将来設計を考慮せず住宅ローンを組むと「借り過ぎ」な状況になりやすく、返済が難しくなるケースが多く見受けられます。将来的に後悔しないためにも、あらかじめ住宅ローンの失敗例を見て対策しておくことが大切です。今回は住宅ローンで後悔しやすい人の例だけでなく、万が一後悔する状況になった際の対処法も詳しく解説します。
住宅ローンの返済期間が長い
住宅ローンを組んで後悔する主な原因としては、返済期間の長さが挙げられます。
昨今における住宅ローンの返済期間は35年が一般的ですが、中には返済期間を50年まで設定できる住宅ローンもあります。いずれにしても長期的で、定年退職後に住宅ローンを支払い続けなければなりません。定年退職後は収入が大幅に減るため、受け取ることができる退職金の金額次第では返済の継続が難しくなります。期間を長く設定すると1回あたりの返済額を抑えることができますが、将来のことも想定してみることが重要です。
住宅ローン返済で後悔する人の特徴とは
上記を踏まえ、住宅ローンを返済していくうえで後悔しやすい人の特徴をご紹介します。
特徴①:収入と返済額のバランスが釣り合っていない
どうしても購入したい家があっても、住宅ローンを組んだ際の返済額と収入のバランスが合わなければ将来的に返済が困難となります。
住宅ローンの借入金額の目安は「返済負担率」を参考にして計算することができます。返済負担率とは、年収に対して住宅ローンの年間の返済がどのくらい占めているのかを表す指標です。一般的には35%までと言われていますが20%程度を目安にしたほうが無理なく返済できるとされています。「借り入れができる金額」と「無理なく返済できる金額」は決して同じではないことを考慮して住宅ローンを組む必要があります。
特徴②:現状の収入だけを見てローンを組んでしまった
病気・ケガによる入院や職場の倒産・解雇による収入減など将来的に起こりうるリスクを想定せず、現在の収入だけを参考に最大限にローンを組んでしまうケースです。今は十分に稼いでいるからと油断せず、収入が減るなど万が一の際に無理なく返済できるかどうかを考えながらローンを組む必要があります。
特徴③:返済期間を短く設定してしまった
先述の通り返済期間の長さが原因で住宅ローンの支払いに悩むケースは多いですが、かといって返済期間を過剰に短く設定することもおすすめできません。
住宅ローンは、家の総額を返済期間の月数で分割して少しずつ返済していく手段です。返済期間を短くすると、1回あたりの返済額も高くなって家計に大きな負担がかかります。
特徴④:無計画に繰り上げ返済をしてしまった
「返済期間は長めに設定しておいたけど、もう少し短くても良かった」「手元に余裕資金ができた」という場合には、繰り上げ返済をするのも手です。毎月の返済額とは別にまとまったお金を支払えば、そのぶん返済期間を短縮したり毎月の返済額を減らしたりできます。
しかし繰り上げ返済は通常の返済よりも出費が膨らむため、無計画に行うと思うように貯金ができなくなります。結果として、出産費用や子どもの教育費用など将来のイベントで発生する出費に対応できなくなる恐れがあります。
特徴⑤:夫婦2人の収入で返済することを前提としている
近年は住宅価格の高騰や共働き世帯の増加に伴い、夫婦の収入を合算して返済計画を立てる世帯が増えていますが、以下のようなリスクがあります。
夫婦の場合は将来的に出産・育児で妻が休職や退職せざるを得なくなる可能性があります。2人分の収入を前提とした返済計画では支払いの継続が難しくなるため、注意が必要です。
また、万が一離婚するとなった際にどちらがローンを支払い続けるのかについて揉めるケースも見受けられます。
特徴⑥:金利の低さだけを重視している
住宅ローンの返済額には利息がつくため、できるだけ金利を抑えたいと思う方は多いことでしょう。しかし金利にばかり注目するのではなく、住宅ローンを組むにあたって重視すべきは「返済比率」です。
たとえ金利が低くても、返済比率が適性値を超えてしまえば返済を続けることが困難となります。しかし、返済比率が適性値に収まっていれば金利がいくらであろうと返済に困る可能性は低いといえます。
特徴⑦:住宅ローン控除の仕組みを勘違いしている
住宅ローンを組むと、年末の借入残高に0.7%を乗じた金額が所得税から控除される「住宅ローン控除」が利用できます。そのため、借入残高が多いほど節税効果も高くなります。
しかし住宅ローン控除は、あくまでも住宅ローンの返済に伴う負担をカバーするための政策です。控除の額に注目し、借入金が高ければ高いほど得をすると思い込んでローンを組むと、返済が難しくなり後悔することになります。
