退職金は運用して増やそう!おすすめの運用方法と注意点を解説

「退職金は運用すべきなのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

退職金の運用によって保有する資産が増えて、老後資金を多く確保することができれば、ゆとりのある老後生活を送りやすくなるでしょう。しかし、運用に失敗して損失が発生してしまうと、老後生活が苦しくなってしまいかねません。

また、事前に退職金を運用しても問題ないかどうかを慎重に判断することも重要です。
本記事では、退職金を運用してもよいか判断する際の基準や資産運用の重要性、失敗を防ぐポイントなどを分かりやすく解説します。

 

 

退職金は運用しても大丈夫かの判断基準

退職金を運用することが大切であるとはいえ、無計画に始めるのではおすすめできません。まずは、以下の基準をもとに、退職金を運用してもよいかどうかを考えてみましょう。

  • 余剰資金であるか
  • 自分自身のリスク許容度を理解しているか
  • 老後資金に不安があるか

 

1つずつ解説します。

 

余剰資金であるか

退職金のうち資産運用に回してもよいと考えられるのは、余剰資金の部分です。余剰資金とは、すべての金額から「生活に必要なお金」と「将来的に使う予定があるお金」を除いた残りです。

費用の例
生活に備えるためのお金・生活費(食費・家賃・通信費など)

・医療費

・介護費用

将来的に使う予定のあるお金・住居の修繕・リフォーム費用

・自動車の購入・買い換え費用

・子ども・孫に援助するための資金

・老人ホームの入居費用

 

生活をしていくために必要なお金まで運用に回してしまうと、損失が発生したときに生活が苦しくなってしまいかねません。また、住宅のリフォーム資金や自動車の買い換え資金など予定があるお金にまで運用に回すと、支払いをするときに資金不足となる恐れがあります。
日常生活や直近のライフイベントに支障が出ないようにするためにも、退職金のうち余剰資金の部分のみを運用に回すのが賢明といえるでしょう。

 

逆をいえば、これまで貯めてきた預貯金で、生活に備えるための将来に必要なお金をまかなえるのであれば、退職金のすべてを運用に回してもよいと考えられます。
生活に備えるためのお金は、収入がなくても半年から1年は生活ができる金額が目安です。将来的に使う予定がある金額は、今後発生しうるライフイベントと、そのときの必要額をもとに考えるとよいでしょう。

 

自分のリスク許容度を理解している

資産運用にはリスクがつきものです。また、高いリターンが期待できる投資は、基本的にリスクも大きくなります。
退職金を運用するときは、自分自身の「リスク許容度」を理解することが重要です。
リスク許容度とは、どれくらいまでの損失なら受け入れられるのかを表す度合いのことです。

 

高い利益を得ようとして、自分自身のリスク許容度を超えた投資をしてしまうと、損失が発生したときに大きな不安を感じてしまうかもしれません。不安を抱えながらの生活が続くことが、運用の継続が難しくなり貴重な退職金を減らす結果になる恐れもあります。

反対に、自分自身のリスク許容度をよく理解していれば、退職金の無理なく運用を続けられる投資先を選ぶことができるでしょう。

 

老後資金に不安がある

セカンドライフにおける毎月の収支をシミュレーションした結果「このままでは、老後資金が足りるか不安だ」と感じたのであれば、運用を検討してもよいでしょう。

老後生活におけるお金のことを真剣に考えている方は、退職金の運用方法も慎重に検討することができるといえるためです。
一方で、漠然とお金を増やしたいと考えているのであれば、退職金の運用を避けた方がよいかもしれません。

 

 

退職金を運用することの重要性

続いて、退職金を運用することがなぜ重要であるのかを解説します。主な理由は、以下の通りです。

  • 老後生活は20年以上続き、資金予測が難しい
  • インフレによる価値の目減りを防ぐことができる
  • 運用で資金が増えれば老後生活が豊かになる

 

1つずつ解説します。

 

老後生活は長期にわたり、資金予測が難しい

日本では平均寿命が年々伸び続けています。厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命を1955年と2022年で比較すると、結果は以下の通りです。

男性の平均寿命女性の平均寿命
1955年63.60歳67.75歳
2022年81.05歳87.09歳

※参考:厚生労働省「令和4年簡易生命表」「平均寿命の推移

 

日本人の平均寿命は、1955年から2022年までの67年間で、男性は17.45歳、女性は19.34歳も伸びました。老後生活が65歳で始まる場合、平均寿命まで生きるとするなら、男性は約16年、女性は約22年も続くことになります。

