「人生100年時代」を迎えた現代では、老後の健康や終活だけでなく、生活をするための資産についても考えなければいけません。寿命が長くなるほど生活に必要なお金は増えていき、年金や貯蓄では賄えない可能性があるためです。
今回は、高齢者が老後貧乏に陥る原因やそれを防ぐための対策方法をお伝えします。老後貧乏は、定年して老後を迎えた方だけでなく、40代や50代の現役世代も考えるべき問題です。少しでも老後に不安がある場合は、今日から将来に向けた取り組みを始めましょう。
INDEX
老後貧乏の実態
多くの方が「老後はお金にゆとりがある生活を送りたい」と思うものですが、実際は理想通りいかないケースも少なくありません。こちらでは、老後貧乏の実態をお伝えします。
60代以上で金融資産を保有していない人は約2割
金融広報中央委員会の2020年の調査によると、70歳以上で金融資産を保有していない方の割合は18.6%です。一方、3000万円以上の金融資産があると回答した方は19.0%で、両極化していると考えられます。60代に限定して調査すると、金融資産を保有していない方の割合は18.3%で、およそ2割が老後貧乏に陥っている可能性があります。
金融資産とは、実体はないものの資産としての価値が認められており、現金化できる資産のことです。一方、不動産や貴金属など実体のある資産を実物資産と呼びます。金融資産は、現金や預貯金に加えて、以下の5つを指します。
- 株式(日本株だけでなく外国株も含む)
- 債券(社債や国債、地方債、外国債)
- 投資信託
- 生命保険(掛け捨てタイプの商品を除く)
- 商品券や小切手
国は、老後生活への備えとして、高い利回りが期待できる株式や投資信託などの資産運用を推奨しています。少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)など制度の整備も行われているため、将来の年金額に不安がある場合や積立投資に興味がある方は、今から勉強を始めましょう。
【出典】:「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」(金融広報中央委員会)
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/
生活保護世帯の5割以上が高齢者
厚生労働省の2021年の調査によると、生活保護を受けている世帯数は合計で1,634,374世帯あり、その中の55.8%、911,167世帯が高齢者世帯となっています。現役世代と比較すると、高齢者は退職金や預貯金、年金を切り崩して生活する必要があります。夫婦で生活している場合は、世帯年収が大きく下がってしまうケースもあるため、事前に対策しておかないと生活に困窮するおそれがあるのです。
【出典】:「被保護者調査(令和3年3月分概数)」(厚生労働省)
65歳前後の平均貯蓄額
老後2000万円問題が何かと話題になっていますが、実際に65歳前後の世帯はどのくらい貯蓄をしているのでしょうか。ここでは、金融広報中央委員会が公開した世論調査(令和4年)の結果をもとに、60代世帯の平均貯蓄額と中央値を夫婦世帯と単身世帯に分けてご紹介します。
<夫婦世帯の場合(60歳代)>
金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均貯蓄額:1,819万円
- 中央値:700万円
参照元:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果
平均貯蓄額とは、文字通り平均した数値ですが、中央値は貯蓄額が多い順または少ない順で並べたとき、ほぼ真ん中に位置する貯蓄額を意味します。平均値はお金持ちが多ければ数値が大きく変わってくるため、平均的な世帯の貯蓄額を知りたいのであれば、平均値よりも中央値を参考にするとよいでしょう。
この調査結果では、2人以上の世帯では中央値が700万円となっているため、貯蓄額が中央値以下の場合、貯蓄が少ないといえるでしょう。
<単身世帯の場合(60歳代)>
金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均貯蓄額:1,388万円
- 中央値:300万円
参照元:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果
以上の調査結果からは、夫婦世帯の方が単身世帯よりも貯蓄額が多いことが分かります。近年は共働きの世帯が多いため、夫婦で収入があることが夫婦世帯の資産の高さにつながっているのかもしれません。
65歳前後の平均収支
つぎに、平均収支について、65歳以上の夫婦無職世帯と単身無職世帯に分けてご紹介します。
<夫婦無職世帯の場合>
実収入:246,237円
支出:268,508円(消費支出: 236,696円 非消費支出:31,812円)
※非消費支出……税金や社会保険料など
ゆとりある老後に必要な生活費はおよそ36万円といわれているため、この結果からは、年金による収入だけでは10万円以上足りないことになります。不足分を補うためには、資産運用を検討する必要があるかもしれません。
<単身無職世帯の場合>
実収入:134,915円
支出:155,495円(消費支出: 143,139円 非消費支出:12,356円)
以上のデータから、夫婦世帯・単身世帯のどちらも支出が収入を上回っていることがわかります。また、年齢が高くなるにつれ病気にかかりやすくなり、治療費や入院費の負担が大きくなってくることが予想されるため、その分の支出を見込んでおく必要があります。
参照:家 計 調 査 報 告 家計収支編2022年(令和4年)平均結果の概要
老後資金はどのくらい必要?
