ライフスタイルの変化を見据え、「将来売ること」を前提にマンションを購入する方が増えています。住み替えを視野に入れた購入は柔軟な住環境を得られる反面、資産価値や売却のしやすさを見極めないと後悔することもあります。
この記事では、住み替えを前提としたマンション購入で後悔しないための物件選びのポイントや、購入後の注意点を詳しく解説します。将来の住み替えに備え、後悔のないマンション購入を目指しましょう。
マンションの購入は住み替え前提が半数以上
アットホーム株式会社の「住宅購入のプロセス&マインド 2024」調査によると、マンション購入者の過半数が「将来的に住み替えを前提として購入した」と回答しています。その理由として「子どもの独立などライフスタイルの変化」「資産性を重視した購入」「より良い物件への移行」などが示されています。
こうした結果からも、住まいを長期的な視点でとらえ、変化に対応できる柔軟な選択が重視されていることが明らかです。将来の暮らし方を柔軟に見直せるよう、物件選びの段階から住み替えを意識しておくことが大切です。
参照:アットホーム、ユーザー動向調査「住宅購入のプロセス&マインド 2024」を実施|日本経済新聞
住み替え前提のマンション選びのポイント
将来、マンションを売るつもりで買うのであれば、目先の住みやすさだけでなく資産価値という視点が欠かせません。ここでは、住み替え前提のマンション選びで押さえておきたい、4つの重要なポイントを解説します。
住み替える目的や時期に応じた選び方を知る
住み替えのタイミングや目的によって、選ぶべき物件の条件は変わってきます。ライフステージや状況別に、選び方のポイントを見ていきましょう。
ライフステージ・状況 | 選び方のポイント |
子どもが未就学児〜小学生で、数年後に住み替え予定 | ・築5年前後の築浅 ・ファミリー層に人気の間取り(2LDK~3LDK) ・子育て環境の充実度(学区 ・治安・公園の有無など) |
老後を見据えて暮らす | ・リフォームのしやすさ ・病院やスーパーへのアクセスの良さ |
具体的な目的や時期は未定 | ・立地の良さ ・管理状態の良さ |
子どもの成長に合わせた住み替えを予定している場合は、築5年前後の築浅物件やファミリー層に人気の2LDK~3LDKの間取りを選ぶと良いでしょう。売却時に築20年を超えないようにしておくと、資産価値が大きく下がるリスクを抑えられます。
老後の住み替えを見据えるなら、リフォームのしやすさや徒歩圏内の生活利便施設が重要です。住み替えの時期や目的が明確でない場合は、複数路線が使える、管理状態が良い、生活の利便性が高いといった条件を満たすマンションを選ぶと、将来的にも資産価値を保ちやすくなります。
50平方メートル以上の広さを選ぶ
住み替え前提でマンションを購入する際は、床面積が50平方メートル以上であるかを必ず確認しましょう。この面積を超えていれば、住宅ローン控除などの税制優遇を受けられる可能性があるためです。
【50平方メートル以上で適用される主な税制優遇】
- 住宅ローン控除: 年末のローン残高の0.7%が所得税などから最大13年間控除される
- 固定資産税の軽減措置: 新築マンションの場合、一定期間固定資産税が減額される
- 不動産取得税の軽減措置: 不動産取得時にかかる税金が軽減される
ただし、面積の基準は広告やパンフレットに記載されている壁芯面積ではなく、登記上の面積(内法面積)である点に注意が必要です。壁芯面積では50平方メートルを超えていても、登記面積では50平方メートル未満になるケースもあります。登記面積は登記事項証明書で確認できます。
資産価値を保ちやすい立地や環境を選ぶ
資産価値が落ちにくいマンションには、共通した特徴があります。特に立地と住環境は、将来の売却価格を大きく左右する要素です。以下に、資産価値を保ちやすい物件に共通する立地・環境のポイントをまとめました。
内容 | ポイント |
交通 | ・複数路線が利用できる ・駅から近い |
災害リスク | ・浸水や土砂災害のリスクが低いエリアである |
生活利便性 | ・スーパー、コンビニ、病院、銀行などの生活施設が充実している |
