現在住んでいる家や、相続した実家の売却を検討している方も多いのではないでしょうか。家を売る際には、市場価格や税金など、さまざまな要素を踏まえて売却のタイミングを判断することが大切です。
この記事では、家を売るのに最適なタイミングや、2025年が売りどきといえるのかを解説します。家の売却時期で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
2025年は家を売るベストなタイミング?最新の不動産価格指数
家をなるべく高く売るためには、不動産価格の動向を把握しておくことが大切です。以下は、2008年4月〜2025年5月までの不動産価格指数の推移を示しています。

出典:国土交通省「不動産価格指数(令和7年5月・第1四半期分)」
(※1)2010年の不動産価値の平均を100としています。
(※2)数値は速報値であり、初回公表後3ヵ月間は改訂される可能性があります。
住宅全体を示す「住宅総合」の不動産価格指数を見ると、2013年頃から右肩上がりで上昇していることがわかります。特に「マンション(区分所有)」は伸びが大きく、2025年5月の不動産価格指数は2010年の2倍以上です。「戸建住宅」はマンションほどではありませんが、2021年頃から少しずつ上昇しています。
相場の動きをもとに家を売るタイミングを判断する場合、基本的な考え方は以下のとおりです。
- 相場が右肩下がり:下落が進む前に早く売る
- 相場が右肩上がり:上昇が続くなら、売却を急がずに様子を見る
- 相場が横ばい:売るタイミングはあまり気にしない
ただし、現在の相場が今後も続くとは限らず、突然変動する可能性もあります。そのため、「相場が右肩上がりだから売らない」といった固定観念を持つのではなく、柔軟に判断する姿勢が重要です。
【首都圏】2025年の中古マンション・中古戸建て住宅の成約価格
家を売るタイミングを考える際には、実際にどの程度の価格で住宅が取引されているかを確認することが重要です。
首都圏における2025年4〜6月の中古マンションの成約価格の平均を見てみましょう。
| 築年数 | 中古マンションの成約価格 | 前年同期比 |
| 0〜5年 | 9,061万円 | 10.9% |
| 6〜10年 | 8,291万円 | 13.9% |
| 11〜15年 | 7,507万円 | 12.0% |
| 16〜20年 | 6,690万円 | 12.1% |
| 21〜25年 | 6,116万円 | 14.4% |
| 26〜30年 | 4,634万円 | 11.9% |
| 31年〜 | 2,601万円 | 6.6% |
| 平均 | 5,188万円 | 4.1% |
出典:REINS TOWER
築25年までの中古マンションの成約価格は、平均6,000万円以上と高水準です。さらに、すべての築年数で前年比プラスとなっており、中古マンション市場の堅調さがうかがえます。
次に、首都圏における2025年4〜6月の中古戸建て住宅の成約価格を見ていきましょう。
| 築年数 | 中古戸建て住宅の成約価格 | 前年同期比 |
| 0〜5年 | 5,064万円 | -3.3% |
| 6〜10年 | 4,906万円 | -3.2% |
| 11〜15年 | 4,618万円 | -1.3% |
| 16〜20年 | 4,244万円 | -4.2% |
| 21〜25年 | 3,862万円 | -8.7% |
| 26〜30年 | 3,840万円 | 12.2% |
| 31年〜 | 2,752万円 | 7.0% |
| 平均 | 3,879万円 | -3.0% |
出典:REINS TOWER
中古戸建て住宅の成約価格の平均は、築0〜5年でも約5,000万円と、マンションに比べて低めの水準です。また、築25年までの住宅では前年比で下落が目立ちます。一方、築26年以上の住宅では成約価格が前年より上昇している点が特徴です。
ただし、同じ築年数でも地域によって価格は変動します。そのため、実際に売却を検討する際は、売却予定の家がある地域の相場を確認しておくことが大切です。
【項目別】家を売るのに最適なタイミング
家の売却で最適なタイミングは一概には決められないため、複数の観点から検討する必要があります。ここでは、項目別に家を売るのにおすすめのタイミングを紹介します。
【築年数】築年数が浅いとき
家を高く売りたい場合、築年数がなるべく浅いタイミングがおすすめです。一般的に住宅は、築年数の経過と連動して成約価格が下がる傾向があります。
国土交通省の資料によると、中古マンションと木造戸建住宅の市場価値は築年数によって以下のように変化します。

出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
中古マンションでは、築年数の経過とともに市場価値が緩やかに下落しています。一方、木造戸建住宅はマンションよりも市場価値の低下が早く、築20年で建物の価値はほとんどゼロに近づいています。
建物が古くなるほど得られる売却益も少なくなることが想定されるため、少しでも高く売りたい場合は早めの売却を検討することが大切です。
【季節】新生活が始まる前の2〜3月
家を売る際は、需要が高まる時期を狙うのがおすすめです。需要が増えると、売却期間が短縮されやすく、高値で売れる可能性も高まります。
特に2〜3月は、4月に新生活を始める方が多いため、購入希望者が増える時期です。需要の波に合わせるには、12〜1月頃から家を売り出しておくのが理想です。
また、2〜3月以外では、転勤が増える10月に向けての8〜9月も売却に適したタイミングといえます。
【税金】家の所有期間が5年や10年を超えたとき
家を売った際に手元に残るお金を増やすには、税金を理解しておく必要があります。例えば、家の売却でかかる譲渡所得税は、所有期間によって税率が以下のように異なります。
| 区分 | 家の所有期間 | 譲渡所得税 |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(※) |
| 長期譲渡所得 | 5年超え | 20.315%(※) |
参照:国税庁「土地や建物を売ったとき」
参照:国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」
(※)2013年から2037年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算されています。
上記の表からもわかるように、家の所有期間が5年以下か5年超えかによって、譲渡所得税に2倍近い差があります。さらに、家の所有期間が10年を超えており要件に該当する場合には、「10年超所有軽減税率の特例」が利用できるため、譲渡所得税の負担をさらに減らせます。そのため、所有期間を踏まえて家を売るタイミングを考えることが重要です。
