マンションの名義変更は、相続・離婚・贈与・売買のどれに当たるかによって、手続きや必要書類、税金が大きく変わります。登記だけ済ませても、住宅ローンや管理組合、保険に関する手続きが漏れていると、売却や保険金請求で問題になることもあります。この記事では、2026年の法改正を踏まえ、4つのケースの流れと費用をわかりやすく整理します。
INDEX
マンションの名義変更とは?2つの登記の違いを整理
一般に「マンションの名義変更」と呼ばれる手続きは、所有者そのものを変える「所有権移転登記」と、同じ所有者の住所・氏名を更新する「住所・氏名変更登記」に分かれます。まず、どういう場合に必要なのかを確認しましょう。
所有権移転登記|所有者が変わる場合
相続、離婚にともなう財産分与、贈与、売買などによってマンションの所有者が変わる場合は、所有権移転登記を申請します。単に契約書や遺産分割協議書を作成しただけでは、登記簿上の所有者は変わりません。
住所・氏名変更登記|所有者は変わらない場合
引っ越しや結婚などで、所有者が同じまま住所・氏名だけが変わった場合は、住所・氏名変更登記をおこないます。
2026年4月1日から住所等変更登記が義務化され、変更日から2年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料対象になり得ます。2026年3月31日以前に住所・氏名が変わっている場合も対象となり、原則として2028年3月31日までに申請する必要があります。
参照:法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」
参照:法務省「住所等変更登記の義務化について」
マンション特有のポイント:登記簿の見方と敷地権
マンションでは、登記簿の「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」「権利部」を確認します。敷地権化されているマンションは、専有部分と土地の持分が原則として一体で登記されます。
古い物件には、建物と土地持分が別々に登記されている非敷地権化マンションもあります。建物部分だけ名義を変更すると、土地持分が旧名義のまま残るため、判断しにくい場合は司法書士へ確認しましょう。
【相続】マンションの名義変更|手続き・書類・税金
相続による名義変更は「相続登記」です。戸籍収集や遺産分割協議があり、準備に時間がかかりやすい手続きです。
相続登記の義務化と期限
相続登記は2024年4月1日から義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料対象になり得ます。
施行前の相続も対象で、すでに取得を知っていた場合は原則2027年3月31日が期限です。あとから遺産分割が成立したときは、成立日から3年以内に登記します。
手続きの流れ
相続によるマンションの名義変更は、以下の流れで進めます。
- 遺言書の有無を確認する
- 戸籍を集めて法定相続人を確定する
- 登記事項証明書などで相続財産を調査する
- 遺産分割協議をおこない、協議書を作成する
- 管轄法務局へ相続登記を申請する
- 登記後、管理組合へ区分所有者変更届を出す
法務局保管制度を利用していない自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所の検認が必要です。
必要書類チェックリスト
相続による名義変更の必要書類は、遺言書がある場合と遺産分割協議による場合で異なります。以下の表で確認してください。
| 必要書類 | 遺言がある場合 | 遺産分割協議の場合 | 取得先・作成方法 |
| 登記申請書 | ○ | ○ | 法務局の様式を参考に作成 |
| 被相続人の戸籍・除籍謄本等 | 死亡の記載があるもの | 出生から死亡までの連続した一式 | 本籍地の市区町村役場 |
| 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | △ | △ | 住所地または本籍地の市区町村役場 |
| 相続人の現在戸籍 | マンションを取得する相続人のもの | 法定相続人全員分 | 本籍地の市区町村役場 |
| マンションを取得する相続人の住民票 | ○ | ○ | 住所地の市区町村役場 |
| 固定資産課税明細書または固定資産評価証明書 | ○ | ○ | 手元または市区町村役場 |
| 遺言書 | ○ | ― | 手元、法務局または公証役場 |
| 遺言書検認済証明書 | △ | ― | 家庭裁判所 |
| 遺産分割協議書 | ― | ○ | 法定相続人全員で作成 |
| 法定相続人全員の印鑑証明書 | ― | ○ | 住所地の市区町村役場 |
| 委任状 | △ | △ | 司法書士などへ依頼する場合に作成 |
| 相続関係説明図 | △ | △ | 戸籍等の原本還付を希望する場合に作成 |
| 登録免許税分の収入印紙等 | ○ | ○ | 法務局、郵便局など |