子育て環境 | ・公園や学校、塾が近い ・安全な通学路が確保されている |
周辺環境 | ・騒音や異臭の原因となる施設(工場、幹線道路など)から離れている |
管理状態 | ・共用部の清掃が行き届いている ・長期修繕計画が適切に策定・実行されている |
内覧時には室内の状態だけでなく、必ず周辺を歩き自分の目で環境を確認することが大切です。また、管理状態については、不動産会社を通じて長期修繕計画書や管理組合の議事録などを確認させてもらうと良いでしょう。
新築と中古マンションの特徴を知る
住み替え前提の場合、新築と中古のどちらの購入を選ぶべきか悩む方も多いでしょう。それぞれの特徴を理解し、自分の計画に合った選択をすることが大切です。
マンションの種類 | 特徴 |
新築 | ・最新の設備や仕様が魅力 ・購入価格が割高・売却時に価格が下落する傾向にある |
中古 | ・購入価格が比較的安い ・価格の下落幅が新築に比べて小さい ・物件数が豊富で、希望のエリアや立地で見つけやすい |
新築マンションは購入した瞬間に中古となり、価格が下がりやすいと言われています。一方、中古マンションはすでに一度価格が下がっているため、その後の下落幅は緩やかです。
資産価値の下落を抑えたい方には、中古マンションが適しているでしょう。
ただし、都心の再開発エリアや人気の駅直結タワーマンションなど、立地条件が良い新築物件は例外です。土地価格の上昇にともない、購入時と遜色ない価格で売却できる可能性もあります。
住み替え前提でマンション購入したあとの注意点
将来、できるだけ高くマンションを売却するには、物件選びだけでなく、購入後の住み方にも気をつける必要があります。資産価値を維持し、スムーズな売却につなげるための3つの注意点を確認しましょう。
定期的な清掃を実施する
資産価値を維持する基本は、室内を常にきれいな状態に保つことです。特に、キッチン・浴室・トイレといった水廻りは、汚れやカビ、水垢が発生しやすく、劣化が進みやすい箇所です。
水廻りがきれいであることは大きなアピールポイントになります。日々の清掃を習慣づけておけば、売却前に高額なハウスクリーニング費用をかける必要がなくなり、結果的にコスト削減にもつながるでしょう。
フローリングやクロスへの傷は最小限に留める
フローリングの深い傷や壁紙の目立つ汚れ・剥がれは、内覧者に悪い印象を与え、資産価値を下げる直接的な原因となります。売却時に修繕費用が見積もられたり、価格交渉の材料にされたりする可能性があるため、日頃から丁寧な使用を心がけることが大切です。
【傷や汚れを防ぐ工夫】
箇所 | ポイント |
床(フローリング) | ・家具の足に保護パッドを貼る ・椅子や机の下にマットを敷く ・ラグやカーペットで広範囲を保護する |
壁紙(クロス) | ・子どもが落書きしそうな場所に保護シートを貼る ・家具を壁から少し離して設置する |
なお、ラグやカーペットの敷きっぱなしは、日焼けによる色の差が生じることがあります。定期的に位置をずらすなどして、床全体を均一に保つようにしましょう。
また、高層階のマンションは日差しが強いため、窓にUVカットフィルムを貼るなど、クロスや床の日焼け対策も意識しておくと良いでしょう。
定期的にマンション相場をチェックする
所有するマンションの資産価値を把握し、最適な売り時を逃さないために、定期的な相場チェックは欠かせません。不動産価格は経済状況や金利動向、周辺エリアの開発計画など、さまざまな要因で常に変動しているからです。相場感を得る際に参考になる情報源には、以下のようなものがあります。
【マンションの相場感を把握するための情報源】
- 不動産ポータルサイト
- 同じマンション内や近隣で売りに出されている物件の価格を確認し、需給バランスや相場感を把握できる
- 不動産会社への相談
- 成約価格(実際の取引価格)など、ポータルサイトでは得られないリアルなデータをもとに、プロの視点でアドバイスを受けられる
自分のマンションが今いくらで売れそうかを知っておくことで、いざ住み替えを実行する際に冷静な判断ができます。