なお、家を売る際に適用要件を満たしていれば、「3,000万円特別控除の特例」が使えます。この特例では、家の所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除されます。売却益が3,000万円以内であれば、譲渡所得が0円となり課税されないため、売却時の所有期間を考慮する必要がありません。
3,000万円特別控除の特例の内容や適用要件に関しては以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
>>住み替えで3,000万円特別控除を受けるには?適用要件や必要書類を解説
参照:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
空き家は住まなくなってから3年目の年末まで
空き家を売却する場合は、住まなくなってから3年目の年末までに売るのがおすすめです。
既定の期間を1日でも過ぎると、譲渡所得の控除を受けられる「3,000万円特別控除の特例」が利用できなくなってしまいます。例えば、2022年3月に住まなくなった空き家を売る場合、2025年の12月31日までに売却する必要があります。
そのため、空き家の売却で3,000万円特別控除の特例の利用を考えている方は、計画的に売却活動を進めることが大切です。
参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
相続した家を売るのは相続開始から3年10ヵ月以内
相続した家を売る場合、おすすめのタイミングは相続開始から3年10ヵ月以内です。
期間内に家を売却し、適用要件を満たしていると「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用できます。この特例が適用される場合、相続税額の一部を家の取得費に加算できるため、譲渡所得税の負担を減らせます。
相続した家に住む予定がない、また賃貸に出す予定がない場合は、特例が利用できる期間内の売却を検討すると良いでしょう。
参照:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
参照:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
【金利】住宅ローンの金利が低いとき
家を売るタイミングを考える際には、住宅ローンの金利が市場に与える影響を理解しておくことが重要です。
多くの方が住宅購入にローンを利用しますが、住宅ローンの金利が低いほど利息の負担が減り、返済額も少なくなります。その結果、住宅の購入希望者が増える傾向があり、家をスムーズに売却できる可能性が高まります。
これまでバブル崩壊以降は住宅ローンの金利が低下傾向にありました。しかし、2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、追加利上げを実施したことにより、住宅ローンの金利は上昇傾向にあります。
近年は住宅ローンの金利が変動しているため、家の売却を検討している方は、金利動向を確認しながら売るタイミングを考えることが大切です。
参照:住宅金融支援機構「“金利のある世界”でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考えよう」
【ライフスタイル】家族構成や職場など生活環境が変わったとき
ライフスタイルに変化があった場合も、家の売却を考えるタイミングの一つです。よくある売却理由には、以下のようなものがあります。
- 子どもの独立
- 親との同居
- 転勤
- 転職
- 離婚
また、住宅ローンの返済が困難になった場合や、まとまった資金が必要となった場合など、資金面の都合で家を売らざるを得ないケースもあります。
以下の記事では住み替え理由のランキングを紹介しています。住み替え理由の詳細を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
>>住み替え・転居理由ランキング|失敗しないための手順や費用も解説
家を売るのを避けたほうが良いタイミング
家を売るのにおすすめなタイミングがある一方で、売却を急がないほうが良い時期も存在します。ここでは、家を売るのを避けたほうが良い3つのタイミングを紹介します。
不動産の相場価格が上昇しているとき
不動産の相場価格の上昇が続いている場合は、家の売却を避けたほうが良いタイミングといえます。売却を先延ばしにすると相場価格がさらに上昇し、より高額で売れる可能性があります。
ただし、全国平均で相場価格が上昇傾向でも、地域によって相場の値動きが異なるケースもあるでしょう。そのため、売却を予定している家の地域における市場動向を確認することが大切です。
税制上の優遇がギリギリ受けられないとき
税制上の優遇がギリギリで受けられない場合は、家の売却を待ったほうが良いこともあります。
例えば、現在の家の所有期間が4年であれば、5年を超えてから売却すると譲渡所得税の負担を減らせます。税制上の優遇をうまく活用すると、売却後に手元に残る金額が変わるため、使える特例を事前に把握しておくことが大切です。
参照:国税庁「土地や建物を売ったとき」
オーバーローンの可能性があるとき
オーバーローンの可能性がある場合も、家の売却を避けたほうが良いタイミングです。
オーバーローンとは、家を売っても住宅ローンを完済できない状態を指します。この場合、現在のローンと新居のローンをまとめて借りる「住み替えローン」を利用すれば、家の売却は可能です。
ただし、住み替えローンを利用すると、毎月の返済額やローンの総額が増えるリスクがあります。売却を急ぐ理由がない場合は、住宅ローンを無理なく返済できる見通しが立ってから家を売るのがおすすめです。
まとめ
家を売るタイミングを判断する際は、不動産価格だけでなく、築年数や税金、金利など、さまざまな要素を考慮することが大切です。適切なタイミングで家を売却できれば、納得のいく価格で成約できる可能性も高まります。
また、現在住んでいる家の売却を検討する際には、住み替え先も考えておく必要があります。
家の住み替えを安心して進めたい方は、「ラクいえ売却」がおすすめです。分譲住宅販売戸数日本一(※)の飯田グループホールディングスの信頼と実績に基づき、住宅を適正価格で買い取ります。また、売却後も最長1年間は無料で現在の家に住み続けられるため、仮住まいを探す手間や費用もかかりません。
余裕のあるスケジュールで家の住み替えをおこないたい方は、無料査定からご相談ください。
(※)分譲戸建住宅市場におけるシェア(2023年4月1日~2024年3月31日住宅産業研究所調べ)