住み替えを検討する方のなかには、特約に関する正確な情報や知識を把握したうえで買い替えを進めたい方もいるでしょう。「買い替え特約」を上手に利用すれば、買い主のリスクを軽減でき、スムーズな取引につなげられます。
ただし、買い替え特約は売り主側のメリットが少なく了承を得るのが難しい特約でもあります。スムーズに契約を進めるためには、ポイントを抑えたアプローチが重要です。
この記事では、住み替えで利用可能な「買い替え特約」の特徴を詳しく解説します。買い替え特約のメリットやデメリット、買い替え特約が使えなかった場合の対処法などを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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住み替えで使える「買い替え特約」とは
住み替えで使える「買い替え特約」とは、買い主の旧居が定めた期間内に売却できない場合に、新居の売買契約を解除できる取り決めのことです。
主に、購入予定の物件の売買契約書に組み込む特約を指します。「気に入った物件が見つかったが、旧居が売れるか不安」といったケースに重宝する制度です。
ここでは、買い替え特約の特徴を詳しく解説します。
買い替え特約は売り先行ではなく「買い先行」で利用可能な制度
買い替え特約は、物件購入を先に済ませる「買い先行」で使われることが多いです。
買い先行は仮住まいの必要がなく、新居探しに時間を割けるのが大きなメリットですが、旧居が予定通り売れないと二重ローンになるなど資金計画が不安定になりやすいリスクがあります。しかし、旧居の売却が長引いても、買い替え特約を利用していれば大きな損失を回避できる可能性があります。
買い替え特約は、買い先行の不安をカバーできる有効な手段の一つです。住み替えをスムーズに進めたい方にとって、心強い制度といえるでしょう。
買い替え特約は基本的に「違約金や利用期間の制限」はない
買い替え特約を付けていれば、旧居の売却ができなくても違約金は発生しません。旧居の売却がスムーズに進まず、買い主が新居を購入できない場合、特約なしでは手付金の没収や違約金が発生するリスクがあります。
買い替え特約を付けておくと、事前に支払った手付金は買い主に返却されます。特約があることでトラブルを未然に回避でき、買い主側の負担を軽減できるでしょう。
また、買い替え特約の利用期間は、売り主と買い主双方の意見をすり合わせて、最終的な期間を決定します。制度自体に明確な利用期間は定められていませんが、新居の引渡しから2~3ヵ月後までと定めるのが一般的です。
買い替え特約は一般的に停止条件ではなく「解除条件」にあたる
不動産売買契約は、条件内容によって「停止条件」と「解除条件」に分類されます。
条件が成立するまで契約の法的効力が発生しないものは「停止条件」に該当します。また、条件の成立によって、すでに発生した契約の法的効力を解除できるのが「解除条件」です。
住み替えにおける買い替え特約は「一定期間内に旧居が売れなければ、買い主は契約を解除できる」契約をいいます。そのため、一般的には停止条件ではなく「解除条件」にあたります。
住み替えで「買い替え特約」を利用するメリット
住み替えで「買い替え特約」を付けると、資金計画やスケジュールに柔軟性を持たせながら、安心して住み替えを進められます。買い主が得られる買い替え特約のメリットを詳しく紹介します。
慎重に売却先を検討できる
売却先を焦って決める必要がないため、慎重に住み替えを進められるのが買い替え特約の大きなメリットです。
買い替え特約を利用すれば、旧居を予定通りに手放せなくても契約を白紙に戻せるため、売却を急ぐ必要がありません。また、売却先をじっくり選べるだけでなく、旧居を納得の価格で売却できる可能性も高まります。
対して買い替え特約を利用しない場合は、希望する物件購入の資金を確保するために旧居の売却をスケジュール通り進めなくてはいけません。旧居の売却を急ぐあまり、大幅な値下げをして資金計画が崩れる可能性もあるでしょう。
ただし、特約があっても、希望物件を優先する判断には注意が必要です。高値で売却ができる旧居を安価に手放すリスクも発生しかねないため、買い替え特約を利用するかは慎重に判断しましょう。
住み替えコストを抑えながら希望の物件をキープできる
希望の物件を見つけ、すぐに購入したい・キープしたいと考えても、違約金や二重ローンなどの住み替えコストが気になって、ためらう方も少なくありません。
そうした場面で役立つのが「買い替え特約」です。
買い替え特約は、旧居がスムーズに売却できなくても、新居の契約を違約金なしで白紙に戻せます。また、二重ローンを抱えるリスクを避けることもでき、無駄な出費を避けながら住み替えを進められます。
費用面のリスクを抑えつつ、理想の新居を選びたい方にとって、買い替え特約は心強い制度です。資金計画に余裕を持ちながら、理想の住み替えが実現できるでしょう。
住み替えで「買い替え特約」を利用するデメリットと対策
住み替え特約は、売り主にとってはデメリットになりやすい制度です。スムーズに契約を進めるためにも、買い替え特約のデメリットや対策を把握しておきましょう。
