今、住宅ローンの支払いが難しくなる人が増えているといいます。長い住宅ローンの支払い期間の中で、万が一の事態に陥ったとき、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、住宅ローンが払えなくなったときの対処法についてご紹介します。
住宅ローンの返済が厳しい人が急増している
住宅ローンは、必ずしも全員が完済できるとは限りません。住宅ローンを組んだ当初は、計画的な返済を見通していたとしても、さまざまな事情で難しくなる人もいます。
住宅支援機構のデータによると、住宅ローンを完済できなくなる人は全体の4%ほどになるそうです。特に、コロナ禍の影響を大きく受けた業界で働いていた人は、解雇や収入減により家計が一気に悪化したケースも少なくありません。当然、住宅ローンの支払いを難しくする要因となっています。
もちろん、コロナウイルスのまん延以前にも、住宅ローンの完済が難しくなる人は一定数いました。しかし、コロナ禍により増えたリストラや就職難、経営悪化による退職金の減少などで、住宅ローンの完済が難しい人がさらに増えたのは言うまでもありません。
参考:
リスク管理債権|住宅金融支援機構(平成27〜令和元年)
統合報告書2023|住宅金融支援機構(令和2年〜令和4年)
住宅ローンの返済ができないとどうなる?
住宅ローンの支払いが厳しくなってきた人にとって気になるのが「住宅ローンを支払えなくなったらどうなるのか」という点ではないでしょうか。具体的に見ていきましょう。
1~2ヵ月の滞納で督促状が届く
住宅ローンを1ヵ月〜2ヵ月滞納すると、金融機関から督促状が届きます。督促状には、「期日までに未納金額と延滞損害金をお支払ください」などと書かれているのが通例です。
もし、この段階で支払いが難しい場合は、早急に金融機関や不動産会社へ連絡しましょう。返済プランを見直したり、他の資金調達の方法を聞きながら検討したりすることで、大きなダメージが回避できる可能性もあります。
また、住宅ローンは、もともと金融機関で公表している金利よりも割安で優遇された状態で契約できていることが多いです。しかし、1ヵ月でも滞納してしまうと、金利の優遇が受けられなくなり返済総額に大きく影響する可能性もあるため注意が必要です。
3ヵ月以上の滞納で一括返済の請求書が届く
住宅ローンの滞納をして3ヵ月以上になると、一括返済を求める請求が届きます。これは、「期限の利益の喪失」によるもので、期限の利益とは「住宅ローンが分割返済できるメリット」のことを指します。
ただ、月々の支払いが滞る状況下で一括返済をすることはほぼ不可能なため、期限の利益の喪失後は保証会社が一括返済を行い、それ以降の支払い先は金融機関ではなく保証会社に変わる場合が多いです。
もちろん、保証会社が債権者となったとしても、一括返済を免れるわけではありません。保証会社の中には、返済の期間の猶予や相談に乗ってもらえるところもありますが、これは保証会社次第となります。
更に滞納をすると競売にかけられる
督促状が届いても返済せず、さらに期限の利益が喪失し一括返済に応じない場合、最終通告である「催告書」が届きます。催告書には、支払うべき金額と納付期限、支払いに応じなかった場合に法的手続きに移行することなどが記載されています。
記載どおりの入金ができなかった場合、最終的には家が強制的に売却、つまり競売にかけられることに。家は差し押さえとなり、立ち退きが命じられます。競売で家が売れて利益が出たとしても、その額が住宅ローン残債よりも少なく返済しきれない場合は、自己破産という選択をせざるを得なくなるでしょう。
住宅ローンの返済が厳しい場合の対処法
住宅ローンの支払いが難しい場合、それが分かった段階で早めに対処することが重要です。競売や自己破産に至らないために、できることはあります。
延滞をしていない場合
リストラにあった、収入が減ったなどの理由で、現時点では延滞はしていないものの、住宅ローンの支払いが難しくなると予想できる場合は、以下の対処法を検討されることをおすすめします。
ローンの返済プランと家計を見直す
まずは、無駄な出費や節約できる出費がないか確認して家計の見直しを行いましょう。それでも住宅ローンの支払いが難しい場合は、借り入れ先である金融機関に相談し、返済プラン見直しについて相談しましょう。場合により、一定期間は返済の猶予や返済期間の延長によって月々の支払い額が軽減できる可能性があります。
借り換えを考える
住宅ローンの借り換えを検討しましょう。今借りている住宅ローンよりも好条件で借りられる商品があれば、毎月の支払い額が減る可能性があります。特に、変動金利の住宅ローンを借りている場合は、固定金利に変えることで負担が和らぐこともあるでしょう。同じ金融機関で金利タイプを変更する場合は無料で行える場合が多いですが、他の金融機関への借り換えの場合は諸費用が数十万に及ぶため注意が必要です。