「老後資金は2,000万円必要」と聞いたことがある方は多いでしょう。しかし具体的に「老後とは何歳から何歳までの期間を指すのか?」「どんな場合の支出を考えて資金を貯めておく必要があるのか?」といったポイントまで考えていない方もいることでしょう。
一般的に「老後」とは、会社員が定年退職をする60~65歳から寿命となる年齢までの期間を指します。厚生労働省が公表した「令和3年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性で81歳程度、女性は87歳程度と言われています。つまり、およそ20~30年分の生活にかかる資金が必要ということです。
参考:令和3年簡易生命表の概況(主な年齢の平均余命)|厚生労働省
できることなら公的年金を頼りとして生活したいところですが、2019年に金融庁が公表した金融審議会による市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、65歳以上の男性・60歳以上の夫婦で構成される無職世帯では毎月約5万円の赤字が出るとしています。
参考:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」
単純計算をすると、老後生活を20~30年続けるにあたって1,200万~1,800万円前後の資金を貯めておけばその赤字分を補えます。
逆を言えば、1,200万~1,800万円前後の資金がなければ老後破綻に陥る可能性が高いということです。
老後資金が不足する可能性について
報告書には2017年度の退職金給付額は平均で1,700万円~2,000万程度、65歳時点における夫婦世帯の金融資産(貯蓄)の平均保有状況は2,252万円とも記されています。
つまり、毎月の赤字をカバーするとしても退職金含む貯金額を、生活できる範囲で切り崩せばカバーできると考えられます。
上記のデータから、退職金制度がある企業に定年まで勤めている方であれば絶対に2,000万円を貯めなければならない…とまでは言えない状況だと分かります。
とはいえ、公的年金と退職金だけに頼り切って老後資金をまったく用意しないという考えはおすすめできません。
その主な理由としては、「退職金の減少傾向」「日本人の長寿化」の2点が挙げられます。
報告書では退職金制度を設ける企業の割合、定年退職者の退職給付額が年々減少している傾向にあると指摘しています。
今後見込まれる雇用の流動化の広がりを踏まえると、どちらも減少傾向が続く可能性があるのです。
また、「令和3年簡易生命表の概況」では95歳まで生存する者は男性で約10%、女性は約27%というデータを記しています。
さらにこの割合は、医療技術の進歩も相まってさらに増加することが予想できます。
このような事情から、従来のデータ上において「平均的」な退職金給付額と余命を参考に老後資金を用意しないでいると生活に必要な資金が不足する可能性があるのです。
老後に必要な生活費の目安
老後の支出において大半を占める「生活費」を知ることで、どれくらいの老後資金を備えておくべきなのかが分かります。それにはまず、老後の収入と生活費の平均額を把握することが大切です。
老後の収入源とは?
老後の収入は公的年金を含む社会保障給付が大部分を占めており、本人または配偶者の就労による給与や家族からの援助・仕送り、退職金を含む貯蓄などで不足分を補うケースが一般的です。
令和3年度の「家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の無職世帯(2人以上・単身)における実収入の平均は271,086円程度となっており、年齢が上がるにつれて減少傾向であるというデータが記されています。
自分が将来受給できる公的年金額の調べ方
一般的に老後の収入源は公的年金がメインとなるため、自分は将来どのくらいの年金を受給できるのかを今から把握しておきましょう。
そもそも公的年金には、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2種類があります。国民年金は日本に在住する20~60歳のすべてが加入し、その中でも会社員や公務員には厚生年金が上乗せされるという仕組みです。そのため、日本の公的年金制度について「2階建て」と称されることもあります。どちらも保険料を納めることで、原則65歳以降(受給資格期間が10年以上ある場合)に受給が可能となります。
