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実家の売却は相続前?相続後?基本の流れから後悔しない方法まで解説

最終更新日: 2025.11.11 不動産売却

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実家の売却では、タイミングに悩む方が多いのではないでしょうか。相続前と相続後どちらにおいても、それぞれにメリットとデメリットがあります。

また、売却後に後悔したりトラブルが生じたりするケースもみられるため、売却前に流れやポイントを把握しておくのが大切です。

この記事では、実家売却のタイミングやステップ、後悔しないためのポイントなどを解説します。よくあるトラブルや対処法なども紹介しているため、実家の売却をスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

実家を売却するベストなタイミングとは

実家を売却するタイミングは、主に「相続前」と「相続後」の2つに分けられます。家庭の状況に合わせて売却のタイミングを選びましょう。

各ケースに適した売却方法や、近年の不動産市場の動向を詳しく解説します。

「相続前」の売却がおすすめなケース

購入時より実家の価値が上がり、「譲渡所得」が発生する場合は、相続前の売却を検討してみましょう。親が売り主となり生前に売却すれば、「譲渡所得の特例」が適用され、税金を大幅に軽減できる可能性があります。


また、親の施設入居や親族との同居により、実家が空き家となるケースでも、維持費用や管理の手間から売却を検討する方がいます。相続前に売却を済ませれば、親の老後資金の確保につなげられるでしょう。

相続人が複数いる場合、相続トラブルを防ぎやすいのもメリットです。なお、親の代わりに売却を進めたい場合は、委任状を準備しましょう。

「相続後」の売却がおすすめなケース

実家の売却で「相続税」が発生する場合は、条件によっては相続後の売却がおすすめです。

高額な相続財産で、基礎控除額を超える金額に対して課されるのが相続税です。相続税の計算に使われる評価額は、現金であればそのままの金額で評価されますが、不動産は現金よりも低く評価される場合があります。

そのため、現金化してから相続するよりも、不動産のまま相続したほうが相続税を抑えられる可能性があります。

また、相続後に実家を売却する際は、以下のタイミングを狙いましょう。

  • 売却時期:3月や9月~10月
  • 売却期間:相続開始から3年10ヵ月以内

3月や9〜10月は、就職や転勤を機に購入希望者が増加する傾向がみられます。また、相続開始から3年10ヵ月以内に売却を済ませて、かつほかの条件も満たせば、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の活用が可能です。

近年の不動産市場の動向

実家の売却を検討する際は、相続のタイミングだけでなく、近年の不動産市場の動向も把握しましょう。

国土交通省の統計によると、戸建て住宅の売却価格は築10年で50%以下、築20年ではさらに価値が下がり、20%を下回っています。不動産の価値は、時間の経過とともに下がるため、高値売却を狙うには早めの売却がカギとなるでしょう。

ただし、実家が人気エリアや駅近など立地条件が良い場合は、築年数が長くても価値が下がらず、高値売却が期待できます。実家の状況により売却価格は変動するため、市場の動向を見極めながら売却時期を検討しましょう。
参照:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム 市場の現状

実家の売却に必要な7つのステップ

実家の売却は、主に7つのステップに分けられます。実家の売却の流れと概要は、以下の表のとおりです。

実家売却の手順概要
①事前準備遺言書や住宅ローン残債の確認・必要書類の収集・相続登記 など
②実家の査定依頼2~3社で無料査定・相見積もり
③不動産会社との媒介契約複数社と契約:一般媒介契約
一社と契約:専任媒介契約・専属専任媒介契約
④売却活動の開始実家の清掃・内覧準備・内覧対応
⑤買い主との売買契約の締結契約内容の確認(解約・取引条件など)・契約書への捺印・手付金の受け取りや保管
⑥物件の引渡し・登記代金の受け取り・買い主へ鍵の引渡し
⑦確定申告・実家の売却で利益を得た場合
・特例制度を適用する場合

実家を売却する際は、上記のステップを一つずつ丁寧に踏むことが大切です。不動産会社に相談をしながら、理想の売却を実現しましょう。

実家売却で後悔しないためのポイント

買い取り制度や特例などを活用し、後悔のない実家売却を進めましょう。ここでは、特に押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

不動産会社の仲介や買い取り制度を活用する

実家の売却目的に合わせて、「仲介」と「買い取り」の2つの制度から売却方法を選択しましょう。仲介と買い取りの特徴は、以下の表のとおりです。

仲介制度買い取り制度
売却価格高値売却の可能性あり・市場価格に近づける仲介より安価
売却期間3~6ヵ月以上・長期化傾向あり短期間での売却も可能
向いている物件市場での需要が高い物件仲介による売却が難しい物件

