フルローンとは?少ない自己資金で不動産投資を始めるメリット・デメリット

賃貸マンションや賃貸アパートなどを購入するとき、フルローンを組むケースがあります。フルローンであれば、物件の購入価格をすべて融資で賄えるため、頭金がなくても物件に投資が可能です。

ただし、フルローンを組むデメリットを理解したうえで借り入れなければ、かえって不動産投資に失敗してしまいかねません。また、フルローンを申し込んでも金融機関が引き受けてくれないケースが多々あります。

そこで今回は、フルローンのメリットやデメリット、融資審査に通過しやすくするためのポイントなどを分かりやすく解説します。

 

 

フルローンとは?

フルローンとは、物件購入価格のすべてを金融機関からの融資で賄うことです。フルローンを借り入れることができれば、頭金を入れることなく投資する不動産を取得できます。

まずは、フルローンを組む目的やオーバーローンとの違いをみていきましょう。

 

フルローンの目的

フルローンを組む主な目的は、頭金を入れることなく投資物件を購入することです。通常ローンを組む際は、頭金を入れることで返済能力を信用してもらいます。頭金は物件金額の10〜20%ほどのことが多いため、
アパートやマンションなどの投資用不動産を購入する際は、頭金も高額になります。

例えば、検討している投資物件の価格が5,000万円であるとしましょう。3割の頭金を入れる場合、1,500万円の現金が必要です。
手元に十分な現金がなければ、頭金を入れてローンを組み、数千万〜数億円の投資用物件を購入するのは困難でしょう。その点、フルローンを組むことができれば、5,000万円のすべてを金融機関の融資で賄えるため、頭金を入れずとも物件を取得できます。

 

フルローンとオーバーローンの違い

フルローンは、物件価格のすべてを借り入れることであるのに対し、オーバーローンは物件価格を超える金額を借りることを指します。
投資用の不動産を購入するときは、取得費の他にも、登記費用や不動産会社の仲介手数料、融資を受ける金融機関への事務手数料などの諸費用を支払わなければなりません。

フルローンの場合、購入価格のすべては融資で賄うものの、諸費用については自己資金で支払うことになります。それに対してオーバーローンは、物件の購入価格だけでなく購入時の諸費用分も借り入れることができます。

そのため、オーバーローンであれば自己資金がまったくなくても投資物件を取得できますが、借入額はフルローンよりも高くなるでしょう。不動産投資の自己資金に関しては、こちらの記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:不動産投資の自己資金を徹底解説!金額別の投資物件や注意点・コツとは【リンク】

 

 

フルローンで不動産投資を始めるメリット

フルローンで不動産投資を始める主なメリットは、以下の通りです。

  • レバレッジ効果を高めることができる
  • 手持ちの資金を活用しやすくなる
  • 早く不動産投資を始めることができる

 

詳しくみていきましょう。

 

レバレッジ効果を高めることができる

レバレッジ効果とは、ローンなどを利用して投資効率を高めることをいいます。融資金額が多ければ多いほど、レバレッジ効果が働き、少ない自己資金で高い収益を得やすくなります。

例えば、手持ち資金の500万円のみで、期待利回りが7%の物件を購入した場合、年間で得られる収益は「500万円×7%=35万円」です。
一方で、500万円を頭金とし、3,500万円の融資を合わせて4,000万円の物件に投資をすると、期待利回りが同じ7%でも得られる収益は「4,000万円×7%=280万円」となります。

※上記は購入時の諸費用などを考慮していません。

 

フルローンで4,000万円の物件を購入した場合、頭金を支払う必要もありません。自己資金は諸費用の支払いに充てるのみで済むため、フルローンを組んで物件を取得することでレバレッジ効果を最大限に高めることが可能です。

不動産投資のレバレッジ効果に関しては、こちらの記事でも解説しているので参考にしてみてください。

>> 関連記事:不動産投資のレバレッジ効果とは?融資の金利や利回りのバランスが重要【リンク】

 

手持ちの資金を活用しやすくなる

フルローンを組むと、自己資金を多く残すことが可能です。
4,000万円の物件に投資をするケースで考えてみましょう。自己資金1,000万円と3,000万円の融資で物件を購入する場合、手持ち資金が1,000万円減ってしまいます。

一方で、4,000万円のすべてを融資で賄うと、1,000万円の現金を手元に残すことが可能です。手元に資金を残していれば、修繕費や管理費、固定資産税、火災保険料などのコストを支払いやすくなるでしょう。

また、まとまった資金が残っていれば、物件をリフォームして新たな価値を付加することもできます。資金を手元に残したいのであれば、あえて頭金を入れずにフルローンを組むのも選択肢の1つです。

 