任意整理手続きを行う
住宅ローンの支払いがかなり厳しい場合は、任意整理という方法もあります。任意整理とは、金融機関と交渉して残債を減額し、生活に差し障りのない範囲で返済をしていくための手続きをいいます。自己破産等を避けることができ、実際の返済額を減らせる点が特徴です。
保険の保障範囲の確認
住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険では、病気にかかって住宅ローンの返済に不安があるときに役立つ保障が含まれているケースがあります。病気が理由で収入が減ったり家計が苦しくなった場合は、保障内容を確認してみましょう。
家を貸し出す
不動産価値の高い家なら、賃貸として利用する方法があります。住まいを別の低家賃の家や親族のもとへ移す必要がありますが、継続した家賃収入が得られ、その額によっては住宅ローンの返済の負担も軽くなるでしょう。ただし、基本的には住宅ローンを支払っている物件を収益物件とすることはできませんし、居住が条件となっています。必ず借り入れている金融機関に相談しましょう。
家を売却する
返済プランの変更が難しかったり、その他の対処法でも改善しそうにない場合は、家の売却という方法もあります。もし、家の売却価格が住宅ローン残債よりも高かったら、負担を減らせる可能性もあります。
現在滞納をしている場合
既に住宅ローンを滞納している場合、早急な対処が必要です。返済に充てるお金の目処が立たない場合は、以下の手段も検討しましょう。
任意売却を行う
任意売却は、借り入れ先の金融機関の合意のもと、住宅ローン返済中の家を売ることを指します。任意売却なら、競売とは違い市場価格に近い価格で売却しやすくなり、売却益の配分は金融機関との相談で決めることが可能です。
リースバックで家を売却する
リースバックは、家を売却した後に賃貸物件として契約を結ぶ方法を指します。住まいを変えずに一時的にまとまった金額を受け取れるというメリットがあり、売却益が住宅ローン残債よりも多い場合に有効です。ただし、この場合の売却価格は通常の仲介による売却に比べて安くなる可能性が高い点は注意が必要です。
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シニアの場合
定年を迎えたあとに住宅ローンの支払いに困っている場合は、リバースモーゲージを利用する方法もあります。リバースモーゲージとは、自宅を担保にして老後の資金の融資を受けるサービスです。契約者が亡くなったあと、自宅は売却されて元金が返済される仕組みとなっています。リバースモーゲージに借り換えを行った場合、毎月の生活費は融資を受けながら、利子のみを支払う形となります。ただ、家を担保にするという重要な決断は、慎重に専門家に相談しながら行うのがおすすめです。
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住宅ローンが払えない場合のおすすめできない方法
もし、住宅ローンの支払いが難しくなったとき、これまでにご紹介した方法を試さずに以下の方法をとるのはおすすめしません。まずは、早めに借り入れ先である金融機関へ相談しましょう。
消費者金融などで新しく借り入れをする
消費者金融等で新たに借り入れをして住宅ローンの返済に充てるのは、おすすめしません。なぜなら、金利が高くて利息の支払いによってゆくゆくは返済がより難しくなるからです。キャッシングやカードローンの利用は、後に住宅ローンの借り換えを検討しようとした際に支障となる可能性もあります。
夜逃げする
夜逃げは、全くメリットのない対処法です。夜逃げしたからといって、借金がゼロになるわけではありません。また、そのままにしておくと競売にかけられてしまいます。夜逃げをする前に、任意売却や自己破産といった選択をとり住宅ローン残債の免責や圧縮を目指されることをおすすめします。
まとめ
住宅ローンの支払い期間は長く、その間に人生を変えるような出来事やアクシデントが起こることも考えられます。コロナウイルスによって多くの人の生活が変化したように、誰もが想像できない事態も起こり得るでしょう。住宅ローンの支払いが難しくなったら、できるだけ早い段階で金融機関へ相談しましょう。負担の少ない方法や解決策について相談できれば、気持ちの面でも楽になるでしょう。
住宅ローンの早期完済を目指す方は、リースバックという方法も検討してみてはいかがでしょうか。リースバックとは持ち家を「住みながら売却」できる資産活用法です。一建設の「リースバックプラス+」は、独自のメリットを盛り込んだ2プラン3タイプをご用意しています。是非ご検討ください。
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