特徴⑧:定年退職後も返済期間が続いてしまう
金融機関は完済年齢の上限を80歳までとしていることが多いですが、基本的に住宅ローンは定年退職までの完済が望ましいです。
定年退職後は公的年金が主な収入源となり、その後の返済に充てられるだけの退職金が出る保証もありません。65歳以降も自営業や高齢者雇用で働き続ける予定があっても、高齢に伴う体力の低下で収入が減ったり、リタイアせざるを得なくなったりする可能性があります。
住宅ローンを組む際は、自分が定年退職した時点でどれくらいのローンが残るのかを計算したうえで借り入れることが大切です。
特徴⑨:複数の金融機関を比較しなかった
給与振込口座のある銀行で住宅ローンを組むケースは多いですが、他の金融機関と比較せず即決することはおすすめできません。住宅ローンにおける審査基準や信頼性は金融機関によって異なるため、事前に比較検討しておきましょう。
一般的な傾向として、メガバンクはすでに口座を持っていれば審査に通りやすいですが金利がやや高く、ネット銀行は金利が比較的安く入金が楽というメリットがある一方で審査基準は厳しめです。
特徴⑩:頭金の支払いばかりを考えてしまった
住宅ローンは、頭金を多く支払うほど毎月の返済額を抑えることができます。しかし頭金の支払いを意識するあまり、貯金の大半を費やしてしまいその後の返済や生活が苦しくなる恐れがあります。
逆に「頭金0円」というキャッチコピーに惹かれて家を購入し、その後の返済額が高くなって後悔したというケースも見受けられます。
頭金と返済額のバランスを慎重に考えながら、住宅ローンを組みましょう。
住宅ローンの返済を延滞するとどうなるのか?
住宅ローンの返済が遅延すると、最終的に家は競売にかけられ退去せざるを得ない状況となります。
まずは金融機関から支払い請求の通知が届く他、返済日の翌日から「遅延損害金」が発生します。一般的には年14%~14.6%程度の利率となっており、日割り計算されて毎日加算されますので返済額がどんどん増えていきます。
その後、延滞を2ヵ月以上続けると、金融機関からの電話連絡や「催告書」が届くようになります。この段階ではブラックリストに載りませんが、金融機関からの印象は非常に悪くなるため注意が必要です。
それでも延滞を続け、3ヵ月を過ぎるとブラックリストに載る可能性が高いです。3ヵ月以上の延滞でリストに載った場合、5年間はクレジットカードや消費者金融などの審査に影響します。
6ヵ月の長期的な延滞となれば住宅ローンを分割で支払う権利を失い、「代位弁済通知書」が届いて残ったローンの一括返済を求められます。一括返済ができなかったり、要求を無視したりすると家は競売にかけられた末に強制退去という最悪の事態に陥ります。
住宅ローンで後悔したときの対処法は?
将来的に住宅ローンの返済が難しくなったとき、上記のような事態を防ぐための対処法について知っておきましょう。
対処法①:金融機関に期限の延長を相談する
一時的に延滞をしてしまう可能性が出てきたら、早めに金融機関へ連絡して返済期限の延長ができないかを相談してみましょう。支払いの意思を持っていて期限を延長することは、滞納とみなされません。病気・ケガの療養や家族の介護などによる一時的な収入減など、やむを得ない事情を説明すれば金融機関も了承してくれる場合があります。
延長を許容してくれる期間については理由によって異なりますが、一般的には「半年~3年程度」とされることが多いです。その期間中は本来よりも返済額を抑えることができますが、当然ながら期間を過ぎたら今まで通りの返済額に戻ります。今後の収入の回復見込みに合わせて期間や減額の幅を慎重に検討しましょう。
また、住宅ローンの返済期限を延長すると金融機関内での評価が下がります。これにより、新たに追加融資を受けられなくなる可能性もあるため注意が必要です。
対処法②:療養で返済が難しい場合は保険適用の有無を確認
病気やケガなどの療養が原因で収入が減少し、返済が難しくなった場合はまず保険適用の有無を確認しましょう。
通常、住宅ローンを組む際は団体信用生命保険に加入します。この保険は原則として債務者本人が死亡した際にローンの残額を補償してくれるものですが、病気に罹患した場合も保険金を受け取れる場合があります。
例えば、ガン・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧・糖尿病など特定の病気に罹患した際に保険金が下りる特約もあります。団体信用生命保険加入時に特約をつけたことを忘れている可能性も考え、自分はどんなプランで保険に加入していたかを改めて確認することをおすすめします。