住み替え時のマンション売却で後悔しないためのポイント
実際に住み替えをおこなう段階で、満足のいく売却を実現するために押さえておきたいポイントを解説します。
築20年までには売却を検討する
マンションは築年数が経過するほど価格が下落しやすく、特に築20年を超えると売却が難しくなる傾向があります。
東日本不動産流通機構の2024年のデータによると、首都圏の中古マンションの成約率(対新規登録成約率)は築11〜15年が最も高く36.2%です。築16〜20年で26.7%、築21〜25年では23.2%まで低下し、築20年を境に成約率が明確に下がる傾向があります。
もちろん、立地や管理状態によっては築20年超でも売却は可能です。ただし、より有利な条件で売却したいのであれば、一つの目安として意識しておくと良いでしょう。
参照:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」
売却価格の基準を決める
マンションを売り出す前に、「最低いくらで売りたいか」という基準を決めておくことが重要です。これがないと、値下げ交渉に流されて想定より安く売却してしまう可能性があります。
最低ラインは不動産会社と共有しておくと、適切な価格交渉や販売戦略がしやすくなります。ただし、希望価格が相場とかけ離れないよう、不動産会社の査定や市場の動向を参考に、現実的な設定を心がけましょう。
売却時はマンションの魅力を考えておく
図面や設備の情報だけでは伝わらない、「住んでみてわかる魅力」は購入希望者にとって貴重です。実際に暮らしたからこそわかるポイントを伝えることで、他の物件との差別化につながります。
アピールポイント | 例 |
日当たり | ・午前中はリビングが明るい ・午後は西側の寝室が暖かい |
眺望 | ・夏にはベランダから花火大会が見える |
静かさ | ・二重サッシのため、大通り沿いでも室内はとても静か |
周辺環境 | ・徒歩3分にあるカフェは朝早くから開いていて便利 |
設備 | ・宅配ボックスやディスポーザーあり ・24時間ゴミ出し可能 |
売却活動を始める前に、こうした情報を整理しておき、不動産会社に伝えておくと、販売資料や内覧対応に活かしてもらいやすくなります。
マンションを売却する際はローン完済が必要になる
住宅ローンが残っているマンションを売却する場合、物件の引渡しまでにローンを全額返済し、金融機関が設定した抵当権を抹消する必要があります。
一般的に売却代金をローンの返済に充てますが、売却価格がローン残高を下回るオーバーローンの状態だと、不足分を自己資金で補わなければいけません。
住み替え時には、旧居のローン返済資金だけでなく、新居の購入費用や引っ越し費用などもかかります。オーバーローンになりそうな場合は、不足分をどう補うか、事前にしっかりと資金計画を立てておくことが不可欠です。
売却と購入は同時におこなう
住み替えをスムーズに進める理想的な形は、旧居の売却と新居の購入を同時に進めることです。
先に売却する「売り先行」は、売却代金が確定するため資金計画を立てやすいメリットがあります。しかし、新居が見つかるまで仮住まいが必要になり、家賃や引っ越し費用が二重にかかる可能性があるでしょう。
一方、先に購入する「買い先行」は、じっくり新居を探せるメリットがある反面、旧居が売れるまで住宅ローンが二重になる二重ローンのリスクをともないます。
売却と購入のタイミングを揃えることで、こうした資金的なリスクや手間を最小限に抑えられるでしょう。なお、「ラクいえ売却」では売却後も最長1年間賃料無料で住み続けられるため、仮住まい探しに追われることなく、落ち着いて新居選びができます。
まとめ
住み替えを前提としたマンション購入は、ライフスタイルの変化に対応できる賢い選択です。成功のためには、将来の売却を見据え、資産価値が落ちにくい物件を慎重に選ぶことが重要となります。
購入後は定期的な相場チェックで資産価値を維持し、売却時は築20年を目安に価格基準を決めておきましょう。
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