リースバックでは不動産の売却によって、百万単位以上のまとまったお金を手早く手に入れることができます。しかし、消費税が10%かかるとすれば、1,000万円につき100万円も徴収されることになります。2019年末の増税に伴い税負担が重くなる昨今、リースバックでは消費税がかかるのかどうかについて徹底解説します。
まずはリースバックについて知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
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リースバックで家を売却すると消費税はかかる?かからない?
リースバックとは、自宅などの所有不動産を不動産会社や投資家に売却し、売却後も売主が賃貸料を払いながら売却した家に住み続けるという仕組みです。リースバックについて詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
売主は所有不動産の売却代金としてまとまったお金を手に入れられますが、中には「まとまったお金が手に入るということは消費税や所得税といった税金が発生して、結局売主の利益は少ないのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。
消費税は商品やサービスを購入した際に発生する身近な税金です。課税対象となるには
①国内の取引であること、②事業として行われる取引であること、③対価が発生する取引であること、④資産の譲渡や貸付けなどの取引であること、という4つの要件を満たす必要があります。つまり、不動産会社などの事業者が事業として行う取引は消費税の課税対象となりますが、サラリーマンや個人は事業者ではなく、課税対象の要件を満たしていません。そのため、不動産の売却で消費税が課せられることはありません。
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なお、事業者におけるリースバック利用時の消費税は、取引の形態によって確定申告の際に計上するタイミングや方法が異なるため注意が必要です。
ファイナンス・リース取引の場合の消費税
ファイナンス・リースとは、業者に購入してもらった資産を利用しながら毎月決まった料金を支払い、業者に購入費用を返していく取引のことです。実質、資産購入に近い取引形態と言えます。
契約の中途解約は認められず、料金の総額はリースする資産の価格を上回るケースが一般的です。
ファイナンス・リースの場合は、リース開始日に資産が譲渡されたものとして消費税を計算のうえ、初年度に一括で税額が控除されることになります。
オペレーティング・リース取引の場合の消費税
オペレーティング・リースとは、毎月決まった料金を支払いながら業者が所有する資産を使用する取引形態のことです。契約時に定めた期間が終了すると、その資産は業者へ返却する必要があります。ファイナンス・リースが「購入」に近い性質であるのに対し、オペレーティング・リースは「貸付」の性質を持つ形態です。
そのため、オペレーティング・リースの場合はリース料に対して消費税が計上されることになります。
リースバックでかかる消費税以外の税金とは?
個人で自宅を売却するケースのリースバックには消費税はかかりませんが、他の税金が課せられる可能性があります。ここではリースバックでかかる可能性がある各税金について説明します。
売却時にかかる税金
売却時に支払う可能性がある税金は「印紙税」「登録免許税」「固定資産税」の3つです。それぞれの扱いは以下の通りです。
印紙税
まず、印紙税が課せられます。印紙税は、一定金額以上の領収書や契約書の作成時に課せられる税金です。リースバックでは、不動産の売買契約書に記載された金額に応じた税金を徴収されます。
登録免許税
不動産を購入する際に、金融機関から購入資金の融資を受けていた場合、一般的に不動産に抵当権が設定されます。これは融資を返済できなくなったときに備えるもので、金融機関はローンの返済が滞ったときに損失を補填することができます。もちろん、抵当権がついていても不動産売却は可能ですが、新たな所有者からすると購入後に不動産の所有権を失うリスクを背負うことになるめ、抵当権つきの不動産はあまり歓迎されません。したがって、円滑に売却するためには不動産から抵当権の登記を抹消する手続きが必要になってきます。この抵当権の登記を抹消する際に登録免許税が課せられます。登録免許税は不動産ひとつにつき1,000円かかります。建物と土地は別々でカウントするので、一戸建ての場合は建物と土地を合わせて2,000円かかります。
固定資産税
個人で所有している自宅には固定資産税が課せられますが、リースバックの場合は買主がその自宅の所有者になるので、売主に固定資産税が課せられることはありません。ただし、固定資産税は、その年の1月1日の所有者に対して課せられるので、一般的には売主と買主で固定資産税を日割精算します。例えば、10月1日にリースバックで売却した場合、10月1日から年末までの固定資産税を買主が売主に支払い、固定資産税の納付は売主が行う、という形になります。そして翌年以降の固定資産税は買主が負担します。
参考元:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
自宅売却時に利益が出ると税金がかかる(譲渡所得税)
リースバックに関わらず、自宅などの所有不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得として所得税、および個人住民税がかかります。売却代金から自宅の購入代金と売却にかかった諸費用を足した金額を差し引いて、計算結果がマイナスになれば税金は課せられません。しかし、計算結果がプラスになった場合は譲渡所得を得たことになり、税金が課せられます。計算は下記の式で求められます。
譲渡所得=売却金額ー(購入代金+売却時に支払った諸経費)
参考元:No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁
譲渡所得が発生した場合、必ず税金を納付しなければなりません。所得税は不動産を売却した年の翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をし、住民税は売却した年の翌年の6月以降に、お住まいの自治体から送付される納付書に従って納付します。期限を破ってしまうと延滞税や無申告加算税といったペナルティが課せられてしまうので注意しましょう。
リースバックで譲渡所得が出た場合の節税方法とは?
