「家を売るときの査定って、どうやって進めるの?」
「どの査定方法を選べばいいかわからない……」
初めて家を売却するとき、このような疑問を抱く方は少なくありません。査定の仕組みを理解しないまま進めてしまうと、相場より安く売ってしまったり、思わぬトラブルに発展したりすることもあります。
この記事では、査定の基本的な流れや必要な準備、査定方法ごとの特徴をわかりやすくまとめました。よくあるトラブルとその対策も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
家を売るときの査定の流れ
まずは査定の一連の流れを押さえておきましょう。
査定前に家の相場を調べる
査定の前に、まずは売却予定の家がどれくらいの価格で売れそうか相場を調べます。相場を知らないまま査定を受けると、不動産会社から提示された金額が妥当なのか判断ができません。
相場を把握する際に役立つのが、国土交通省の不動産取引価格情報検索や、不動産流通機構のレインズ・マーケット・インフォメーションなどの公的データです。
過去の成約事例が掲載されているので、立地や面積、築年数など自分の家と条件が近い事例を参考にすると良いでしょう。
参照:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
参照:公益財団法人不動産流通機構「REINS Market Information」
査定に必要なものを準備する
査定をスムーズに進めるには、事前に必要書類を揃えておくことが大切です。
書類が揃っていなくても査定の依頼は可能ですが、その分査定に時間がかかったり、正確な金額が出なかったりする可能性があります。
特に訪問査定のように精度の高い査定では、家の状態や権利関係を裏付ける資料を求められることが多いので、あらかじめ準備しておきましょう。
・基本的に必要な書類
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 公図・土地測量図
- 建物の図面・間取り図
- 売買契約書・重要事項説明書
- 登記済権利証または登記識別情報通知書
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
・マンションの査定に必要な書類
- 購入時のパンフレット
- 管理規約
- 管理費・修繕積立金が確認できる書類
・戸建ての査定に必要な書類
- 境界確認書
- 建築確認済証または検査済証
・追加で準備しておくと良い書類
- 固定資産税納税通知書や評価証明書
- 住宅性能評価書
- リフォーム契約書・報告書
- 耐震診断報告書
- アスベスト使用調査報告書
- 住宅ローン残高証明書または返済予定表
これらを揃えておけば、査定担当者にスムーズに情報を伝えられるうえに、物件の良い点を評価してもらいやすくなります。
なお、物件の種類や査定方法によって必要な書類は変わるため、事前に査定担当者に確認しておくと安心です。また、一部の書類は不動産会社が法務局で取得してくれるケースもあるため、必要に応じて相談すると良いでしょう。
不動産会社に無料査定を依頼する
不動産会社の無料査定には、大きく分けて直接依頼と一括査定の2つの方法があります。
直接依頼は、特定の不動産会社に自分で査定を申し込む方法です。ホームページの査定フォームや電話、店舗などから依頼できます。
一方、一括査定は専用サイトに物件情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社へ同時に査定を依頼できる方法です。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、目的に合わせて選びましょう。
| 依頼方法 | メリット | デメリット |
| 直接依頼 | ・特定の会社に相談できる ・地域密着の担当者に依頼しやすい | ・依頼できる会社が限られる ・複数社の比較がしづらい |
| 一括査定 | ・一度に複数社に依頼できる ・相場感をつかみやすい | ・営業電話が増える可能性がある ・査定額にばらつきがあると、適正価格の判断が難しい |
直接依頼の場合でも、3社以上に査定を依頼して相見積もりを取ると、相場感をより正確につかめます。
スピード重視で相場を知りたいなら一括査定、特定の会社に信頼を置いているなら直接依頼と、自分に合った方法を選んでください。
査定結果を比較・検討する
査定結果が出ても、提示された金額をそのまま鵜呑みにして、金額の高さだけで不動産会社を選ぼうとするのはおすすめしません。
不動産会社によって査定額の算定根拠は異なるうえ、査定額はあくまで目安のため、必ずしもその金額で売却できるとは限らないからです。
そのため、不動産会社を比較する際は、提示された金額だけでなく次の点もあわせてチェックしましょう。
- 査定額の根拠は納得できるものか
- 担当者の対応は丁寧で信頼できるか
- 質問に対してわかりやすく答えてくれるか
これらを総合的に判断して信頼できる不動産会社を見つけたら、媒介契約を結び、売却活動がスタートします。
査定方法の種類と特徴
ここでは代表的な3つの査定方法を解説します。
査定シミュレーション(AI査定・匿名査定)
