50代は、ライフステージで大きな転機を迎える時期です。子どもの独立や退職後の生活を見据え、住み替えを検討する方も少なくありません。
この記事では、50代の住み替えの動向やメリットをわかりやすく解説します。物件選びのポイントや後悔しないための注意点も紹介しますので、次の住まい選びの参考にしてください。
INDEX
50代は住み替えが多い?実際のデータから見る動向
国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」によると、住宅取得が2回目以降となる世帯の平均年齢は以下のとおりです。
住宅の種類 | 2回目以降の世帯の平均年齢 |
注文住宅 | 59.7歳 |
分譲戸建て住宅 | 46.3歳 |
分譲集合住宅 | 56.6歳 |
既存(中古)戸建て住宅 | 57.6歳 |
既存(中古)集合住宅 | 57.3歳 |
上記のデータを見ると、分譲戸建て住宅は46.3歳とやや若いものの、その他の住宅では50代後半の世代が多数を占めています。つまり、50代は人生後半の暮らし方を見直し、より快適な暮らしを求めて住み替えをする世代といえるでしょう。
参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」
50代の住み替えが多い理由
ここからは、50代での住み替えが多い理由を具体的に解説します。
子どもの独立で「家が広すぎる」と感じる
50代の住み替えが多い理由の一つが、子どもの独立による家のサイズ感の変化です。これまで家族で過ごしてきた住まいも、子どもが巣立つと使わない部屋が増え、家が広すぎると感じることもあるでしょう。
また、子どもの部屋が物置状態になるケースも少なくありません。今の家族構成に合わない住まいは、管理や維持が負担になるため、よりコンパクトで利便性の高い住まいへと住み替えを検討する方が増えています。
将来を見据えた「暮らしやすさ」を重視する
50代になると、教育費や子育ての負担が減り、これまでよりも経済的なゆとりが生まれやすくなります。また、退職後の生活も具体的に考える時期であるため、将来を見据えた「暮らしやすさ」を重視する世代であることも、住み替えが多くなる理由です。
具体的には、次のような住み替えが多く見られます。
- 戸建てからマンションへのダウンサイジング
- 老後のバリアフリーを見越した住居への住み替え
- 病院が近く、公共交通機関が充実したエリアへの引っ越し
これらの例に見られるように、老後の体力や健康面を意識した住まいへと検討する方が増えています。
働き方や暮らし方が変わり、住まいに求める条件が変化する
50代は、働き方や暮らし方に変化が出やすい年代です。再就職による通勤時間を考慮した引っ越しや、再婚、家族の増減により新たな住まいを検討する方もいるでしょう。
このような背景から、住まいに求める条件が変化していることも、50代で住み替えが多くなる理由の一つです。
親の介護や実家の相続を機に暮らしを再考する
50代で住み替えを検討する理由に、親の介護や実家の相続がきっかけとなる場合もあります。親から相続した物件を活用して資金を確保し、次の住まいへと移る方もいるでしょう。
また、実家にそのまま移り住む場合や、リノベーションして新たな住まいを始める方もいます。実家に住み替える場合は、新たに土地や建物を購入する必要がないため、初期費用を抑えられるのがメリットです。家族の思い出が詰まった空間で、より豊かな暮らしを再スタートできる点も50代の住み替えの魅力です。
50代で住み替える3つのメリット
50代で住み替える3つのメリットを具体的に解説します。
50代のライフスタイルに合った住まいを選べる
50代の住み替えは、ライフスタイルに合った住まいが選べることがメリットです。例えば、子どもが独立し夫婦二人だけの生活になると、広い家からコンパクトな住まいへ移ることが可能です。
住まいをダウンサイジングすると、光熱費の節約だけでなく、管理やメンテナンスの負担も減らせます。また、通勤や買い物の利便性の良い立地を選べば、毎日の生活がより快適になるでしょう。
日々の家事も楽になり、ガーデニングや趣味の時間など自分らしい時間が増えるのも大きな魅力です。
バリアフリーや利便性を意識した選択ができる
50代での住み替えのメリットは、バリアフリーや利便性を意識した選択ができる点です。年齢を重ねて足腰が弱くなっても安心して暮らせるよう、階段のない平屋やエレベーターが完備されたマンションに住み替えができます。
また、運転が難しくなることを考慮し、公共交通機関が充実したエリアを選ぶことで、移動がしやすくなります。さらに、病院へのアクセスが良い住まいなら、急な体調不良の際にも安心です。
資金計画に余裕がある
30~40代では住宅ローンや教育費が集中しやすいため、住み替えの予算を確保できないことも少なくありません。一方、50代の多くは収入がピークを迎えることから、経済的なゆとりが生まれやすい時期となります。
子どもが独立している世代であれば、貯蓄や住み替えに充てられる資金的な余裕が生まれやすくなります。余裕を持って資金計画が立てられるため、利便性の高い立地や質の良い物件など、住まいの選択肢も広がるでしょう。
