マンションを購入する際、「将来売ることも視野に入れておきたい」と考える方は少なくありません。住み替えや転勤、ライフステージの変化に備えるうえで、資産価値が下がりにくい物件を選ぶことは重要な視点です。
とはいえ、どのマンションでも資産価値が維持されるわけではありません。この記事では、売ることを前提に選ぶべき物件の条件と、避けるべき特徴、購入時の注意点までを体系的に解説します。
マンションを売るつもりで買うメリット
マンションを売ることを前提に購入すると、出口を意識した選択ができるため、将来的な資産価値の下落リスクを抑えやすくなります。主なメリットは以下のとおりです。
- 値下がりしにくい物件を選びやすい
- 住み替えや売却の判断がしやすい
- 賃貸活用などの選択肢を確保できる
売却を前提に立地や管理状況、需要を重視して物件を選べば、万が一手放すことになった場合でも買い手が付きやすくなります。価格下落局面でも損失を抑えられる可能性が高まる点は大きなメリットです。
また、転勤やライフステージの変化があった場合も、売却や賃貸という選択肢を柔軟に取ることができます。
売るつもりで買うマンションを選ぶ際のポイント
将来の売却を前提にするなら、資産価値の高いマンションを選ぶことが重要です。ここでは、売るつもりで買うマンションを選ぶ際の7つのポイントを紹介します。
立地がよく、生活環境が整っている
駅チカや周囲にスーパーや病院、教育施設などが揃う好立地のマンションは、高値で売却しやすいです。生活環境が整った地域は需要が高く、資産価値の維持や売却活動において有利になります。
例えば、駅から徒歩10分以内、複数路線が利用可能、商業施設や教育施設などが徒歩圏内にあるマンションは、将来的にも高値で売却できる可能性が高まります。
土地・エリアの将来性が高い
再開発計画や人口増加が期待できる将来性の高いエリアは、長期にわたって需要が見込めます。都心近くや人気のベッドタウン、再開発エリアなどの土地は、資産価値が下がりにくく、売却時にも買い手が付きやすくなるでしょう。
信頼できる不動産会社や専門家に相談すれば、初心者でも最新の再開発に関する情報を収集できます。再開発計画の詳細や進捗状況を調査し、資産価値の維持・上昇が期待できるかを判断するのもポイントです。
階層が高い
階層が高いマンションも、売るつもりで買う際に注目すべきポイントの一つです。高層階は眺め・日照・通風が良い傾向があるほか、騒音や虫の侵入が少ないなどの理由から高い人気を誇ります。
利便性だけでなく、眺望や快適性といった生活の質もマンションの資産価値に影響を与えます。将来的な売却を前提とするなら、高い人気を誇るタワーマンションの高層階の一室を検討するのも良いでしょう。
需要の高い間取りや設備が備わっている
居住者層に合った間取りや設備が備わったマンションは、買い手の需要が高い傾向があります。売るつもりで購入する場合は、幅広い層に受け入れられやすい仕様かどうかを意識することが重要です。
例えば、ファミリー層が多いエリアでは、3LDK前後の使いやすい間取りや十分な収納スペース、防犯性の高い設備などが評価されやすい傾向があります。人気の設備例としては、以下が挙げられます。
- ウォークインクローゼット
- 浴室乾燥機
- 追い焚き機能
- 宅配ボックス
- オートロック
- 高速インターネット対応
ただし、最新設備の有無だけでなく「多くの人にとって使いやすい設計かどうか」という視点が、売却時の需要を左右します。
築年数が浅い
築年数も、売るつもりでマンションを買う際に注目すべきポイントです。一般的に築年数が浅い物件は設備の劣化が少なく、買い手からの人気も高いため、売却時に有利に働きやすい傾向があります。
ただし、新築や築浅物件にはいわゆる「新築プレミアム」が含まれている場合があり、購入直後に価格が下落するケースもあります。そのため、短期間で売却する予定がある場合は、取得価格と将来の売却価格のバランスを慎重に見極めることが重要です。
売却時期や保有期間を踏まえたうえで、築年数のメリットとリスクを判断しましょう。
管理体制が行き届いている
売るつもりでマンションを買うなら、管理体制が行き届いているかどうかも注目すべきです。共用部分がきちんと整備されていたり、修繕計画が十分に練られていたりするマンションは、建物の劣化が防止され、資産価値を維持しやすくなります。
適切な管理体制が敷かれているか否かは、重要事項調査報告書から確認できます。管理費や修繕積立金の状況、過去の修繕履歴などを確認しましょう。管理組合の活動状況を把握するのも重要です。
ブランド力が高い
ブランド力が高いマンションも売却時の需要が見込めます。大手デベロッパーや人気ブランドが手がけたマンションは、管理や品質が高く維持されていることが多く、資産価値が下がりにくい傾向があるためです。
デザイン性や設備、立地条件が良好な点もブランドマンションが人気の一つです。購入時の価格が高い傾向がありますが、資産価値が優れたマンションを求める場合は、検討してみると良いでしょう。
売るつもりで買うなら避けるべきマンションの特徴
資産価値が下がりやすいマンションを選ぶと、売却時の成約価格が低くなったり、買い主が見つかりにくかったりする可能性が高まります。
売るつもりで買うなら避けるべきマンションの特徴を6つ紹介します。
利便性が悪い
将来の売却を前提とするなら、利便性が悪いマンションは避けるのが無難です。駅から遠く、バス便ばかりだったり、スーパーや病院、生活インフラが乏しかったりするエリアのマンションは、売却活動に苦戦する可能性が高くなります。