過去の取引事例や最低限の物件情報をもとに、AIが概算価格を算出する査定方法です。入力するのは住所や築年数などの基本情報のみで、数秒ほどで結果が出ます。
氏名や電話番号を入力せずに利用できるものもあるため、「おおよその相場を知りたいけれど、営業電話は避けたい」という方に向いています。
手軽にシミュレーションできる反面、AIによる自動計算のため算定根拠を確認できず、精度にばらつきが生じやすい点に注意が必要です。
あくまで売却を具体的に検討する前の段階で、おおよその価格帯を把握するのに活用すると良いでしょう。
机上査定
机上査定は簡易査定とも呼ばれ、現地調査なしに、不動産会社の担当者が物件情報をもとに価格を算出する査定方法です。
過去の取引事例や物件情報に加えて、不動産市場や経済動向なども考慮して算出するため、AI査定よりも精度が高いのが特徴です。
ただし、現地調査をおこなわないため、実際の建物の状態や日当たり・騒音などの環境面は反映されません。「売却を検討していて、ある程度現実的な価格を知りたい」という方に向いており、訪問査定に進む前の比較材料にも活用できます。
訪問査定
不動産会社の担当者が実際に現地へ足を運び、建物の状態や周辺環境を確認したうえで価格を算出する査定方法です。
家の劣化具合や日当たり、周辺の利便性なども反映されるため、精度が高く実際の売却価格に近い金額を把握できます。また、担当者と直接やり取りできるため、希望条件に合わせた価格調整にも対応してもらえることがあります。
一方で、訪問査定ははっきりとした売却の意思がある方向けの方法です。不動産会社から営業の連絡を受けることになるため、売るかどうか迷っている段階では負担になることもあります。
価格の目安だけを知りたいなら机上査定を、売却を決めたら訪問査定を選ぶと良いでしょう。
不動産会社の無料査定でよくあるトラブルと対策
無料査定を実際に依頼してみると、予想外の対応に戸惑うケースも少なくありません。ここでは代表的なトラブルと、その対策を解説します。
営業電話を何度もかけてくる
一括査定を利用すると、複数の会社から一斉に営業電話がかかってくることがあります。
これは、一括査定がひとりの売り主を複数の会社で取り合う仕組みになっているためです。契約を取ろうと、各担当者が熱心に連絡してくるケースも少なくありません。
対策としては、査定を申し込む際に連絡手段や時間帯を指定しておくと良いでしょう。例えば「連絡はメールでお願いします」「平日の夜に電話してください」など希望を伝えておけば、余計なストレスを減らせます。
営業電話に不安がある場合は、「ラクいえ売却」の無料査定もおすすめです。電話によるしつこい営業や強引な営業はありません。
複数社から一斉に連絡が来る一括査定と違い、個別対応なので煩わしさを感じにくいのが特徴です。専用フォームや電話、Web面談から自分に合った方法で気軽に査定依頼ができます。
極端に高額・低額な査定額を提示される
不動産会社によっては、契約を取りたいがために相場より極端に高い査定額を提示することがあります。一方で、早期売却を狙って低めに見積もるケースも少なくありません。こうした査定額を信じてしまうと、売れ残りや損失につながる恐れがあるため注意が必要です。
査定額はあくまで見込み価格であり、会社ごとの方針や担当者の判断で変動します。提示された金額だけで判断せず、算定根拠や販売戦略をきちんと確認しましょう。
あわせて自分でも相場を調べたり、複数社の査定結果を比較したりすることが大切です。そうすることでより正確な市場価格を把握でき、納得のいく判断ができるようになります。
囲い込みなど不適切な対応をされる
媒介契約後に注意したいのが、不動産会社による囲い込みです。
囲い込みとは、物件情報を他社に公開せず、自社の顧客だけに紹介することで、売り主と買い主の両方から仲介手数料を得ようとする行為です。
売り主にとっては購入希望者が限られることになり、売却のチャンスを逃す恐れがあります。
2025年1月から囲い込みは是正処分の対象となりましたが、売り主も注意が必要です。
このリスクを減らす方法の一つが、1社のみと契約する専任媒介契約・専属専任媒介契約ではなく、複数社と契約できる一般媒介契約を選ぶことです。管理や連絡の手間は増えますが、多くの購入希望者に紹介されやすく、囲い込みもされにくくなります。
| 媒介契約の種類 | 内容 | 主な特徴 |
| 専任媒介契約 | 1社だけに売却を任せる契約 (レインズへの登録義務あり) | ・自分で買い主を見つけて仲介なしで販売することも可能 ・不動産会社の売り主への活動報告義務は2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約 | – | ・自分で買い主を見つけても不動産会社の仲介が必要 ・活動報告義務は1週間に1回以上 |
| 一般媒介契約 | 複数の会社に売却を依頼できる契約 (レインズへの登録義務なし) | ・自分で買い主を見つけて仲介なしで販売することも可能 ・活動報告義務はなし |
一方で、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合は、レインズ(国が運営する不動産情報ネットワーク)を活用することで、囲い込みのリスクを減らせます。