※「△」は、登記内容や申請方法によって必要になる書類です。
遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容にしたがって登記します。ただし、自筆証書遺言は検認や法務局保管制度の利用状況によって必要書類が異なります。遺産分割協議の場合は、相続人全員で作成した遺産分割協議書と、全員分の印鑑証明書が必要です。
遺産分割がまとまらないとき:相続人申告登記
期限までに遺産分割がまとまらないときは「相続人申告登記」を利用できます。相続人であることを法務局へ申し出ると、申出をした相続人は相続登記の申請義務を履行したものとみなされます(他の相続人の義務が消えない点は注意しましょう)。
ただし、所有権移転登記ではないため、売却や担保設定には正式な相続登記が必要です。
相続税の基本と特例制度
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。課税価格の合計が基礎控除以下なら、原則として相続税はかかりません。
配偶者の税額軽減では、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで、相続税がかかりません。小規模宅地等の特例は、一定の宅地等の評価額を減額する制度で、マンションでは建物ではなく敷地権部分が対象です。
なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用する場合は、適用後の納税額が0円になる場合でも、原則として相続税の申告が必要です。
参照:国税庁「No.4152 相続税の計算」
参照:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
参照:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
[関連リンク]
マンション相続にかかる税金と計算方法|相続税を減らす特例もご紹介
【離婚・財産分与】マンションの名義変更|手続き・書類・税金
離婚にともなう名義変更は、財産分与を原因とする所有権移転登記です。住宅ローンが残っている場合は、必要に応じて債務者の変更や借り換えを検討します。
手続きの流れ
離婚前または離婚後に、離婚協議書・公正証書・調停調書などで財産分与の内容を確定します。離婚前に内容を決めておくことはできますが、財産分与を原因とする所有権移転登記は、原則として離婚成立と同時または成立後におこないます。
必要書類チェックリスト
財産分与による名義変更では、マンションを渡す側と受け取る側で用意する書類が異なります。離婚協議で決まった場合と、調停・審判で決まった場合でも必要書類が変わるため、自分のケースに該当するものを確認しましょう。
| 必要書類 | 用意する人 | 取得先・作成方法 | 補足 |
| 登記申請書 | 申請者・司法書士 | 作成 | 法務局の様式を参考に作成 |
| 登記原因証明情報 | 双方 | 作成 | 財産分与が原因で所有権を移転することを示す書類 |
| 離婚協議書 | 双方 | 作成 | 財産分与の内容を明記する |
| 調停調書・審判書 | 該当する場合 | 家庭裁判所 | 調停・審判で財産分与が決まった場合に使用 |
| 登記識別情報または権利証 | マンションを渡す側 | 手元 | 旧所有者が保管しているもの |
| 印鑑証明書 | マンションを渡す側 | 市区町村役場 | 発行後3ヵ月以内のものが求められることが多い |
| 実印 | マンションを渡す側 | 手元 | 登記関係書類への押印に使用 |
| 認印(または実印) | マンションを受け取る側 | 手元 | 委任状などに押印(実印を求められる場合もあり) |
| 住民票 | マンションを受け取る側 | 市区町村役場 | 新しい所有者の住所確認に使用 |
| 固定資産評価証明書 | どちらか一方 | 市区町村役場 | 登録免許税の計算に必要 |
| 本人確認書類 | 双方 | 手元 | 司法書士に依頼する場合に必要 |
| 金融機関の承諾書 | ローン残債がある場合 | 金融機関 | 住宅ローンが残っている場合は事前確認が必要 |
| 委任状 | 司法書士に依頼する場合 | 作成 | 司法書士が代理申請する場合に必要 |
離婚協議書には、マンションの所在地や持分、名義変更の時期などを明記します。住宅ローンが残っている場合は、事前に金融機関へ確認しましょう。
[関連リンク]
離婚したら持ち家はどうする?財産分与の考え方や事前の確認事項を解説
財産分与の請求期限:2026年4月改正で2年から5年へ
2026年4月1日施行の改正により、同日以後に離婚した場合の財産分与請求期間は、離婚後2年から5年へ延長されました。2026年3月31日以前に離婚が成立した場合は、従来どおり原則2年です。
家庭裁判所は、財産分与に関する手続きのなかで、当事者に財産情報の開示を命じることができます。ただし、協議中の当事者が相手に直接開示を命じられる制度ではありません。