時間をかけてでも高く売りたい場合は「仲介」、すぐに現金化したい場合や売却が難しい物件の場合は「買い取り」を検討すると良いでしょう。ただし、買い取りは仲介に比べて売却価格が下がる可能性があります。

実家の売却は、不動産会社の選び方によって売却価格や売却期間に変動がみられる場合もあります。不動産会社のホームページで口コミや実績を確認し、査定価格だけでなく、対応の良さも判断基準にいれましょう。

実家の維持や修繕にかかる税金や諸費用を確認する

実家の維持や修繕にかかる費用の把握は、無駄な出費を防げるのはもちろん、売却のタイミングを見極めるための重要な情報源です。

実家が空き家でも、所有しているだけで毎年税金や諸費用がかかります。主に、不動産の所有者に毎年課される「固定資産税」や、実家が都市計画区域内にある場合に課される「都市計画税」が挙げられます。

加えて、築年数が古い家は、老朽化にともなう予期せぬ修繕費や日々の管理費も必要です。維持費用は、経年劣化とともに大きな負担となるでしょう。

維持や修繕にかかる費用を事前に把握し、実家の売却を決めたら、できるだけ早めに売却活動を進めましょう。

使える特例を把握する

実家の売却に適用可能な特例を事前に確認しておくと、税金の負担を大きく軽減でき、金銭的な後悔を防げます。実家の売却で利用可能な主な特例は、以下のとおりです。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例
  • 小規模宅地等の特例

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、相続前に売却する場合に利用可能な特例です。実家の所有者である親が売却手続きをします。

対して、相続後の実家売却では「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」や「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用できます。

特例ごとに満たすべき条件が定められており自己判断で進めるのは難しいため、不動産会社と相談をしながら適した特例を検討しましょう。

参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例
参照:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
参照:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
参照:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
参照:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

実家売却で想定される3つのトラブル

実家を売却する際には、親族や近隣の方との間で予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。売却を進めるうえで想定される3つのトラブルを例に、それぞれの対処法を見ていきましょう。

兄弟や親戚と意見が食い違う

実家売却では、兄弟や親戚など、近い関係の方との対立が生じる場合があります。

親族のなかには、実家を継ぎたいと考える方や売却に乗り気ではない方がいます。売却に対する方向性の違いや意見の食い違いが原因で、親族同士の関係が悪化するケースは少なくありません。

親族とのトラブルを防ぐために、まずは遺言書の存在を確認し、記載内容に沿って相続を進めましょう。そして、実家の売却の必要性や方向性を親族全員でしっかりと話し合います。

手続き費用の負担や売却資金の分け方など、具体的な取り決めを明確にし、書面に残しておきましょう。必要に応じて、弁護士を交えて相談するのも手段の一つです。

近隣トラブルが起きる

実家の売却では、近隣トラブルに発展するケースもみられます。実家の修繕や解体作業での騒音や振動は、隣接する家にとってあまり好ましいものではないためです。

売却による近隣トラブルを防ぐには、事前の挨拶がポイントです。工事開始の1週間から10日前を目安に、実家の両隣に加え、向かい側と裏側の家へ挨拶に伺いましょう。

実家を売却して引っ越す際には、感謝の気持ちを込めた挨拶文を添えて近隣の方へお伝えするのが望ましいとされています。売却前後で丁寧に挨拶をおこない、これまでのお付き合いへの感謝を伝えることが大切です。

家がなかなか売れない

実家がなかなか売れない場合、内覧時の印象が影響しているかもしれません。

例えば、物が散乱し清掃が行き届いていない家を見学した場合、買い主側の購入意欲が下がる恐れがあります。購入につなげられなければ、売却期間が延び、スケジュールどおりに売却できないケースも考えられるでしょう。

実家の売却をスムーズに進めたいのであれば、内覧日までに不用品を処分しましょう。水廻りや窓・床など、汚れが目立ちやすい箇所は入念に清掃し、必要に応じて定期的なメンテナンスをするのがおすすめです。

清潔で快適な空間の演出により物件の魅力が高まれば、スムーズな売却につながるでしょう。

まとめ

実家の売却時期は、ご自身の状況に応じて相続前か相続後かを選択しましょう。近年の不動産市場の動向も合わせて検討すれば、売却後の金銭的な後悔の軽減が期待できます。

どちらのタイミングで売却を進める場合でも、不動産会社の仲介や買い取り制度、国が定める特例など、利用できる制度を事前に把握しておくのが大切です。

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