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リバースモーゲージとは?
リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借りることができる融資制度のことです。生活資金の調達や住宅ローンの借り換えができ、老後の生活費に対する不安を軽減できるため、シニア世代向けの商品として注目されています。
リバースモーゲージに類似したサービスである「リースバック」との違いを確認し、資金調達に関する正しい知識を身につけましょう。
リバースモーゲージの仕組み
リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら自宅を担保としてお金を借りることができ、契約期間中は毎月利息のみを支払います。そして、契約者(借り入れた方)が亡くなったときに、相続人が担保である自宅を売却して借入元金を返済する仕組みです。リバースは「逆」、モーゲージは「不動産を担保としたローン(抵当権)」を意味し、通常の住宅ローンとは逆に借入残高が増えていきます。
リバースモーゲージの種類
リバースモーゲージには、公的機関が取り扱うものと民間の金融機関が取り扱うものの2種類が存在します。同じリバースモーゲージという制度ですが、金利や借入金の使途などが異なります。
公的機関が取り扱うリバースモーゲージは、主に低所得者や生活困窮者向けで、各自治体が提供しています。融資額の上限や金利が比較的低く、一般的に年利は1.2%程度です。また、マンションなどの集合住宅は対象外、自宅に契約者や配偶者が居住しなければならないなど、審査条件が厳しい点が特徴です。
民間の金融機関が取り扱うリバースモーゲージは、一般の金融機関が独自で提供しています。金利は金融機関によって異なりますが、年利2〜3%前後が一般的です。借入金の使途は、事業資金や投資商品の購入資金に充てることはできませんが基本的に自由です。
マンションが対象となるリバースモーゲージを提供しているのは、民間の金融機関が取り扱うリバースモーゲージです。
リースバックとの違い
リースバックとは、自宅を売却して資金を調達し、不動産売却後も不動産会社と賃貸借契約を締結して家賃を支払いながら同じ家に住み続けるというサービスです。
リバースモーゲージとリースバックの違いは、形態や家の所有権、お金の受け取り方などにあります。
リバースモーゲージ | リースバック | |
---|---|---|
形態 | 自宅を担保とした融資 | 自宅売却と賃貸借契約による不動産取引 |
家の所有権 | 契約中は個人 (死亡後or契約満了時に家を売却する) | 売却後は所有権を失う (将来的に買い戻すことも可能) |
お金の受け取り方 | 原則的に分割 | 一括 |
支払い/返済 | 存命中は利息のみを払う (死亡後or契約満了時に家を売却する) | 毎月家賃を払う |
年齢制限 | あり(55歳以上の金融機関が多い) | なし |
借入金の使途 | 制限される | 自由 |
マンションがリバースモーゲージの対象になりにくい理由

民間の金融機関が取り扱うリバースモーゲージでも、マンションは積極的に扱っていません。マンションがリバースモーゲージの対象外となるケースが多いのはどうしてでしょうか?その理由は、土地の担保価値にあります。
マンションがリバースモーゲージの対象になりにくい理由を詳しくみていきましょう。
建物と土地が区分所有
区分所有とは、マンションのように建物の一部を所有すると同時に、土地の共有部分も分割して所有している所有形態のことです。リバースモーゲージでは、建物と土地を一体として担保にすることが多いため、土地の所有権が複数の方に分散している区分所有だと、担保としての価値が低くなります。そのため、建物の価値が低くなっても更地にすれば土地を売却できる一戸建てに比べて、マンションはリバースモーゲージの対象となりにくいのです。
評価額が低い
リバースモーゲージで担保として評価されるのは、基本的に土地の評価額がメインです。前述したようにマンションは区分所有であるため、土地の持分が少なく、土地分だけを売却することもできません。
また、築年数が20年以上の古いマンションは、資産価値が低く見られがちです。資産価値が基準より低いとみなされると、リバースモーゲージの対象ではないと判断される可能性が高くなります。
