マンションの住み替えは、新しい生活を始めるうえでの大きな決断です。そのため計画や準備を誤ると、住み替えの前後を問わず思わぬトラブルにつながることがあります。
例えば、売却と購入のタイミングが合わずダブルローンを抱えたり、不動産会社選びを誤って損をしたりするケースが考えられます。未然に失敗を防ぐには「よくある失敗例」を知っておくのが大切です。
この記事では、マンションの住み替え前後に起こりやすい失敗例と、成功させるためのポイントを詳しく解説します。理想の住み替えを実現したい方はぜひ参考にしてください。
マンションの住み替え前によくある失敗例
マンションの住み替え前によくある失敗例のなかでも、特に押さえておきたい3つのパターンを紹介します。
住み替えのタイミングが合わなかった
住み替え前によくある失敗例の一つは、売却と購入のタイミングが合わないことです。
住み替えには新居を先に購入する「買い先行」と、旧居を先に売却する「売り先行」の2通りがあります。それぞれにメリットはありますが、進め方を誤ると大きな負担を抱えることになりかねません。
例えば「買い先行」で住み替えを進めた場合、新居はすぐに決まったものの旧居がなかなか売れず、2つのローンを抱える「ダブルローン状態」になるリスクがあります。
一方「売り先行」にすると、旧居を売却したあと新居がなかなか見つからず、仮住まいへの引っ越し費用や手間がかかるケースもあります。
売却と購入のタイミングがズレると仮住まいやダブルローンなどの負担が生じ、住み替えが予定通りに進まなくなるでしょう。
売却価格の設定を間違えてしまった
マンションの住み替えでは、売却価格を適切に設定しないと思わぬ損失や後悔につながる恐れがあります。
マンションの売却価格を相場よりも高く設定すると買い手が見つかりにくくなります。その結果、売却に時間がかかり、最終的に値下げを余儀なくされるケースも少なくありません。
一方で、低すぎる価格設定は資金計画に支障が生じ、次の住まい選びにも悪影響が出るでしょう。
適切な価格設定は、住み替えを成功させるための重要なカギとなります。
適切な不動産会社選びができなかった
不動産会社選びを誤ることも、住み替えの大きな失敗の一つです。
住み替えでは、旧居の売却や新居の購入は不動産会社を通じて契約を進めるのが一般的ですが、なかには広告活動や内覧対応が不十分な会社もあります。対応力に欠ける不動産会社を選ぶと、購入希望者が集まらず、成約率が下がって売却が長引く原因になるでしょう。
また、対応が雑な印象を与えると、買い手が不安を感じて契約を途中で取りやめる可能性もあります。
信頼性に欠ける不動産会社を選んでしまうと売却が思うように進まず、住み替え全体に不安を残すことになるでしょう。
マンションの住み替え後によくある失敗例
マンションの住み替えでは、あとから失敗に気付くケースもあります。ここでは、マンションの住み替え後のよくある失敗を3つ紹介します。
入居後に生活動線や間取りに不満が出た
住み替え後のよくある失敗の一つが、生活動線や間取りに対する不満です。内覧時には気にならなかった点でも、実際に暮らし始めてからストレスを感じる場合があります。
具体的には、次のような問題が挙げられます。
- 家事の動線が悪く、効率良く動けない
- 家具を配置したら、想像以上に生活空間が狭くなった
- 家族の人数に合わせて荷物が増え、収納場所に困った
内覧時に間取りや家具の配置を確認していても、生活の具体的なイメージを十分に持てていないと、住み替え後に暮らしづらさを感じることになるでしょう。
周辺環境や立地が想定と違い後悔した
住み替え後に「思っていた周辺環境や立地と違った」と感じるのも、よくある失敗例の一つです。
例えば、駅までの道に急な坂があって移動がつらい、コンビニやスーパーまで徒歩15分以上かかって不便に感じる、といったケースがみられます。
また、昼は静かな住宅街でも、夜になると駅前が騒がしくなりゴミが散乱しているなど、時間によって環境が変わることもあるでしょう。
物件自体に満足していても、生活のしやすさは周辺環境や立地にも大きく左右されます。実際に暮らしてから不便に気付くケースも少なくありません。
住宅ローン返済が想定以上に苦しくなった
旧居の売却と新居の購入を同時に進める住み替えでは、ローンの負担増に悩まされることもあります。
特に買い先行での住み替えでは、旧居の住宅ローンが残ったまま新居のローン返済が始まり、ローンが2本になる「ダブルローン状態」になりがちです。
マンションの売却が予定通りに進まず想定より低い価格でしか売れなかった場合、ローン残債を売却代金で完済できない恐れがあります。差額を自己資金で補うことになれば、家計への影響は大きくなるでしょう。
マンションの住み替えを成功させる5つのポイント
マンションの住み替えを成功させるには、事前に押さえておくべき重要なポイントがあります。失敗を防ぎたい方に向けて、成功のカギとなるポイントを5つ紹介します。
1.住み替えの目的を明確にする
マンションの住み替えを成功させるには「なぜ住み替えるのか」を明確にしましょう。
住み替えの目的を整理すれば、売却のタイミングや資金計画などの行動に一貫性が生まれ、スムーズに住み替えを進めやすくなります。代表的な住み替えの目的や理由は、主に以下のとおりです。
目的 | 理由 |
住居環境の変更 | ・家の老朽化生活スペースの不足通勤 ・通学ルートが非効率 など |