対処法③:借り換えを行う
「借り換え」とは、新たな金融機関で住宅ローンを組み直すことです。現在組んでいる住宅ローンよりも低金利で組み直せば、毎月の返済額を抑えられます。近年はどの金融機関も低金利を売りにしているため、現在契約しているものよりも有利な条件でローンを組むことは決して難しくありません。
ただし、借り換えで今後の返済を有利に進めるには、以下のうちいずれかの条件を満たす必要があります。
- ローン残額が1,000万円以上
- ローンの残り返済期間が10年以上
- 現在のローンと借り換え後のローンにおける金利差が1%以上
借り換えをするにあたって、現在のローンを解約するための各種手数料・抵当権抹消費用、新しいローンを組むための手数料・保証料・印紙代・抵当権設定費用がかかります。借入金の額にもよりますが、総額にして40~50万円程度のコストを要すると考えてよいでしょう。
相応の減額効果が望める借り換えでなければ、かえってコスト倒れとなる恐れがあります。
住宅ローンの借り換えについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご活用下さい。
【関連リンク】
住宅ローン借り換えのメリット・デメリットとは?向いている人の特徴や注意点を紹介
対処法④:家を買い替える
金利だけでなく、返済に伴う出費そのものを大幅に減らしたい方は家の買い替えが適しています。現在の家を売却し、安い家に買い替えるという手段です。中古物件でも築年数によっては住宅ローン控除の対象となるため、従来と同じく節税もできます。
家を売却する手段としては「仲介」と「買取」がありますが、もう現在組んでいるローンの返済を続ける余裕がなく、早く家を売却したい場合は買取がおすすめです。
家の売却方法として一般的な手段は仲介ですが、買い手がすぐに見つかるとは限らず、長くて半年の期間を要する場合もあります。一方、買取であれば不動産会社に直接買い取ってもらえるため、買い手探しに時間をかける必要がありません。
ただし、この買い替えという手段は住宅ローンの返済を滞納していないことが前提です。万が一長期的な滞納でブラックリストに載っていると、売却はできても新たに家を買うことができなくなります。そのため今後の返済が困難になる可能性が生じたら、早めに買い替えを検討しておくことをおすすめします。
対処法⑤:リースバックを行う
「住宅ローンの返済は難しい、しかし住み慣れた家を売って離れたくはない」と悩む方も多いはずです。その場合は、リースバックの利用をおすすめします。
リースバックとは家を売却してまとまった資金を得ながら、買い手と賃貸契約を結んでその家に住み続けられるというサービスです。家の売却金をローンの完済に充てて、その後は家賃を支払いながら住み慣れた家に残ることができるというメリットがあります。買い手を探すための広告活動や引っ越しが不要なので、周囲の人に売却したことを知られる心配はありません。
なお、家の買取価格がローンの残額を下回った場合(オーバーローン)、金融機関から抵当権を外す許可を得られずリースバックを利用できないため注意が必要です。ただし買取価格とローン残額の差を補填する方法があれば、リースバックを利用できます。
一建設のリースバックサービス「リースバックプラス」では、多様なライフスタイルに対応する複数のプランをご用意しております。賃貸契約時は敷金・礼金・仲介手数料・更新料不要などもあり安心してご利用いただけます。
返済が難しくなった住宅ローンに対処するためリースバックをご検討中の方は、ぜひ一建設のリースバックプラスをご利用ください。
[関連リンク]
一建設のリースバック「リースバックプラス」なら住みながら不動産・マンション売却
リースバックについて詳しく知りたい方はこちらの記事を活用下さい。
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セールスアンドリースバックとは?取引の特徴や会計処理・税務について解説
まとめ
一般的には35年間と長期間にわたり返済を続けていく住宅ローンは、組んでからさまざまな理由で後悔する方も多いです。返済が難しくなって延滞を続けると、ブラックリストへの登録や強制退去など深刻なデメリットが生じるため、早めに対処をする必要があります。住宅ローンに対処したくても、家を売却して引っ越しをしたくはない…とお考えの方は、家を売却した後も賃貸として住み続けられるリースバックがおすすめです。