これらのことから、マンションはリバースモーゲージの対象外になるケースが多いのです。
リバースモーゲージの対象となるマンションの条件
マンションは区分所有であることからリバースモーゲージの対象になりにくいですが、マンションを対象とするリバースモーゲージも存在します。ここでは、どのようなマンションが対象になりやすいかを解説します。
立地が良い
立地が良いマンションは、リバースモーゲージの対象となりやすいです。
大都市圏や人口が多い都市など人が集まりやすいエリアにある物件や駅近の物件など、生活しやすい立地にあるマンションは売却しやすく価値が高い物件であるといえます。その他にも、治安の良いところや地震の影響が少ないところにある物件は、価値が落ちにくいと判断されやすいでしょう。
築年数が浅い
築年数が浅いからといって必ず対象というわけではありませんが、マンションの築年数が古いと資産価値が低いとみなされます。そのため、築浅なほどリバースモーゲージの対象となる可能性が高くなります。一般的には20年以内が基準とされており、状態や条件が悪いマンションでは利用できない可能性もあります。
評価額が高い
金額の基準は利用する金融機関によって異なりますが、マンションの評価額を基準にして融資できるかどうかを判断していることが多いです。そのため、もとから評価額が高いマンションはリバースモーゲージの対象となる可能性が高いでしょう。
リバースモーゲージのリスクやデメリット

リバースモーゲージは、メリットが多く資金を調達する方法として便利な仕組みです。しかし、リスクが多い点がデメリットといえます。
ここでは、リバースモーゲージのリスクやデメリットを解説します。
リバースモーゲージの罠とは?やばいと言われる理由やデメリットの回避方法を解説 >
長生きするリスク
リバースモーゲージを利用していると、長生きすればするほど利息の負担が大きくなり将来の返済額が増えてしまうリスクや、融資限度額に達してしまうリスクがあります。金融機関によっては最終返済期限が設けられており、その場合は契約者ご本人が存命でも自宅を売却して一括返済しなければなりません。売却代金で借入金額を返済できなかった場合は、借金が残ってしまうので注意が必要です。
金利上昇のリスク
リバースモーゲージでは変動金利型が適用されているケースが多いため、金利が上昇すれば毎月または将来の返済額が増える可能性があるのです。金利の変動がリスクになることを念頭に入れ、余裕を持った資金計画を立てておくと良いでしょう。
担保価値が下落するリスク
リバースモーゲージは自宅を担保としており、金融機関では定期的に不動産の担保評価を見直しています。オリンピックの開催や世界的な感染症の流行などによって評価額が変動した場合は、融資限度額も見直さざるをえなくなります。また、購入当初は不動産の価値が下がりにくいと思っていても、災害などで担保価値が下がり、融資額よりも担保価値が低くなる可能性もあるのです。
法定相続人に負担がかかるリスク
リバースモーゲージを利用する際は、一般的に法定相続人全員の同意が必要となります。契約者が亡くなったあと、故人の自宅の売却や残債の整理をおこなうのが法定相続人です。また、借入金を返済するときに自宅を売却しても借入額に満たない場合は借金が残り、法定相続人に返済義務が生じます。このように、ご家族といった法定相続人に負担がかかる点はリバースモーゲージのリスクといえるでしょう。
リバースモーゲージが利用できないときはリースバックがおすすめ!
リバースモーゲージは、自宅を担保に融資を受けることができ、老後資金を調達する方法のひとつとして注目されています。ただし、マンションは土地の担保価値の点から対象外となるケースが多く、現在リバースモーゲージでマンションを扱っているのは一部の金融機関に限られています。
リバースモーゲージが利用できないときにおすすめなのが「リースバック」です。
リースバックとは、自宅を売却してお金を受け取り、家賃を払うことで自宅に住み続けることができる仕組みです。お金を一括で受け取ることができるため、まとまった資金を準備したい方に適しています。また、リバースモーゲージとは異なり、借金を負う心配もなく、資金の使い道に制限もありません。
リバースモーゲージとリースバック、どちらを活用するかはそれぞれのメリットとデメリットを慎重に考慮して判断することが大切です。
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