住み替えローンは、住宅ローンの残債と新居の購入資金をまとめて借入するため、借入総額が大きくなりがちです。無理のない返済計画を立てるために、住み替えローンにかかる諸費用を含めたシミュレーションが重要です。
この記事では、住み替えローンにかかる諸費用を含めた借入総額と、月々の返済額を具体的なシミュレーションでわかりやすく解説します。無理のない住み替えを実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
住み替えローンとは
住み替えローンは、住み替え前の住宅ローンが残っている場合でも、新居の購入費用と住宅ローンの残債をまとめて借入できるローンです。
住宅を売却するには、ローンを完済する必要があります。しかし、売却益だけでは住宅ローンを完済できない場合もあるでしょう。
住み替えローンを利用すれば、住宅ローンの返済費用と新居の購入費用をあわせて借入できるため、スムーズな住み替えが可能です。また、ローン返済までの仮住まいや一時的なダブルローンを避けられることから、費用や手間の負担も軽減できます。
住み替えを無理なく進めるためには、住み替えローンの仕組みや特徴を正しく理解し、必要な資金や返済計画を事前に把握しておくことが大切です。
住み替えローンの基本については以下記事で詳しく紹介しています。
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住宅ローン返済中でも住み替え可能!住み替えローンの金利や利用の流れを解説
住み替えローンにかかる5つの諸費用
住み替えローンを利用する際は、さまざまな諸費用が発生します。ここでは住み替えローンにかかる5つの諸費用を解説します。
ローン手数料
ローン手数料は、金融機関による融資や事務手続きに対して支払う手数料です。
手数料の算出方法には、借入金額に対して一定の割合を支払う「定率型」と、あらかじめ決まった金額を支払う「定額型」があります。
定率型は、借入金額に対して2.2%程度を設定する金融機関が多く、借入額が大きくなるほど手数料が増加します。一方、定額型では金融機関によって金額や条件に差があるため、事前の確認が必要です。
手数料は初期費用として必要となるため、ローン選びの際は返済条件とあわせて比較することをおすすめします。
ローン保証料
ローン保証料は、住宅ローンを借りる方が連帯保証人を立てる代わりに、保証会社に対して支払う費用です。
支払い方法は主に2種類あり、保証料を一括で支払う「外枠方式」と、借入金利に上乗せして支払う「内枠方式」に分けられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
| メリット | デメリット | |
| 外枠方式 | 借入時に保証料を一括で支払うため、月々の返済額を抑えられる | 初期費用の負担が大きくなる |
| 内枠方式 | 初期費用の負担を軽減できる | 外枠方式と比較して、返済総額が増えるケースもある |
どちらの方式が適しているかは、自己資金の状況や将来の返済計画によって異なります。金融機関によっては、保証料の有無や支払い金額は異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
火災保険・地震保険
住宅ローン利用時は、ほとんどの金融機関で火災保険への加入が必要です。住宅が消失しても、ローン返済義務は残るため、万が一に備えた保険加入が求められます。
保険料は建物の構造や築年数、補償範囲によって異なり、10年間で10〜20万円程度が相場です。木造住宅や戸建ては、より高額になる傾向があります。
また、火災保険では地震による被害は補償されないため、地震保険の加入も検討しましょう。多くの金融機関では任意としていますが、火災保険では補えない災害に備えられます。
補償内容や費用は保険会社によって異なるため、複数の見積もりを比較して、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。
団体信用生命保険
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金によって残りのローンが完済される制度です。返済中に万が一の事態が起きた場合でも、残された家族にローン返済の負担をかけずに済みます。
