「家を売るには何から始めればいいのか」「手順がわからず不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、家を売る手順を7つのステップに分けてわかりやすく解説します。確定申告や登記など売却後に必要な手続きも紹介するので、あわせてご覧ください。
家を売る手順を7ステップで解説
家を売る手順は、大きく分けて7つのステップに整理できます。それぞれのステップを具体的に見ていきましょう。
ステップ1:相場価格を確認する
はじめに、家がどの程度の価格で売れそうか、相場を把握します。相場を知っていれば、適正な売出価格を判断しやすく、資金計画も早めに立てられるためです。
相場を知らずに進めてしまうと、市場価格よりも安く手放してしまったり、反対に高すぎてなかなか買い手が見つからず、売却が長引いてしまう可能性があります。
価格の目安を知るには、不動産ポータルサイトで似た条件の物件をチェックするほか、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」も参考になります。
ステップ2:不動産会社に査定を依頼する
相場の目安を把握したら、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定には、簡易的な「机上査定」と、精度の高い「訪問査定」の2種類があります。
机上査定は、物件の所在地や広さ、築年数といった基本情報をもとに、現地を見ずに過去の成約事例や市場データから算出する簡易的な査定です。物件の基本情報をもとにインターネット上で手軽に依頼できるのが特徴です。
一方の訪問査定では、不動産会社の担当者が現地を確認し、立地や建物の状態など詳細な条件をふまえて価格を見積もります。
まずは机上査定で概算を把握し、売却の意思が固まった段階で訪問査定を受けるのが一般的です。
なお、根拠のない高値を提示する会社には注意が必要です。最初は高値で売れるように見せて契約を取り、その後「この価格では売れない」と値下げを求めるケースもあるためです。査定額の根拠や販売の進め方を必ず確認しましょう。
ステップ3:媒介契約を結ぶ
不動産会社に売却を正式に依頼する際は、「媒介契約」を結ぶ必要があります。媒介契約とは、どの会社に、どのような形で売却活動を任せるかを明確にする契約です。
契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。以下は、それぞれの違いを比較した表です。
| 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
| 特徴 | 複数の不動産会社に同時に依頼できる | 一社に依頼する | 一社に依頼する |
| 活動の報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 自分で買い手を見つけた場合 | 直接契約できる | 直接契約できる(事前に不動産会社に報告が必要) | 不動産会社を通す必要がある |
| メリット | より多くの買い手にアプローチできる | 状況報告を受けながら、自分で買い手を見つけることもできる | 報告頻度が高く、販売に力を入れてもらいやすい |
| デメリット | 会社ごとの対応に差が出やすく、販売状況が見えにくい | 依頼した会社の営業力や対応に販売活動が左右されやすい | 自分で買い手を見つけても直接契約できない |
契約を選ぶ際は、「どの程度まで自分で関与したいか」「販売状況をどのくらい把握したいか」などの視点で判断すると、自分に合った進め方が選びやすくなります。
ステップ4:売出価格を決める
媒介契約を結んだあとは、売出価格の設定です。「ステップ2」で確認した査定価格はあくまで目安であり、最終的な価格は売り主が決定します。
価格を決める際は、以下の点を参考にすると良いでしょう。
- 不動産会社の査定額
- 周辺の売出・成約事例などの市場動向
- 売却希望時期とスケジュール
- 住宅ローンの残債や売却にかかる費用
- 最終的な手取り額の目安
希望する価格がある場合は、不動産会社に意向をしっかり伝えたうえで、根拠や販売戦略についてよく相談しておきましょう。
ステップ5:広告や内覧などの販売活動を始める
売出価格が決まったら、いよいよ販売活動のスタートです。不動産会社は、ポータルサイトや自社ホームページ、チラシなどを通じて物件情報を広く発信し、購入希望者を募ります。
内覧に備えて、売り主も住まいを整えておきましょう。部屋の第一印象は、売却のスピードや条件に影響します。事前に掃除や整理整頓をして、良い印象を与えられるよう準備が大切です。
なお、内覧当日は、売り主と不動産会社の担当者が立ち会うのが一般的です。案内方法についても、担当者と相談しながら工夫して物件の魅力をより効果的に伝えましょう。
ステップ6:買い主と条件交渉・売買契約を結ぶ
購入希望者が現れたら、不動産会社を介して売買価格や引渡し時期などの条件をすり合わせます。価格交渉では、あらかじめ「これ以上は譲れない」というラインを不動産会社と共有しておくと安心です。
条件が整えば、売買契約を締結します。契約書は不動産会社が作成しますが、署名前に草案を受け取り、内容を十分に確認しておきましょう。
特に、以下の5点は契約後のトラブルを防ぐうえで重要な確認項目です。
- 売買価格と支払い方法
- 引渡し時期と所有権移転のタイミング
- 設備や家具の引渡し範囲
- 契約解除・違約金の取り決め