老後の備え | ・段差が多い ・子どもの独立に合わせてコンパクトな住まいへ移る など |
このほかにも、勤務先の異動をきっかけに、通勤の利便性を重視して新居を探すケースもみられます。
住み替え後の暮らしを見据えて、家族の希望やライフプランと向き合いましょう。
2.経済状況に合った住み替え計画を立てる
マンションの住み替えを成功させるには、現在の経済状況に応じた計画を立てることが重要です。
自己資金に余裕がある場合は先に新居を購入し、その後でマンションを売却する「買い先行」の方法が向いています。
ただし、住宅ローンの残債があるとダブルローン状態になり、返済負担が急増するリスクが高まるため注意しましょう。
一方、自己資金が少ない場合には、旧居を売却してから新居を購入する「売り先行」がおすすめです。売却金を新居の購入費用に充てられるため、家計への負担を抑えられます。
3.売却価格は相場を踏まえて設定する
マンションの住み替えを成功させるには、相場を踏まえた適切な売却価格の設定が重要です。価格を高くしすぎると売却が長引き、安くしすぎると資金計画に支障をきたす恐れがあります。
東日本不動産流通機構によると、2025年5月時点での首都圏における中古マンションの平均成約価格は5,311万円で、東京都は6,901万円です。築20〜25年前後の物件でも、条件次第で高値が期待できる状況です。
一般に、マンションの市場価値は、築年数の経年とともに落ちる傾向にあります。しかし、立地や管理状況が良好な物件は価格が維持されやすく、なかには「ビンテージマンション」として高く評価されるケースもみられます。
相場が上昇しているタイミングで売却を進めれば、より良い条件で取引が可能です。土壇場での値下げを防ぐために、希望価格の下限をあらかじめ決めておきましょう。
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報Market Watch 2025(令和7)5月度」
4.不動産会社は総合的に比較して選ぶ
マンションの売却や住み替えを成功させるためには、信頼できる不動産会社の選定も欠かせません。不動産会社を選定する際は、以下の項目をチェックしましょう。
チェック項目 | 主なポイント |
口コミ | 口コミの数や内容、対応の丁寧さから 信頼性を確認する |
営業年数 | 営業年数の長い会社は、地域の特性や顧客ニーズへの理解が深く、トラブル対応の経験も豊富 |
更新 頻度 | 物件情報の更新が頻繁な会社は販売活動に 積極的な傾向がある |
販売実績数 | 実績が豊富な会社は、地域の市場動向に詳しく スムーズな売却が期待できる |
不動産会社は知名度だけで判断せず、複数社を比較して総合的に判断するのが大切です。
5.新居候補は現地確認で不安を解消する
住み替えを成功させるためには、新居の候補地を事前にしっかり確認し、不安を解消してから購入を決断しましょう。
エリアの雰囲気や土地の条件は、住んだあとに後悔しても簡単に変えられるものではありません。特に土地の高低差や日当たり・近隣施設の利便性などは、資料や写真だけでは判断しにくく、現地に足を運んで初めてわかる点も多くあります。
気になる物件があれば、時間帯や曜日を変えて何度か訪問し、自分や家族の暮らしに合っているかを確認しましょう。
マンションの住み替えを失敗しないためのQ&A
ここでは、住み替えに関してよくある疑問や不安にお答えします。住み替えの判断や準備を進める際の参考にしてください。
Q.3,000万のマンションは20年後いくらになる?
東日本不動産流通機構のデータによると、築0〜5年の首都圏中古マンションの平均成約価格は8,292万円となっています。築6〜10年では約5%減の7,902万円、築11〜15年では約18%減の6,796万円と、築年数が進むにつれて価格が下落しています。
仮に3,000万円で購入したマンションなら、20年後には約2,300万円程度まで下落するのが現実的です。
マンションの価格は年々上昇傾向にありますが、築年数とともに資産価値が下がるのが一般的です。将来の売却を見据えて、慎重に物件を選びましょう。
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「REINS TOPICS 首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況 【2025年01~03月】」
Q.マンションを買ってはいけないエリアは?
マンションを購入する際は「住環境」に問題のあるエリアは避けるのが賢明です。住み心地の悪さだけでなく、資産価値の下落や売却のしにくさにも直結します。
例えば、都心へのアクセスが悪い郊外エリアは、通勤・通学に不便で需要が伸びにくい傾向があります。また、日当たりの悪い北向きや周囲を高い建物に囲まれた立地、洪水や地震のリスクが高い地域にも注意が必要です。
不便さやリスクを抱えたエリアは住み始めてから後悔する可能性があるため、慎重に選びましょう。
まとめ
マンションの住み替えは、新しい場所で新しい生活をスタートするための大切な決断です。よくある失敗例を参考に、問題を未然に防いで理想の暮らしを手に入れましょう。
そのためには、信頼できる不動産会社を選び、将来を見据えた資金計画を立てることが大切です。
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