住み替えローンでも団信の加入が必須となるケースが多く、保険料はローン金利に含まれているのが一般的です。ただし、がん・三大疾病・就業不能などの特約を付ける場合は、金利が0.1〜0.3%上乗せされることがあります。
生命保険や医療保険と補償内容が重複する場合もあるため、家族構成や将来設計を考慮し、ライフプラン全体のバランスを見て検討しましょう。
抵当権設定登記
住み替えローンを利用する際には、住宅を担保として借入をおこなうため、抵当権設定登記が必要となります。
抵当権とは、ローンの返済が滞った場合に備えて、金融機関などが住宅を担保として設定できる権利です。
登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、費用の内容は借入額や住宅の評価額によって異なります。
抵当権設定登記に必要となる費用と金額の目安は以下のとおりです。
| 必要となる費用 | 金額の目安 |
| 登録免許税 | 債権額の0.1%(※) |
| 必要書類の取得費用 | 2,000円程度 |
| 司法書士への報酬 | 3万~10万円 |
※令和9年3月31日まで軽減税率適用(通常0.4%)
参照:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
なお、住み替えにはローン契約の諸費用以外にも、新居購入や旧宅の売却などさまざまな費用がかかります。
住み替えローンでかかる毎月の返済額をシミュレーション
住み替えローンでは、毎月の返済額を事前に把握しておくことが重要です。物件価格やローン残債、頭金の額などにより借入総額や月々の負担は大きく変わります。
以下の条件をもとに、住み替えローンの月々返済額をシミュレーションしてみましょう。
| シミュレーション条件 | |
| 住宅ローンの残高 | 1,500万円 |
| 住み替え前住宅の売却価格 | 1,000万円 |
| 新しい住宅の購入費用 | 3,000万円 |
| 新しい住宅の購入の頭金 | 500万円 |
借入金額を計算
住み替えローンでは、既存のローン残債と新居購入に必要な資金をまとめて借入します。まず、上述した条件と新しい住宅の購入費用3,000万円から、ローンの元本を計算しましょう。
旧住宅のローン残債1,500万円から売却価格1,000万円を引くと、500万円の残債が残ります。この残債500万円と、新しい住宅の購入費用3,000万円から頭金500万円を引いた2,500万円を合算すると、住み替えローン元本は3,000万円です。
次に、このローン元本に加えて、住み替えローン契約に必要な諸費用を考慮する必要があります。
条件をもとに計算した諸費用は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 |
| ローン手数料(2.2%) | 66万円 |
| 火災保険・地震保険(※) | 24万円 |
| 抵当権設定登記費用 | 10万円 |
| 諸費用合計 | 100万円 |
※火災保険・地震保険の費用は、初回分のみ計算に含まれています。2回目以降の支払い分は含まれていません。
つまり、新居の購入費用3,000万円に諸費用100万円を加えると、借入総額は3,100万円となります。
借入金額を計算する場合は、諸費用を含めた計算をおこない返済計画を立てることで、借入後の負担を具体的にイメージしやすくなるでしょう。
返済額を計算
借入総額が把握できたら、次は毎月どの程度の返済が必要になるのかをシミュレーションしておきましょう。ここでは、住宅金融支援機構が提供する住宅ローンシミュレーションを活用して、月々の返済額と総返済額を算出します。
シミュレーションをおこなう条件は以下のとおりです。
【シミュレーション条件】
| 項目 | 条件 |
| 借入総額 | 3,100万円 |
| 借入期間 | 35年 |
| 返済方法 | 元利均等返済 |
| ボーナス返済 | なし |
| 金利 | 2% |
上記条件で計算すると、月々の返済額は約10.3万円となり、35年間の総返済額は約4,314万円となります。
実際の金利や返済条件は金融機関によって異なるため、事前に調べて無理のない返済計画を立てることが大切です。
参照:住宅金融支援機構「借入希望金額から返済額を計算」