参照:法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」
税金の取り扱い
通常の財産分与では、マンションを受け取る側に贈与税は原則かかりません。ただし、婚姻中の財産形成への貢献度などに照らして分与額が過大な場合は、超過部分が贈与と扱われる可能性があります。
渡す側には、時価で譲渡したものとして譲渡所得税が生じる場合があります。居住用財産の3,000万円特別控除の可否も含め、税理士へ確認しましょう。
【贈与】マンションの名義変更|手続き・書類・税金
無償譲渡では贈与契約を結び、所有権移転登記をおこないます。贈与税・登録免許税・不動産取得税をまとめて試算しましょう。
手続きの流れ
対象マンション、贈与日、持分を記した贈与契約書を作成し、法務局へ申請します。登記後は、管理組合・管理会社へ区分所有者変更届も提出します。
[関連リンク]
マンション売却の流れ7ステップ!時間・費用・入金のタイミングも併せて解説
必要書類チェックリスト
贈与による名義変更では、贈与者と受贈者で用意する書類が異なります。
| 必要書類 | 用意する人 | 取得先・作成方法 | 補足 |
| 贈与契約書 | 贈与者・受贈者 | 作成 | 誰から誰へ、どの不動産を贈与するかを記載 |
| 登記原因証明情報 | 贈与者・受贈者 | 作成 | 贈与を原因として名義変更することを示す書類 |
| 登記申請書 | 申請者・司法書士 | 作成 | 法務局へ提出する申請書 |
| 登記識別情報または権利証 | 贈与者 | 手元 | 贈与者がマンションを取得した際の権利証 |
| 印鑑証明書 | 贈与者 | 市区町村役場 | 登記申請日前3ヵ月以内のものが必要になることが多い |
| 実印 | 贈与者 | 手元 | 登記関係書類への押印に使用 |
| 認印(または実印) | 受贈者 | 手元 | 登記関係書類への押印に使用 |
| 住民票 | 受贈者 | 市区町村役場 | 新しい所有者の住所確認に使用 |
| 固定資産評価証明書 | どちらか一方 | 市区町村役場 | 登録免許税の計算に必要 |
| 本人確認書類 | 双方 | 手元 | 司法書士に依頼する場合に必要 |
| 委任状 | 司法書士に依頼する場合 | 作成 | 司法書士が代理申請する場合に必要 |
| 区分所有者変更届 | 受贈者 | 管理会社・管理組合 | 登記完了後に提出 |
※贈与による名義変更では、登記に必要な書類だけでなく、贈与税や不動産取得税の確認も必要です。
※贈与税は、その年の1月1日から12月31日までに受けた財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残額に課税されます。
贈与契約書には、贈与するマンションや持分、贈与日を明記します。登記後は、管理組合・管理会社への届出も忘れずにおこないましょう。
贈与税の計算と節税制度
暦年課税では、1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引き、残額に贈与税率を適用します。
相続時精算課税は、一定の父母・祖父母から子・孫への贈与で、年110万円の基礎控除と累計2,500万円までの特別控除を利用できます。一度選ぶと、その贈与者は暦年課税へ戻せません。
婚姻20年以上の夫婦間で居住用不動産または取得資金を贈与すると、基礎控除とは別に最高2,000万円を控除できる「贈与税の配偶者控除」、いわゆるおしどり贈与があります。適用前に税理士へ相談しましょう。
参照:国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
参照:国税庁「令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(PDF)」
参照:国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」
別途確認すべき税金:不動産取得税・登録免許税
贈与税の他に、不動産取得税と登録免許税が発生します。
不動産取得税は、不動産を取得した際に都道府県が課す税金です。贈与によるマンション取得は課税対象となります。土地と住宅には2027年3月31日まで3%の軽減税率が、住宅以外の家屋には4%の税率が適用されます。また、宅地等の課税標準を2分の1とする特例や、一定の住宅・敷地に対する軽減措置を利用できる場合があります。
登録免許税は、贈与による所有権移転登記では固定資産税評価額の2.0%です。相続の場合の0.4%と比較すると5倍の税率となるため、贈与と相続のどちらが有利かは、贈与税・相続税・不動産取得税・登録免許税を総合的に比較して判断する必要があります。
【売買】マンションの名義変更|手続き・書類・税金
売買では、決済・引渡しと同時に所有権移転登記をおこない、住宅ローン利用時は抵当権設定登記も申請します。
手続きの流れ