国民年金のみ保険料を支払う第1被保険者とその配偶者である第3被保険者は、老後に国民年金(老齢基礎年金)のみ受給が可能です。受給額は以下の計算式で算出します。
老齢基礎年金支給額の満額×(保険料の納付月数 / 480ヵ月)
例えば令和4年度の場合、20~60歳までの40年間(480ヵ月)分の保険料をすべて支払っていれば満額として設定された77万7,800円の受給が可能です。そして保険料を支払っていない年数が増えると、そのぶん満額から差し引かれるため受給額が減ります。なお、老齢基礎年金支給額の満額は毎年見直されます。
一方、国民年金と厚生年金のどちらも保険料を支払う第2被保険者の年金受給額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額となります。以下の計算式で概算を調べることが可能です。
老齢基礎年金の受給額+老齢厚生年金の受給額(平均年収×被保険者期間の月数× 0.005481)
平均年収の中には、毎月の給与だけでなく賞与も含まれます。そのうえで保険料を支払った月数や「0.005481」という係数も式に含めて算出されるのが厚生年金の受給額です。ただし上記はあくまで概算となるため、受給額をより正確に調べたい方は以下の計算式で算出しましょう。
老齢基礎年金の受給額+老齢厚生年金の受給額(報酬比例部分+経過的加算+加給年金額)
()内の数は、それぞれ以下のように算出します。※平成15年4月以降の場合
<報酬比例部分>
平均標準報酬額× 0.005481×被保険者期間の月数
<経過的加算※令和4年度の単価で計算する場合>
1,621円×1.0×被保険者期間の月数-77万7,800円×(昭和36年4月以降で20~60歳未満の被保険者期間月数 / 加入可能年数×12)
<加給年金額>
※被保険者期間20年以上かつ、65歳の時点で本人が生計を維持させている配偶者や子がいる場合のみ加算
- 配偶者【38万8,900円加算】※特別加算金が最大の場合
- 1人目、2人目の子【各22万3,800円加算】
- 3人目以降の子【各7万4,600円加算】
なお、加給年金額を加算するには配偶者や子の年齢制限をクリアしたうえで届出を行う必要があります。
老後に必要な生活費の平均金額はいくら?【シミュレーション】
令和3年度の「家計調査」によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯における平均的な消費支出は26万1,123円となっています。
一方、65歳以上で単身の無職世帯における平均的な消費支出は13万2,476円です。
参考:家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計収支の概況(二人以上の世帯)|総務省統計局
食費・光熱費・水道代・家事用品購入費・など生活に必要な消支出費の他、税金や社会保険料などの非消費支出も加味して生活費をシミュレーションする必要があります。とはいえ、具体的な生活費の金額はそのときの生活スタイルによって変わるためイメージが難しいものです。家計調査の報告を参考に65歳以上の夫婦と単身者における消費支出の平均をまとめたので、参考にしてみてください。
・65歳以上の夫婦
項目 | 月平均額(円) | |
---|---|---|
消費支出 | 食料 | 65,789 |
住居 | 16,498 | |
光熱・水道 | 19,496 | |
家具・家事用品 | 10,434 | |
被服及び履物 | 5,041 | |
保険医療 | 16,163 | |
交通・通信 | 25,232 | |
教育 | 2 | |
教養娯楽 | 19,239 | |
その他の消費支出 | 諸雑費 | 18,807 |
交際費 | 20,729 | |
非消費支出 | 仕送り金 | 1,349 |
直接税 | 12,109 | |
社会保険料 | 18,529 |
・単身者
項目 | 月収平均(円) | |
---|---|---|
消費支出 | 食料 | 36,322 |
住居 | 13,090 | |
光熱・水道 | 12,610 | |
家具・家事用品 | 5,077 | |
被服及び履物 | 2,940 | |
保険医療 | 8,429 | |
交通・通信 | 12,213 | |
教育 | 0 | |
教養娯楽 | 12,609 | |
その他の消費支出 | 諸雑費 | 13,369 |
交際費 | 15,394 | |
非消費支出 | 仕送り金 | 387 |
直接税 | 6,056 | |
社会保険料 | 6,158 |
