「リースバック」は、持ち家を売却して資金を調達し、家賃を支払いながら住み慣れた家に住み続けることができる手段ですが、古い家でもリースバックが可能なのでしょうか?この記事では、古い家のリースバックが可能かどうか、古い家を高く売るための方法、リースバック時の買取価格、リースバックが利用できない場合などについて詳しく解説します。
INDEX
古い家をリースバックするのは可能
古い家でもリースバックは可能です。いわゆる築古物件では戸建ての場合、築年数が20年になると、資産価値はほとんどなくなると言われています。しかし、資産の名義人が同意していること、抵当権が残っていないこと、そしてリースバック業者が定める物件条件に当てはまるといった条件をクリアしていれば利用が可能です。一方、流通性の低い田舎に位置する物件や、事故物件などは、リースバックを断られることがあります。
なお、リースバック対象の物件には、原則として築年数制限はありませんが、リースバック業者によっては築年数に制約を設けている場合もあります。具体的な築年数上限についてなどは、リースバックの条件により異なるため、リースバック業者に相談してみましょう。
古い家の耐用年数・耐震性と目安
古い家の定義は、さまざまな判断基準があるため、明確に定めるのは難しいですが、不動産業界では一般的に耐用年数と耐震性を基準に古い家と判断しています。
耐用年数
耐用年数とは、家などの固定資産が取引する価値のある期間を指します。築年数が耐用年数を超えている場合、物理的な損耗が少なからずあると考えられます。法律では木造住宅の耐用年数を20年~22年と定めており、そのため築20年を超えた物件について金融機関はほぼ担保価値がないと判断します。一方、RC造のマンションの耐用年数は47年とされており、木造住宅の倍以上です。なお、この耐用年数は住宅の資産価値を把握するための指標として定められているものであり、耐用年数を超えたからといって住めなくなるわけではありません。
耐震性
旧耐震基準では、震度5レベル程度の揺れでも倒壊せず、破損した場合でも補修可能な程度であることが条件でした。一方、1981年に施行された現在の新耐震基準では、震度6強~7程度の揺れで倒壊しないことが条件とされています。したがって、新耐震基準に合致しない、旧耐震基準で建てられた住宅は1981年6月より前に建てられた古い家ということになります。
古い家を高く売るための7つの方法
古い家を高く売るための方法は、以下の7つです。
- 古家付きの土地として売る
- 更地にして売る
- リフォームして売る
- 住宅瑕疵担保責任に加入後に売る
- 不動産会社に買取してもらう
- 空き家バンクを利用する
- リースバックを利用する
方法①古家付きの土地として売る
古家が付いている土地として販売する方法があります。不動産会社を通じて古家付きの土地として売る場合、主なメリットは次の2つです。
まず、ターゲットの範囲を広げることができます。家として販売すると、需要が古民家暮らしやリノベーションを希望する人々に限られてしまうでしょう。しかし、古家が付いた土地として販売することで、土地を求める人々もターゲットに含めることができます。
次に、買い手が住宅ローンを容易に受けられるという利点があります。通常、住宅ローンは建物と土地のセットでなければ融資を受けることができません。土地のみを先行して購入する「土地先行融資」や「つなぎ融資」などのローンも存在しますが、手続きが煩雑です。しかし、建物が残ったままの古家付きの土地であれば、住宅ローンを利用して購入できます。
また、古家付きの土地として販売すれば、建物の解体は不要になり、解体費用を節約できるため、売主にとってはコスト削減になります。ただし、買主は購入後に建物を解体する必要があることを考慮し、価格交渉の要因とする可能性があります。その結果、意図せずに安値で売却される可能性があるため注意が必要です。
方法②更地にして売る
家を管理する人がいない場合や、建物の耐震性が低く、明らかに古い場合におすすめの方法が、建物を解体し更地にしてから販売する方法です。この方法には主に2つのメリットがあります。
まず、1つ目のメリットは、土地を求めている人に対して売りやすくなることです。買主はその土地を購入後すぐに自由に利用することができ、新たな住宅を建てるだけでなく、駐車場やトランクルームなどの事業用途にも活用できます。
2つ目のメリットは、売主は空き家を管理する必要がなくなることです。古い家がそのまま残っていると、売主は売却されるまで管理しなければなりません。買い手がなかなか現れない場合、建物の劣化が進み、周囲の景観や近隣住民の生活に悪影響を及ぼす可能性もあります。これは売主にとってかなりのストレスとなるため、管理する家がないことはメリットです。
また、家を解体するタイミングは固定資産税を考慮して決めることをおすすめします。建物が立っている土地は通常、「固定資産税・都市計画税の軽減措置(住宅用地)」が適用され、固定資産税が安くなることがあるからです。固定資産税は毎年1月1日に決まるため、1月1日時点で古い家がそのまま残っていれば、その後取り壊しを実施しても、その年は「軽減措置」を受けることが可能です。
方法③リフォームして売り出す
