高齢者の比率が増えている近年、「終活」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。メディアやSNSで取り上げられることも多くなりましたが、実際に具体的な内容はわからないという方も少なくないでしょう。
この記事では、「終活についてもっと知りたい」「自分も始めてみたいけどやるべきことがわからない」という方に向けて、必要性や始めるタイミング、そして実際にやるべき8項目をご紹介していきます。
終活とは?その目的と必要性について
終活とは「人生の終わりを迎えるにあたっての準備」のことです。具体的には、自分が最期を迎えこの世からいなくなったあとの葬儀やお墓、残される財産の相続についてなど、身の回りの準備を整えていきます。
死をイメージしてしまうことで一見ネガティブに捉えられがちですが、終活は自分を見つめ直し、残りの人生をどのように充実させるかを考えるための前向きな取り組みでもあります。
老後や死後の不安が取り除かれることで、残りの人生は「楽しむこと」だけを考えて生きることができる。終活は、今後の人生を充実させるための活動といっても過言ではないでしょう。
終活はいつから始めるべきか
終活を始める時期や年齢に決まりはありませんが、一般的には還暦、子どもが結婚するタイミング、退職のタイミングなど、人生の節目に始めるケースが多いようです。また、大きな病気にかかったことをきっかけに終活を始めることもあります。
自分の将来について改めて考えることは、終活の内容ともリンクしてきます。
20代や30代でもいつ自分に最期がきてもいいように終活を始める方もいるため、自分と見つめ合いたいと思ったときがベストなタイミングだと考えて良いでしょう。
終活の『やることリスト8項目』
ここからは、終活において実際にやるべきことを見ていきましょう。
【終活のやることリスト8項目】
❶エンディングノートの準備
❷医療・介護についての希望を決める
❸お葬式・お墓の希望を決める
❹連絡先リストの作成
❺断捨離
❻生前整理
❼相続税の対策
❽遺言書を作成
エンディングノートの準備
エンディングノートとは、自分がこの世を去ったときに備えて、残された人に向けて伝えたいことや重要な情報を書き留めておくためのノートです。「終活ノート」とも呼ばれます。
エンディングノートは、終活で決めた死後のことや、終活の一環として向き合った自分の考え方などを記載していくため、「終活のお供」としてまず準備するのがおすすめです。通販サイトや文房具店などで購入できるほか、スマホアプリやExcelのテンプレートなどでも作成できます。
ただし、エンディングノートには法的効力はありません。法的効力がある内容を残したいのであれば、「遺言書」を作成しましょう。
医療・介護についての希望を決める
医療や介護についての希望は、自分自身で意思を伝えられなくなったときにとても役立ちます。
医療に関しては、希望の病院や病室、延命治療・臓器提供の希望、病名の告知など、病気にかかったときを想定して考えておきましょう。
介護に関しては、希望の介護施設、費用の負担方法(年金か預貯金から出すかなど)、施設に入るのか自宅で過ごすのか、などといった項目を決めておきます。
また、医療や介護の際に必要になる保険証の在処も記載しておくことで、いざというときの手続きが円滑に進められます。
お葬式・お墓の希望を決める
お葬式やお墓の希望は、生前から決めておくことが可能です。お葬式は生前予約を受け付けているところもあります。
また、「生前墓」といって生きているうちからお墓を建てておくことも可能です。入るお墓が決まっていない場合は、残された家族の負担を減らすためにも検討してみると良いでしょう。
そのほか、
- 葬儀はおこなうか
- 葬儀の規模(家族葬など)
- 納骨先はどうするか(散骨、樹木葬など)
といった希望も決めておきましょう。
連絡先リストの作成
自分の身に何か起きたときに連絡してほしい人の連絡先をまとめて作成しておきましょう。
- 家族
- 親戚
- 友人・知人
- 仕事関係者
- 恩師
などの名前・連絡先・関係性を記載します。
また、入院や葬儀など、どのタイミングで連絡してほしいかも明記しておくと身近な人が連絡の判断をしやすくなります。
断捨離
終活の一環として、身の回りのものをある程度断捨離しておくと、遺族が遺品整理をする際の負担を軽減できます。
家具や生活用品、洋服、アクセサリーなど、生前に処分する・死後に処分してもらう・人に譲る、といったように分けておきましょう。人に譲る場合は、受け取る相手の了承を得ておくとスムーズに遺品整理が進みます。飼っているペットの引き渡し先も決めておきましょう。
また、パソコンやスマホ、SNSのデータをどうするかも忘れずに決めておく必要があります。
見てほしいデータがある場合は保存先を伝えておく、死後に引き継いでほしいアカウントがある場合はログイン情報をエンディングノートに記載しておくなどがおすすめです。
生前整理
身の回りの整理として、お金や財産にかかわるものの整理も忘れずおこなう必要があります。
- 銀行口座やクレジットカード
- ネット証券や仮想通貨、FX
- 電子マネー
- 月額サービス
- 各種ポイントやマイレージ
これらは生前にしっかりと所在を明らかにしておかなければ、死後にトラブルにつながりかねません。使用していないものは解約する、残しておくものは名義やログインに必要な情報をエンディングノートに記載しておくなど、遺族がスムーズに整理できるようにしておきましょう。
相続税の対策
死後もっとも手続きがややこしいのが、税金関係です。自身や家族だけでは専門的な知識が足りないケースがほとんどなので、専門家を交えて進めていくのがおすすめ。
相続税・生前贈与に関するものは税理士に、親族間で揉め事になりそうな遺産分割に関するものは弁護士に相談しましょう。
