はじめての家選び
一生後悔しない!
経済先行きを見据えた
家を買うタイミング
人生最大の買い物である持ち家は、買うタイミングによって大きく得をすることもあれば
損をすることもあります。
不動産マーケットの動きを捉えながら、
自分自身の収入状況も考慮した最適な購入タイミングをお教えします!
「家をいつ買ったらいいかわからない」
「家を買いたいが、いつがいいのかわからない」という人が、住宅購入検討者の約6割を超えているといいます。(不動産の日アンケート「住居の居住志向及び購買等に関する意識調査(2020年)」)
たしかに、家の価格が高いか安いかを判断するというのは、すごく難しいですよね。
家の価格は、複合的な理由で決められます。
また、過去と未来に価格差があるので、「わからない」将来を推測しながら決めていかなければならないという側面もあります。
ここでは、「家の価格がどうやって決められているのか」、ということを少し学んでいきましょう。
家の価格の決まり方
ひと口に「家の価格」といっても、一戸建ての場合は土地と建物の価格の合計、マンションの場合は物件そのものの価格などなど、少しずつ事情が異なります。
ここでは土地や建物をまとめて「不動産」と呼ぶことにして、まずは不動産の価格の決まり方を見てみましょう。
不動産の価格を決める要因は、大きく以下の3つになります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日本全体の不動産に影響を与える要因で、大きく4つに分けられます。
- ・自然的要因
- 地質、地盤、土壌、地勢、地理的位置関係、気象の状態など
- ・社会的要因
- 人口、家族構成、公共施設、教育、社会福祉、生活様式の状態、不動産取引慣行など
- ・経済的要因
- 貯蓄、消費、投資、国際収支、財政、物価、賃金、税負担、交通体系の状態など
- ・行政的要因
- 土地利用に関する計画、防災、宅地施策、不動産税制の状態など
つまり、土地の値段は社会情勢の多くの要素が関係して決まってくるということです。それは、日本国内の状況だけでなく、国際情勢などにも影響されます。
かつて日本には「土地神話」というものがあって、「土地の値段は上がり続ける」と信じられていました。しかし、バブルの崩壊によって「土地神話」は終わりを告げ、現在は、土地価格は上下動している状態です。その後リーマンショックなどの影響もありましたが、首都圏の場合、2014年以降は順調に上昇基調で推移していました。しかし近年は、コロナ禍の影響により東京・神奈川・埼玉の公示地価の対前年変動率は下落傾向となっています。
土地の販売価格の目安となるものとして、国が示す「路線価」「公示地価」「基準地価」などがあります。
なかでも「公示地価」は、土地取引の価格に対する指標とするための評価額です。その年の1月1日時点での土地の価格を調査して、3月下旬頃に国土交通省が発表します。公共事業用の土地を取得する際の、価格を算定する基準としても利用されています。
路線価や公示地価が発表されるとニュースや新聞でも取り上げられますが、これらはあくまで目安であって、実際の取引では具体的に取引されている価格である「実勢価格」が最も大きな影響を与えます。
地域の特徴が影響を与える要因です。
用途別に地域を分けると、「宅地地域」「農地地域」「林地地域」などがあります。
「宅地地域」は、さらに「住宅地域」「商業地域」「工業地域」などに分けられます。
都道府県や市区町村などの自治体によって独自に定められる条例や、現地の都市計画などによって、土地の値段は地域的な影響を受けます。
土地の値動きは、それぞれの地域の事情により異なる動きを見せます。
人口が多く、不動産への需要が高いところは価格が高くなりますし、過疎傾向にある地域では価格が下がります。
また、震災後には地盤が強いとされている内陸地域の土地が人気になったという例もあります。
物件そのものの性質や特徴が要因となるものです。
土地だけの要因、建物だけの要因、土地と建物一体としての要因があります。
土地の要因としては、角地であったり二方路(正面と背面が道路に面している)や三方路(3方向が道路に面している)であったりすると評価が高くなります。
逆に、奥まっていたり狭小だったり、形がいびつだったりすると評価は下がります。
建物に関しては、費用の目安として「坪単価」が用いられます。
坪単価は1坪あたりの建築費のことで、
坪単価=建築費÷延床面積
で求められます。
延床面積とは、建物の床部分の総面積のことです。
2階建てならば、1階と2階の床面積を足したものになります。
ただし、床のない吹き抜け部分や壁で囲われていないポーチなどは床面積に含まれません。
一般的には、坪単価が高いということは、それだけ建物にお金がかかっているということで、質のいい材料を使い、設備も整っていることを表します。
今後10年以内に3度の購入チャンスが訪れる!?