古い家でもリフォームすることで価値が上がるため、売却を考える場合には、家をリフォームしてから売る方法も検討する価値があります。実際、20年前の家と比べると、今の家は水回り設備や気密性、断熱性の高さなど、家の仕様が全く異なります。
リフォームを行うと、不動産広告に「リフォーム済み」と表記することができ、購入希望者が増える可能性があります。物件の清潔感が向上し、利便性も向上するため、同じ築年数の物件と比較しても高額な売却が期待できるでしょう。
ただし、築年数の古い戸建て住宅の場合、売主がリフォームすることはまれです。それは、戸建てではマンションに比べてリフォームに相当な費用がかかるためです。古い家ほどリフォームが必要な箇所が増え、予想以上の費用がかかる可能性があります。そのため、売却前にリフォームを行う場合は、リフォーム箇所や規模、費用を売却予想価格と比較検討し、リフォームにかかった費用以上の金額で売却できる見込みがあるか、慎重に判断しましょう。
方法④住宅瑕疵(かし)担保責任に加入後に売る
住宅瑕疵担保責任は、住宅に瑕疵があった場合に、補修や損害を賠償する責任のことを指します。瑕疵とは、取引の対象になる土地や建物に関する造成不良や設備の不具合などのことです。
古い家は、経年劣化や構造的な問題が起こる可能性が高くなりますが、住宅瑕疵担保責任保険に加入すると、将来の修理や補修の費用を保険会社が負担してくれる場合があります。こうした保証があると、購入者は問題が発生しても負担を抱えずに済みます。その結果、古い家の購入に関するリスクが軽減され、高い価格で売却できる可能性が高まるというわけです。
住宅瑕疵担保責任に加入するには、建物が新耐震基準を満たし、さらに一定の検査基準をクリアしていなければなりません。建築士が細部まで問題がないことを確認するため、この保険へ加入していることは購入者にとっての安心材料となります。保険料の相場は、検査料を含めて7〜15万円程度です。
方法⑤不動産会社に買い取ってもらう
ここまで、不動産会社を介して買主を見つける仲介での対策についてご説明しましたが、売却をできるだけ早く行いたい場合は、直接不動産会社に買い取ってもらうという方法もあります。不動産会社の買取りでは、仲介よりも早く売ることができるでしょう。
買取りの場合、建物の築年数が比較的新しく、状態も良好であれば、買い取った不動産会社はリフォームを行って売却します。また、リフォームすると採算が取れない場合や、建物が古くて解体が必要な場合には、更地にして土地として販売されることもあります。マンションはリフォームして再販されることが一般的です。一戸建ての場合は、更地にして売却するか、新築住宅を建てて販売するケースがよく見られます。
少しでも高く買取ってもらうには、複数社の不動産会社に見積もりをしてもらい、金額を確認し、他社の見積金額を提示して交渉してみましょう。ただし、買取価格が高くても、建物の解体費用など別途売主が負担するお金が発生することもあるため、買取価格のほかに手元に残るお金はいくらになるか確認することをおすすめします。
方法⑥空き家バンクを利用する
空き家を見つけるために便利なサービスが空き家バンクです。空き家バンクを運営しているのは地方自治体であり、所有者が貸したい、または売りたい空き家を登録し、自治体がその情報を提供します。この情報をもとに、空き家を購入または賃貸したい人は希望する物件に申し込むことができるという仕組みです。
空き家バンクの利用により、不動産会社に依頼せずに、古い家を売却することができます。通常、空き家バンクでは仲介手数料は必要ありません。地方自治体が運営する空き家バンクは、社会問題である空き家問題の解決を目的としているため、営利目的ではないからです。そのため、不動産会社に断られた物件でも登録できます。ただし、運営する自治体は契約に関与しません。したがって自分で直接利用者と交渉しなければならず、その場合トラブルにつながる恐れもあることには注意が必要です。
方法⑦リースバックを利用する
古い物件をリースバックすることも可能です。リースバックは、住宅ローンの返済問題の解決や老後資金、事業資金などを確保するために検討される手段です。具体的には、自宅をリースバック会社に売却し、賃貸料を支払うことで売却した家に住み続けることができます。
ただし、リースバックを行うためにはいくつかの条件を満たす必要があります。まず、資産の名義人が同意していること、抵当権が残っていないこと、そしてリースバック業者が取り扱う対象物件であることが条件です。
また、売却価格は地域によって異なります。都市圏や不動産市場の流動性が高い地域では、売却価格が比較的高くなることがあり、地方都市で人口の少ないエリアは流動性が低く、売却価格が低くなる傾向があります。
リースバックで少しでも高く売りたい場合は、複数のリースバック業者に見積もりを出してもらい比較検討しましょう。また、金額の交渉をしてみたり、高く買い取ってほしいことを伝えたりするのも良いでしょう。なお、売却価格が高い場合、それに伴い賃貸料も高く設定されることがほとんどです。無理なく賃貸料を支払い続けることができるのか、今後の生活のことも考慮した上で相談するようにしましょう。
リースバックとは?