遺言書を作成
エンディングノートはあくまでも情報を伝えるもので、法的効力のある書類を作りたいのであれば「遺言書」が必要になります。
甥・姪までの親族がおらず遺言書がない場合、財産は国のものになります。財産を渡したい相手がいる場合は必ず遺言書を作成し、誰にどの財産をいくら渡すか明記しておきましょう。
また、遺言書には以下の3種類があります。それぞれのメリット・デメリットを知っておきましょう。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、その名の通り本人が自筆で作成した遺言書のことです。メリットは紙とペン、印鑑があればすぐに作成できること。ただし、以下の要件を満たしていなければ無効となるため、慎重に作成する必要があります。
<自筆証書遺言の要件>
●全文自筆(財産目録を除く)
●遺言者の直筆の署名と捺印がある
●作成日は直筆で明記する
●訂正箇所は捺印し、欄外に訂正箇所を書いたうえで署名・捺印する
詳しくは法務省「03 遺言書の様式等についての注意事項」でも確認できます。
公正証書遺言
公正証書遺言では、公証役場で「公証人」に作成を依頼できるため、要件を満たせず無効になることがほぼないのがメリットです。また、自筆で遺言書を作成するのが難しい方にも向いています。
ただし、自分で作成するよりも時間がかかることと、内容確認のために遺言の内容が読み上げられてしまうのがデメリットといえるでしょう。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、封をした遺言書を公証役場に持ち込むことで遺言を証明します。内容を誰にも確認されずに有効化できることや、偽造や変造を防げることがメリット。また、代筆やパソコンでも作成可能です。
内容を確認するステップがないため、自筆証書遺言と同様、要件を満たしていなければ無効となってしまう可能性があるのがデメリットです。
終活の希望をサポートする契約を知っておこう
家族や親戚と疎遠である、離婚や死別で配偶者がいないなど、いざというときに頼る人が身近にいない方も少なくありません。これらをサポートするため、さまざまな契約が存在するのをご存知でしょうか?
終活を通じて決めた自身の希望を円滑に通すため、詳しく把握しておきましょう。
財産管理委任契約
財産管理委任契約は、代理権を与えた人に自分の財産の管理や手続きを任せることができる契約です。具体的には、預貯金の引き出し、料金の支払い、役所での申請などが挙げられます。身体的な理由で手続きができないといった場合に役立ちます。
任意後見契約
任意後見契約は、認知症などで正常な判断が困難になった場合、財産管理やさまざまな手続きを本人が選んだ後見人に委ねることができる契約です。契約には公正証書の作成が必要になります。
見守り契約
見守り契約は、前述した任意後見契約の効力が発生するタイミングまで本人の健康状態を見守る契約です。任意後見をスタートさせる適切なタイミングを判断するため、定期的な連絡や面談をします。
死後事務委任契約
死後事務委任契約は、自分の死後に必要な手続きを第三者に委任する契約です。親族はもちろん、友人、弁護士や行政書士といった事業者など、戸籍上つながりのない方にも依頼できます。
民事信託
家族信託とも呼ばれる民事信託は、自分の財産を家族や親族に渡せる契約です。渡した財産は、渡した相手が自由に管理できます。生前から契約を結べるため、認知症などで判断力が衰えた際にも適切に財産管理ができます。
ペットに関する契約
一人暮らしでペットを飼っており、死後にペットを引き取ってくれる人がいないという方も少なくありません。そのような場合、次のような契約が活用できます。
- 負担付死因贈与契約:その人がペットの世話を引き受けることを条件に財産を相続する
- ペット信託:もしものことがあった際、自ら選んだ人や団体に財産を託してペットを飼育してもらえる
家族同然のペットが、自分の死後も安心して暮らしていけるよう、生前にしっかり準備をしておきましょう。
また、知っておきたい知識として、現在の日本ではペットに財産を相続させることはできないということを覚えておきましょう。
終活の際の老後資金を準備するには
終活とは、最期のときを迎える準備だけでなく、残りの人生を楽しむこともその一つ。やりたいことを心置きなく楽しむためには、当然資金も必要となってきます。
定年を迎え仕事がなくなったあと、セカンドステージをゆとりを持って過ごすためには、老後の資金についても考えておかなければなりません。
そこで活用できるのが、不動産のリースバックという方法です。
リースバックとは、今持っている家を売却すると同時に賃貸借契約を結び、そのまま住み続ける方法です。
メリットとしては、
- 売却した代金で資金調達ができる
- 賃貸契約でそのまま住み続けられる
- 固定資産税を払う必要がなくなる
などがあります。
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では、売却後に賃貸契約を更新していくことが可能な「標準プラン」と、比較的早期の買い戻しを計画している方や一時的な資金調達をしたい方向けの「定期プラン」をご用意しています。
お客さまの人生設計に合わせたプランをご提案いたしますので、セカンドステージをいきいきと楽しむための選択肢として、ぜひ一建設の「リースバックプラス+」をご検討ください。
まとめ
終活は、自分がいなくなった後のことを考えるだけのものではなく、残りの人生をいきいきと前向きに生きるためのものでもあります。
やっておいたほうがいいことはたくさんありますが、自分には不要だと思うことは無理しておこなう必要もありません。
終活の形は人それぞれです。「自分の人生にフィットする自分だけの終活」をみつけてみるのもいいかもしれません。