早く不動産投資を始めることができる

頭金を準備して不動産投資を始める場合、準備する金額が高ければ高いほど貯まるまでに時間がかかるでしょう。頭金を準備しているあいだに、投資をしたい物件が他の投資家に買われてしまうかもしれません。また、物件価格が高くなり当初計画していた資金で希望する物件を購入できなくなる可能性もあります。

その点、フルローンであれば頭金を準備しなくても物件を購入できます。頭金を準備するときよりも早く不動産投資を始めることができるため、欲しい物件をスピーディに取得でき、資金計画に狂いも生じにくいでしょう。

 

 

フルローンで不動産投資を始めるデメリット

フルローンで不動産投資を始めるデメリットは、以下の通りです。

  • 毎月の返済額が高くなる
  • 金利上昇のリスクが大きい
  • 金融機関の融資審査が厳しくなる

 

1つずつ解説していきます。

 

毎月の返済額が高くなる

フルローンを組むと不動産投資ローンの借入額が高くなり、毎月の返済負担が増えます。

例えば、5,000万円の物件に投資をするとしましょう。借入金利は3%、借入金の返済期間は35年、返済方法は元利均等方式(毎月の返済額を一定にする返済方法)とします。
5,000万円のすべてをフルローンで賄った場合と、1,000万円の自己資金を用意して4,000万円を借り入れた場合で、毎月の返済総額は以下の通り異なります。

 

借入額5,000万円借入額4,000万円
毎月の返済額192,425円153,940円
年間返済額約231万円約185万円
総返済額約8,082万円約6,465万円
 うち利息額約3,082万円約2,465万円

 

借入金利や返済期間が同じでも、借入金額が4,000万円の場合、毎月の返済額は153,940円ですが、5,000万円になると192,425円となり、38,485円高くなる結果となりました。
また、年間返済額は約46万円、総返済額は約1,617万円も高くなっています。

フルローンを組むと、自己資金を用意したときよりも返済負担は重くなり、収益を圧迫してキャッシュフローが悪化しやすくなってしまうでしょう。
不動産投資におけるキャッシュフローに関しては、IRR(内部収益率)が非常に重要です。こちらの記事も参考にしてみてください。

>> 関連記事:IRRとは?内部収益率の考え方やNPVとの違いを学び不動産投資に活かそう【リンク】

 

金利上昇のリスクが大きい

変動金利型の不動産投資ローンを借り入れる場合、フルローンを組んで借入額が増えると途中で金利が上昇したときに返済負担が増えやすくなるでしょう。

例えば、6,000万円の物件を購入するために、以下の条件で借り入れをするとします。

  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等方式
  • 金利:2%→返済6年目から5%に上昇

 

以上の条件において、1,000万円の頭金を準備し借入額が5,000万円であるときと、6,000万円のフルローンを組むときで、返済負担がどのように変わるのでしょうか。試算結果は、以下の通りです。

借入額5,000万円借入額6,000万円
毎月の返済額5年目まで:165,631円

6年目以降:238,157円

5年目まで:198,757円

6年目以降:285,789円

年間返済額5年目まで:約199万円

6年目以降:約286万円

5年目まで:約239万円

6年目以降:約343万円

返済総額約9,480万円約1億1,377万円
 うち利息額約4,480万円約5,377万円

 

借入額が5,000万円であるとき、毎月の返済額は約7.2万円、年間返済額は約87万円増えます。それに対して、6,000万円のフルローンを組んだ場合、毎月の返済額は約8.7万円、年間返済額は約104万円も増加しています。

このように、フルローンを組むと返済途中で金利が上昇したときに、毎月の返済額や年間返済額が増加して、収益を圧迫しやすくなるでしょう。借入額を多くして変動金利型の不動産投資ローンを組む場合は、途中で金利上昇が起きたとしても収益に問題がないかどうかを検討することが大切です。

 

金融機関の融資審査が厳しくなる

不動産投資ローンを借り入れるためには、金融機関の審査に通過しなければなりません。

借入額が増えれば増えるほど、返済が滞ったときに金融機関が負う損失も増えます。そのため、頭金を入れて不動産投資ローンを組むときよりも、フルローンを組む方が金融機関の審査はより厳しいものになるでしょう。

不動産投資における融資に関しては、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

>> 関連記事:不動産投資で融資を受けるには?審査基準や注意点を学び投資を始めよう【リンク】

 

 

フルローンは組めない?