これらの契約では、不動産会社は物件をレインズに登録する義務があり、売り主はレインズの売り主専用画面から以下の取引状況を確認できるからです。
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
そのため、物件が本当に紹介されているか、あるいは不当に停止中とされていないかが分かります。契約後は囲い込みを防ぐためにも、定期的にチェックすると良いでしょう。
参照:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(平成13年国総動第3号)新旧対照条文」
参照:国土交通省「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!~ご自身の物件の取引状況を確実かつ簡単に確認できるようになります~」
家の査定時の注意点
ここでは、査定を納得のいく結果につなげるために、注意すべきポイントを解説します。
査定時は家の問題点を正直に伝える
査定を受ける際は、家の不具合や欠陥を隠さずに担当者に伝えましょう。あとから問題点が発覚すると、信頼を失うだけでなく、法律上の責任を問われる可能性があるためです。
伝えておくべき問題点は、以下のようなものです。
- 雨漏りやシロアリ被害
- 給排水管からの漏水や設備の故障
- 近隣の騒音や振動など生活環境の問題
- 過去にあった事件や事故
これらを事前に伝えることで、不動産会社が販売戦略を工夫できる場合があります。家の問題点を正直に伝えることは、取引の安全性を高め、売却をスムーズに進めるためにも重要なことです。
希望条件や家のアピールポイントを積極的に伝える
査定を受ける際は、希望条件や家の良い点をきちんと伝えることが大切です。いつまでに売りたいか、いくら以上で売りたいか、などの要望を伝えておくと、不動産会社は希望に沿った販売計画を立てやすくなります。
また、以下のような書類があると、査定額にプラスの効果をもたらすでしょう。
- 建物状況調査(インスペクション)結果報告書
- 耐震診断結果報告書・耐震基準適合証明書
- 住宅性能評価書
- リフォームや改修工事の証明書(増改築等工事証明書・住宅耐震改修証明書など)
特に新耐震基準に適合していることを示す証明書は、住宅ローン控除の適用にも関わるため、購入希望者への訴求効果も高くなります。
大手というだけで不動産会社を選ばない
大手だから安心という理由だけで、不動産会社を選ぶのはおすすめできません。
たしかに大手には知名度やネットワークの広さといった強みがありますが、必ずしも売却に有利とは限らないからです。売却予定エリアでの販売実績が少なければ、成約までに時間がかかったり、希望額で売れにくくなったりする可能性もあります。
そのため、不動産会社を選ぶときは以下のポイントを確認しましょう。
- 売却予定エリアでの販売実績があるか
- 担当者の知識や経験は十分か
- 親身になって相談に乗ってくれるか
- コミュニケーションが取りやすく信頼できるか
大手か中小かにこだわらず複数の会社に査定を依頼し、比較・検討することが大切です。
不動産買い取りサービスの利用もおすすめ
家を売るときは仲介による売買だけでなく、買い取りも選択肢に入れましょう。状況によっては、仲介よりもスムーズな売却につながるケースもあります。
買い取りとは、不動産会社が直接物件を買い取る仕組みです。
仲介の場合、値下げや買い主からの価格交渉が発生する可能性があり、査定額どおりに売れるとは限りません。一方、買い取りでは提示された査定価格がそのまま売却額になるため、金額に差異が生じにくいのがメリットです。
さらに広告活動が不要なため成約までのスピードが早く、仲介手数料もかからないため、現金化までの時間や費用負担を抑えられます。
ただし、買い取り価格は市場価格より1〜3割ほど安くなるのが一般的です。これは、不動産会社がリフォームや再販時の費用・利益を加味して価格を設定するためです。
よって「できるだけ高く売りたい」という方には仲介が向いていますが、「査定額で確実に売りたい」「早く現金化したい」といった方には買い取りが適しています。
買い取りを検討する際に候補に入れたいのが、「ラクいえ売却」です。
適正価格ですばやく現金化できるほか、売却後も最長1年間無料で住めるフリーレント制度や引っ越し費用のサポートもつきます。さらに、基準額より高く売却できた場合に利益の一部をキャッシュバックする制度もあり、充実したサービスが特徴です。
まとめ
家の査定を申し込むときは、まず相場を調べ、必要書類を揃えてから依頼しましょう。
査定方法にはAI・机上・訪問があり、目的に合わせて使い分けると相場感がつかめます。ただし、しつこい営業や極端な査定額、囲い込みなどのトラブルには注意が必要です。
「査定額どおりに売りたい」「早めに売却資金が欲しい」という方は、「ラクいえ売却」の活用もおすすめです。
スピーディーな買い取りや最長1年間住めるフリーレント制度、引っ越し費用のサポート、キャッシュバック制度まで整っているため、初めて売却する方でも安心して進められます。
まずは無料査定で、今の家の価値を知ることから始めてみましょう。