- 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の有無と内容
なかでも金銭の取り扱いや「契約不適合責任」はトラブルにつながりやすいため、不明点があれば不動産会社へ確認しましょう。
契約当日は、重要事項の説明を受けたうえで契約書に署名・押印し、買い主から手付金を受け取るのが一般的な流れです。
参考:東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き10 引渡し後に不具合・欠陥が…」
ステップ7:決済と物件の引渡しをおこなう
売却の最終ステップは、残代金(手付金を除いた残りの支払い分)の受け取りと、物件の引渡しです。
決済当日には、買い主から残代金が支払われ、司法書士が所有権移転登記の申請をおこないます。売り主は、物件の鍵や引渡確認書を買い主に渡し、この時点で所有権が正式に移転します。
また、決済や引渡しの際には、ローン完済や税金の清算など、いくつかの重要な手続きも同時に進めなければなりません。
さらに、引渡し後には、確定申告やライフラインの解約などの事後手続きも必要です。手続きについては次の章で詳しく解説しますので、あわせてご確認ください。
家の売却後に必要な手続き
家の売却後も確定申告など、いくつかの手続きが必要です。あらかじめ流れを把握して落ち着いて対応しましょう。
確定申告
家を売って利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年に確定申告をおこなう必要があります。
特に居住用財産(マイホーム)の売却では、条件を満たせば税金の負担を軽減する特例制度を利用できる場合があります。主な特例は次のとおりです。
| 内容 | |
| 3,000万円特別控除の特例 | 譲渡所得から3,000万円まで控除を受けられる |
| 軽減税率の特例 | 家を10年以上所有していた場合、税率が下がる |
| 買い換え特例 | 新しい家を買うなどの条件を満たすと、税金の支払いを先に延ばせる |
| 空き家の特例 | 相続した空き家を売るときに、一定の条件で税金を減らせる |
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
上記の特例にはそれぞれ細かな適用条件があり、「3,000万円特別控除」と「買い換え特例」は併用できないなどの注意点もあります。
迷ったときは、不動産会社の担当者や税理士などに相談しましょう。さらに詳しい内容は、以下の記事でも紹介しています。
関連記事:住み替え時に活用できる特例って?税金対策やお得な売却方法をわかりやすく解説
電気・ガスなどライフラインの解約・住所変更
電気・ガス・水道・インターネットなどのライフラインは、売却にあわせて解約や名義変更をする必要があります。
引っ越しの時期と重なると手続きが煩雑になりやすいため、停止日をあらかじめ設定しておくと安心です。
また、日割り料金の精算や違約金の有無も確認しておくと、思わぬ出費を避けられます。
さらに、住所変更を忘れると請求書や重要書類が旧住所に届くおそれがあるため、解約と同時に確実に手続きを済ませておきましょう。
固定資産税・都市計画税の日割り精算
物件の引渡しが完了すると、売り主と買い主の間で税金の精算をします。精算の対象となるのが、固定資産税と都市計画税です。
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して、その年1年分がまとめて課税されます。
つまり、売却の途中で所有者が変わっても、法律上は売り主が全額を負担するのが原則です。
ただし実務では、物件の引渡し日を基準に、固定資産税・都市計画税を売り主と買い主で日割り精算するのが一般的です。
例えば、4月1日に引渡した場合、4月1日以降の税負担分は買い主が負担します。
精算は通常、決済時に不動産会社や司法書士が計算し、残代金の受け渡しとあわせて調整されます。
参考:総務省「固定資産税」、東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
抵当権抹消登記
住宅ローンを利用して購入した不動産には、金融機関によって抵当権が設定されています。
抵当権が登記に残っているままでは、買い主へ完全に所有権を移すことができません。そのため、売却の際にはローンを完済し、あわせて抵当権抹消登記をおこなう必要があります。
決済日に「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記」を同時に進めることが一般的で、手続きは司法書士が代わりに対応します。必要な書類は金融機関が発行し、売却代金でローンを完済したあとに登記の申請へと進みます。
ただし、売却代金だけで残債を返済できない場合は、自己資金の準備や金融機関との追加調整が必要になります。
なお、抹消登記に必要な書類や手続きの流れは、金融機関や地域によって異なる場合があります。事前に司法書士や不動産会社と相談しておくと安心です。
参考:法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」
まとめ
家を売る際は、相場の確認から契約、引渡し、売却後の手続きまで、一連の流れをあらかじめ把握しておくことが大切です。
手順や費用などに不安がある場合は、不動産会社へ早めに相談しておくのも良いでしょう。
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