生活費以外にも必要な老後資金に注意
先述した生活費の内容は、あくまで快適な生活を送るために必要な出費です。各々のライフプランによっては、生活費以外にも以下のような費用がかかることも想定して資金を用意する必要があります。
お祝い費用
子供がいる場合、子供が結婚したり出産したりした際のお祝いにかかる費用も見越して資金計画を立てることが大切です。また、孫が成長すれば入学や卒業などのイベントに合わせたお祝いや教育費の援助、毎年のお年玉なども必要になります。
お祝い費用は想定以上にかさむことが多いうえに盲点となりがちなので、自身と子供夫婦の収支におけるバランスを考えながら無理のない使い方を考えましょう。
リフォーム費
長年住んでいる持ち家だと、経年劣化により建物や設備に不具合が現れるものです。そのため、屋根の張り替えや水回りの設備修理などにかかる費用も用意しなければなりません。マンションであっても専有部の補修に費用がかかる他、共用部の修繕積立金も必要です。
また、シニアライフを見越して床の段差を解消したり、階段に手すりを設置したりといった自宅のバリアフリー化にも費用がかかります。
入院、手術費用
高齢となるにつれて体力が低下するため、病気のリスクが高まります。特に日本人はガンの罹患率が高く、仮にガンと診断されれば高額な入院・手術費用が必要です。高額療養費制度の利用で自己負担分を抑えることも可能ですが、その後の経過観察にも決して安くない治療費がかかります。
入院・手術が必要な際に使える自己資金の用意も大切ですが、早いうちから医療保険やがん専用保険に加入して自己負担を抑える工夫もすることをおすすめします。
介護費用
自分自身や配偶者に介護が必要な状態となる可能性を見越して用意すると安心なのが、介護用品の購入費や訪問介護サービスの利用料といった介護費用です。生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査(令和3年度)」によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、月々の費用は平均で8.3万円というデータが出ています。
なお、介護保険制度を利用すれば自己負担額を抑えることが可能です。
葬儀代
近年は家族や大切な人に迷惑をかけたくないという思いから、自分がなくなった際の葬儀費用を自分で用意する方も増えています。葬儀の形式や規模、慣習などにより金額は変わりますが、葬儀代・飲食代・返礼品などの費用を合わせると200万円前後かかるケースが一般的です。
老後で貯金が少ないとどうなるのか?
老後に貯蓄がないとどのような状況が想定されるでしょうか。状況を把握して、今のうちから備えておきましょう。
冠婚葬祭の費用が捻出できなくなる
冠婚葬祭は、結婚式、成人式、還暦、葬式などの人生の節目や別れの重要な行事、さらにお正月、七夕などの冠婚葬祭の「祭」にあたる行事を指します。年を重ねていくと、冠婚葬祭への出席が多くなってくるため、ご祝儀代や不祝儀代が増えていきます。しかし、老後にお金がないと、このような冠婚葬祭費用を工面できなくなるかもしれません。
子供や孫に援助できない
子どもがいる世帯では、子どもの結婚や孫の誕生などに際し、お祝いしたり、孫にプレゼントをしたりなどの出費があります。老後に貯蓄が少ないと、子どもが新居を購入するときに援助もできず、また孫の誕生日などに贈り物をしたいのに、プレゼントも買えないといった状況になる可能性があります。 親として必要なときに子どもや孫の援助ができるように、貯蓄しておきましょう。
住居の修繕・回収が十分にできなくなる
老後にお金がないと、住居の修繕や改築を行うのに十分な資金を用意できなくなります。
家は長年住んでいると老朽化するため、定期的なメンテナンスが必要です。屋根の張り替えなどにかかる費用も用意しておかなければなりません。老後に備えて、階段の手すり設置など、バリアフリー化などのリフォームが必要になることもあるでしょう。大がかりなリフォームではなくても、修理したい場所があるけれど、お金がないため修理屋さんに依頼することもできないかもしれません。
娯楽にお金を回せない
老後になると自由な時間が増えるため、旅行やレジャー、趣味を楽しむ方が多くなります。娯楽に充てる時間が増えることは嬉しいことですが、お金がなければ旅行にも行くことができません。趣味にもよりますが、趣味にお金を費やすことも難しくなるでしょう。そんな寂しい老後にならないように、計画的に貯蓄していきましょう。
老後資金を貯金するには?