住み替えの進め方とそれぞれの注意点
住み替えを成功させるには、売却と購入のタイミングと資金計画が重要です。進め方によってはダブルローンや仮住まいが必要となり、返済計画に影響するケースもあります。
ここでは、住み替えの進め方とそれぞれの注意点を解説します。
売り手先行型
売り手先行型は、現在の住まいを先に売却し、売却資金をもとに新居を購入する進め方です。売却額が確定するため資金計画を立てやすい一方で、新居が決まらない場合は、仮住まいが必要になります。仮住まいや、二重の引っ越し費用が発生するため、シミュレーションで無理のない予算を見極めることが大切です。
ラクいえ売却では、大手企業の信頼と実績のもと、適正価格でお住まいを売却できます。スピーディーに資金化できるため、資金計画が立てやすくスムーズに住み替えを進められます。
買い手先行
買い手先行型は、新居を先に購入してから現在の住まいを売却する進め方です。仮住まいが不要で入居タイミングを調整しやすい反面、売却前に新居の住宅ローンを組む必要があるため、一時的にダブルローンとなり、返済負担が増えることがあります。
そのため、買い先行型は十分な貯蓄があり、収入面でも余裕がある方に適した方法といえるでしょう。買い手先行型で住み替えを成功させるためには、売却時期や売却価格の見通しを立てた資金計画が必要です。
同時進行型
同時進行型は、現在の住まいの売却と新居の購入を同時に進める方法です。タイミングが合えば、仮住まいや二重の引っ越し費用などの余計な出費を避けられるため最も理想的で効率的な住み替え方法といえます。
ただし、売却と購入を同じタイミングで進めるには、綿密なスケジュール管理と契約のスピード感が求められます。
売却と購入のタイミングがずれると、買い手先行型となり一時的なダブルローンが発生するリスクがあるため、専門家に相談しながら計画的に進行することが重要です。
住み替えローンで失敗しないためのポイント2つ
住み替えローンを利用する際は、事前準備が不十分だと予期せぬ出費や返済負担につながる恐れがあります。
住み替えを成功させるためには、売却と購入のタイミングをできる限り合わせることが理想的ですが、実際には難しいケースもあるでしょう。
ここでは、住み替えローンで失敗しないためのポイントを解説します。
売り手先行で進める
住宅を先に売却しておくことで、新居購入時の自己資金や住み替えローン借入額が明確になり、資金計画が立てやすくなります。また、売却金額と住宅ローン残債とのバランスを見極めることで、住み替えローンの借入額を最小限に抑えることが可能です。
ただし、住宅の売却を焦るあまり、相場よりも安い価格で売却してしまうと、自己資金が減ってしまうため、資金計画が大きく崩れる原因になりかねません。納得のいく価格で売却するためにも、不動産の売却は経験豊富な専門家に相談するのがおすすめです。
シミュレーションで返済計画を立てる
住み替えローンを利用する際は、物件価格や借入額だけでなく、諸費用も含めた総合的なシミュレーションが欠かせません。諸費用を見落とすと想定以上の資金が必要となり、返済計画が破綻する可能性があります。
適切なシミュレーションにより、収入に合った購入予算や返済可能額の上限を把握でき、無理のない返済計画を立てられます。また、住み替えでは売却が長引いたり、希望より安く売れたりする場合もあるため、複数のケースを想定して試算しておきましょう。
ラクいえでは、気軽に住み替えシミュレーションがおこなえます。資金計画から売却・購入まで一貫したサポートにより、初めての住み替えでも安心して進めることが可能です。
まとめ
住み替えローンは、現在の住宅ローン残債と新居の購入費用をまとめて借入できるローンです。売却と購入のタイミングを調整することで、仮住まいや二重ローンの負担を軽減しながらスムーズに住み替えを進められます。
住宅の売却・購入費用に加え、ローン手数料や諸費用もかかるため、想定よりも返済額が大きくなるケースもあります。無理のない住み替えを進めるためにも、さまざまな費用を含めた資金計画と事前の返済シミュレーションが重要です。
ラクいえ売却では、大手企業の信頼と実績により、適正価格でスピーディーな買い取りが可能です。売却後も最長1年間は無償で住み続けられるため、時間に余裕をもって新生活の準備を進められます。
まずは無料査定から、お気軽にご相談ください。