通常は不動産会社が手続きを調整し、決済日に司法書士が本人確認、代金の着金、抵当権抹消書類などを確認して登記を申請します。
住宅ローンが残っている場合は、売却代金などでローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する手続きも必要です。
必要書類チェックリスト
売買による名義変更では、売り主と買い主で用意する書類が異なります。
| 必要書類 | 用意する人 | 取得先・作成方法 | 補足 |
| 売買契約書 | 売り主・買い主 | 不動産会社などが作成 | 売買による所有権移転の根拠になる |
| 登記申請書 | 申請者・司法書士 | 作成 | 通常は司法書士が作成する |
| 登記原因証明情報 | 売り主・買い主 | 作成 | 売買を原因として所有権を移転することを示す書類 |
| 登記識別情報または権利証 | 売り主 | 手元 | 売り主がマンションを取得した際の権利証 |
| 印鑑証明書 | 売り主 | 市区町村役場 | 発行後3ヵ月以内のものが求められることが多い |
| 実印 | 売り主 | 手元 | 登記関係書類への押印に使用 |
| 認印(または実印) | 買い主 | 手元 | 委任状などに押印(実印を求められる場合もあり) |
| 固定資産評価証明書 | 売り主または不動産会社 | 市区町村役場 | 登録免許税の計算に必要 |
| 住民票 | 買い主 | 市区町村役場 | 新所有者の住所確認に使用 |
| 本人確認書類 | 売り主・買い主 | 手元 | 司法書士の本人確認で使用 |
| 委任状 | 売り主・買い主 | 作成 | 司法書士に依頼する場合に必要 |
| 住宅用家屋証明書 | 買い主 | 市区町村役場 | 登録免許税の軽減を受ける場合に必要 |
| 金銭消費貸借契約書など | 買い主 | 金融機関 | 住宅ローンを利用する場合に必要 |
| 抵当権設定関係書類 | 買い主・金融機関 | 金融機関・司法書士 | 住宅ローン利用時に抵当権を設定する場合 |
| 区分所有者変更届 | 買い主 | 管理会社・管理組合 | 登記完了後に提出 |
買い主が登録免許税の軽減を受ける場合は、住宅用家屋証明書が必要になることがあります。適用要件は築年数、床面積、居住用かどうかなどで変わるため、司法書士や不動産会社に確認しましょう。
親族間売買の注意点:みなし贈与
親族間でマンションを売買する場合は、「みなし贈与」に注意が必要です。時価よりも著しく低い価格で売買すると、時価と売買価格との差額が贈与とみなされ、買い主に贈与税が課される可能性があります。
どの程度低ければ「著しく低い価額」に当たるか、一律の基準は定められていません。近隣物件の成約事例や複数の不動産会社による査定書、不動産鑑定評価などをもとに、通常の取引価格として妥当であることを説明できるようにしておくことが重要です。
路線価や固定資産税評価額も参考資料にはなりますが、市場で実際に売買される時価とは異なることがあります。親族間売買を検討する場合は、不動産会社や不動産鑑定士に価格査定を依頼し、税理士にも事前に相談しましょう。
なお、親族間売買では住宅ローン控除が適用外になる場合がありますので注意しましょう。
税金の取り扱い
買い主には登録免許税と不動産取得税、売り主には利益が出た場合の譲渡所得税が関係します。譲渡所得は「売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除」で計算します。
売却年の1月1日時点で所有期間5年超は長期、5年以下は短期譲渡所得となり、税率が変わります。
ケース別にかかる税金の概要
ここまで説明してきたケース別の税金を、一覧にまとめました。
| ケース | 関係する主な税金 |
| 相続 | 相続税、登録免許税不動産取得税は原則非課税 |
| 贈与 | 贈与税、不動産取得税、登録免許税 |
| 売買 | 買い主は不動産取得税・登録免許税、売り主は譲渡所得税 |
| 財産分与 | 受贈者は登録免許税・不動産取得税、贈与者は譲渡所得税が発生する場合あり |
不動産の登記・取得時にかかる税金だけを見ると、相続は不動産取得税が原則非課税で、登録免許税率も0.4%に抑えられています。ただし、遺産総額によっては相続税が発生します。最終的な税負担が必ずしも軽くなるとは限りません。
一方、贈与では贈与税に加えて、不動産取得税と原則2.0%の登録免許税がかかるため、税負担が大きくなりやすい傾向があります。贈与を検討する際は、利用できる控除制度も含めて総合的に試算しましょう。
マンションの名義変更にかかる費用の全体像
主な費用は、登録免許税、司法書士報酬、書類取得費です。相続税や贈与税、不動産取得税、譲渡所得税は個別事情で変わるため、別枠で考えます。
登録免許税の計算方法と税率一覧
所有権移転登記の登録免許税は、原則として「固定資産税評価額×税率」で計算します。一方、住宅ローンにともなう抵当権設定登記は、原則として「債権額(借入額)×税率」で計算します。
