老後の資金を確保する手段として、「リバースモーゲージ」に注目が集まっています。自宅や土地などの所有不動産を担保にして融資を受ける資金調達方法ですが、融資であることから、金利が気になるところではないでしょうか。
この記事では、リバースモーゲージの特徴や金利相場、リスクについて解説します。リバースモーゲージと一緒に検討したいリースバックについてもご紹介するので、参考にしてみてください。
リバースモーゲージについてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
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リバースモーゲージの金利リスク
リバースモーゲージは自宅を担保にして融資を受けられるため、自宅を手放さずに生活資金や住み替え資金など、まとまった資金を手に入れることができます。しかし、融資であるため当然のことながら金利が発生する点に注意が必要です。
まずは、リバースモーゲージの金利リスクについて詳しく解説します。
リバースモーゲージは融資
リバースモーゲージは、銀行や信用金庫などの金融機関が提供する信託商品の一つで、自宅や土地の所有不動産を担保にしてお金を借り、契約者の死後に担保物件を売却して借入金の元利を一括返済するという仕組みになっています。
融資の一形態であることから金利が発生します。その点では、住宅ローンと似た仕組みを持った金融商品だといえます。
銀行のリバースモーゲージの金利相場
リバースモーゲージの金利リスクの一つとして、住宅ローンに比べて金利相場が高く設定されている点が挙げられます。通常、住宅ローンの金利が0.5~1.5%程度であるのに対して、リバースモーゲージの金利はおよそ3%に設定されています。
金利は、金融機関や物件の評価額によって異なり、市場の変動によって金利も変動します。
金利分は基本的に月々返済する必要がある
リバースモーゲージは、契約者が亡くなった時に契約が終了して、元本を返済します。生前の元本返済義務がありませんが、生きている限り毎月金利を支払うタイプの商品が多い傾向にあります。そのため、長生きすると支払額が増えてしまうリスクがあります。
元本の返済は、現金で一括で支払うパターンや担保としていた物件を売却して支払うパターンなどがあります。
金利上昇がリスクとなる
リバースモーゲージでは一般に変動金利が採用され、住宅ローンのような固定金利の選択肢はありません。従って、将来の経済動向によっては、月々の支払額が増えるリスクがあります 。
また、住宅ローンで加入する団体信用生命保険はリバースモーゲージでは利用できず、契約者が亡くなった場合、もしくは高度障害状態になり返済が難しくなったときでも、支払い義務はなくなりません。
担保評価が大幅に下落すると、契約者が存命中でも金融機関から一括返済を求められる可能性があります。支払いが難しい場合、最悪自宅から退去しなくてはならなくなるケースもありますので注意が必要です。
老後の資金に関しては、こちらの記事を参考に理解を深めていってください。
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国が運営するリバースモーゲージの金利
リバースモーゲージには国が運営しているものもあり、民間で提供されているものとは異なる特徴があります。民間の商品と比較しつつ、国運営のリバースモーゲージの金利について解説していきます。
国が運営する「不動産担保型生活資金」とは
国が運営するリバースモーゲージは「不動産担保型生活資金」と呼ばれるもので、厚生労働省の定めた「不動産担保型生活資金貸付制度」に基づき、各自治体の社会福祉協議会が受付窓口となって実施しています。この「不動産担保型生活資金」は国による福祉事業と位置づけられており、主に高齢の低所得世帯や障害者に対する生活資金の支援を目的としています。
長期プライムレートのため低金利で変動が少ない
国が運営するリバースモーゲージである不動産担保型生活資金は、民間の金融機関が提供するリバースモーゲージに比べて金利が低く設定されており、3%を上限に長期プライムレートと連動するようになっています。そのため、景気動向にかかわらず3%以上の利息を払う必要はありません。
長期プライムレートとは、金融機関が優良企業に対して1年以上の期間での貸出に適用する最優遇金利のことで、近年は1~2%程度で推移しています。
国のリバースモーゲージは制限が多い
不動産担保型生活資金は福祉制度の一環として運営されていることから、年収・年齢といった要件や融資額、融資された資金使途などが細かく設定されています。
一般的に、民間のリバースモーゲージは一定以上の収入がある55歳以上を対象としますが、不動産担保型生活資金は住民税非課税の高齢者世帯や生活保護を受給している高齢者世帯を対象としています。
また、民間のリバースモーゲージでは一括融資が可能ですが、不動産担保型生活資金では生活資金を毎月融資する形を取っているうえ、月々の融資額にも上限が定められています。
住宅金融支援機構のリバースモーゲージ
公的機関が関与するリバースモーゲージには、不動産担保型生活資金のほかに、住宅金融支援機構による「リ・バース60」というサービスがあります。これは民間金融機関でのリバースモーゲージ利用を住宅金融支援機構が支援する形式で、さまざまな条件の提携商品が取りそろえられています。
リバースモーゲージの金利問題を払拭する「リースバックプラス+ 」
リバースモーゲージは所有不動産を活用した資金調達法として注目される反面、金利負担が問題となるケースがあります。そこで、似通った仕組みながらリバースモーゲージの金利問題を回避したリースバック「リースバックプラス+」を紹介します。
リースバックなら金利は発生しない
リースバックとは、自宅をいったん売却し、その売却先と改めて賃貸契約を結ぶことで住居に住み続けられる仕組みです。
所有する不動産を活用して資金を調達する点や、月々の支払いをしながら自宅に住み続けるという点はリバースモーゲージと似ていますが、不動産売却による資金捻出であるため金利が発生しません。月々の支払いはリース料(賃料)のみで済みます。
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リースバックで建物の再購入は非現実的
リースバックを利用する場合、売却した自宅を将来的に買い戻すことができ、その場合に特約がつけられることがあります。しかし、一般的にリースバックの再購入価格は売却価格より高く設定されているため、買い戻しは難しいでしょう。
古くなった不動産物件を売却時より高い価格で購入する点でも現実的な選択肢とはいえません。再購入を検討される方にとってこの点が懸念になる方も少なくないでしょう。
通常のリースバックでは、売却した住居の再購入が難しいプランがほとんどですが、「リースバックプラス+」は再購入にも配慮されています。
まず、早期に買い戻しを計画している方向け「定期プラン」の「買戻優遇タイプ」は、定期借家契約の期間を2年~5年と限定することで買戻価格が売却価格と同額(諸経費が別途かかります)となります。「賃料優遇タイプ」では、最大1年間の賃料が0円(以降は定期期間に合わせた賃料設定)になります。一般的なリースバックプランと比較して賃料負担が低い点が特徴です。
また、非常時の通報や防犯、火災監視サービスといった日常生活をサポートするサービスも充実しています。
このように通常のリースバックの課題となっている買い戻しの難しさと老後の不安を同時に解消できるリースバックプランもあります。
金利やリスクを考慮して老後の資金を確保しよう
人生100年時代と言われる昨今、老後資金は重大な関心事となっています。
中でも自宅を担保にした融資制度であるリバースモーゲージは、不動産を所有する高齢者世帯から注目を集めていますが、金利リスクがあります。そのため、住宅ローンや担保評価を調査・把握し、金利をしっかり計算した上で慎重に検討することをおすすめします。
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