不動産の価格を決める要因のうち②地域要件③個別要件は、どんな場所に物件を購入するかによって大きく変わるので、不動産会社や住宅メーカーに詳細を確認することをお勧めします。
ここでは、日本中の不動産に影響を与えると言われている①一般要因を見ていきましょう。
近年では、不動産価格が大きく動きと予想されているタイミングが10年以内に3回あるといわれてきました。その一つが先ごろに開催された東京オリンピックのタイミングです。
オリンピック開催国の景気を見てみると、開催翌年には実質GDP(国内総生産)の成長率が落ち込んでいる国が多く、1964年に開催された東京オリンピックの後も同様でした。しかし、翌年下落した各開催国も2年後には戻していることがわかります。
2021年開催の東京オリンピック後は、「日本は不況に陥るかもしれない」と懸念する声も多く聞かれていました。コロナ禍によって開催が1年延期され、ほとんどの競技が無観客での開催という前例のない状況で開催されていますので、過去の事例と比較するのは難しい状況ではあります。
しかし、ワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの治療薬の開発なども進めば経済状況は好転すると見る向きは多いようです。今回の東京オリンピックは一つの転機として注目されるでしょう。
2022年に「生産緑地法」が期限を迎えることで、東京ドーム2200個分に当たる広大な土地が農地から宅地用へと放出される…… その結果、地価に影響を与える。
これが「2022年生産緑地問題」といわれるものです。
「生産緑地法」というのは都市部の緑地を守る目的で作られた法律で、最低でも30年間は農業や緑地として使うことを条件に、税制面で大幅な優遇を受けられるようにした土地に関する法律です。
法律が改正されたのが1992年で、2022年に期限の30年を迎えます。
全国の生産緑地は約1万3000ヘクタールあり、東京ドーム約2200個分の広さがあります。
農業を営んでいた土地所有者が高齢化していたり後継者がいなかったりすると、持っている土地を宅地用に活用し始めるので、不動産価格が下落するのではないかと言われています。
日本の人口構成比で大きな比率を占めているのが、いわゆる「団塊の世代」といわれる、1947年(昭和22年)〜1949年(昭和24年)生まれの前期高齢者の人たちです。
この世代の人たちが2025年に後期高齢者になり、日本の全人口の4人に1人が75歳以上という「超高齢社会」が訪れます。
これまで団塊の世代は社会の中心として日本を支えていましたが、その世代が高齢者となることで医療や介護、福祉サービスへの需要が高まって、社会保障制度のバランスが崩れるのではないかと心配されているのが「2025年問題」です。
また、平均寿命は男性約82歳、女性約87歳なので、この世代にも相続というタイミングが訪れます。相続時には相続税が課されるので、土地や建物を引き継いだ子供たちが納税のために売却するケースも多くなります。
そこで、多くの土地や物件が市場に供給され、不動産市場では価格が下がると予想されています。
ただし、「2025年問題」を解決していくために社会保障制度を見直したり、あらたな国民負担が課されたりする可能性もあるので、世の中の動きに注意を払っておきましょう。
経済の動きに合わせた、あるいは動きに翻弄されない家の買い方とは?
このように、不動産市場は社会や経済の動きに影響されます。
その動きを的確に読めれば、損をしないで家を購入することができるでしょう。
しかし、専門家でも将来的な動きを予測することは難しいとされています。
私たち素人が、あまりにもそれらを気にしすぎると、ただ翻弄されてしまうだけです。
大切なのは、常にそうした動きにアンテナを張り、情報を収集しておくことです。
そして、個人的な事情や状況を加味して、総合的な判断ができるような「準備」をしておきましょう。
こうした知識と考え方を身につけておけば、いざ家を購入する際に、不動産会社の人や住宅メーカーの担当者と対等に会話ができるようになるはずです。
社会の動きは常に変化しています。
私たちもそれに合わせて、認識を変えていく必要があります。
専門家の意見であっても、時間とともに実情に合わなくなってくることがあります。
誰かの意見を鵜呑みにするのではなく、さまざまな情報を参考に、自分自身で判断できるようにしていきましょう。