| 登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 | 適用期限 |
| 土地の売買による所有権移転登記 | 2.0% | 1.5% | 2029年3月31日まで |
| 住宅用家屋の売買による所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% | 2027年3月31日まで |
| 住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% | 2027年3月31日まで |
| 相続による所有権移転登記 | 0.4% | 一定の土地は免税 | 2027年3月31日まで |
| 贈与・財産分与による所有権移転登記 | 2.0% | ― | ― |
土地の売買による所有権移転登記の軽減期限は、2026年度税制改正により2029年3月31日まで延長されています。住宅用家屋の所有権移転登記と抵当権設定登記の軽減期限は2027年3月31日です。
マンションの売買では敷地権と建物で税率が異なります。0.3%・0.1%の軽減には、住宅用家屋証明書の取得などが必要です。
参照:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
参照:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
司法書士報酬の相場
マンションの名義変更を司法書士に依頼する場合の報酬は、一般的に5万〜15万円が目安です。ただし、この金額はケースの複雑さによって変動します。相続の場合は、相続人の人数が多いほど戸籍収集の手間が増え、遺産分割協議書の作成を依頼するとさらに費用が加算されるのが通常です。
また、不動産の数が複数あったり、住宅ローンの抵当権抹消が必要だったりすると、報酬が上乗せされることもあります。見積もりは無料で対応してくれる司法書士事務所も多いため、複数の事務所に相談して比較することをおすすめします。
書類取得にかかる実費
名義変更では、戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などの取得費用がかかります。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本・改製原戸籍は1通750円、その他の証明書は1通200〜400円程度が目安です。
相続登記では、原則として被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要なため、費用が高くなることがあります。2024年3月からは戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも取得できる場合があります。
【早見表】評価額2,000万円マンションの費用シミュレーション
固定資産税評価額を2,000万円と仮定した概算です。売買は土地部分と建物部分の評価額をそれぞれ1,000万円として計算します。
| ケース | 登録免許税の目安 | 司法書士報酬の目安 | 書類取得費の目安 | 合計目安 |
| 相続 | 8万円 | 5万〜15万円 | 1万〜3万円 | 約14万〜26万円 |
| 離婚・財産分与 | 40万円 | 5万〜15万円 | 3,000〜5,000円 | 約45.3万〜55.5万円 |
| 贈与 | 40万円 | 5万〜15万円 | 3,000〜5,000円 | 約45.3万〜55.5万円 |
| 売買(住宅用家屋の軽減あり) | 18万円※ | 5万〜15万円 | 3,000〜5,000円 | 約23.3万〜33.5万円 |
| 売買(住宅用家屋の軽減なし) | 35万円※ | 5万〜15万円 | 3,000〜5,000円 | 約40.3万〜50.5万円 |
※住宅用家屋の軽減が適用される場合は、土地1,000万円×1.5%+建物1,000万円×0.3%=18万円です。建物に住宅用家屋の軽減が適用されない場合は、土地1,000万円×1.5%+建物1,000万円×2.0%=35万円となります。土地の売買にかかる1.5%の軽減税率は、住宅用家屋証明書の有無に関わらず、2029年3月31日まで適用されます。実際の税額は、土地と建物の固定資産税評価額の割合によって異なります。
贈与税、相続税、不動産取得税、譲渡所得税、抵当権関連費用は含みません。
マンションの名義変更にかかる期間の目安
マンションの名義変更には、法務局での処理期間に加えて、申請前の準備期間も必要です。全体のスケジュールを把握し、余裕を持って手続きを進めましょう。
法務局の処理期間
法務局へ登記申請書を提出したあと、書類に不備(補正事項)がなければ、1〜2週間程度で登記が完了するのが一般的な目安です。ただし、法務局の繁忙期(年度末の3〜4月など)や管轄法務局の処理状況によって、これ以上かかることもあります。正確な処理期間は、管轄法務局の窓口やWebサイトで確認してください。