また、老後生活の貴重な資金源となる退職金は、支給額が減少傾向にあります。厚生労働省の調査によると、大学大学院卒の管理・事務・技術職の退職金の支給額は、以下の通りです。

支給額の平均
平成20年2,280万円
平成25年1,941万円
平成30年1,788万円

※出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」「平成25年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要

 

これらの調査結果から、今後は老後生活が長くなる可能性がある一方で、老後生活における貴重な資金源である退職金の支給額は、減少していくと予測されます。

老後生活が何年続くのかを、正確に予測することは困難です。実際に必要となる老後資金がいくらかも判断しにくいため、十分な資産があると考えていても、老後生活の途中で資金が足りなくなる可能性があります。

 

2023年9月現在の日本では、歴史的な低金利となっており、預貯金口座に退職金を預けていても、あまり利息は付きません。老後生活で資金の枯渇を防ぐためにも、受け取った退職金を運用することが重要と考えられます。

 

インフレによる価値の目減りを防ぐことができる

退職金を預貯金口座に入れたままにしておくのは、かえってリスクがあるといえます。インフレによって物価が上昇したとき、口座に入れている退職金の価値が目減りする恐れがあるためです。

インフレが発生して物価が上昇すると、相対的にお金の価値は下がります。

 

例えば、1個200円のりんごが10年後に1個400円に値上げされたとしましょう。この場合、りんごの価値は200円から400円へと2倍になっていますが、200円の価値はリンゴ1個分からリンゴ半個分に下がっています。

退職金を預貯金口座に預けていたとしても、10年後や20年後には、むしろ価値が目減りしているかもしれません。
退職金の一部またはすべてを運用して増やすことができれば、インフレによる価値の目減りを防ぐことができます。

 

運用で資金が増えれば老後生活が豊かになる

生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人が老後生活を送る上で最低限必要であると考えられる生活費の平均額は、23.2万円となっています。

一方で、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、日常生活費以外に必要と考えられる金額は、平均14.8万円という結果でした。

これらの点から、ゆとりのある老後生活を送るためには、毎月38万円が必要ということになります。

※出典:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査

 

老後生活では、主な収入源が給与から年金になって、毎月の収入は低下するのが一般的です。ゆとりのある老後生活を送るためには、生活費をまかなえるだけの十分な蓄えが必要といえます。

退職金を運用し老後の資金を増やすことができれば、金銭的に余裕のある老後生活を送りやすくなるでしょう。「趣味やレジャーを充実させる」「子どもや孫に資金を援助する」「希望する高齢者向け施設入居する」などの希望が叶いやすくなります。

 

 

退職金のおすすめの運用方法

退職金を運用するときは、以下の中から運用方法を選ぶとよいでしょう。

  • 個人向け国債
  • 退職金向け定期預金
  • 投資信託
  • 不動産投資
  • 株式投資

 

1つずつ解説します。

 

個人向け国債

国や企業などが、投資家からお金を借りるときに発行される有価証券のことを債券といいます。個人向け国債とは、国が発行する債券のことです。1万円以上、1万円単位で購入できます。

個人向け国債に投資をした人は、満期日を迎えるまで年2回の利子を受け取ることが可能です。また、満期日(償還日)を迎えると、投資元本の全額が変換されます。

発行体である国が破綻しない限り、利子の支払いと満期日の元本の返済が約束されるため、個人向け国債はリスクが低い金融商品です。
退職金を堅実に運用していきたいのであれば、投資先に個人向け国債を組み入れるとよいでしょう。

 

退職金向け定期預金

退職金向け定期預金とは、退職金の運用を主な目的とした定期預金のことです。通常の定期預金と同じように、預け入れる期間を事前に設定し、その間は原則としてお金を引き出すことはできません。

一方で、退職金向け定期預金の金利は、通常の定期預金よりも高く設定されていることがあり、より多くの利息収入が期待できます。

また、預金保険制度の対象でもあるため、金融機関の経営が破綻したとしても、1,000万円までの元本と、破綻する日までの利息を失う心配はありません。
退職金をより安全に運用したい人や、あまりリスクを取りたくない人は、退職金向け定期預金を選ぶとよいでしょう。

 

投資信託

投資信託とは、多くの人から集めた資金を1つにまとめ、運用プロが株式や債券などに投資する仕組みの金融商品のことです。

投資信託のメリットとしては、分散投資が容易なことが挙げられます。分散投資は、複数の投資対象に分けて投資をする手法です。投資対象を分散させることで、投資のリスクを軽減する効果が期待できます。

