合証明書や既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書などによって新耐震基準を満たしていることを証明できれば、住宅ローン控除の対象となります。
各種証明書の取得は、物件の購入前に売り主や仲介会社を通じて確認しておきましょう。
床面積
床面積の要件は、登記簿上の内法(うちのり)面積が40平方メートル以上であることです。
物件の広告などに記載される「壁芯面積」よりも、登記簿上の内法面積のほうが小さいのが一般的です。そのため、購入前に登記事項証明書で正確な数値を確認しておく必要があります。
なお、従来の要件では50平方メートル以上とされていましたが、2026年度の税制改正により基準が緩和されました。
この変更の詳しい内容は、次章の「【2026年】中古マンションにおける住宅ローン控除の大きな変更点」で解説します。
所得制限
住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることも、要件の一つです。
この合計所得金額には、給与所得だけでなく、副業や不動産所得、株式の譲渡益なども含まれるため、控除を受けられる年ごとに所得の見込みを把握しておく必要があります。
ただし、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の中古マンションを購入する場合は、合計所得金額1,000万円以下という、より厳しい所得要件が適用される点に注意が必要です。
借入期間
住宅ローン控除を受けるには、住宅ローンの借入期間が10年以上であることも要件の一つです。
そのため、繰り上げ返済や借り換えなどによって残りの返済期間が10年を下回ると、その時点で控除の対象外となる場合があります。
借入時だけでなく、返済期間が変更になりそうな際も、条件を満たしているか忘れずに確認しておきましょう。
その他
住宅ローン控除の対象となるためには、上記以外にもいくつかの要件があります。
以下は、その一例です。
- 購入した中古マンションを自ら居住用として使用する(別荘やセカンドハウスとしての利用、投資目的で購入し人に貸し出す場合などは対象外です)
- 取得した日から6ヵ月以内に居住を開始し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいる
- 贈与による取得でない
要件を一つでも満たさない場合は控除を受けられなくなるため、国税庁のホームページでよく確認したうえで、住宅メーカーや仲介会社に相談することをおすすめします。
【2026年】中古マンションにおける住宅ローン控除の大きな変更点
2026年度(令和8年度)税制改正により、中古住宅(既存住宅)に関する住宅ローン控除の制度が大きく手厚くなりました。
ここでは、中古マンションの購入を検討している方が押さえておきたい3つの変更点を紹介します。
借入限度額の引き上げ
以下の住宅や世帯に対し、借入限度の引き上げが実施されました。
- 省エネ性能の高い既存住宅
省エネ性能の高い既存住宅では、住宅ローン控除の対象となる借入限度額が2025年までの制度と比べて500万円から1,000万円ほど引き上げられました。
- 子育て世帯や若者夫婦世帯
19歳未満の子を有する「子育て世帯」や、夫婦のいずれかが40歳未満の「若者夫婦世帯」は、これまで新築住宅にしか認められていなかった借入限度額の上乗せ措置が、2026年からは中古住宅にも適用されるようになりました。
なお、各世帯に該当するかどうかは、入居した年の12月31日時点の状況で判定されます。
控除期間が「10年」から「13年」へ延長
長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅といった一定の省エネ基準を満たす中古マンションに限り、控除期間が新築住宅と同様の13年間に延長されました。
控除期間が3年延びることで、総控除額も大幅に増加します。
一方で、省エネ基準を満たさない一般的な中古マンションは、引き続き10年間が上限となるため、購入前に対象物件がどの区分に該当するのかを確認しておくことが重要です。
床面積要件が「40平方メートル以上」に緩和
控除の対象となる床面積の下限が、従来の50平方メートル以上から「40平方メートル以上」へと緩和されました。
これによって、単身者やDINKS世帯向けの都心部の1LDKなど、これまで対象外だったコンパクトな中古マンションも住宅ローン控除の対象になる可能性が高まります。
ただし、床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の物件で控除を受ける場合は、前述のとおり合計所得金額1,000万円以下という所得要件が別途課されます。
また、この特例が適用された場合、子育て世帯・若者夫婦世帯向けの上乗せ措置は併用できない点に注意が必要です。
中古マンションの住宅ローン控除借入限度額・年間最大控除額
2026年1月1日から2030年12月31日までに入居する場合の、住宅性能別の借入限度額と年間最大控除額の目安は以下のとおりです。
| 性能区分 | 借入限度額(一般世帯/子育て・若者夫婦世帯) | 控除率 | 控除期間 | 年間最大控除額(一般世帯/子育て・若者夫婦世帯) |