登記が完了すると、新しい所有者に登記識別情報通知が発行されます。これは次回の名義変更や担保設定時に必要となる重要な書類ですので、紛失しないよう大切に保管しましょう。
ケース別の準備期間
登記申請に至るまでの準備期間は、ケースによって大きく異なります。
| ケース | 準備期間の目安 |
| 相続 | 1〜3ヵ月 |
| 離婚(財産分与) | 2週間〜1ヵ月 |
| 贈与 | 2週間〜1ヵ月 |
| 売買 | 決済日に同時進行が一般的 |
相続人間の協議、住宅ローン審査、権利証の紛失などがあれば、さらに長期化する可能性があります。
やってはいけないNG例&マンション特有の注意点
登記だけでなく、税金や住宅ローン、敷地権、管理組合、保険まで確認しましょう。
NG例①:離婚届の前に贈与扱いで名義を移す
財産分与を原因とする名義変更は、原則として離婚成立後におこないます。離婚前に移転すると、財産分与ではなく贈与などと評価される可能性があるため、離婚成立日と登記原因の日付が矛盾しないように手続きを進めましょう。
NG例②:住宅ローン残債があるのに金融機関へ無断で名義変更
住宅ローンが残っていても、所有権移転登記自体が法律上一律にできないわけではありません。ただし、住宅ローンや抵当権設定契約では、担保となっているマンションの譲渡に金融機関の事前承諾を求めていることがあります。無断で名義を変更すると契約違反となり、一括返済を求められる可能性があるため、必ず事前に金融機関へ相談しましょう。
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NG例③:敷地権を確認せず建物だけ登記する
記事の冒頭でも触れたとおり、築年数が古いマンションなどでは、建物と土地の権利が一体化されておらず、別々に管理されている非敷地権マンションがあります。このようなマンションで名義変更をおこなう際、建物の所有権移転登記だけをおこない、土地の持分移転登記を忘れてしまうケースがあります。
土地持分の移転が漏れると、将来マンションを売却する際に手続きが複雑になったり、金融機関から融資を受ける際に問題が生じたりする可能性があります。名義変更をおこなう前に、必ず登記簿謄本で敷地権の有無を確認し、非敷地権の場合は建物・土地の両方の登記申請をおこないましょう。
NG例④:相続人申告登記を正式な相続登記と誤解する
相続人申告登記は、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度であり、マンションの取得者を確定する所有権移転登記ではありません。売却や担保設定をするには、遺言や遺産分割などに基づく正式な相続登記が必要です。
注意点⑤:管理組合への届出を忘れない
法務局への登記手続きが完了すると、法的な名義変更としてはひとまず完了ですが、マンションの場合はもう一つ大切な手続きがあります。管理組合(管理会社)への区分所有者変更届の提出です。
管理組合は区分所有者名簿をもとに管理費・修繕積立金の請求や、総会の招集通知の送付などをおこなっています。届出を忘れると、前の所有者あてに請求書や通知が届き続けるなどのトラブルが発生します。また、大規模修繕の議決権行使や管理組合の運営にも影響が出る可能性があるため、登記完了後は速やかに届出をおこなってください。
注意点⑥:火災保険・地震保険の名義変更
マンションの所有者が変わった場合は、火災保険・地震保険も手続きが必要です。保険の契約内容と実際の所有関係が一致していないと、保険金請求時の確認に時間がかかったり、補償をめぐる問題が生じたりする可能性があります。
相続・離婚・贈与の場合は契約者や被保険者の変更、売買の場合は解約や新規加入が必要になることがあります。所有者が変わった際は、速やかに保険会社または代理店へ連絡し、必要な手続きを確認しましょう。
注意点⑦:住所変更登記の義務化
2026年4月1日から住所等変更登記が義務化され、変更日から2年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料対象になり得ます。2026年3月31日以前に住所・氏名が変わっており、変更登記をしていない場合は、原則として2028年3月31日までに申請しなければなりません。
まとめ|マンションを売却しても住み続けたいなら一建設の「リースバックプラス+」
マンションの名義変更は、相続・離婚・贈与・売買によって必要書類や税金、手続きの期限が異なります。住宅ローンや敷地権、管理組合への届出なども確認し、複雑なケースでは司法書士や税理士へ相談しましょう。
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※記事の内容は2026年8月現在の情報に基づいています。制度や法律は今後変更・廃止される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。