株式や債券などの個別銘柄に分散して投資するためには、まとまった資金が必要です。その点、投資信託であれば1,000円や1万円といった少ない金額で分散投資ができます。運用先の選定は、運用のプロが担当するため、投資の初心者でも始めやすいでしょう。

 

また、投資信託は、NISAの対象商品が豊富です。NISAとは、毎年一定金額までの新規投資で得た利益が非課税になる制度です。
投資信託の運用で得た分配金や配当金には、約20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で取引していたのであれば税金はかかりません。

 

不動産投資

不動産投資とは、マンションやアパート、戸建住宅などの物件を購入しておこなう投資方法のことです。投資した不動産を貸し出すことで、定期的に家賃収入を得られるだけでなく、物件価格が上昇したときに売却すると、多額の売却益を得ることも可能です。

特に、新築の戸建住宅は安定した家賃収入を得やすいといわれています。賃貸の戸建住宅は、ファミリー世帯を中心に需要があるにもかかわらず、供給数は少ない傾向にあります。日本は新築住宅の人気が高いこともあり、新築の戸建住宅は入居者が決まりやすいのです。

 

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれています。これは、人々の生活にとって不動産は欠かせない存在であり、株式や投資信託などの金融商品と比較して、短期間で価格が大幅に下がりにくいといわれているためです。

また、インフレが発生したときは賃料や物件価格の上昇が期待できるため、不動産投資はインフレ対策としても有効といえます。

 

株式投資

株式投資とは、企業が資金調達をするために発行する有価証券である株式に投資をする方法のことです。株式に投資をすると、企業の利益の一部を配当金として還元してもらえることがあります。

また、企業によっては自社製品や優待券などを株主優待として株主にプレゼントしている場合もあります。

株式投資であれば、配当金という収入源を増やすことが可能です。日用品や食料品、飲食店の割引券などを優待してくれる企業に投資をすれば、毎月の支出を減らして老後の家計を楽にすることもできるでしょう。

 

一方で、株式投資はハイリスク・ハイリターンの投資といわれています。高いリターンが期待できる一方で、投資先の企業の業績悪化や不祥事の発覚などで株価が大幅に下がると、元本割れが生じてしまいかねません。
堅実な運用が求められる退職金の資産運用では、株式の保有割合を多くしすぎないようにすることをおすすめします。

 

 

退職金を運用する上での注意点

退職金を運用する上で注意すべき点は次の通りです。

  • 自分自身のリスク許容度にあって運用方法を選ぶ
  • 分散投資を心がける
  • 長期投資をおこなう
  • 退職金には税金がかかることがある

 

注意点を1つずつ解説していきます。

 

自分のリスク許容度に合った運用方法を選ぶ

リスク許容度は、年齢や保有資産、家族構成、運用期間、自分自身の性格などさまざまな要素で異なります。
退職金の運用を始める際は、まず自分自身がどれくらいのリスクを許容できるのかを入念に検討することが大切です。

例えば、退職金以外で保有している資産が多い人や損失が発生してもあまり気にならない性格である人は、比較的リスク許容度が高いと考えられます。

 

退職金の運用におけるリスク許容度を考えるときに押さえておきたいのが、あまり高いリスクを取らない方がよいということです。
退職金は、老後生活における貴重な資金源です。リスクが高い方法で退職金を運用して、大きな損失が発生してしまうと、取り返すのは困難でしょう。

退職金の運用を始めるときは、資産が減っていくスピードを抑えるための守りの姿勢が重要といえます。

 

分散投資を心がける

退職金を資産運用するとき、1つの投資対象に集中投資するのはおすすめできません。投資先の価格が大幅に下落したとき、元本割れが発生する可能性があるためです。

そこで退職金を運用する際に心がけたいのが「分散投資」です。

 

例えば、退職金の1,000万円を株式に投資していたとしましょう。投資先の株式の価格が500万円に下がると、500万円の元本割れが発生してしまいます。

一方、株式500万円、債券500万円に分けて投資をすると、株価が250万円に下がったとしても債券価格が600万円に上昇していれば、運用資産の合計は850万円となり150万円の元本割れで済みます。
退職金の運用では、リスクの軽減効果を得るために、値動きが異なる投資対象に資金を分散して投資することが大切です。

 

