夢のマイホームを購入したものの、景気悪化や社会情勢により住宅ローンを払い続けられるか心配な方は多いのではないでしょうか。
そんなときにおすすめなのが「リースバック」です。本記事では、住宅ローンが残っていてもリースバックは可能なのか、また住宅ローンが残っている状態でリースバックをおこなうメリットや注意点などを詳しく解説します。
リースバックをより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
[関連リンク]
リースバックとは?仕組みやメリット・デメリット、トラブルの対処法をわかりやすく解説
INDEX
リースバックは住宅ローンがあってもできる?
基本的に、住宅ローンの残債がある物件を売ることはできませんが、特定の条件を満たせばリースバックは可能です。
ここでは住宅ローンが残っていても、リースバックができるケースとできないケースをご紹介します。
オーバーローンのときはほとんどできない
「オーバーローン」とは、不動産の売却価格よりもローンのほうが多く残っている状態のことです。
例えばローンの残債が1,500万円で、売却価格が1,000万円のように、売却価格がローンの残債を下回ると、住宅ローンの融資先である銀行が許可しないためリースバックは難しくなります。
ローンの残債のほうが多い状態で家を売却されると、いざというときに換金できるはずの家がなくなってしまいます。よってローンが完済されないリスクが高まるため、銀行側はリースバックを認めないのです。
住宅ローンの返済が苦しく困っている方はこちらの記事も参考にしてみてください。
[関連リンク]
【2023年】リースバックの家賃が払えないとどうなる?退去の流れや解決策を紹介
また、住宅ローンの契約には、借主が返済できなくなったら銀行が「家を強制的に売却」できる「抵当権」があります。抵当権がついたまま不動産を売買することは法的には問題ありませんが、債務が残っている物件に住んでいると、いつ差し押さえになるかわからない状態のまま生活することになります。
そのため、抵当権のある不動産を購入する方はほぼ皆無といっても良いでしょう。
このような場合、「任意売却」によって自宅を売る方法があります。任意売却とは、金融機関の合意を得て家や土地を売却する方法で、オーバーローンでも金融機関の合意のもと売却が可能になります。
しかし、任意売却するとマイホームを手放すことになってしまいます。どうしてもリースバックしたいのであれば、ローン完済に足りない金額を自己資金(貯金など)から補填しなければなりません。
任意売却に関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
[関連リンク]
任意売却のメリット・デメリットや流れを解説!ローン返済の代替案も紹介
アンダーローンならできる
アンダーローンとは、不動産の資産価値よりも債務金額のほうが低い状態のことです。ローンがあっても「住宅ローンの残債よりもリースバックでの売却価格のほうが高額」であればリースバックができます。
リースバックすると所有権が新たなオーナーに移りますが、代わりに売却代金が手に入ります。年齢や年収、手に入れた資金の使い道などの制限はありません。
さらに家を売ったことを周囲に気付かれにくく、個人のプライバシーも守られます。固定資産税や修繕費を払う必要もないため、自宅を担保に毎月の生活費を借りるリバースモーゲージと比べると売り手側の負担や制限は少ないといえます。また一定期間内であれば、一度手放した不動産を買い戻すことも可能です。
リースバックができない3つのケース
リースバックを利用できない主な原因は「建物に問題がある」「市場価値が低い土地」「共有持ち分がある」という問題が挙げられます。ここでは3つの原因を詳しく解説します。
建物に問題がある
「建物に瑕疵(かし)がある」「既存不適格物件である」など問題がある場合はリースバックできません。具体的にどのような内容なのかを下記で解説します。
<建物に瑕疵がある>
瑕疵とは欠点や欠陥など、不動産領域で何らか問題があることです。法律上は意思表示・契約の目的物・代理行為などに何らかの問題があることを指します。
契約の目的物の瑕疵に関しては、2020年4月1日に改正され、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に改められました。
瑕疵担保責任とは、不動産を売買契約に基づいて取引する際、売り主が引き渡した物件に瑕疵があった際に発生する法的責任のことです。売り主に対し買い主は契約を解除できます。
一方、契約不適合責任とは、売買の目的物の品質などが契約内容と照らし合わせた際、不十分だった場合は瑕疵があってもなくても買い主が保護される法律です。
瑕疵担保責任 | 契約不適合責任 | |
---|---|---|
瑕疵への対応 | 瑕疵が隠れていたら立証が難しく泣き寝入りが多かった | 契約内容に照らして瑕疵があれば売り主に責任を追及できる |