| 認定住宅 (長期優良住宅・低炭素住宅) | 3,500万円/4,500万円 | 0.7% | 13年 | 24.5万円/31.5万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円/4,500万円 | 0.7% | 13年 | 24.5万円/31.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円/3,000万円 | 0.7% | 13年 | 14万円/21万円 |
| 省エネ基準非適合の住宅 (その他の住宅) | 2,000万円(世帯区分による上乗せなし) | 0.7% | 10年 | 14万円/14万円 |
なお、表中の年間最大控除額とは、初年度に年末のローン残高が借入限度額の上限いっぱいまで残っている状態を想定しています。
例えば、認定住宅で初年度の年末のローン残高が3,500万円残っていた場合、その0.7%にあたる24.5万円が控除額となります。
表のとおり、住宅の省エネ性能が高いほど、借入限度額・控除期間ともに優遇される仕組みです。
「認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)」と「ZEH水準省エネ住宅」は借入限度額・控除率・控除期間すべて同水準となっています。
また「省エネ基準非適合の住宅」であっても、借入限度額2,000万円・控除期間10年で控除を受けられる点は、中古マンションならではのメリットといえます。
というのも、2024年以降、省エネ基準非適合の新築住宅は住宅ローン控除の対象外となったためです。
物件を検討する際は、不動産会社を通じて「住宅省エネルギー性能証明書」や「建設住宅性能評価書」の有無を確認し、どの区分に該当するかを事前に把握しておきましょう。
住宅ローン控除の申請方法と必要書類
住宅ローン控除を受けるための手続きは、初年度と2年目以降で異なります。
それぞれの流れと、必要書類を確認しておきましょう。
なお、実際に手続きをおこなう際は、この記事で概要を確認したうえで必ず国税庁のホームページをご参考にしてください。
初年度に確定申告が必要
住宅ローン控除を初めて受ける年は、給与所得者であっても必ず確定申告が必要です。
この初年度の申告は還付申告にあたるため、原則として入居した翌年の1月1日から提出可能です。通常の確定申告期間(2月16日から3月15日)を待つ必要はなく、還付申告として5年以内であれば申告できます。
主な必要書類は、次のとおりです。
| ・確定申告書 ・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・源泉徴収票 ・登記事項証明書 ・売買契約書の写し ・金融機関発行の住宅ローンの年末残高等証明書 ・本人確認書類(マイナンバーカードなど) ・(必要に応じて)耐震基準適合証明書、省エネ性能を示す証明書など |
中古マンションの場合は、築年数要件を満たすことを示す耐震基準適合証明書や、省エネ性能を示す証明書が必要になるケースもあります。
近年はe-Taxを利用したオンライン申告も普及しており、税務署に出向かなくても自宅からマイナンバーカードを使って手続きを完了できます。
2年目以降の年末調整での手続き
2年目以降は、確定申告は原則不要となり、勤務先の年末調整にて手続きをおこないます。
年末調整の際には、以下2点の書類を勤務先に提出します。詳細は、勤務先へご確認ください。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅ローンの年末残高等証明書
なお申告書は、初年度に確定申告をおこなうと、控除を受けられる年数分がまとめて税務署から送付される仕組みです。
年末残高等証明書は、毎年金融機関から送付されます。
書類の提出を忘れると控除が受けられなくなるため、勤務先が定める提出期限には十分注意しましょう。
なお、転職のタイミングなどにより、年末調整の対象外になった場合は、その年だけ確定申告が必要になります。
住宅ローン控除の拡充が中古マンションの資産価値を支える
中古マンションの住宅ローン控除が新築住宅並みに手厚くなったことで、中古物件への需要はさらに高まると予想されます。
控除額が大きくなるほど購入者の実質的な負担は軽くなるため、物件の需要が高まり、より有利な条件やスムーズな売却につながる可能性があります。
そのため住宅ローン控除の拡大は、これから売却を検討している所有者にとっても、大きなメリットとなるでしょう。
特に、省エネ性能が高く13年間の控除を受けられる物件は、同じ立地・広さの物件のなかでも購入希望者から選ばれやすくなると予想されます。
制度の拡充は購入者向けの優遇にとどまらず、中古マンション市場全体の活性化にもつながる変化だといえるでしょう。
住宅ローンの返済が厳しくなったときに考えられる選択肢
制度の拡充によって中古マンション購入のハードルが下がる一方で、住宅ローンの返済が厳しくなるケースも想定しておく必要があります。
住宅の購入後、ライフイベントなどによる大きな出費や、収入の減少などによって、ローンの返済に支障が出るリスクがまったくないとは断言できません。
さらに昨今の物価高により、金利の上昇および返済負担の増加も懸念されます。
そこで知っておくべきなのが、返済が難しくなった場合の選択肢です。
ここでは、3つの選択肢をご紹介します。
なお、住宅ローンの返済が難しくなった場合の対処法は、以下の記事でも解説しています。
[関連リンク]
住宅ローンを払えないとどうなる?返済が厳しい時の解決策を徹底解説!