築年数が古い
築年数が古いマンションは、以下の理由から、売るつもりで買う物件として適していないとされています。
- 劣化が進んでいる可能性が高く、資産価値が下がりやすい
- 住宅ローンを組みにくく、買い主が購入に踏み切りにくい
特に、築年数が20年を超えるマンションは、内装や設備の劣化が進みやすい段階です。
また、築年数が古いマンションは住宅ローンを組みにくく、買い主が購入に踏み切りにくくなります。金融機関によっては「築年数〇年以内」の融資条件を設けている場合もあります。
旧耐震基準である
1981年(昭和56年)5月以前に建てられたマンションは、旧耐震基準が採用されているのがほとんどです。旧耐震基準は大規模な地震に対する安全性が不十分な場合があり、耐震性に不安を感じる購入希望者も一定数いるため、売却時に敬遠されるケースがあります。
また、金融機関によっては築年数や耐震性を融資条件の判断材料とする場合もあり、買い手のローン審査に影響することもあるでしょう。
ただし、耐震診断や補強工事が実施されている物件や、人気エリアで需要が安定している物件であれば、価値を維持しているケースもあります。売却を前提に購入する場合は、耐震状況や管理体制、立地条件などを総合的に確認することが重要です。
参考:住まいの耐震化 家族を思う、強い家 ~大地震に備える耐震改修~ | 国土交通省
メゾネットタイプである
メゾネットタイプとは、室内に階段があり、1室が2層に分かれた間取りのことを指します。メゾネットタイプは戸数や希望者が少ない傾向があり、売却時に苦戦する可能性が高いです。
また、マンションが持つメリットであるフラットな間取りを叶えられず、資産価値が下がりやすい点も、メゾネットタイプを避けるべき理由の一つとされています。
土地が定期借地権付き
定期借地権付きマンションとは、土地を購入するのではなく、一定期間だけ借りて建てられているマンションのことです。建物は所有できますが、土地は自分のものにはなりません。定期借地権付きマンションは契約期間が近づくにつれて、より資産価値の下落リスクが高まります。
将来売るつもりで購入するなら、定期借地権付きではなく、土地所有権があるマンションを選びましょう。
災害リスクが高いエリアに立地している
売るつもりで買うなら、地震や水害などの災害リスクが高いマンションは避けるべきです。例えば、倒壊リスクや河川の氾濫などが挙げられます。
ハザードマップを確認し、災害リスクの低い土地のマンションを選ぶことが大切です。
マンションを売るつもりで買う際の注意点
ここでは、マンションを売るつもりで買う際の注意点を解説します。
諸費用やローン条件を含めて総コストを把握する
売却前提でマンションを買う場合は、物件価格だけでなく、購入時・保有中・売却時にかかる費用を含めた総コストを把握することが重要です。
購入時には仲介手数料や登記費用、各種税金が発生し、保有中は管理費や修繕積立金、ローン利息などがかかります。さらに、売却時にも仲介手数料やローン完済手数料、譲渡所得税などが発生する可能性があります。
売却価格によっては数十万円〜数百万円の費用がかかる場合もあるため、正確に把握しましょう。
将来の売却を見越した資金計画を立てる
売るつもりのマンションを購入する際は、将来の売却を見越した資金計画を立てることが大切です。
将来の価格下落や諸費用を考慮しないまま進めると、売却時に想定よりも高く売れなかったり、諸費用の準備が困難になったりする可能性があります。そのため、売却価格が下がった場合を考慮した資金計画を立てておけば、売却時の市場変動リスクにも備えられます。
ローン残債が売却価格を上回るオーバーローンを避けるためにも、自己資金割合や返済ペースを慎重に設定しましょう。
所有期間と税金の関係性を理解する
マンション売却時には、売却益に対して譲渡所得税がかかります。譲渡所得税の税率は所有期間(※)によって異なりますが、短期間で売却すると税負担が大きくなるため注意が必要です。
所有期間ごとの税率は以下のとおりです。
| 区分 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 9% |
| 5年超(長期譲渡所得) | 15% | 5% |
所有期間が5年以下の短期譲渡の場合、マンション売却時には39%の税金がかかります。一方、5年を超える長期譲渡では税率が下がり、負担を減らせます。
売却する前提でマンションを所有する場合は、所有期間と税金の関係性を理解し、税負担を最低限に抑えましょう。
(※)所有期間は売却した年の1月1日時点で判定します。
売却時は最新の税制を確認する
マンション売却時には、不動産に関する税制や控除制度が強い味方となりますが、定期的に改訂されるため注意が必要です。軽減税率の特例や控除制度は、売却時の税負担に大きく影響するため、定期的な確認が欠かせません。
また、住宅ローン控除や譲渡所得の特例などの内容も変更される場合があるため、常に最新の情報を収集することが大切です。
まとめ
マンションを売るつもりで買うケースは珍しくありません。「預金以外の資産を保有したい」「生活の変化にも柔軟に対応できる資産が欲しい」など、家庭によってニーズはさまざまです。
しかし、将来の売却を前提としてマンションを買うなら、資産価値を維持しやすい物件を選ぶことが重要です。避けるべきマンションの特徴も理解したうえで物件を選べば、将来に備えた資産を保有できるでしょう。
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