50代の住み替えで失敗しない物件選びの5つのポイント
50代からの住み替えで失敗しないために、押さえておきたい物件選びのポイントを5つ解説します。
住み替えの優先順位を明確にする
住み替えで後悔しないためには、まず「何を一番大事にしたいのか」を明確にすることが大切です。以下のように、重視したい条件を書き出しておくと良いでしょう。
- 郊外で落ち着いて暮らしたい
- リビングが広い家に住みたい
- 子どもの近くで生活したい
- 戸建てよりもマンションがいい
- 庭でガーデニングを楽しみたい
条件に応じて優先順位をつけることで、物件の選択肢も絞りやすくなります。特に50代は、住み替えの最後のチャンスとなる場合が多いため、優先したい条件をあらかじめ決めておくと、満足のいく住み替えが実現できます。
不動産会社に早めに相談する
持ち家からの住み替えの場合は、売却のタイミングを見極めるのが難しく、焦って売却すると相場より安い価格で手放してしまう可能性があります。また、実家を相続する際には、名義変更や境界の確定など、細かな手続きに予想以上の時間がかかります。
そのため、50代での住み替えを考えている方は、不動産会社に早めに相談しましょう。老後を見据えた大事な住まい選びだからこそ、市場動向や地域の特性に詳しい不動産会社に相談しておくと安心です。
住宅ローンは専門家のサポートを受ける
家を購入する際は、ファイナンシャルプランナーや金融機関など専門家のサポートを受けながら進めるのがポイントです。50代での住み替えの場合、退職後の収入減少を考慮した返済計画が求められます。
無理なローンを組めば、老後の生活そのものが圧迫されるリスクもあります。そのため、専門家の力を借りながら、適切な借入額や返済期間をシミュレーションし、無理のないプランを立てることが大切です。
購入後の売却・相続も見据えておく
住み替え先の物件を、将来的にどう活用するかを考えておくことも重要なポイントです。例えば、需要が減少しているエリアや老朽化が進みやすい建物の場合、売却するタイミングで大きな損失が出る可能性があります。
そのため、購入後の売却や相続を見据えた物件選びが重要です。老後は家を売却して老人ホームへ移るのか、あるいは子どもへ相続するのかを、事前に明確にしておくと良いでしょう。
老後の安心につながる設備・立地を意識する
50代で住み替えをする際は、年齢を重ねても快適で安心できる設備・立地を意識した物件を選びましょう。そのため、次のような設備が整った物件がおすすめです。
- 段差がないフロア・手すりの完備
- 車いすで移動できる広い通路
- 管理人が常駐しているマンション
- オートロックや防犯カメラなどのセキュリティーが充実した建物
さらに、低層階の物件を選ぶと、万が一の災害時にも安全に避難できるため、安心して暮らせます。
50代の住み替えで知っておきたい注意点
50代の住み替えは多くのメリットがある一方で、注意点もあります。事前に知っておきたい注意点を見ていきましょう。
資金計画は慎重におこなう
50代でも条件を満たせば、住宅ローンを組むことは可能です。ただし、多くの金融機関では65歳や70歳前後と年齢制限を設定していることが多く、50代後半で30年ローンを組みたい場合は、審査が通りにくいケースもあります。
仮にローンを組めたとしても、退職金をあてにして返済計画を組んでしまうと、老後の生活費に影響を及ぼすリスクもあります。また、持病や闘病中の方は団体信用生命保険への加入ができない場合もあり、万が一の際に家族が返済の負担を背負う可能性もあるでしょう。
このような事態を避けるためにも、将来的に発生する固定資産税や都市計画税、老後の怪我やリスクを想定し、無理のない資金計画を立てることが必要です。
仕事・介護・家庭の両立で準備が進みにくい
50代になると仕事で管理職など責任のある立場に就いている方も多く、平日にまとまった時間を確保しにくくなります。加えて、子どもの進学や就職のサポート、年老いた親の介護が重なり、家族内での役割が増える時期でもあります。
そのため、引っ越しや住まいの準備そのものが後回しになりやすい点も注意が必要です。住み替えの検討が始まったら、専門家のサポートを受けながら計画的に準備を進めましょう。
環境の変化が心身の負担になることも
長年住み慣れた場所から離れる住み替えでは、これまでの人間関係が途切れて不安や孤立感が生まれることもあります。さらに、新しい住まいでは、近隣の方々と一から関係を築いていかなければならず、心身の負担となることも少なくありません。
そのため、物件を検討する際は、不動産会社に相談して地域の特性を理解しておくと安心です。また、引っ越し先の自治体が主催するコミュニティ活動やイベントなどに積極的に参加し、少しずつ地域の輪を広げましょう。
まとめ
50代になると老後の快適な暮らしを求めて、住み替えを検討する方が多くなります。これからの人生をより豊かで安心して過ごすためにも、専門家のサポートを受けながら計画的に準備を進めておくと安心です。
物件の売却や相続も見据え、設備や立地条件などを意識して、将来のライフスタイルに合った物件を見つけましょう。
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