売り主への対応 | 契約解除 | ・契約解除 ・代金減額請求権 ・追完請求を行使できる |
また、雨漏りやシロアリなどの「物理的瑕疵」は生活するうえでの重大な瑕疵となるため、リースバックするのは難しいでしょう。しかし、リフォームで大幅に修繕していたのなら利用できる場合があります。
<既存不適格物件である>
既存不適格物件とは、建築基準法や都市計画法など現行の法令に適合しない建物や物件を指します。
建物が建設された時点では合法でも、後の法改正によって基準が厳格化された結果、不適格となるケースが多いです。
さらに既存不適格物件が現行の基準に合致するように改築や建て替えが難しい場合、その物件の活用が制限されるため、リースバックできない可能性があります。
ただしリースバック運営会社のなかには対応してくれるところもあります。条件や可能性について、相談してみると良いでしょう。
市場価値が低い土地
市場価値が低い土地は転売が難しいため、リースバックの対象にならないことが多いです。
例えば「借地権の土地」が挙げられます。借地権とは、土地の所有者に対して一定の地代を支払い、その土地上に建物を建設・利用する権利を持つ契約です。
借地権が付いている物件では、土地の所有者と建物を所有・利用する権利を持つ者が異なるため取り扱いが複雑になります。物件を売却する場合やリースバックを検討する場合は、土地の所有者の許可が不可欠です。ただし、土地の所有者の了承を得られればリースバックできる可能性は大いにあります。
その他に、市場価値が低い土地として挙げられるのは以下のような土地です。
- 市街化調整区域内である
- 接道義務を果たしていない土地である
- 土壌汚染の土地である
市街化調整区域内に関しては、建物の高さや建ぺい率の制限、用途地域の指定などがあるため、建て替えが難しくリースバックができない可能性があります。
また、接道義務とは敷地に建物を建てる際に道路に2m以上接していなければならない建築基準法があります。建築基準法に抵触していた場合もリースバックできないことが多いです。
共有持分がある
一つの物件が複数の所有者によって共有されている場合、リースバックなどの取引をおこなう際には、すべての所有者の承諾が必要です。
所有者全員が同意することで、リースバックが利用できます。当然一人でも反対する方がいたらリースバックできません。
住宅ローンがある状態でもリースバックするメリットとは?
住宅ローンの残債がある状態でもリースバックするメリットが2つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
まとまった現金が必要な場合に助かる
リースバックすると現金を一括で受け取れるため、まとまったお金が必要な際に役立ちます。例えば、以下のようなケースで活用できるでしょう。
- 子どもに、より充実した教育を受けさせたい
- 老後の生活費を増やしたい
- 病気・ケガなどにより高額な医療費がかかった
- 新たに事業を始めるための資金が欲しい
売却代金の用途には制限がなく、資金の使い道は自由です。
そのため、事業者が事業ローンの代わりに利用するケースも増えています。事業資金を借りるときに一般的なのは「事業ローン」ですが、当然ながら借入前に審査があります。起業して間もない事業者などは審査に通りにくく、資金を得ることができません。
リースバックにはそうした事業審査がないため、実績のない事業者でも資金を調達しやすいのです。お金を借りることなく高額な資金を確保できるのは、リースバック最大のメリットといえるでしょう。
また、売却代金は売買契約成立後1ヶ月ほどで支払われます。スピーディーに現金化できるため、急にまとまった資金が必要となった場合にも対応できます。
今住んでいる家から引っ越さずに済む
住宅ローンを滞納すると、最終的に家が競売にかけられて他人の手に渡ってしまいます。せっかく手に入れたマイホームに住めなくなるという事態は、やはり絶対に避けたいところでしょう。
リースバックすれば、「賃貸」という形で住み続けることができます。ライフスタイルを変えずに自宅を売れるため、余計な手間や費用はかかりません。今の家にそのまま住み続けることのメリットには、以下のようなものがあります。
- 次に住む物件を探す手間がかからない
- 引っ越し費用がかからない
- 家を売ったことが周囲に気付かれにくい
- それまで築いてきたご近所付き合いを続けられる
- 子どもを転校させなくて済む
- ペットを飼い続けられる(ペット可の物件は限られているため)
今の生活に満足しているのであれば、これまで通りの暮らしを維持したいと考えるのが自然です。リースバックは「家を売ってローンを返済したいが、今すぐは引っ越したくない」という方にも向いています。
住宅ローンは滞納すればするほど状況が悪化し、強制的に差し押さえられるまでの期間が短くなっていきます。今後リースバックを検討される方は、できるだけ早く不動産会社に相談しましょう。
[関連リンク]
銀行でリースバックを利用できる?金融機関が提供するサービスや資金調達のコツを解説