長期投資をおこなう

資産運用で安定的に利益を得ていくためには、長期投資を意識することも重要です。長期投資とは、短期間で売買を繰り返すのではなく、長期にわたって金融商品を持ち続ける投資のことです。

長期投資であれば、複利効果が働きやすくなるといわれています。複利効果は、運用で得られた利益を元本に加えて、新たな元本としたときに得られる効果です。複利効果が働くと、利益がさらなる利益を生み、資産が膨れあがっていきやすくなります。

 

短期投資では、運用期間が短いため複利効果の恩恵を受けられません。短期投資で利益を得るためには、投資先が値上がりしたタイミングを見極めて取引をする必要があり、知識や分析力、経験が求められます。

長期投資では、投資の専門知識や分析力なども短期投資ほどは求められません。投資の経験があまりない人ほど、長期投資でじっくりと資産を育てていくことをおすすめします。

 

退職金には税金がかかることがある

退職金には、所得税や住民税がかかることがあります。課税の対象になるのは、退職金の支給額から退職所得控除額を差し引いた残りの2分の1です。退職所得控除の計算式は、以下の通りです。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
20年超800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

※出典:国税庁「退職金と税

 

勤続年数に1年未満の端数があるときは、1年として計算します。また、退職所得控除額は80万円を下回ることはありません。

例えば、退職金の支給額が2,500万円、勤続年数が38年であったとしましょう。退職所得控除と課税の対象となる所得金額は、それぞれ以下の通りです。

■ 退職所得控除額

=800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
=800万円+70万円×(38年ー20年)
=2,060万円

 

■課税の対象となる退職所得金額

=(退職金の支給額−退職所得控除)×1/2
=(2,500−2,060)×1/2
=220万円

 

退職金の支給額は2,500万円ですが、そのうちの220万円に税金がかかります。そのため、実際の手取り額は2,500万円よりも少なくなります。
退職金の運用計画を立てるときは、最寄りの税務署や懇意にしている税理士などに相談をし、手取り額がいくらになるのかを把握しておくとよいでしょう。

 

 

不動産投資なら相続税の負担も減らせる

相続対策を考えているのであれば、退職金を使って不動産投資をするのも1つの方法です。現金で相続するよりも不動産に変えて相続をした方が、相続税の負担を軽減できる可能性があるためです。

 

不動産の相続税評価額は時価よりも低い傾向にある

相続税を計算するときは、遺産ごとに相続税評価額を求めます。預貯金や金融商品などの相続税評価額は、時価と同じです。一方で不動産の場合、土地は路線価※、建物は固定資産税評価額という時価とは異なるもので相続税評価額を求めます。
※ 路線価が設定されていないエリアでは、固定資産税評価額に所定の倍率をかけて相続税評価額を求める
そのため、不動産の相続税評価額は、土地部分が時価の8割ほど、建物部分が時価の7割ほどとなります。

 

例えば、1億円の試算で土地が6,000万円、建物が4,000万円の不動産を購入したとしましょう。相続税評価額は、土地部分が4,800万円、建物部分が2,800万円となります。

土地と建物の相続税評価額の合計は、7,600万円です。1億円をそのまま相続すると1億円のすべてが相続税評価額となりますが、不動産という形で相続すると評価額を7,600万円まで圧縮できるため、相続税の節税効果が期待できます。

 

不動産を他人に貸し付けていると評価額をさらに減らせる

土地の上に賃貸アパートや賃貸戸建住宅など、人に貸すための建物が建っている場合は、貸家建付地として土地部分の相続税評価額がさらに減額されます。
さらには、所定の要件を満たして土地が貸付事業用宅地と認められると「小規模宅地等の特例」によって、土地部分の評価額のさらなる減額が可能です。

 

ただし、不動産は相続税の節税効果が期待できる一方で、現金と比較して分割しにくいという特徴があります。無計画に資産を不動産に変えると、残された家族が遺産の分け方で揉めてしまいかねません。

そのため、相続対策を目的に不動産投資を始めるのであれば、不動産会社や相続税専門の税理士などの専門家にも相談のうえ、慎重に判断することが大切です。

 

 

まとめ

日本では、平均寿命が年々伸びており、長きにわたる老後生活が想定される一方で、退職金の支給額は減少傾向にあります。また、預貯金口座に退職金を預けたままにしていると、インフレによって物価が上昇したときに、資産価値が減少してしまいかねません。

金銭的にゆとりのある老後生活を送るためには、自分自身のリスク許容度をもとに運用方法を選び、分散投資や長期投資を意識した堅実な運用をするとよいでしょう。

 

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