リースバックは、持ち家を売却して資金を手に入れ、その後も家賃を支払いながらその家に住み続けるというものです。人生において、病気や事故、子どもの進学、事業資金の調達など、大きな資金が必要になることは誰にでも起こり得ます。こうした不安を解消する手段として、リースバックはおすすめです。リースバックを利用することで、自宅を一時的に売却して資金を調達することができ、同時に生活環境を変えずに住み続けることができます。一般的に、リースバックでは定期借家契約が使用され、契約期間は通常2〜3年です。
リースバックについて詳しく知りたい方はこちら
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リースバックとは?仕組みやメリット・デメリット、トラブルの対処法をわかりやすく解説
リースバック時の金額は築年数が影響
リースバック時の買取価格は、建物の築年数に影響を受けます。通常、築年数が耐用年数を超えると、ある程度の劣化が生じる可能性があります。そのため、古い建物と新築の建物では、新築の方が一般的に資産価値は高いです。
ただし、資産価値が高いからと言って、必ずしも買取価格も高いとは限りません。新築物件では、土地の市場価値が下落するリスクが存在するためです。家の資産価値は、借り手がリースバック期間中に住んでいる間に減少する可能性もあります。つまり、高額で買い取ると、将来的な売却時に損失を被るリスクもあるということです。
一方、古い物件の価値は比較的安定的です。建物の価値は低く見積もられるかもしれませんが、土地の価格は高く評価されます。
ちなみに、戸建てでは、築10年で資産価値は購入時の5割、築15年で購入時の2割、築20年で資産価値はほとんどなくなります。マンションの場合は、築10年で購入時の8割、築20年になると購入時の6~7割、築30年では購入時の4割ほどです。築40年、築50年、築60年といった、築30年を超えるマンションになると、資産価値は4割以下に下がってしまいます。
リースバックの買取価格について知りたい方はこちら。
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リースバックの買取価格と家賃(賃料)相場・算出方法、家賃を抑えるポイントを解説
リースバックできない古い家とは?
築年数の古い家でも、条件がクリアされていれば、リースバックが利用できることはお話ししました。しかし、以下のような条件に該当する物件は、リースバックの利用を拒否される可能性があります。
・事故物件
買い取った不動産を売却するときに、値段がつかない物件はリースバックの査定に落ちる可能性が高いです。その代表的な例が事故物件です。
・不動産需要が低い立地にある物件
築古物件でも、不動産需要のある場所に立地していれば、リースバックを活用できますが、不動産需要が低い地域では、リースバックが難しい場合もあります。
・住宅ローンの残債が多い
住宅ローンがまだ残っている場合でも、売却代金でローンを完済できれば、リースバックできます。ただし、売却代金だけではローンを完済できない場合は、リースバックの申請が拒否される可能性があります。手元に十分な資金があれば、売却代金だけで足りない分を補うことができるため、リースバックは可能です。しかし、リースバックを利用する多くの人々は、手元資金を確保するためにリースバックを選択するため、実際にはそのようなケースは多くはありません。
充実のプランが用意された一建設のリースバックプラス+
リースバックは、所有する自宅を売却した後に売却先と賃貸契約を結ぶことで、そのまま住み続けられる仕組みです。売却代金を取得しながら、生活スタイルを変えずに、将来的な転居や自宅の再購入などができるため、注目されています。リースバックを検討する際には、メリット・デメリットを理解したうえで、複数の会社へ査定を依頼することをおすすめします。
リースバックプランの中でも、他社にはない仕組みを取り入れ、幅広いニーズに応えることができる一建設株式会社の「リースバックプラス+」をご紹介します。
「リースバックプラス+」では、2つのプランを提供しています。「標準プラン」は売却後に賃貸契約を更新でき、かつ再購入時の価格が下がっていくという業界初の仕組みを導入。再購入価格は最短でも、10年間下がっていきます。
一方、「定期プラン」は比較的早期に買い戻しを検討している方や、一時的な資金調達を希望している方に向いています。定期プランでは、最大1年間の賃料が0円(※以降は定期期間に応じて賃料が設定されます)になる「賃料優遇タイプ」、買い戻し価格が売却価格と同額となる(※別途諸経費が必要)「買戻優遇タイプ」の2タイプがあります。また両プランともに、快適で安心な生活のためのサポートサービスも利用可能です。
一建設の「リースバックプラス+」には、このように将来設計に合わせたプランが充実しています。リースバックのご利用には、選べるプランと充実した特典が魅力の一建設の「リースバックプラス+」をぜひご検討ください。
まとめ
古い家でも一定の条件を満たしていれば、リースバックできます。古い家を高く売るためには、さまざまな方法が考えられますが、本記事では、古家付きの土地として売る、更地にして売る、リフォームして売るなど、6つの方法の他に、リースバックの利用についてもご紹介しました。古い家を長く放置してしまうと、問題も増えていきます。家が古くても、立地がそれほど悪くなければ、価格次第では売却できるものです。古い家の活用については、不動産会社に相談してみましょう。