老後資金はどれくらい必要?定年退職後の生活費と不足を補う方法とは
相続問題を解決できる
リースバックを利用することで不動産などの資産を現金化でき、相続人へ均等に分配できます。そのため、相続問題が解決できることがあるでしょう。
ただしリースバックした場合、将来的に不動産を買い戻す際は売却額より高くなるのが一般的です。そのため、家族全体で将来計画を立てておくことが大切です。
[関連リンク]
リースバックはどんな人におすすめ?仕組みやメリット・デメリットも解説
住宅ローンが残ったままのリースバックで後悔しないための注意点
リースバックには大きなメリットがある一方で、住宅ローンが残っている場合はいくつか注意すべき点もあります。
デメリットやリスクもしっかりと理解した上で利用を検討しましょう。
売却額とローン残債のバランスは十分な考慮が必要
売却額は必ずしも希望通りになるとは限りません。築年数が古い家はどうしても価格が下がってしまいます。
また、買い手が付かなければさらに価格を下げなければなりません。売却額よりもローン残債のほうが多いと、リースバックは困難です。
「住宅ローンの残債よりもリースバックでの売却額のほうが高額」であることが大前提なので、残債がいくらあるのかをしっかり把握しておきましょう。
なお、リースバックの売却額の目安は、市場取引価格の70〜90%です。例えば市場価値が2,000万円の不動産なら、おおむね1,400万円〜1,800万円となります。
この割合はあくまで目安であり、実際の金額は不動産会社の判断によって決まります。少しでも高く売りたいのであれば、いくつかの会社に査定してもらうことをおすすめします。
買い戻し価格は売却時より高くなる
リースバックした物件は、あとで買い戻すことも可能です。ただし、買い戻し価格は売却時の価格と同じではないため注意しましょう。
買い戻し価格は売却額の1.1〜1.3倍程度です。例えば売却額が1,100万円だった場合、買い戻し価格は安くて1,210万円、高くて1,430万円が目安となります。
また、買い戻しできる期間には制限があります。「定期賃貸借契約」と呼ばれる契約が適用され、契約期間が満了すると退居しなければなりません。
契約期間は不動産会社にもよりますが、一般的には3年ほどです。もっと長く契約できる会社もありますが、この期間が長くなればなるほど売却額は安くなってしまう傾向にあります。
将来的に買い戻しを想定している方は、買い戻しの条件もしっかり確認しておきましょう。もちろん、買い戻しの予定がなければデメリットにはなりません。
賃料が相場より多少高くなる可能性も
リースバック後は賃料を払わなければなりません。賃料は物件価格に応じて変わるため、場合によっては相場の賃料よりも高くついてしまいます。
家賃の月額は地域性や物件内容によって変わりますが、売却額の10%前後を12で割った金額が目安となります。売り手が月々支払っていくのは家賃であって、ローンではありません。物件を再び自分のものにしたいのでれば、買い戻ししか方法はないということを理解しておきましょう。
ただし賃料が高くても、借金せずに高額な現金を調達できるのは大きなメリットです。数年以内に資金繰りできるのであれば問題ないでしょう。
住宅ローンが残っていてもリースバックが可能か相談してみよう
リースバックは、住宅ローンが残っていても条件を満たしていれば利用できます。
まとまった資金をすぐに受け取れるうえ、引っ越しをしなくて良いことが大きなメリットです。売却額や家賃は会社によって大きく異なるため、複数の不動産会社に査定してもらうのがおすすめです。
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では他社にはない仕組みを取り入れ、
さまざまなニーズに応えることができるプランを用意しています。
売却後に賃貸契約を更新していくことが可能な「標準プラン」は、賃貸として住んだ長さに応じて再購入時の価格が下がる仕組みで、業界で初めて導入しました。標準プランなら最短でも10年間、再購入価格が下がっていくので長く住む予定のある方におすすめです。さらに、賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能という、業界初の試みも注目すべきポイントです。
一方、一時的な資金調達を目的とする方のために「定期プラン」をご用意しています。こちらのプランには、最大1年間の賃料が0円(以降は定期期間に応じて賃料設定)になる「賃貸優遇タイプ」と、定期借家契約の期間を2年~5年と限定することで買戻価格が売却価格と同額となる(諸経費が別途かかります)「買戻優遇タイプ」があります。
全プランで、より快適で安心な生活のためのサポートサービスなども利用可能です。
ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるため、リースバックを検討中の方はぜひ一度ご相談ください。
[関連リンク]