特例を了承する売り主が限られる
買い替え特約は、売却側にとって契約が白紙になるというリスクがあるため、積極的に了承してくれるケースは多くありません。
例えば、買い替え特約付きで契約済みの家は、ほかの購入希望者からの打診に応じられません。買い主の都合で契約が白紙になる可能性が高く、確実に売却できる保証がないため、売り主にとってメリットよりもデメリットのほうが大きく感じられるでしょう。
そのため、人気の高い物件や売却を開始してまもない物件などは、買い替え特約付きの契約は敬遠される可能性があります。
買い替え特約の了承を得るための対策
住み替えで買い替え特約を使いたい方は、売却に苦戦している売り主にアプローチしましょう。なかなか買い手が見つからず困っている売り主であれば、多少のリスクを受け入れてでも契約成立を優先し、買い替え特約を了承してくれる可能性があります。
また、旧居の売却と新居の購入を同じ不動産会社に依頼するのも方法の一つです。不動産会社にとって売却と購入両方の仲介手数料を得られることはメリットになるため、買い替え特約を前向きに検討してくれる可能性が高まります。
買い替え特約は、交渉相手を見極めることや売り主へのメリットを考慮することで、了承が得やすくなります。
【重要】買い替え特約で買い主がチェックすべき文言(条文)のポイント
買い替え特約を使って住み替えをする際は、買い主による契約解除を認める条件が具体的に明記されているかをチェックしましょう。
「どの物件が」「いつまでに」売却できないときに適用されるのかをはっきりと記載しておく必要があります。また、売却金額の下限や売買代金の受領日などにも触れましょう。
上記を踏まえて買い替え特約の文言(条文)を作成した場合、以下のようになります。
- 令和〇年〇月〇日までに、買い主が所有する〇〇所在の〇〇平米の土地および〇〇所在木造2階建て〇〇平米の建物を〇〇万円以上で売却できない場合、またその売買代金が令和〇年〇月〇日までに受領できない場合、本契約は当然に効力を失う。
- 売り主は、受領した金員の全額を無利息で買い主に返還する。
- 買い主は、損害賠償の責を負わないものとする。
契約解除時の売り主と買い主の義務的対応に関する内容も明記しておくことで、トラブルを回避できるでしょう。
「買い主の所有物件を売却できないときは、本契約を解除できます」といった記載だけでは、契約書の文言として不十分です。買い替え特約の文言(条文)は、具体的に記載してあるかをしっかりとチェックすることが大切です。
参考:公益社団法人全日本不動産協会「買換えに関する問題点」
買い替え特約が使えなかった場合の対処法
売り主にとってのメリットが少ない買い替え特約は、なかなか許可が得られないケースも十分に考えられます。ここでは、買い替え特約が使えない場合の対処法を紹介します。
住み替え方法を変える
買い替え特約を了承してもらえなかった場合、住み替え方法そのものを見直しましょう。
希望している物件をどうしても手に入れたい場合は、元々検討していた買い先行型を特約なしで進めるのも一つの方法です。旧居の売却が済むまでのあいだは一時的に住宅ローンが二重になる可能性があるため、資金に余裕があるかを確認しましょう。
また、旧居を売却してから新居を購入する売り先行型に切り替える方法もあります。資金計画が立てやすくダブルローンのリスク回避が期待できますが、家が売れる前に希望の物件を逃す可能性があります。
それぞれにメリット・デメリットが存在するため、資金状況やスケジュールに応じて適切な住み替え方法を選ぶことが大切です。
なお、ラクいえ売却では売り買い同時進行で、コストを押さえた効率的な住み替えをサポートしています。売却後1年間は無料で旧居に住めるフリーレント制度も設けているため、焦らずじっくり新居探しに専念できます。
買取会社に旧居の買い取りを依頼する
住み替えで短期間に旧居を売却したい場合は、買取会社への売却を検討するのも良いでしょう。
買取会社に旧居の買い取りを依頼すると、仲介よりも短期間で売却ができる可能性があります。一般的に、売却完了までにかかる期間は約2週間〜1ヵ月程度とされており、売却活動の手間を抑えられるでしょう。
そのため「売れにくい立地のマンションを早く手放したい」「住み替えまであまり時間がない」などのケースに適した売却方法といえます。
ただし、買取価格は市場価格の80%前後にとどまることもあり、仲介会社を利用するよりも安くまとまる可能性があるため、慎重な判断が必要です。
まとめ
住み替え時に「買い替え特約」を活用すれば、買い主側のリスクを軽減しながら計画的に住み替えを進められます。特に、買い先行で住み替える際に資金計画やスケジュールの柔軟性を確保できる点が大きな魅力といえるでしょう。
一方で、売り主の了承は得にくいため、特約が使えない場合の備えも必要です。その場合は住み替え方法を変更したり、買取会社への売却も視野に入れたりすると、より確実な住み替えが実現できるでしょう。
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