よく似ている「親子間売買」と「リースバック」。どちらも売却したマイホームに住み続けられる方法として知られています。両者はどのような条件で利用できる仕組みなのでしょうか。また、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、親子間売買とリースバックの違いや、利用するメリットとデメリットをご紹介します。注意点についても併せてご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
任意売却の手段としての親子間売買とリースバックの違い
不動産の親子間売買とは、どのような取引のことを指すのでしょうか。また、リースバックとはどのような違いがあるのでしょうか。まずは両者の特徴と違いをご紹介します。
親子間売買とは
親子間売買は、親子で自宅を売買することを指します。親(子供)が子供(親)に家を売って売却代金を受け取り、住宅ローンを完済するのが特徴です。親子間での売買契約では、自分の身内が買主となるため、事前に家族で相談しておけば物件を売却した後も自宅に住み続けられます。ただし、自宅の所有者が子供(親)に変わることに留意しましょう。なお、親子間売買に対して、買主が子供以外の親族になる場合は「親族間売買」と呼ばれます。
リースバックとは
リースバックは、自宅を不動産会社や投資家などへ売却し、同時に賃貸契約を結ぶ不動産取引の方法です。不動産会社などの業者から売却代金を受け取ったら、住宅ローンを完済します。その後は、買主に対して毎月の家賃を支払うことで、自宅に住み続けられるのが特徴です。このように、親子間売買とリースバックはマイホームに住み続けられる点で共通していますが、買主の立場や賃貸契約の有無などに違いがあります。
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親子間売買とリースバックそれぞれのメリット・デメリット
親子間売買とリースバックのどちらを選ぶべきか迷ったら、メリットとデメリットを比較してみましょう。ここでは、それぞれの長所と短所をご紹介します。
親子間売買のメリット・デメリット
メリット
親子間売買では、自宅の所有権を第三者へ渡さなくて済むのがメリットです。身内が所有権を持つため安心しやすいといえます。一方で、通常の仲介による売買やリースバックでは、マイホームの所有者が身内以外の第三者となります。
また、親子間売買では贈与税が発生しません。通常、生前贈与という形で自宅を子供に譲ると贈与税の対象となります。が、適正な価格の親子間売買は対象となりません。将来的に実家の処分を予定している場合には、相続税の節税対策として親子間売買を検討しても良いでしょう。
デメリット
親子間売買では、買主側に物件を一括払いで購入する資金が必要となります。このとき、金融機関から住宅ローンの融資を受けにくいのがデメリットです。多くの金融機関では、融資したお金の悪用を避けるため、親子間売買に対応していません。
また、親子間売買の契約書類は個人で作成します。不動産売買の契約書は、知識のない人には作成が困難です。さらには不動産の名義変更(所有権移転登記)などの手続きも個人で行わなければなりません。司法書士や行政書士などのサポートを受ける場合は、依頼のために別途費用が発生することに留意しておきましょう。
リースバックのメリット・デメリット
メリット
リースバックのメリットは、固定資産税や都市計画税の支払いが、親子ともに不要となることです。自宅の所有権が買主である不動産会社などへ引き渡されるため、マイホームに住み続けながら節税が期待できます。
また、リースバックでは買主が不動産会社などであるため、親子間売買と比べて契約手続きの手間が少ないといえるでしょう。経験豊富で不動産関連の手続きに詳しい業者との取引は、自分たちで行うよりスムーズに進められます。
デメリット
リースバックで自宅に住み続けるためには、毎月の家賃の支払いが必要です。家賃は周辺エリアの相場よりも高くなる可能性があります。これは、一般的な賃貸物件とは異なり、物件の売却額をベースに利回りを乗せて家賃を設定するためです。一方で、親子間売買の場合は、子供(親)が所有する家に同居する形になるため、家賃がかかりません。ただし、無償で住む代わりに生活費を一部支払うなどの配慮は求められるでしょう。
また、リースバックでは買い戻しの期間が定められている場合があります。将来的に物件の所有権を第三者から取り戻したい場合には、買い戻しが可能な期間をあらかじめ確認しておきましょう。なお、親子間売買でも買い戻しは可能ですが、最初から検討していないケースが少なくないようです。リースバックで買い戻しを希望するなら、資金計画を立てるとともに、早めに買主へ相談しておくと良いでしょう。
親子間売買やリースバックの注意点
最後に、親子間売買とリースバックで知っておきたい注意点をお伝えします。親子間売買とリースバックのいずれかを選択したら、以下のポイントにご注意ください。
親子間売買の注意点
親子間売買では、相場よりも低い金額で物件を売却したとき、「みなし贈与」と認定されるおそれがあります。みなし贈与とは、財産を著しく低い対価で譲渡した場合に、贈与とみなされて課税されることを指します。この場合、市場相場との差額が贈与と判断されて、買主側に贈与税が発生するためお気をつけください。たとえ身内である親子間であっても、不動産をはじめとした財産は、適正価格での売買が求められます。
また、親子間売買は相続人が複数いる場合に相続トラブルの原因となる可能性があります。実家の建物が相続の対象となる場合、通常であれば相続人全員で遺産分割を行います。ところが親子間売買を行うと、本来は相続財産となるはずの不動産を、特定の人物のみが所有する形になるのです。相続時に初めて親子間売買の事実が明らかになることがないよう、事前に相続人全員の了承を得ておきましょう。
また、親子間売買で居住用財産を譲渡すると「3,000万円の特別控除」の特例を利用できません。こちらは、3,000万円までの不動産であれば売却時の利益が課税対象とならない制度ですが、売主と買主が親子関係にあるケースでは対象外となります。一般的な不動産売却とは異なり、制度を利用できない前提で親子間売買を行うことが大切です。
リースバックの注意点
リースバックは、売却金で住宅ローンを完済できない場合、自己資金で残債をまかなう必要があります。残債を支払えない場合には、金融機関から売却の承認を得られないことが多いためご注意ください。また、リースバックでの賃貸中にオーナーが変わるおそれがあります。所有者が物件を第三者へ売却する可能性を考慮しておきましょう。このとき、オーナーが変わってもリースバックの契約内容は引き継がれます。
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不動産取引では自分の状況に合わせた選択を!
不動産の親子間売買とリースバックの違いや、それぞれのメリット・デメリット、注意点についてお伝えしました。親子間売買とリースバックは、買主の立場や賃貸契約の有無などが異なります。一方で、いずれも売却後もマイホームに住み続けられるのが特徴です。親子間売買やリースバックで住宅ローンを返済すれば、お金の問題の解決につながる場合があります。両者の条件を確認したうえで、よりご自身の状況に合う方法をお選びください。
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では他社にはない仕組みを取り入れ、
様々なニーズに応えることができるプランを用意しています。
売却後に賃貸契約を更新していくことが可能な「標準プラン」は、 賃貸として住んだ長さに応じて再購入時の価格が下がる仕組みや、賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能というサービスを、業界で初めて導入しています。
一方、比較的早期の買い戻しを計画している方や一時的な資金調達の方には「定期プラン」が向いています。こちらのプランでは、最大1年間の賃料が0円(以降は定期期間に応じて賃料設定)となる「賃料優遇タイプ」と、売却価格と同額(諸経費が別途かかります)で買い戻しができる「買戻優遇タイプ」があります。
全プランで、より快適で安心な生活のためのサポートサービスなども利用可能です。
このように、一建設株式会社の「リースバックプラス+」には、将来設計に合わせた充実のプランが用意されています。
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