住宅ローン返済中でも持ち家は売れる?オーバーローンでも売却できる3つの方法
まず、住宅を売却するには、原則としてローンを完済したうえで、抵当権の抹消が必要です。
もしローンが完済できない場合、一般的に次のような選択肢があります。
住み替えローンの活用
住宅ローンの残債を売却代金で完済しきれない「オーバーローン」の状態であっても、現在のローンと新しい住まいの購入資金と併せて借り入れる「住み替えローン」を利用できる場合があります。
売却と購入のタイミングを同日に合わせる必要があるなど手続きが複雑になりやすい一方、住み替え後の住宅ローン控除を新たに利用できる可能性があるという点はメリットです。
ただし、新たな借入額が大きくなるため、月々の返済負担が増えないか、返済計画には慎重な検討が必要です。
任意売却
返済が滞ってしまった場合には、金融機関との合意のもとで市場価格に近い金額での売却を目指す「任意売却」という方法もあります。
競売にかけられるよりも高値での売却が期待でき、残債務も分割返済などの相談がしやすくなる点がメリットです。
一方で、金融機関との交渉や手続きに時間がかかる点や、信用情報に影響が及ぶ点には注意が必要です。
リースバック
自宅を売却したあとも、賃貸として同じ家に住み続けられる「リースバック」にも注目が集まっています。
最大のメリットは、まとまった資金を確保したうえで、引っ越しをせずに生活を続けられる点です。
周囲に売却の事実を知られにくいというのも、リースバックが選ばれるポイントの一つです。
ただし、売却額が一般的な仲介売却より抑えられる傾向にある点には留意する必要があります。
住宅ローンの返済に不安を感じた場合や、環境を変えずに資金を確保したい場合の有効な解決策として、リースバックの検討をおすすめします。
一建設の「リースバックプラス+」は、ライフスタイルに合わせて選べる3つのプランをご用意しています。
ご自身の生活やご希望に合わせて柔軟にプランを選択できるため、いざというときの心強い味方となるでしょう。
中古マンションの住宅ローン控除でよくある質問
最後に、中古マンションの住宅ローン控除でよくある質問と回答をまとめました。
繰り上げ返済をすると住宅ローン控除が打ち切られる?
繰り上げ返済によって残りの返済期間が10年未満になると、その時点で住宅ローン控除の対象外となる場合があります。
繰り上げ返済を検討する際は、返済期間が10年を下回らないかを確認したうえで、金利の状況や手元資金とのバランスも併せて判断することをおすすめします。
住宅ローンの借り換えをした場合、控除はどうなる?
住宅ローンを借り換えた場合でも、次の2点を満たしていれば引き続き控除の対象になります。
- 現在の住宅ローンの返済のため、新たな住宅ローンを借りていること
- 住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること(返済期間が10年以上あるなど)
借り換えを検討する際は、事前に金融機関へ確認しておくと安心です。
住宅ローンの借り換えは、以下の記事もご覧ください。
[関連リンク]
住宅ローン借り換えのメリット・デメリットとは?向いている人の特徴や注意点を紹介
中古マンションは築何年まで住宅ローンが組める?
法律上、中古マンションの築年数に住宅ローンの上限が定められているわけではありません。
ただし、金融機関によっては建物の築年数と法定耐用年数に応じて返済期間に制限を設けている場合があります。
築年数が古い物件を検討する際は、事前に複数の金融機関へ相談し、借入可能な返済期間を確認しておくと安心です。
中古マンションを購入して、将来売却できる?
住宅ローンの残債が売却価格を下回る「アンダーローン」の状態であれば、売却によってローンを完済できる可能性が高いといえます。
一方、残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合でも、住み替えローンや任意売却、リースバックといった選択肢を組み合わせることで、売却への道が開けるケースがあります。
将来的な売却の可能性も見据えながら、購入時点で資産価値の維持しやすい物件を選ぶことも一つのポイントです。
中古マンション売却時の査定ポイントは、以下の記事で説明しています。
[関連リンク]
中古マンション売却時の査定方法と査定額アップのコツ、よくある質問
まとめ
2026年度税制改正により、中古マンションの住宅ローン控除が拡充されました。
具体的には、次の3点です。
- 借入限度額の引き上げ:省エネ住宅・子育て世帯など
- 控除期間の延長:省エネ住宅で10年→13年
- 床面積要件の緩和:50平方メートル→40平方メートル以上へ緩和
中古マンションの購入を検討している方にとっては、この変更が住宅購入への大きな追い風となるでしょう。
一方で、住宅ローンの長期にわたる返済期間のなかで、大きな出費や収入減少などによって、返済が厳しくなるリスクはゼロではありません。
もし将来、返済に不安を感じる場面が訪れたとしても、住み替えローンや任意売却に加え、住み慣れた自宅に住み続けながらまとまった資金を確保できる「リースバック」という選択肢があります。
一建設の「リースバックプラス+」では、住宅ローンの返済にお悩みの方に向けて、無理のない資金計画のご提案をおこなっています。
将来への備えとして、まずは仕組みや利用条件を確認してみてはいかがでしょうか。