老後貧乏や老後破産といった事態を防ぐには、現役時代から将来に向けて準備しておくのがポイントです。こちらでは、老後貧乏のリスクを抑えるための対策をご紹介します。
働けるうちは働いておく
老後貧乏や老後破産といった事態に陥らないように、公的年金で足りない分は自分で準備する必要があります。60歳を超えると働くのは厳しくなりますが、近年はシニアを積極的に雇用する会社や仕事が増えています。そのため、身体が動く間はこれまでの経験や知識を活かせる仕事をして、資産を着実に貯めていくことが重要です。
老後資金の必要額を算出して計画的に貯蓄する
まずは、いつまでにどのくらいの資金を用意しておくべきか算出しましょう。必要なタイミング、資金から逆算して毎月の貯蓄額を決めるとスムーズです。定期預金や積立預金を活用するのも良いでしょう。
収入に見合った支出となるよう家計を見直す
計画的な貯蓄のためには、コストを管理し家計のコントロールを行うことも重要です。無駄な出費がないかチェックし、少ない支出で生活できるよう工夫しましょう。家系の見直しは、高い効果が期待できる固定費から行うのがおすすめです。水道光熱費や生命保険料、通信費などを節約できれば、月々の支出を大きく抑えられます。
また、現在持ち家の住宅ローンを支払っている場合は、返済プランの見直しを行うのも効果的です。ローンの掛け替えや繰上げ返済によって、支払い総額や手数料を抑えられないか検討してみましょう。
老後も収入源を確保する
老後を見据えるのであれば、公的年金とは別の収入源を用意しておくと、生活の安定につながります。近年は低金利の影響で銀行に預けていても資産はほとんど増えないため、iDeCoやNISA、個人年金保険などで運用するのが基本です。また、より多くの利益をあげる手段として株式投資もありますが、株初心者の場合、口座の資産が目減りする可能性もあるため、証券会社へ相談したり任せたりするのが良いでしょう。
最近では、定年後に再就職して収入を得る方も少なくありません。家計の足りない分を補うだけであれば、アルバイトやパートで働くこともできるため、健康で体力に自信のある方は検討してみてはいかがでしょうか。
リースバックを利用する
ゆとりのある老後をおくるためには、老後資金の準備が必須ですが、リースバックを利用することで、老後資金が確保できます。リースバックは、自宅を売却して、売却後の自宅を借りて住み続けるというサービスです。通常の売却では、転居先を決めたり、引っ越し費用などが発生したりしますが、リースバックなら、資金を手に入れながら、同じ家に家賃を払うことで住み続けられます。
自宅を売却したことを周りに知られずに、そのまま住み慣れた自宅に住み続けられるのは、リースバックの大きなメリットです。また、住宅ローンの返済が大変で老後資金がなかなか貯められない場合も、リースバックを利用すれば、自宅の売却資金でローンの一括返済ができます。
[関連リンク]
リースバックの仕組みとは?メリット・デメリットや流れ、注意点をわかりやすく解説
「老後貧乏対策は現役時代から考えておこう」
今回は、老後貧乏になる方の特徴や具体的な対策方法についてご紹介しました。老後は突然収入がなくなるため、現役時代に高年収だった方でも、生活を変えられずお金に困ってしまうことがあります。老後貧乏を防ぐには、40代や50代から老後生活について考え、資金を用意しておくことが大切です。
老後資金を確保する手段には、今回紹介した内容以外に自宅の現金化が挙げられます。なかでも、引っ越しが不要で現在の家に住み続けられるリースバックがおすすめです。一建設では、ライフスタイルに合わせてプランを選べる商品「リースバックプラス+」をご用意しております。老後の資金調達の選択肢として、ぜひ一度検討してみてください。
まとめ
老後の生活にかかるお金に関しては公的年金が主な頼りとなりますが、それだけでは毎月5万円程度の赤字が出るというデータが公表されています。「老後資金は2,000万円必要」と言われていますが、絶対に2,000万円を自分で用意すべきとまでは言えません。しかし退職金(制度)の減少や日本人の長寿化といった傾向を踏まえると、早いうちから資金形成に取り組んで損はありません。現在の収支のバランスを考えながら、安心して老後生活を送ることができるよう計画的に資金を準備しましょう。
よくある質問
65歳の時点で老後貯金はいくらあれば安心ですか?
「高齢社会における資産形成・管理」に記されたデータを参考に公的年金に頼っても毎月5万円の赤字が出ることを想定すると、退職金など含め2,000万円の資金があれば98歳(65歳から33年の間)までは生活費をカバーすることが可能です。
ただしお祝い費用や入院・治療費用、葬儀費用など生活費以外のまとまった出費を考慮すると、退職金や自己資金を合わせて3,000万円前後を準備できると安心です。とはいえ老後の収支状況は人によって異なるため、一概にこの金額の貯蓄を目指すべきとは言えません。あくまで目安と考えつつ、ご自身が理想とする老後生活や本当に必要となる出費とその金額をよく考えながら計算しましょう。
老後資金として1,000万円貯めるには毎月いくら必要ですか?
1,000万円貯めるまでに必要な毎月の貯金額は、貯金する期間を参考に逆算し算出します。
例えば「10年間で1,000万円貯めたい」という場合、年間100万円の貯金が必要と考えて以下の通り計算します。
100万円÷12ヵ月=83,333円
つまり、1ヵ月あたり約8万3,333円前後を貯金できれば10年で1,000万円の貯金が可能です。老後資金におけるひとつの目安である2,000万円貯めるなら、同様のペースで20年の期間を要します。
家計の収支状況を考慮しながら、貯金の目標金額と期間を設定のうえ確実に達成できるようにしましょう。