2023年8月現在は、金融機関の融資審査が厳しい傾向にあります。これは、2018〜2019年ごろに発覚した金融機関の不正融資問題が主な原因です。

そのため、ひと昔前と比較して、フルローンやオーバーローンを組むのは困難になりました。たとえフルローンやオーバーローンを申し込んだとしても、頭金を求められたり、融資額を減らされたりする可能性があります。

特に、初めて不動産投資ローンを組んで物件を取得する方は、ある程度のまとまった頭金を準備するのが望ましいです。

 

 

フルローンを組むためのポイント

金融機関の審査が厳しくなってきているとはいえ、フルローンを組めなくなったわけではありません。以下のポイントを押さえることで、フルローンを組める可能性は高まります。

  • 融資審査が通りやすい人の特徴を理解する
  • 資産価値の高い物件を選ぶ
  • 共同担保を活用する

 

1つずつ解説していきます

 

融資審査が通りやすい人の特徴を利用する

金融機関の融資審査では、借り入れる本人に関する項目が入念にチェックされます。具体的には「年収・保有資産」「勤続年数」「信用情報」です。

信用情報は、クレジットカードやローンなどの申込状況や利用状況などに関する情報のことであり、信用情報機関に一定期間登録されています。
金融機関が確認する項目をもとに考えると、以下に該当する人は審査に通りやすいです。

  • 安定した年収がある・年収が高い
  • 勤続年数が長い
  • 大企業の正社員である
  • 他の借り入れが少ない
  • 現金で保有する資産が少ない
  • クレジットカードの支払いや借入金の返済を滞納していない

 

以上に該当している項目が多いほど、フルローンを申し込んでも金融機関の審査に通過しやすくなるでしょう。

 

収益力と資産価値の高い物件を選ぶ

融資審査では「物件に関する項目」も審査対象となります。物件に関する項目は「取得する物件の収益力」と「物件の資産価値」です。

物件の収益力が審査されるのは、家賃収入が不動産投資ローンの主な返済原資となるためです。返済が滞ったときに金融機関は、担保物件を差し押さえて売却して融資金を回収します。物件に十分な担保価値がないと、融資金を回収できないため、物件の資産価値も入念にチェックされます。

取得後も高い入居率を維持することができ、安定した家賃収入が見込める物件は、収益力と資産価値のどちらも高い傾向にあるため、融資審査に有利といえます。

「最寄り駅から近い」「周辺にスーパーや商業施設が充実している」「人口の増加が見込めるエリアにある」などに該当する物件は、安定した収益と高い資産価値が期待できます。フルローンを組むときは、立地や今後の人口増加などをもとに、収益力と資産価値の高い物件を探すことが大切です。

 

共同担保を活用する

共同担保とは、金融機関から融資を受けるときに、複数の不動産に対して担保(担保権)を設定することです。

融資を受ける場合、取得する不動産には基本的に担保が設定されます。取得予定の不動産の担保価値が不足しているときは、すでに所有している他の不動産を共同担保にすることで、希望する金額の融資を受けやすくなります。

取得予定の不動産を担保に入れるだけではフルローンを組むのが難しい場合、 すでに所有している不動産に共同担保を設定するのも1つの方法です。ローン残債が半分未満である不動産や、ローンを完済している不動産を共同担保に設定することができれば、フルローンを組める可能性は高まるでしょう。

 

 

投資初心者には戸建投資がおすすめ

これから不動産投資をしてみたいと考えている方は、新築の戸建物件に投資するのも1つの方法です。

戸建住宅の多くには庭があり、ペットの飼育も基本的には制限されないため、ファミリー世帯を中心に人気があります。ファミリー世帯は、単身世帯と比較して入居期間が長い傾向にあります。また、日本では中古住宅よりも新築住宅の方がはるかに人気があるため、賃貸需要が見込めるエリアの新築戸建に投資できれば、安定した家賃収入を得られるでしょう。

新築戸建であれば、中古戸建と比較して担保としての価値も高いため、金融機関からの融資も承認されやすいです。新築戸建に投資をするからといって、フルローンを組めるわけではありませんが、経験が浅いうちは優良な物件に投資をすることを優先した方がよいでしょう。

とはいえ、投資の初心者が安定した収益が期待できる新築戸建を探すのは簡単ではありません。そこで検討いただきたいのが、一建設株式会社の「マイホームネクスト」です。

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まとめ

フルローンを組むことができれば、頭金を準備しなくても投資物件を購入できます。また、資金を手元に残せるだけでなく、よりスピーディに不動産投資を始めることも可能です。

一方で、フルローンを組むと毎月の返済額が高くなるため、キャッシュフローが悪化しやすくなります。金融機関の融資審査も厳しい傾向にあるため、必ずしもフルローンで組めるとは限りません。

不動産投資を始めるときは、不動産会社や金融機関とも相談のうえ、資金計画を立てて借入額を決めることが大切です。また、不動産投資に慣れていないうちは、ある程度の自己資金を準備して安定した収益が期待できる物件を選ぶことが重要となります。

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