リースバックでは、売却価格が低い傾向にあるので譲渡所得に税金がかかりにくいものの、利益が出ないとは言い切れません。もしリースバックで利益が発生して、譲渡所得に税金が課せられた場合、売却代金の何割かが税金として差し引かれ、せっかく発生した利益が目減りしてしまいます。そういう場合は、不動産を売却した際に使える特例を利用して、節税を図るとよいでしょう。
まず、マイホームを売ったときの特例では、売却利益から3,000万円の特別控除の措置を受けられます。これを適用すると、売却代金から自宅の購入代金と、売却にかかった諸費用を足した金額を差し引いた計算結果が3,000万円以下になれば、譲渡所得に税金はかかりません。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例では、自宅の所有期間が10年を超える場合、軽減税率が適用されます。売却する不動産が十年以上住んでいる家だった場合は、こちらを適用しましょう。
リースバックは、いますぐまとまったお金を用意したい人におすすめの方法ですが、一方で税金など注意しなければならない部分もあります。手軽にお金を手に入れることができる分、最終的な利益がどうなのか、じっくり考えてから利用しましょう。
譲渡損益の繰越控除について
リースバックで資産を売却した結果、その資産を取得した価格を売却価格が下回るケース(譲渡損失)があります。損失が出た場合、確定申告時に「譲渡損益の繰越控除」として所得から損失分を控除できます。
例えば年間所得500万円の人が資産を売却して800万円の損失が出た場合、繰越控除を利用するとその年の確定申告では500万円分の所得が丸ごとなかったことにされます。さらに、相殺しきれなかった分の300万円は来年度の所得から差し引くことが可能です。
このように、譲渡損益の繰越控除では1度の確定申告で相殺しきれない損失があったら、来年以降も続けて控除できる仕組みとなっています。ただし、続けて控除できる期間は譲渡から3年後までです。
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リースバックの買い戻し時に発生する税金
リースバックの買い戻し時には以下の3つの税金が発生する可能性があります。
・不動産取得税
購入や建築、贈与などで不動産を取得した者に対し、課される税金。地方税の一つで、不動産の価格を課税標準として賦課されます。
・印紙税
財産上の権利の承認を行う証書、および財産上の権利の変動の証明を行う帳簿や証書などの作成者に課せられる税金。印紙を購入し、証書、もしくは帳簿などに貼り付けて納税します。
・登録免許税
所有権移転登記を行う際に課される税金。
リースバックを行う際の流れ
実際にリースバックを利用する場合、どのような流れで進むのでしょうか。以下より、リースバックを行う際の基本的な流れを解説します。
①相談・査定
まずは査定依頼です。一括の査定サイトから複数社へ簡易査定依頼を行い、その中から相談する会社を選びます。次にそのリースバック業者に連絡し、売却価格や賃料などの希望条件を伝えましょう。条件を擦り合わせた結果、問題がなければ物件の査定となります。
査定に関しては、先に「仮査定」としておおまかな売却価格や賃料が提示されてから、実際に現地調査を行ったうえで正式な金額が決まる「本査定」が行われます。
②契約条件の提示
査定結果をもとに、さまざまな契約条件が業者から提示されます。内容をよく確認し、問題がなければ契約となります。
なお、ここで提示される売却価格や賃料について、業者によっては一定の範囲内で調整が可能なこともあります。ご自身の希望に応じて、交渉してみることをおすすめします。
③契約・リース開始
契約条件について双方で合意を得たら、必要書類や諸費用を用意して正式な契約手続きを行います。基本的には「売買契約」と「賃貸借契約」という2種類の契約を交わしますが、買い戻しを希望する場合はこの時点で「売買予約契約」も交わす場合があります。
契約手続きや売却代金の支払いが完了したら、契約成立となりリース開始です。
リースバックがおすすめな人の特徴は?
リースバックを検討している方の中には、自身や家族にとって適した方法であるか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
リースバックが自分に合っているかどうか知りたい方は、以下の記事を参照して確認してみてください。リースバックがおすすめな人の特徴について、5つの観点から説明されています。メリット、デメリットについてもチェックしておきましょう。
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リースバックはどんな人におすすめ?仕組みやメリット・デメリットも解説
充実のプランが用意された一建設のリースバックプラス
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では他社にはない仕組みを取り入れ、
様々なニーズに応えることができる2つのプランを用意しています。
売却後に賃貸契約を更新していくことが可能な「標準プラン」は、賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能や、賃貸として住んだ長さに応じて再購入時の価格が下がる仕組みを、 業界で初めて導入しています。最短でも10年間、再購入価格が下がっていきます。
一方、比較的早期の買い戻しを計画している方や一時的な資金調達の方には「定期プラン」が向いています。こちらのプランでは、最大1年間の賃料が0円(以降は定期期間に応じて賃料設定)になる「賃貸タイプ」と、定期借家契約の期間を2年~5年と限定することで、買戻価格が売却価格と同額となる「買戻優遇タイプ」があります(諸経費が別途かかります)。
また全プランに共通して、より快適で安心な生活のためのサポートサービスなども利用可能です。
このように、一建設株式会社の「リースバックプラス+」には、将来設計に合わせた充実のプランが用意されています。
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